金融庁判断 過払い金返還請求の記録を信用情報より削除要請

平成22年1月14日,金融庁が「改正貸金業法」の完全施行に向けて,信用情報から過払い金返還請求の記録を削除することが,「指定信用情報機関」認定(※)の条件としていることを発表しました。

 債務整理を伴わない,過払い金返還請求のみの場合,金融庁には「返還請求は顧客の正当な権利で,信用情報と直接関係しない」との見解があります。それに比べて貸金業界は過払い金の返還請求をする人は貸し倒れのリスクが高いとして,業界の信用情報機関である日本信用情報機構(JICC)ではコード71(契約見直し)という区分で5年間登録されます。こうなれば何も落ち度はないのに,5年間新たなローンを組むことを制限される,クレジットカードが使えなくなるという事態も起こります。
 私たち弁護士は,依頼人の方から直接相談を受ける立場として,貸し倒れのリスクが高いどころか,過払い金を請求する人は,長年にわたって真面目に返済している人が実に多いことを感じています。
 平成19年4月に当事務所で受任した依頼者は,過払い金を請求しただけであるにもかかわらず,大手消費者金融2社がその加盟する信用情報機関にコード32(債務整理)として情報を登録し,ほかの金融機関からの新たな融資を受けることができなかったため,当事務所は,依頼者の精神的損害を賠償させるべく,大手消費者金融2社,全国信用情報センター連合会(日本信用情報機構の前身・全情連)に加盟している信用情報機関に対して,合計400万円の慰謝料を請求しました。
 このような深刻な事態を受け,金融庁は,各信用情報機関に対し,過払い金返還請求に対しては,借金があることを前提とした「債務整理」や「延滞」による登録を行わないよう要請しました。
 これを受けて全情連では,平成19年9月より過払い金の返還請求に対してはコード71(契約見直し)という新たな区分による登録を適用すると発表しました。
 この際,当事務所では
「本人の返済能力に問題がないことを明確にするという点では評価できます。しかし,『契約見直し』は,貸金業者に対して過払い金の返還請求を行ったという事実を示すものです。法律上無効となるグレーゾーン金利を知っており,あとから過払い金の返還請求をする可能性のある人に対して,貸金業者が新規の貸付を行う可能性は極めて低いと思われます。過払い金の返還請求は,法律上借金はすでに消滅していることが前提となっているのですから,「契約見直し」ではなく,端的に「完済」とすべきです」
と提言しています。
以上のような一連の行動成果のあれわれとして,今回の金融庁の判断を歓迎し,ぜひとも過払い金返還請求の信用情報からの削除を,信用情報機関と貸金業者は実行してほしいと願っています。

※金融庁は多重債務問題の解決のため,2006年に可決された改正貸金業法を2010年6月に完全施行しました。貸金業者に借り手の返済能力の調査を義務づけ,総借入残高が年収の3分の1を超える個人向け貸し付けを原則禁止する「総量規制」が導入されました。
総借入残高を把握させるため「指定信用情報機関制度」が設けられ,JICCは2009年12月に申請し,2010年3月に指定を受けています。

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