契約書Q&A
契約書に関する質問をまとめました
1.勝手に事実と異なる契約書が作成された場合でも会社は責任を負うのですか?
契約自体がないのですから,立派な契約書があったとしてもそれは無効となり,なんの義務も負わないのが原則です。ただし,会社の印章を勝手に使用して契約書が作成された場合には,印章が無断使用された契約書であることを主張する側が証明する必要があります。具体的には,無断使用を目撃した人がいたとか,印章の無断使用が容易であったこと,無断使用を認めている者がいるなどの事実を証明する必要があります。また,取締役や総務部長など代表者に準じる地位にある者の無断使用については相手方が無断使用を知らなかったような場合には,一定の条件がそろえば義務を負わされてしまう可能性もあります。印章の管理はくれぐれも厳重に行ってください。
2.覚え書では,契約書にはなりませんか?
十分契約書になります。契約は口頭でも成立するものですから,契約書といえるかどうかは標題ではなく,その内容で決まります。この契約書には法的拘束力を認めないと記載されているような場合を除いては,契約書に記載されている内容について法的な権利義務が発生すると考えられた方が良いでしょう。
3.契約書の内容によくわからないところがあるのですが?
よくわからない内容の契約書を作成するのは大変危険ですから,法律家にチェックを受けるのが確実です。特に相手方が作成した契約書では,思いがけない内容が含まれていたりします。相手方の弁護士が作成している場合にはこの傾向が強くなります。できれば,こちら側で契約書案を作成した方がイニシアチブを握りやすくなります。
4.契約書は,市販されているものでも大丈夫?
大きな書店などでは,契約書の書式が市販されていますから,これらの書式を利用して簡単に契約書を作成することもできますし,簡単な契約ならこれで十分です。ただ,書式に書いてある内容は正しくても,その内容が会社で希望する契約の内容と合致しているかは,別の話です。複雑な契約の場合や金額の大きな契約,会社にとって重要な契約の場合は,法律家に相談することをお勧めします。
5.賃貸借契約とリース契約って同じもの?
賃貸借契約とリース契約は,ともに会社でよく利用されている契約ですが,両者はまったく同じ性質の契約ではありません。両者の違いについては,法的に色々な考え方があり,この考え方の違いによって,例えば, 借主が倒産した場合などにリース料債権の取扱いを巡って問題が生じてきたりします。実は,リース契約がこのような玉虫色の契約となったのはリース会社が認められた経緯から来るものですが,会社が法的性質を探求しても実益はありません。会社としては,リース契約は賃貸借契約の一部が変更された契約であると理解して,具体的な違いを把握しておけば十分でしょう。
両者の具体的な違いは,例えば,リースの目的物は借主が選択し,貸し主はこの選択に従って新たに目的物を購入する,リース契約は期間満了まで継続し,借主が解約することはできない,目的物についての修繕保守費用はすべて 借主が負担するなどの違いがありますので,この特色を踏まえて,いずれの契約が適当かを判断できれば十分です。なお,再リース契約は賃貸借契約です。
6.公正証書って何ですか?
公正証書とは,公証人が作成する契約書をいいます。通常の契約書との違いは2つあります。1つは,公証人という公的機関が契約書を作成することによって,契約書の内容が正しいものであることの証明力が一段と増すことです。もう1つは,一定の条件の下で公正証書により裁判をしなくても強制執行が可能となる場合があり,この違いのために公正証書が利用されるのです。
ただ,どんな契約でも公正証書を組んだからといって,裁判をしなくても強制執行が可能となるわけではありません。強制執行が可能となるための条件は2つあり,1つは,強制執行に服しますという旨の内容(強制執行認諾文言といいます)が公正証書に記載されていること,もう1つはお金の支払いを目的とする債権であることです。物を引き渡せとか仕事をしろという内容では,強制執行はできません。
では,どのような契約を公正証書にするのが良いのでしょうか?公正証書を作成してもらうためには公証人に費用を支払う必要があるので,なんでもかんでも公正証書にするのは得策ではありません。まず,前に述べたとおりお金の支払いが目的でない場合,強制執行はできませんから,契約書を公正証書にする意味はあまりありません。会社にとっての契約の重要性や相手方の信頼の程度,公正証書の費用などを考えて公正証書を組むべきかどうかを個別に検討すべきです。
公正証書の費用は,契約の目的額によって以下のようになっています。
| 100万円まで | 5,000円 |
|---|---|
| 200万円まで | 7,000円 |
| 500万円まで | 11,000円 |
| 1,000万円まで | 17,000円 |
| 3,000万円まで | 23,000円 |
| 5,000万円まで | 29,000円 |
| 1億円まで | 43,000円 |
| 3億円まで | 5,000万円ごとに13,000円加算 |
| 10億円まで | 5,000万円ごとに11,000円加算 |
| 10億円超 | 5,000万円ごとに8,000円加算 |
7.内容証明郵便って何ですか?
内容証明郵便とは,差出人が送り先にいつ,どのような内容の郵便を差し出したということを郵便局が証明してくれる郵便です。紛争が起こり訴訟になった場合,「言った」「言わない」「聞いた」「聞かない」というような話が後日必ず問題となってきます。そこで,このような事態を未然に防ぐため,いつ,どのような内容のことを差出人が送り先に対して伝えたのかを公的に証明しておき,訴訟の際の証拠とするための手段が内容証明郵便なのです。
また,内容証明郵便を出すことにより,こちらが訴訟も辞さないという態度を表明することができ,また弁護士の名前で内容証明郵便を出せば,相手方へ心理的なプレッシャーを与えることもできます。
ただ,内容証明郵便を出すときに気を付けて欲しいのは,公的に証明されるのは,どのような内容を伝えたかということだけであって,内容そのものが正しいとの証明には一切ならないということです。また,内容証明郵便が証明するのはあくまでも内容ですから,これが送り先に到達したことについては,これと併せて配達証明を付けて証明する必要があります。
他方,貴方の会社が後で内容証明郵便と異なる主張をしたときには,主張に矛盾があるといって内容証明郵便を利用されてしまう可能性があります。したがって,内容証明郵便を出すときは,相手方に主張を利用されないよう細心の注意を図る必要があります。
次に,内容証明郵便の書き方ですが,形式的なルールとしては,1行20字以内,1枚26行以内に収める必要があり,図表は使用できません。内容については,事案によってかなり異なりますが,用件のみをシンプルに書くのが一応の基本です。下手に脅し文句のようなことを書いてしまうと,脅迫罪の証拠とされかねません。
内容証明郵便を出すのにかかる費用は,1件1枚420円で,1枚増えるごとに250円がプラスされます。
このように,契約書の問題は会社経営者の皆さんにとって大変身近な問題であることがご理解いただけましたでしょうか?ご自身で対応されることに不安がありましたら,ぜひ一度,私ども法律家にご相談ください。
























