裁判所を利用して事業を再生

裁判所を利用して事業を再生!

「裁判所に債務整理を申し立てると“倒産企業”との烙印を受け、事業を再生することは困難になる。だから、裁判所を利用した法的整理は最後の手段だ。」

このようなお話をよく聞きます。しかし、法的整理を行ったヤオハンやそごう、マイカル、佐藤工業などは現在、立派に再生しています。中小企業も同様に再生を果たしています。バブルが崩壊し、「失われた20年」を過ごしてきた顧客は、会社の倒産を特別な事態とは考えていません。法的整理を申し立てたからといって一切の取引を即時に中止されるとは限りません。法的整理に入った会社であっても、会社が提供するサービスに満足するなら顧客は取引を継続してくれます。

裁判所を利用した法的整理は、法律を使って借金(負債)を大幅に減額することができるため、事業の再生にとって非常に有利な方法といえます。また、法的整理を申し立てることにより、営業の譲り受けを希望する者や新たな出資者が現れるなど、事業再生の支援者が見つかり、再生が円滑に進むというメリットもあります。さらに、債権者としてもカットされた貸付は全額無税償却ができるため、借金のカットに応じやすいということも見逃せない点です。裁判所を利用した法的整理を上手に活用することができれば、事業再生の可能性は非常に高いものとなります。

民事再生

民事再生法は、2000年に施行された法律で、まさに事業再生の切り札です。この方法の一番のメリットは、民事再生を申し立てた後も経営者は引き続き事業を継続できる点にあります。これまで、法的整理を申し立てると経営者は事業を継続することができなくなるため、法的手続をとることに躊躇するケースが多かったです。また、民事再生は会社が債務超過となる一歩手前で申し立てることができるため、手遅れになってしまう前に法的整理を申し立てることができるようになりました。さらに、企業価値を損なわせないため申立てから再生までの手続は迅速化されており、東京地方裁判所の場合、約6ヵ月間で再生の認可が降りるスケジュールで運用されています。令和元年の司法統計によると、主に会社の再建のために利用されるいわゆる「通常再生」については、一年間で145件の申立てがあったことがわかります。

特定調停

特定調停は、借金についての話合いによる解決の促進を目的として、民事再生と同じく2000年から導入された債務整理の方法です。

特定調停は、裁判所の関与の下で、借金について個々の債権者と話し合って債務を整理します。特定調停の優れたところは、裁判所が関与することによって、債権者の強引な主張を一定程度は、牽制することができる点にあります。特定調停の目的は、事業の再生に向けた合理的な解決を図ることにあるため、裁判所が債権者に対してある程度の譲歩を促してくれます。また、担保の競売や強制執行の手続を停止させることができるのも大きなメリットです。不動産が借金の抵当に入っており、競売のおそれがあるような場合に効果を発揮します。

さらに特定調停は、特定の債権者に対してのみ申し立てることができます。そのため、たとえば、金融機関からの借入債務のみを整理し、取引先を債務整理に巻き込みたくないような場合に適しているといえます。

会社更生

会社更生は、株式会社が申し立てることのできる債務整理の手続です。民事再生を申し立てたマイカルやそごうの例を見てもわかるように、現在では民事再生法が施行されたため、会社更生を申し立てるメリットはあまりありません。

破産・特別清算

破産と特別清算は、事業を清算するための方法です。「会社を清算してしまうと事業を再生することができなくなるのでは?」と思われるかも知れませんがそうではありません。

たとえば、債権者の同意を得たうえで、ある会社の財産をすべて別会社に譲渡してしまい(これを「事業譲渡」といいます)、旧会社を破産や特別清算を使って処分してしまうという方法があります。事業は別会社で再生させるわけです。また、事業の不採算部門を別会社に事業譲渡して別会社を清算し、採算部門のみを元の会社で再生させる方法もあります。つまり、破産や特別清算は、ほかの手続と併用することによって、債務を整理し、事業の再生を果たすための便利な方法なのです。

代表者が借入の個人保証をしている場合、代表者個人が破産することによって保証債務をなくしてしまうという使い方もできます。

事業の継続が真に困難で、事業を清算するために破産・特別清算を選択することもありますが、たとえそうなったとしても経営者がこれまで培ってきた技術やノウハウ、人脈がなくなるわけではありません。

破産・特別清算によって借金(負債)をなくしたあと、これまで培ってきた技術やノウハウ、人脈を使って新たな事業を開始し、人生を再スタートすることができます。

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