債務整理の方法2 - 金融機関と交渉して事業を再生!
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1.借金のカット・リスケジュール
(1)そんなこと金融機関が応じてくれるんですか?
金融機関と交渉し,借金のカットや返済を猶予してもらい,不採算部門を整理して事業の採算性を回復させることで事業の再生を図る方法です。「金融機関が借金のカットや返済の猶予なんて応じるのだろうか?」多くの経営者は,このように考えて他の支払いに優先させて金融機関への支払いをしているのが現状です。もちろん金融機関だって経営状況に余裕はないのですから,やすやすとカットやリスケジュールに応じてはくれません。しかし,現に金融機関は大企業の数百億円という借金のカットやリスケジュールに応じています。考えてみてください。会社が裁判所へ民事再生や破産を申し立ててしまえば,金融機関はそれらの手続の範囲でしか返済してもらうことができなくなります。それよりも会社が実現性のある返済プランを作成して,金融機関が会社を潰してしまうよりも多くの返済を受けられると思えば,借金のカットやリスケジュールに応じることは十分期待できます。
(2)もう貸してくれないかもしれない
「関係が悪化したらもう融資してもらえないかも知れない。」という心配もあるかも知れません。確かに,借金のカットやリスケジュールを申し込んだ会社は資金繰りが悪化した要注意先企業となりますから,当面その金融機関から新たに融資を受けることは困難です。しかし,金融機関は他にもありますし,そもそも会社に必要なのは,追加融資を受けることよりも借金を減らすことではありませんか?
(3)交渉を開始する前に準備しましょう
借金のカットやリスケジュールを交渉するときは,会社の預金口座を別に開設し,交渉先の金融機関の預金口座残高は0にしておきましょう。また,売掛金の入金先が交渉先の金融機関となっている場合は入金先を変更しておきましょう。そうしないと金融機関 から相殺や,貸し剥がしにあう危険性があります。
(4)担保を取られていても大丈夫
不動産が借金の担保に入っているような場合,借金のカット・リスケジュールを交渉すると金融機関が不動産を競売すると脅してくることがあります。しかし,費用と時間が掛かる競売は,金融機関としてもできるだけ回避したいというのが本音なのです。したがって,不動産が借金の担保に入っているとしても交渉は十分可能です。
(5)交渉は手遅れにならないうちに
借金のリスケジュールは,資金繰りにまったく余裕がなくなってからリスケジュールを交渉してももう手遅れです。少しだけ余裕があるうちに早め早めに手を打つことが重要です。また,交渉開始後は合意が得られるまで,金融機関への返済は行わないでください。返済を止めることで金融機関も借金のカットやリスケジュールを真剣に検討するようになるはずです。
2.債権譲渡
(1)不良債権処理がやりやすくなった!
これまでは,金融機関が借金を放棄すると,金融機関の財産を安易に放棄したとして取締役が株主から訴えられたり(これを株主代表訴訟といいます),借金の免除は会社への贈与だとして金融機関が放棄額について課税される(これを有税償却といいます)といった危険があったため,これまで借金の放棄(いわゆる不良債権処理)は進んでいませんでした。このような状況を打破し,不良債権処理を進めるため,2001年にいわゆるサービサー法が施行され,これまで禁止されていたサービサー(債権回収会社)の設立が認められました。金融機関は,債権をサービサーへ売却することにより,株主代表訴訟や有税償却の危険を回避して不良債権を処理することが可能となったのです。「金融機関にとってみれば,不良債権処理になるかも知れないけど,借金を負っている会社からすれば,債権者が変わるだけなのでは?」という疑問が生じるかも知れませんがそうではありません。サービサー法の施行は借金を負っている会社からみても朗報なのです。
(2)サービサー活用による借金カット事例
例えば,金融機関が1000万円の債権をサービサーに100万円で譲渡したとします。金融機関は900万円を売却損として計上し,不良債権を処理することができます。一方サービサーは譲り受けた債権を実質100万円の債権として把握します。サービサーはこの債権から100万円以上回収することができれば利益が得られますから,借金を負っている会社が100万円以上の金額を支払えば,サービサーはそれ以上の請求をしてこないことが多いのです。もちろんサービサー自身も株主代表訴訟や有税償却の危険がありますから,表だって借金のカットに応じてくることはありませんが,サービサーが譲り受けた以上の返済をすることにより,事実上差額を放棄してもらえる可能性が高いのです。
つまり金融機関にサービサーへの債権譲渡を促し,実行させることによって借金をカットしたのと同じ効果を得られることができるのです。場合によっては,サービサーと交渉してその債権を自分の会社で安く買い取ってしまえば,法律上も借金はなくなります!
(3)借金は返済しない方がお得!?
サービサーへの売却額は,借金の金額や会社の支払いの状況,事業の収益性等の事情を考慮してサービサーと金融機関との間で決定されますが,会社がこの売却額を知ることは困難です。しかし,これは裏を返せば借金を負っている会社が売却額を調整することが可能だということです。実は,金融機関への支払いを止めていたり,リスケジュールをしていたような場合は,それだけ回収可能性が低いと判断されて売却額も低くなり,サービサーからの請求額も低くなるのです。毎月しっかり金融機関に全額を支払っている会社はサービサーからの請求額が高くなってしまうのです。
以上のように,債権譲渡もまた事業再生への重要な切り札のひとつといえるのです。
3.DES(借金の株式化)
DES(デッド・エクイティ・スワップ)とは,簡単にいえば借金を株式に代えてしまい,借金を減らしてしまう方法です。デッドは負債,エクイティは株式,スワップは交換を意味します。DESによって借金が貸借対照表の負債の部から資本の部へ振り変わることになるため,借金の返済が不要となるだけでなく自己資本率が高まり財務内容が向上します。「そんな都合のいいことできるのだろうか?」と思われるかも知れません。確かに,業績の悪化した非公開企業の株式を取得しても金融機関にとってはメリットがなく,会社も金融機関が経営に参加してくることは好ましいことではなかったため,これまでDESによる債務整理は主に大企業を中心に行われてきました。しかし,借金がDESによって自己資本に変わり会社が優良貸出先となれば,金融機関として は貸付金について多額の引当金を計上する必要がなくなるため,DESは財務内容の悪化した金融機関の救済ともなるのです(破綻懸念先となっている会社への貸付金については,債権額の70%を貸倒引当金として計上する必要があり,引当金を計上すると金融機関の自己資本比率が低下します)。また, 借金の一部をDESによって株式に変えても,事業が再生を果たした後に残りの借金を回収することができれば,金融機関としてもDESに応じることのメリットがあります。しかも,DESによって発行される株式を無議決権株式にすれば金融機関の株主としての経営参加を回避することも可能なのです。
近時DESは,中小企業・ベンチャー企業においても導入の実績が増えつつあり,2003年では80社程度の中小企業・ベンチャー企業がDESを行っています。DESは,借金を返済せずに債務整理を行うための有効な方法のひとつとなりつつあります。
4.DDS(借金の借り換え)
DDS(デッド・デッド・スワップ)とは,借金の借り換えを行って,当面は返済を据え置くような取り決めをして借金返済を繰り延べる債務整理の方法です。借金がなくなるわけではありませんが,借金返済を当面は不要とすることによって借金を自己資本に近い形に変えることができるのです(これをみなし自己資本といいます)。DDSを行った場合もDESと同様に金融機関には引当金の計上が軽減されるメリットがあります。現在のところ,中小企業・ベンチャー企業では,DDSの導入事例はさほど多くありませんが,今後はDESと同様に債務整理の方法として活用が期待されています。
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