みずほ銀行に対する損害賠償請求訴訟の概要

本件は,いずれも当事務所が2007年2月に受任した2名の依頼者に対して,みずほ銀行が行った行為の違法性について,不法行為に基づく損害賠償等を請求したものです。

 みずほ銀行は,当事務所が発送した受任通知(弁護士介入通知)を無視し,代理人である当事務所を通さずに,依頼者2名に対して内容証明郵便にて「期限の利益喪失(※1)通知」を郵送し,直接支払いを請求しています。また,同銀行は,2名の依頼者の代理人である当事務所から取引履歴の開示を請求されたにもかかわらず,受任通知のみでは当事務所と依頼者2名との委任関係が証明されていないとして取引履歴を開示せず,依頼者2名の債務整理手続を不当に遅延させました。


 同銀行の依頼者に対する直接請求行為は,弁護士介入後の取立行為を禁止した貸金業規制法(※2)及び金融庁事務ガイドライン(※3)に違反する行為に該当する可能性があります。貸金業規制法及びガイドラインは,貸金業者に対し弁護士介入後の債務者への直接の取立行為を禁止することにより,債務者の生活の平穏を確保し,債務者の早期の経済的更生を実現するために規定されたものです。同銀行は,銀行法に基づき銀行業を営む者であり,直接貸金業規制法による規制を受ける貸金業者ではありません。しかし,一般市民に対して貸付を行っている点においては貸金業者と同じであり,銀行の業務の公共性をかんがみても,債務者の生活の平穏を確保し,債務者の経済的更生を実現に協力する信義則上の義務があることは当然です。事実,同銀行の本件行為は,2名の依頼者がその請求行為に困惑して当事務所に連絡をいただいたことから発覚しました。

 

 次に,同銀行の依頼者2名に関する取引履歴を開示しない行為は,金融庁事務ガイドライン(※4)・最高裁判決(※5)に違反する行為に該当する可能性があります。平成17年7月19日最高裁判決では,債務者の早期の経済的更生を実現するために,貸金業者に取引履歴を開示する法的な義務があることを認めています。また,東京三弁護士会でも,貸金業者は委任状を要求することなく取引履歴を開示する義務があるという見解を採用しています。金融庁事務ガイドラインや最高裁判決が直接同銀行を対象にしていないとしても,やはり一般市民に対して貸付を行っている以上,債務者の早期の経済的更生を実現するために,信義則上開示義務があることは明白です。本件のような同銀行の対応は,取引履歴の開示義務に違反し,委任状を要求することによって依頼者の早期の経済的更生を妨げる行為です。

 

 当事務所は,同銀行の以上の行為の違法性が認められることにより,今後依頼者の債務整理手続が不当に遅延されることがないように,東京地方裁判所に本件の損害賠償等請求訴訟を提起いたしました。詳しくは<裁判の進行>をご覧ください。

 


参照:
※1 期限の利益喪失
「期限の利益」とは分割返済の契約をした場合に,当初の契約どおりに返済をしていれば,各返済期日が到来するまで残額の返済をしなくてもよいこと。また,「期限の利益喪失」は,この返済期日までの返済を怠った場合,全額を返済しなければならない。
※2 貸金業規制法21条1項6号
債務者等に対し、債務者等以外の者からの金銭の借入れその他これに類する方法により貸付けの契約に基づく債務の弁済資金を調達することを要求すること。
※3 金融庁事務ガイドライン3-2-6(3) 
※4 金融庁事務ガイドライン3-2-7
※5 平成17年7月19日最高裁判決

 

今回の判決を受けて

訴訟それ自体は最高裁まで争いましたが,残念なことに損害賠償を認めさせることはできませんでした。しかし,当事務所の主張が全く裁判所に認められなかったわけではありません。

1)受任通知を受理したにも関わらず,依頼人に直接返済請求を行ったことについて
「期限の利益喪失通知は,原則として,弁護士事務所に宛ててすべきであったとの主張は理由がある」として,裁判所は直接返済請求を依頼人に行ったことは正しい行為ではないとする当方の主張を認めています。

2)当方からの取引履歴の開示要求に応じなかったことについて
委任状の提示がない状態で取引履歴の開示要求に応じなかったことは,「委任状の提示なくして履歴を開示することについて不都合な点は見当たらない」として,裁判所は「債務整理開始通知を委任関係と認めないとする銀行側の行為は正しい行為ではない」という当方の主張を認めています。

事案の総論

「当事務所の主張には理由がある」と判決において認められたことは,銀行には貸金業法の適用がないとしても,銀行業務の範囲が拡大していることから,貸金業法を考慮した対応をすべきと解釈できます。
個人の早期経済公正の支障となる行為が許されていいはずはありません。当事務所は,このような銀行業の怠慢な行為に対しても,依頼者の早期経済的更生を守るため,確固たる姿勢をとり続けます。

裁判の進行

東京地方裁判所(一審)

【2007.05.30】
アディーレ法律事務所はみずほ銀行に対し損害賠償等請求訴訟を提起しました。
訴状はこちら

 

【2007.06.26】
みずほ銀行(被告)より,答弁書が提出されました。答弁書とは,被告側が最初に裁判所に対して提出する書面です。アディーレ法律事務所(原告)の主張を認めるのかどうか,被告の主張や意見などが書かれています。
みずほ銀行(被告)からの答弁書はこちら[PDF:45KB]

 

【2007.08.28】
アディーレ法律事務所(原告),みずほ銀行(被告)ともに,1回目の準備書面を提出しました。なお,準備書面とは法廷で述べるべき主張や意見が書かれた書面のことです。この準備書面のやり取りによって裁判は進んでいきます。
アディーレ法律事務所(原告)の準備書面はこちら[PDF:492KB]
みずほ銀行(被告)の準備書面(7.17提出)はこちら[PDF:443KB]

 

【2007.10.26】
アディーレ法律事務所(原告),みずほ銀行(被告)ともに,2回目の準備書面を提出しました。
アディーレ法律事務所(原告)の準備書面はこちら[PDF:463KB]
みずほ銀行(被告)の準備書面(9.20提出)はこちら[PDF:518KB]

 

【2007.11.22】
アディーレ法律事務所(原告),みずほ銀行(被告)ともに,3回目の準備書面を提出しました。
アディーレ法律事務所(原告)の準備書面はこちら[PDF:499KB]
みずほ銀行(被告)の準備書面(11.20提出)はこちら[PDF:499KB]

 

【2008.02.15】
東京地方裁判所(一審)での判決がでました

東京地方裁判所の判決文はこちら[PDF:1,321KB]

 

東京高等裁判所(二審)

【2008.02.21】
地裁判決を不当判決とし,東京高等裁判所に控訴しました。
アディーレ法律事務所(控訴人)の控訴状はこちら[PDF:75KB]
※2008.04.14に控訴理由書を提出しました。控訴理由書はこちら[PDF:146KB]

【2008.05.13】
みずほ銀行(被控訴人)より,答弁書が提出されました。
みずほ銀行(被控訴人)からの答弁書はこちら[PDF:2,856KB]

【2008.05.20】
みずほ銀行(被控訴人)の答弁書に対し,準備書面を提出し反論しました。
アディーレ法律事務所(控訴人)の準備書面はこちら[PDF:126KB]


【2008.07.08】
東京高等裁判所(二審)での判決がでました
東京高等裁判所の判決文はこちら[PDF:6,862KB]
上告状はこちら[PDF:83KB]


最高裁判所

最高裁判所の棄却書類はこちら[PDF:483KB]


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