2004/12/04 自己破産と受任通知の関係

今回のテーマ
【自己破産と受任通知の関係】

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●「2ヵ月ほど支払いが滞ってしまい,サラ金から電話や手紙が止まりません。
どうにかなりませんか!?」
この質問は毎日のようにいただきます。
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自己破産をして免責を受けると,借金がなくなるということは少し勉強されている方は,ご存じのようです。

では,免責を受けて免責の決定が確定し,正式に借金がなくなるまで,サラ金からの取立は続くのでしょうか?また,正式に借金がなくなるまでの月々の返済はどうなるのでしょうか?

今回は,ある意味自己破産をしようと思っている方々が最も関心の高い部分をご説明いたします。

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●まず,取立については,弁護士に依頼する場合と自分で手続をする場合によって異なります。
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弁護士に債務の整理を依頼すると,弁護士は各サラ金業者に対して,依頼者の債務整理を受任したことを通知します(これを受任通知といいます。)。
サラ金業者は,ガイドラインによって,受任通知を受け取った後は,直接本人に対して,取立や請求を行うことが禁止されています。
したがって,受任通知を受け取った後は,直接サラ金業者から取立をされることがなくなります。

大手のサラ金業者の場合は,通知が担当者の下に届くまでにタイムラグが生じることもありますが,電話が来た場合でも弁護士に依頼をしたこと,弁護士名及び事務所の連絡先を伝えておけば,闇金でもない限りはその後本人に連絡をしてくることはありません。

但し,勤務先が分かっている場合には給与の差押をしてくる可能性はありますが,手間と費用がかかり,費用倒れになることが殆どのため,実際に差押をしてくるのはまれです。

一方,自分で破産の手続をする場合は,破産宣告を受けるまでは,取立が続くことになります。本人申立の場合,書類の不備を修正し,破産申立が受理されるまでには,数回程度裁判所に赴く必要がありますので,事前にしっかりとした書類を準備しておく必要があります。また東京地方裁判所のように事実上本人申立を認めていない裁判所もありますので注意が必要です(平成15年の本人申立は1%未満です。)。

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●次に,返済についてですが,こちらは弁護士に依頼した場合も本人申立でも違いはありません。
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自己破産を予定している場合,特定のサラ金業者だけに返済をするのは,一部のサラ業者だけを有利に取り扱うものであり,免責が認められない可能性が出てきます。
したがって,弁護士に依頼しているいないに関わらず,自己破産を予定している方は,返済は一切してはいけません。

ただ,ここで問題になるのは,弁護士に依頼して受任通知を発送していない場合は,取立が継続してしまう点です。このような場合には過酷な取立に屈して一部のサラ金業者に支払いをしてしまう場合があります。

一部のサラ金業者への支払いは法的に問題がありますが,取立が継続してしまうと事実上返済せざるを得ない状況に陥る可能性があります。
そのような意味からも,債務整理は弁護士に依頼した方が無難といえます。
東京地方裁判所が弁護士申立を強力に推進しているのには,このような理由もあるのです。

次回は,自己破産の手続は自分でもできるか,について説明します。

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【編集後記】

国会で審議されていた弁護士費用の敗訴者負担についての法案がどうやら本日正式に廃案となったようです。
一般の方々にはあまり関係がない問題にも思えますが,実は深い関係があります。

この敗訴者負担法案は,訴訟で負けた方が相手方の弁護士費用も負担するという法案です。一見するともっともな法案のようにも思えますが,これには大きな落とし穴があります。
敗訴者負担法案が通ってしまうと,個人,労働者,消費者などが国や大企業に対して,国や大企業が雇っている弁護士の高額な弁護士費用を負担させられることを恐れて裁判をすることを事実上抑制されてしまうのです。
つまり,この敗訴者負担法案は,実は経済的弱者にとっては司法救済の道を閉ざす悪法なのです。

弁護士会は,この敗訴者負担法案には反対していましたし,もちろん私も反対でした。
つい熱くなって分量が増えてしまいましたが,どうやら廃案になるということで一安心のようです。

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アディーレ法律事務所