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交通事故で示談書が必要な理由や効力について解説

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交通事故の当事者間では、被害者が被った損害賠償の内容や金額について話し合い、示談書を作成して被害を回復し、問題の解決を目指すことになります。

示談書を作成せずに示談をすることもできますが、客観的に合意内容を書面にしておかないと、後々誤解や争いが生じることがありますので、必ず示談書を作成するようにしましょう。

今回の記事では、示談書作成が必要な理由やその効力について解説します。

交通事故の示談書とは?

交通事故により、加害者は、被害者に対して、民法上の不法行為責任を負います(民法709条)。これにより、被害者は、加害者に対して、不法行為に基づく損害賠償として、金銭の支払いを請求することができます。
そして、この損害賠償の金額を、当事者同士が話し合いにより円満に解決することを「示談」といいます。
加害者が任意保険に加入していれば、任意保険会社が示談代行をするので、被害者は保険会社と話し合うことになるでしょう。
示談は口頭でもすることができますが、誤解が生じ後々争いになることがあるので、通常は、合意内容を明確にして、客観的な証拠とするために示談書を作成します。これを、「示談書」といいます。

(1)法律上は和解契約

示談とは、一般的に使われる用語で、法律上は、和解契約といいます(民法695条)。示談書は、「和解契約書」です。
厳密には、和解契約は互譲(相互に譲歩していること)が必要ですので、互譲のない示談は和解契約とはなりませんが、互譲の結果成立する示談がほとんどといってよいでしょう。
示談が成立せずに訴訟を提起した場合でも、訴訟上で和解することもできます(民事訴訟法89条、267条)。

訴訟上の和解は、和解調書が作成され、示談と異なり、強制力があります。つまり、加害者が和解調書の約束を果たさなければ、和解調書に基づいて、加害者の財産について差し押さえなどの強制執行を行い、権利を実現することができるのです。
ただ、加害者に任意保険会社がついている場合は、示談であっても、訴訟上の和解であっても、任意保険会社が合意内容に納得して和解していることになりますから、基本的には自主的に支払われるでしょう。
示談が成立せずに訴訟になるのは、交通事故の過失割合について争いがあったり、損害額の算定に争いがあったりして、加害者と被害者が妥当と考える損害賠償額に大きな開きがあり、裁判所の判断を求めるのが適当とされるケースが多いようです。

(2)示談書の効力

示談書には、通常、合意された示談金の金額や、誰が誰に対してして支払うのか、支払期日、支払い方法などを記載します。
示談書は、和解契約書として、記載された内容について、契約当事者間を法的に拘束します。
例えば、加害者が約束したとおりに賠償金を支払わない場合には、被害者は、和解契約を根拠として、加害者に対して契約したとおり賠償金を支払うよう請求し、訴訟を提起して判決を求めることができます。
また、後でやはり納得できないと考えても、すでに契約していますので、相手方の合意や特段の事情が無い限り、示談をやり直すことはできません。
そのため、示談書の記載内容については、署名するまえに慎重に検討する必要があります。

交通事故の示談書作成のタイミング

示談書は、示談交渉をして内容に合意できた後、支払い期日前に作成します。
加害者側の任意保険会社が示談代行をしている場合には、示談がまとまったら、会社が作成した示談書(承諾書や免責証書というタイトルになっていることが多いです)が送付されますので、内容を確認したうえで、指示通り署名・押印をして返送します。
その後、任意保険会社で内部処理が行われ、支払期日前までに賠償金が支払われます。

まだ話し合い途中で内容に合意できていないのに、相手方から一方的に示談書が送られてきた場合には、示談書を作成する必要はありません。
もし署名・押印して返送してしまうと、示談が成立したものとされ、後から示談書に記載さ入れた内容は違うと争うことは困難ですので、納得のいくまで話し合うようにしましょう。

交通事故の示談書の記載内容

当事者間で話し合って示談案に納得できた場合には、示談書を作成することになります。
示談書に記載する内容について、説明します。

加害者が任意保険に加入しており、その保険会社が示談代行をする通常のケースでは、保険会社が示談書を作成します。一方で、保険会社が直接の交渉相手ではないケースでは、示談書を自分で作る必要がある場合もあります。
通常、示談書に記載する内容は以下のような事項になりますが、自分で示談書を作成するにあたっては弁護士に相談した方がよいでしょう。

  1. 当事者の特定(被害者と加害者の特定)
  2. 事故の詳細(事故発生日時、車両番号、事故発生状況など)
  3. 損害の内容
  4. 過失割合
  5. 示談金額
  6. 支払条件(支払日と支払方法)
  7. 清算条項
  8. 示談日、当事者の氏名住所、署名押印 など

交通事故の示談書を作成する際の注意点

示談書作成の注意点を説明します。

(1)示談書作成時期

通常は、治療終了後に示談交渉を開始するので、作成時期も治療終了後になるでしょう。
具体的には、ケガが治った場合には完治後、後遺症が残ってしまった場合には後遺障害の等級認定の審査結果が出た後になります。
後遺障害の等級が認定されれば、示談金額が上がる可能性がありますので、示談を急がないようにしましょう。

(2)金額が妥当であるか

交通事故の損害賠償については、過去の裁判例を基礎に定型化されているため、それを参考に妥当な損害賠償額を算出することが可能です。
示談案に記載されている損害の項目に漏れがないか、項目ごとの金額について誤りがないか、又は交渉によって増額が可能かどうか、過失割合の認識に齟齬がないかなど、一つ一つ丁寧に検討します。

(3)任意保険会社の示談案にそのまま従う必要はない

任意保険会社の提案する金額が、「正しく」「適切」だとは限りません。
それどころか、任意保険会社の初回提案額は、裁判所の考え方からしても、低い金額であることがほとんどです。
被害者は、自身が受けた損害について、適切な賠償を請求する権利がありますので、納得できない場合には、「納得できない」と、明確に保険会社に伝えるようにしましょう。
妥当な金額が分からない場合には、ご自身で判断することは避け、事前に弁護士に相談するとよいでしょう

(4)弁護士に一任するのもよい

交通事故で被った各損害に対する賠償額の算出基準は、自賠責の基準、任意保険の基準、弁護士の基準の3種類があります。
自賠責保険は、被害者を救済するための強制加入保険で、最低限の補償を行うことを目的としていますので、自賠責保険基準の支払額は基本的に一番低く設定されています。
任意保険の基準は、任意保険会社が示談交渉をする際の支払いの基準で、会社によって異なり、公開されていません。一般的に、自賠責保険の基準と同程度かそれ以上ではありますが、裁判基準と比べると、低い水準です。
弁護士の基準は、これまでの裁判例の積み重ねにより認められてきた、各ケースの賠償額を定型化して基準を作成したものです。これは、次の書籍にまとめられており、裁判官・弁護士といった法曹は、この書籍を参考に賠償額を算定します。

  • 民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準(赤い本) 財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部発行
  • 交通事故損害額算定基準(青本) 財団法人日弁連交通事故相談センター本部発行

一般的に、弁護士の基準で計算すると、自賠責の基準や任意保険の基準と比べて、賠償額は高額になります。
しかし、ご自身で計算すると間違いが生じる可能性がありますし、計算できたとしても、被害者本人が弁護士の基準での支払いを求めても、任意保険会社が弁護士の基準の支払いに応じることはまずありません。
弁護士であれば、弁護士の基準で各損害を計算し、弁護士の基準に近づけるよう任意保険会社と交渉することができますので、賠償額の大幅な増額が可能なケースもあります。
示談案が妥当な金額が分からない場合には、弁護士に相談するようにしましょう。増額可能性があると弁護士が判断したのであれば、弁護士とご自身の希望についてよく話し合ったうえで、弁護士に示談交渉を任せるのもよいでしょう。

交通事故の示談を拒否する場合

交通事故の損害賠償については、多くの場合、次のような理由から、まずは示談での解決を試みます。

  • 被害者の場合、裁判で争う場合にかかる費用と時間が節約でき、早期の被害回復が得られる。
  • 交通事故の損害賠償については、数多くの裁判例を基礎に定型化しており、ある程度客観的に金額について話し合うことができる。
  • 加害者が任意保険会社に加入していることが多く、保険会社も、金額に合意できれば早期解決を望む傾向にある。

しかしながら、当事者が損害の内容や額に合意できなければ、示談は成立しません。
そのような場合には、ADR(裁判外紛争解決手続き)や裁判所を利用して解決を図る必要がありますので、解決までには時間を要することになります。

【まとめ】合意内容を明確化&客観的な証拠とするために示談書が必要

示談書は、合意内容を明確化して、客観的な証拠とするために作成されます。

示談書には、通常清算条項が含まれており、示談をした後に、「調べたらもっともらうことができた」と気づいても、示談をなかったことにすることはできません。
示談をする前に、一度、交通事故を扱っている法律事務所に相談することをお勧めします。

交通事故の被害に遭い、示談案が適切な内容かどうかわからない、示談交渉がストレスで代わりに交渉してほしいなど、お悩みの方は、アディーレ法律事務所にご相談ください。

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