相談者:30代(女性)
最近、不倫相手と別れました。
離婚するといっていたのに、全然離婚する気配がないので、別れることにしたのです。
しかし、不倫相手は、私に未練があるようで、「別れるなら、以前撮影した私の裸の写真をネットにばら撒く」と脅してきました。
怖くてたまりません。どうすれば良いでしょうか。
リベンジポルノとは
(1)リベンジポルノ防止法(私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律)
リベンジポルノとは、別れた相手に対する復讐目的で、撮影された相手の同意なく、ネット上に性的な画像等を公表したりする行為のことをいいます。
2014年に制定されたリベンジポルノ法は、このような「性的画像等」の公表を犯罪として規制し、罰則も定めています。
では、どのような画像が、「性的画像等」として規制されるのでしょうか。
具体的には、次のようなものが「性的画像等」として規制されています。
- 性交渉(=セックス)
- 性交類似行為(=オーラルセックス等)
- ペッティングなど性器等に触れ性欲を興奮・刺激するもの
- 全裸、半裸
(2)一度被害に遭ってしまうと、完全な被害回復は困難
典型的なリベンジポルノは、裸・半裸の写真をネット上に公表する方法でなされます。
リベンジポルノ防止法では、このように公表した者を、3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処すことができます(3条1項、2項)。
しかし、過去の裁判例では、執行猶予がついて実刑とならない例も多く、被害者からすると、加害者への罰が不十分と感じるかもしれません。
また、一度ネットに公表されてしまうと、不特定多数の人がアクセスして別に保管することができますので、完全に削除することは困難です。
もし被害に遭ってしまったら、被害の拡大を防ぐためにも、サイト管理者等に連絡して、ネット上に公表された写真を迅速に削除してもらう必要があります。
すぐに警察に相談したり、このような案件に詳しい弁護士に相談するようにしましょう。
このように、一度被害に遭ってしまうと、完全な被害回復は困難ですから、被害にあわないようにすることが大切です。
被害にあわないためにすべきこと
(1)警察へ相談
2019年、警察に寄せられたリベンジポルノの被害相談は、1479件に上ります。
リベンジポルノ防止法が施工された2014年の相談件数は110件でしたから、5年で10倍以上に増えたことになります。
1479件のうち、実際に「画像を公表された」という相談が272件、「画像を公表すると脅された」という相談が584件です。
相談件数を見ると、実際に被害を受ける前に、警察に相談している方が多いことがわかります。
公表前であっても、今回の相談者のように、「別れるなら裸の写真をネットにばら撒く」と脅されているような場合には、刑法上の脅迫罪(刑法222条)や強要罪(刑法223条)が成立する可能性があります。
人には相談しにくい案件ではありますが、脅されたような場合には、一人で悩まずに、早めに警察に相談するようにしましょう。
(2)弁護士に相談
弁護士に依頼すれば、公表前に、相手方に対して、画像の公表をやめるよう通知することができます。
また、警察への相談に同行したり、脅迫罪や強要罪で告訴する手続きを弁護士に依頼することもできます。
公表前に、毅然とした態度で相手方を牽制することが、被害予防対策として重要です。
【まとめ】
いかがでしたでしょうか。
相談者のように不倫している場合、自分にも罪悪感があったり、人に知られたくないという感情があったりして、通常のリベンジポルノより、他人に相談しにくいという事情があるかもしれません。
しかし、いったん性的な画像が公表されてしまうと、被害の完全な回復は困難です。
1人で悩まず、公表されてしまう前に、警察や弁護士に相談するようにしましょう。