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石綿肺になる職業とは?石綿肺における労災認定と労災保険給付

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石綿肺とは、肺が線維化するじん肺の一つです。
石綿肺は、アスベストばく露の特異性が高い病気と言われており、過去にアスベストを取り扱う職業に従事していた方に発症する可能性が高いといわれています。

仕事でアスベストを取り扱った結果として、アスベストにばく露し、石綿肺を発症してしまった方については、労災保険給付を受けることができる可能性があります。

本記事では、石綿肺についてや、石綿肺における労災保険給付について解説します。

石綿肺とは?

前記のように、石綿肺とは、肺が線維化するじん肺の一つです。
ここで、じん肺とは、粉じんを吸引することによって、吸入した粉じんが肺胞に沈着して肺の繊維化を起こす病気の総称であり、アスベストの吸引によって発生するじん肺を石綿肺と呼びます。

ここでは、石綿肺の原因となるアスベストについてや、石綿肺の症状や潜伏期間等について解説します。

(1)アスベストとは?

アスベスト(石綿)は、繊維状鉱物の総称であり、クリソタイル、アモサイト、クロシドライト等の6種に分類されます。
アスベストは、ほぐすと綿のようになり、その繊維は極めて細かく、耐熱性、耐久性、耐摩耗性、耐腐食性、絶縁性等の特性に優れているため、建材や、摩擦材、断熱材等の様々な工業製品の原材料に使用されていました。

もっとも、アスベストは、耐熱性や耐久性等の特性に優れてはいますが、繊維が極めて細かいため、研磨機や切断機による作業や、吹付け作業等を行う際に、所要の措置を行わないと容易に飛散、浮遊し、人体に吸引されやすいという性質がありました。

そして、人体に吸引された場合、肺胞に沈着し、その一部は対外に排出されずにそのまま肺の組織内に長期間滞留し続けることによって、石綿肺や肺がん等の疾病を発症させる原因となると考えられています。

このような危険性から、2004年の労働安全衛生法施行令の改正では、1重量%を超えるアスベスト含有建材、摩擦材、接着剤等の10品目の製造・使用等が禁止され、2006年の改正では、建材等のみならず1重量%を超えるアスベスト含有製品の全面禁止の措置がとられています。

(2)石綿肺はアスベストに起因する病気の1つ

前記のように、石綿肺は、アスベストばく露の特異性が高い病気と言われており、過去にアスベストを取り扱う職業に従事していた方に発症する可能性が高いといわれています。

また、これはアスベストを原因とする疾患に共通することですが、石綿肺の症状は、アスベストにばく露してからすぐに発症するわけではありません。発症までに長い潜伏期間をはさむといわれており、石綿肺の場合、通常、アスベストにばく露してから10年以上経過して所見が現れるといいます。

初期症状には息切れ、咳、痰がみられ、症状が進行すると呼吸機能が低下し日常生活に支障が現れるといいます。また、肺結核、肺がん、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、気管支拡張症、気胸などの合併症がみられます。

アスベストばく露の可能性が高い作業

石綿肺は、アスベストばく露との特異性が高い疾患の一つです。
ここでは、アスベストにばく露する可能性の高い作業等を解説します。

(1)アスベストばく露の可能性がある作業・取り扱い製品

厚生労働省は、アスベストばく露の可能性がある作業例として以下のものを挙げています。

・石綿鉱山・石綿製品の製造に関わる作業
・石綿や石綿含有岩綿等の吹きつけ・張りつけ等作業
・石綿原綿または石綿製品の運搬・倉庫内作業
・配管・断熱・保温・ボイラー・築炉関連作業
・造船所内の作業(造船所における事務職を含めた全職種)
・船に乗り込んで行う作業(船員 その他)
・建築現場の作業(建築現場における事務職を含めた全職種)
・解体作業(建築物・構造物・石綿含有製品等)
・港湾での荷役作業
・発電所・変電所・その他電気設備での作業
・鉄鋼所または鉄鋼製品製造に関わる作業
・耐熱(耐火)服や耐火手袋等を使用する作業
・自動車・鉄道車両等を製造・整備・修理・解体する作業
・鉄道等の運行に関わる作業
・ガラス製品製造に関わる作業
・石油精製、化学工場内の精製・製造作業や配管修理等の作業
・清掃工場または廃棄物の収集・運搬・中間処理・処分の作業
・電気製品・産業用機械の製造・修理に関わる作業
・レンガ・陶磁器・セメント製品製造に関わる作業
・吹きつけ石綿のある部屋・建物・倉庫等での作業(教員 その他)
・エレベーター製造または保守に関わる作業
・ランドリー・クリーニングに関わる作業
・ガスマスクの製造に関わる作業
・上下水道に関わる作業
・ゴム・タイヤの製造に関わる作業
・道路建設・補修等に関わる作業
・映画放送舞台に関わる作業
・農薬・バーミキュライト等を扱う作業
・酒類製造に関わる作業
・消防に関わる作業
・歯科技工に関わる作業
・金庫の製造・解体に関わる作業
・その他の石綿に関連する作業
・タルク等石綿含有物を使用する作業

引用:石綿にばく露する業務に従事していた労働者の方へ│厚生労働省

また、アスベスト含有製品についても公表しています。

・石綿原綿(わた・繊維)、石綿吹きつけ材
・石綿フェルト、石綿保温材・煙突材
・石綿含有屋根材、石綿紙
・石綿セメント管・石綿パイプ、石綿含有ボード(外壁材・内装材)
・石綿パッキング・ガスケット、石綿織物・布・ひも・テープ・リボンなど
・石綿含有塗料・石綿含有シーリング材・石綿含有接着剤、石綿含有摩擦材(ブレーキパッドなど)
・その他の石綿製品

引用:石綿にばく露する業務に従事していた労働者の方へ│厚生労働省

厚生労働省のウェブサイトでは、上記の作業例やアスベスト含有製品につき、写真入りで解説がされています。
アスベストにばく露した疑いがある方は、写真を見ることによって記憶が鮮明となる可能性がありますので、厚生労働省のウェブサイトをご覧いただいて確認することをお勧めいたします。

参考:石綿にばく露する業務に従事していた労働者の方へ│厚生労働省

(2)石綿肺を発症する職業性ばく露

アスベストにばく露する機会は、仕事上でアスベストを取り扱ったことによるばく露である職業性ばく露から、家族内にアスベストにばく露した者がおり、その者の使用した衣服等に付着したアスベストを吸引するなどしてばく露する家庭内ばく露、アスベスト工場の近隣住民等が工場から漏れ出たアスベストを吸引してばく露する近隣ばく露まで様々な機会があります。

このうち、最も高濃度にばく露されたといわれているのは、アスベスト製品の製造工場の作業者です。アスベスト製品の製造工場では、工場作業者が製造工程で発生した多量のアスベスト粉じんを吸入したといわれています。

次いで、アスベスト製品を取り扱う作業者も高濃度のばく露にさらされたといわれています。アスベスト吹付作業、補修作業、保温材や断熱材の切断等を行った建築作業従事者や、造船・上記期間の運転手、アスベストを使ったパッキン・ブレーキ製造の作業者、アスベスト製品を使った電気工事者等がこれにあたります。

石綿肺における労災認定と労災保険給付

職業性ばく露により石綿肺を発症した場合、労災保険給付を受けることができる可能性があります。
ここでは、石綿肺における労災保険給付について、その要件や給付内容等について解説します。

(1)石綿肺による労災保険給付の要件

労災保険給付を受けるためには、石綿肺を発症していて、これらが労働者としてアスベストばく露作業に従事していたことが原因である(業務上疾病)と認められることが必要となります。

そして、業務上疾病であると認められるための具体的要件は以下のようになります。

  1. 石綿ばく露労働者(『石綿ばく露作業』に従事しているか、または従事したことのある労働者)に発症した疾病であること
  2. 後述する(ア)~(イ)のいずれかに該当すること

『石綿ばく露作業』とは以下のものをいいます。

  • 石綿鉱山またはその附属施設において行う石綿を含有する鉱石または岩石の採掘、搬出または粉砕その他石綿の精製に関連する作業
  • 倉庫内などにおける石綿原料などの袋詰めまたは運搬作業
  • 石綿製品の製造工程における作業
  • 石綿の吹付け作業
  • 耐熱性の石綿製品を用いて行う断熱もしくは保温のための被覆またはその補修作業
  • 石綿製品の切断などの加工作業
  • 石綿製品が被覆材または建材として用いられている建物、その附属施設などの補修または解体作業
  • 石綿製品が用いられている船舶または車両の補修または解体作業
  • 石綿を不純物として含有する鉱物(タルク(滑石)など)などの取り扱い作業

これらのほか、上記作業と同程度以上に石綿粉じんのばく露を受ける作業や上記作業の周辺などにおいて、間接的なばく露を受ける作業も該当します。

(ア)~(イ)の要件は以下のとおりです。

(ア)管理4の石綿肺(石綿肺によるじん肺症)

(イ)管理2、管理3、管理4の石綿肺に合併した疾病
合併した疾病とは、次の疾病をいいます。

  • 肺結核
  • 結核性胸膜炎
  • 続発性気管支炎
  • 続発性気管支炎拡張症
  • 続発性気胸

(ア)~(イ)の要件では、「管理2~4」の石綿肺であることが前提とされています。
この「管理」とは、『じん肺管理区分』に基づく区分であり、この『じん肺管理区分』とは、じん肺健康診断に基づいて、じん肺を区分したものです(じん肺法4条2項)。

つまり、石綿肺で労災認定を受けるためには、まずこのじん肺管理区分の決定を都道府県労働局長により受ける必要があります。

じん肺法4条2項において、じん肺管理区分は以下のように定められています。

じん肺管理区分じん肺管理健康診断の結果
管理1じん肺の所見がないと認められるもの
管理2エックス線写真の像が第1型で、じん肺による著しい肺機能の障害がないと認められるもの
管理3エックス線写真の像が第2型で、じん肺による著しい肺機能の障害がないと認められるもの
エックス線写真の像が第3型または第4型(大陰影の大きさが一側の肺野の、3分の1以下のものに限る。)で、じん肺による著しい肺機能の障害がないと認められるもの
管理41 エックス線写真の像が第4型(大陰影の大きさが一側の肺野の3分
の1を超えるものに限る。)と認められるもの
2 エックス戦写真の像が第1型、第2型、第3型または第4型(大陰
影の大きさが一側の肺野の3分の1以下のものに限る。)で、じん
肺にとよる著しい肺機能の障害があると認められるもの

じん肺法4条1項において、じん肺管理区分の決定の際に用いられるエックス線写真の像の区分は以下のように定められています。

エックス線写真の像
第1型両肺野にじん肺による粒状影又は不整形陰影が少数あり、かつ、大陰影がないと認められるもの
第2型両肺野にじん肺による粒状影又は不整形陰影が多数あり、かつ、大陰影がないと認められるもの
第3型両肺野にじん肺による粒状影又は不整形陰影が極めて多数あり、かつ、大陰影がないと認められるもの
第4型大陰影があると認められるもの

じん肺管理区分の決定を受ける方法ですが、粉じん作業に従事した事業場に勤務している間は、事業者によりじん肺健康診断が行われ、じん肺管理区分の決定申請等についても事業者が行うこととなっていますが、離職後については、ご自身でじん肺健康診断を受けて、お住まいの労働局へ決定申請をする必要があります。

以上が、石綿肺で労災保険給付を受けるための要件となります。
要件が複雑なので以下には要件の簡単なまとめを記します。

業務上疾病と認められるためには以下のすべての要件を満たす必要があります。

昭和33年5月26日から昭和46年4月28日までの間に、局所排気装置を設置すべき石綿工場内において、石綿粉じんにばく露する作業に従事したこと。

その結果、石綿による一定の健康被害を被ったこと。

提訴の時期が損害賠償請求権の期間内であること。

(2)石綿肺による労災保険給付の給付内容と申請方法

労災保険による給付の内容は以下のとおりです。
労災保険給付には時効があるものがあります(以下の表の右の欄)。時効が経過した場合、請求権が失われますので注意しましょう。

保険給付の種類保険給付を受けられる場合保険給付の内容時効
療養補償等給付業務上疾病等により療養する場合労災病院や労災保険指定医療機関等で療養を受けるときは、必要な療養の給付。
労災病院や労災保険指定医療機関等以外で療養を受けるときは、必要な療養の費用の支給。
療養の費用を支出した日ごとに請求権が発生し、その翌日から2年
休業補償等給付傷病の療養のため、労働することができず賃金を受けられない場合休業4日目から、休業1日につき給付基礎日額の60%相当額賃金を受けない日ごとに請求権が発生し、その翌日から2年
傷病補償等年金療養開始後1年6ヶ月経っても傷病が治らず、障害の程度が障害等級(1~3級)に該当する場合障害の程度に応じ、給付基礎日額の313~245日分の年金
第1級 313日分
第2級 277日分
第3級 245日分
監督署長の職権により移行されるため請求時効はない。
障害補償等給付傷病が治って身体障害が残った場合障害等級にしたがって、第1~7級までは、給付基礎日額の313~131日分の年金。
第8~14級までは、給付基礎日額の503~56日分の一時金。
傷病が治癒した日の翌日から5年
介護補償等給付傷病年金または障害年金の対象となる障害により、介護を受けている場合常時介護の場合は、介護の費用として支出した額(ただし、16万6950円を上限とする)。
親族等により介護を受けており介護費用を支出していない場合、または支出した額が7万2990円を下回る場合は、7万2990円。
随時介護の場合は、介護の費用として支出した額(ただし、8万3480円を上限とする)。
親族等により介護を受けており、介護費用を支出していない場合または支出した額が3万6500円を下回る場合は3万6500円。
介護を受けた月の翌月の1日から2年
遺族補償等給付労働者が死亡した場合遺族の数等に応じ、給付基礎日額の245~153日分の年金。
1.遺族(補償)等年金を受け得る遺族がないとき、または、2.遺族(補償)等年金を受けている人が失権し、かつ、他に受け得る人がいない場合であって、すでに支給された年金の合計額が給付基礎日額の1000日分に満たないときは、給付基礎日額の1000日分の一時金(2の場合は、すでに支給した年金の合計額を差し引いた額)
被災労働者が亡くなった日の翌日から5年
葬祭料労働者が死亡した場合31万5000円に給付基礎日額の30日分を加えた額(その額が給付基礎日額の60日分に満たない場合は、給付基礎日額の60日分)被災労働者が亡くなった日の翌日から2年

労災保険給付が支給されるまでの流れは、

  1. 申請窓口に所定の請求書と必要な添付資料を提出する
  2. 労働基準監督署によって給付対象かどうかの調査が行われる
  3. 労働基準監督署によって給付対象と認められた場合、支給決定通知がなされる
  4. 請求した内容の労災保険給付が支給される

となります。

必要資料の提出

労働基準監督による調査

支給決定通知

保険給付の支給

労災保険給付を受けるための請求書の様式と提出先は以下の通りです。
療養(補償)等給付については、労災病院や労災保険指定医療機関等で療養を受ける場合、療養を受ける労災病院や労災保険指定医療機関へ所定の請求書を提出することに注意しましょう。

給付の種類請求書の様式提出先
療養(補償)等給付【必要な療養の給付の場合】
療養補償給付及び複数事業労働者療養給付たる療養の給付請求書(5号)
療養給付たる療養の給付請求書(16号の3)
療養を受けた医療機関
【必要な療養の費用の支給の場合】
療養補償給付及び複数事業労働者療養給付たる療養の費用請求書(7号)
療養給付たる療養の費用請求書(16号の5)
所轄労働基準監督署長
休業(補償)等給付休業補償給付・複数事業労働者休業給付支給請求書(8号)
休業給付支給請求書(16号の6)
障害(補償)等給付障害補償給付・複数事業労働者休業給付支給請求書(8号)
障害給付支給請求書(16号の7)
遺族(補償)等給付【遺族(補償)等年金の場合】
遺族補償年金・複数事業労働者遺族年金支給請求書(12号)
遺族年金支給請求書(16号の8)
【遺族(補償)等一時金の場合】
遺族補償一時金・複数事業労働者遺族一時金支給請求書(15号)
遺族一時金支給請求書(16号の9)
葬祭料等葬祭料又は複数事業労働者葬祭給付請求書(16号)
葬祭給付請求書(16号の10)
介護(補償)等給付介護補償給付・複数事業労働者介護給付・介護給付支給請求書(16号の2の2)

【まとめ】アスベスト製品の製造工場での作業等によってアスベスト粉じんにばく露し、石綿肺を発症する可能性があり、その場合、労災保険給付を受けることができる可能性がある

  • 石綿肺はアスベストのばく露を原因として発症する疾病であり、約10年以上の潜伏期間を経て症状が現れるといわれている
  • アスベストに最も高濃度にばく露したといわれているのは、アスベスト製品の製造工場の作業者であり、次いで、アスベスト製品を取り扱う作業者といわれている
  • 石綿肺で労災保険給付を受けるためには、発症した石綿肺が業務上疾病であると認められることが必要であり、業務上疾病であると認められるためには、まずじん肺管理区分の決定を都道府県労働局長から受ける必要がある

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