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コロナ倒産が増加中!勤務先の倒産時に従業員が取るべき対応とは

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新型コロナウイルスの影響により経営が悪化した会社が倒産し、従業員が解雇されるケースが増えてきています。
万が一会社の倒産に伴って解雇されてしまった場合、弁護士に相談して適切な法的手段を取りましょう。

新型コロナウイルスの影響で経営破綻が859件を突破

東京商工リサーチの調査によると、新型コロナウイルス関連の経営破綻(負債1000万円以上)は、2019年2月~2021年1月6日16時点までで累計859件に到達しています。
さらに、同期間における負債1000万円未満の小規模倒産は累計43件であり、すべての新型コロナ関連経営破綻の件数の合計は902件になりました。

参考:「新型コロナウイルス」関連破たん|東京商工リサーチ

新型コロナ関連の経営破綻の件数は今後も増えると予想できます。労働者の人は勤務先の業績が傾くおそれがないかを注視する必要があるでしょう。
なお、新型コロナ関連の倒産に関する最新情報は、帝国データバンクが以下のページにおいて公開しています。
詳しい企業名が気になる人は、こちらを確認してみてください。

参考:新型コロナウイルス関連倒産 最新情報|帝国データバンク

勤務先の倒産として考えられるパターンは?

法律で定義された用語ではありませんが、支払不能や債務超過によって会社が経済活動を続けることが困難になった状態を「倒産」と一般的にはいいます。

倒産処理の方法を分類するための主な切り口は、以下の2通りです。

  • 「法的倒産」か「私的倒産」か
  • 「清算型」か「再建型」か

それぞれについて概要を解説します。

(1)法的倒産と私的倒産の違い

「法的倒産」は、法律で定められた手続きに従って、会社が倒産状態であることを法的に宣言し、裁判所の関与の下で債務カットや返済スケジュールの延長を進めることをいいます。
対する「私的倒産」は、裁判所が関与せず、あくまでも当事者同士の交渉によって債務カットや返済スケジュールの延長の合意を行います。

法的倒産は大がかりな手続きで費用がかかる反面、大幅な債務カットが認められやすいメリットがあります。
私的倒産は、法的倒産とは異なり、それほど大きな金額の債務カットは認められにくい一方で、簡易・迅速・柔軟な解決を目指せる点がメリットといえるでしょう。

このように、法的倒産と私的倒産にはそれぞれ長所・短所があるので、会社の状態に応じた適切な手続きの選択が重要になります。

(2)清算型と再建型の違い

「清算型」の倒産手続では、清算手続きによって会社の法人格を最終的に消滅させます。
会社再建の見通しが全く立たない場合には、一度事業をリセットして再スタートを切るために、「清算型」の倒産手続が選択されるべきでしょう。

対する「再建型」の倒産手続は、会社を存続させたまま債務カットなどを行い、財務体質を改善したうえでの事業再建を目的としています。
債権者にとっても、会社の立て直しが成功すれば債権の回収額が増える可能性が高いので、債権者が会社(債務者)に協力して債務カットに応じるという仕組みです。
ただし、債権者から会社の将来性に対する理解が得られない場合は、「再建型」の倒産手続きは失敗に終わってしまいます。

会社が消滅してしまう清算型倒産手続|従業員は全員解雇

清算型の倒産手続には「破産」と「特別清算」の2種類があります。いずれも最終的には会社の法人格を消滅させる点は同じです。そのため、清算型の倒産手続きでは、途中で従業員の全員解雇が避けられません。
以下では、破産と特別清算の概要についてもう少し見てみましょう。

(1)破産とは

会社が支払不能(債務を一般的・継続的に支払えない状態)または債務超過にある場合には、申立てにより裁判所で「破産手続」が開始されます。
破産手続が開始した後の大まかな流れは、以下のとおりです。

  1. どのような債権があるかの届出・調査
  2. 会社財産すべての換価・処分
  3. 債権者に対する配当
  4. 会社の清算(法人格の消滅)

なお破産手続においては、破産者である会社の財産は「破産管財人」により管理されることになります。

(2)特別清算とは

一方、特別清算の手続きは会社法に基づき、破産手続きよりも裁判所の関与が弱く簡易的な形で実施できるのが特徴です。
会社財産をすべて処分したうえで債権者への配当と法人格の消滅をおこなう点で、特別清算と破産は共通しています。
しかし、特別清算は破産よりも経営破綻の深刻度が浅いうちから手続きを開始することが可能です(会社法510条参照)。
また、特別清算の実務上、総債権額の3分の2以上を有する債権者による申立同意書の提出が申立てには必要とされています。
この点、債権者の同意が不要な破産よりも要件が厳しいのも、特別清算の特徴の一つといえるでしょう。

会社が存続する再建型倒産手続|整理解雇に注意

再建型の倒産手続きは、「私的整理(任意整理)」「民事再生」「会社更生」の3種類です。
再建型の場合、会社自体は存続するため、従業員は必ずしも解雇されるとは限りません。
しかし、後述する整理解雇の要件を満たす場合には、会社によって従業員が適法に解雇されてしまう可能性もあるため注意が必要です。

3つの手続きの概要を見てみましょう。

(1)私的整理(任意整理)とは

「任意整理」は、債権者と債務者の合意に基づき、債務カットや返済スケジュールの延長などによって経営困難な状況にある企業を再建するための手続きです。
会社の任意整理では、債権者間で債務カットなどの条件をある程度揃えるため、複数の主要債権者を同時に参加させた場を設けてまとめて交渉を行うのが通常です。
その際に会社は債権者集会を開催して、財務状況や事業の見通しなどを説明し、任意整理についての債権者の理解を得ようと試みる流れになります。

(2)民事再生とは

会社に支払不能または債務超過のおそれがある場合には、会社自身や債権者などは民事再生手続の開始を裁判所に申立てることが可能です。
民事再生手続では、債権者の多数決(頭数・債権額)により決議される「再生計画」に従って会社の債務を大幅にカットします。
債務カットにより会社のキャッシュフローが改善すれば、経営を立て直せる可能性が高まるでしょう。
また、民事再生では現経営陣の退任が必須ではないため、会社の体制を維持したままで再建へ向かうことのできるメリットがあります。

(3)会社更生とは

「会社更生」も民事再生と同様、会社に支払不能または債務超過のおそれがあることを要件として、裁判所に対する申立てにより手続きが開始されます。
ただし、会社更生の場合は民事再生と異なり、以下の点が特徴的です。

  • 株式会社しか利用できない
  • 株主や担保権者も手続に参加する
  • 担保権者の権利も再生計画によって変更される
  • 現経営陣の退任が必須

会社更生には高額の手続き費用(予納金・弁護士費用)がかかるため、実質的には大企業専用の法的倒産手続となっています。

再建型の場合も従業員は解雇され得る|整理解雇の要件とは?

再建型の倒産手続きの場合、会社自体は存続します。
ただし会社の財務状況が悪化した状態にあるため、整理解雇が行われる可能性は残ります。

労働契約法16条(解雇権濫用の法理)により、会社が適法に解雇を行うためには、「客観的に合理的な理由」と「社会通念上の相当性」が必要です。
裁判例に従うと、会社が整理解雇を行う場合、解雇権濫用の法理との関係で以下の4要件を満たさなければなりません。

1.人員整理の必要性
高度の経営危機など、経営上人員整理の必要性が客観的に認められないといけません。

2.解雇回避努力義務の履行
役員報酬の削減・新規採用の抑制・希望退職者の募集・現職社員の配置転換などによって、整理解雇を回避する努力を尽くしたといえることが必要です。

3.被解雇者選定の合理性
合理的な基準を公平に当てはめたうえで、適正に解雇対象者が選定されたといえるかどうかが考慮されます。

4.手続きの妥当性
解雇対象者に対して、解雇の必要性について十分な説明を行ったうえで納得を得たかどうかがポイントです。

逆に言えば、上記の4要件を満たさない整理解雇は違法・無効です。
不審に思った人は弁護士に相談して、後述する適切な対策を講じましょう。

倒産により勤務先から解雇された場合にとれる法的手段とは?

勤務先の倒産により解雇されてしまった従業員の人は、生活資金を確保したうえで、専門家に相談することをお勧めします。
会社に対する何らかの請求ができないかを専門家と一緒に検討していきましょう。
従業員の人が倒産による解雇時にとり得る法的な対処法は、以下のとおりです。

(1)未払い賃金を請求する方法

倒産により勤務先から解雇される場合でも、少なくとも下の2つを受け取る権利があります。

  • 解雇時点までの賃金
  • 解雇予告手当(労働基準法20条1項)

上記の賃金などが未払いとなっている場合には、会社に対して請求を行いましょう。
ただし会社が倒産状態にある場合、賃金などの支払い原資がそもそも不足しているというケースも多いです。
特に清算型の倒産の場合(事業停止をしており再開の見込みがなく、資産もないものの、破産等の法的手続を採らない事実上の倒産の場合も含みます。)には、未払い賃金全額の支払いは勿論のこと、一部の支払いすら受けられないことが多いといえます。
そうした清算型の倒産の場合は、「未払賃金立替払制度」を利用しましょう。

参考:未払賃金立替払制度の概要と実績|厚生労働省

未払賃金立替払制度を活用すれば、未払い賃金の額の8割を限度として(ボーナスは対象とはされません。又退職時の年齢に応じた上限額も設定されております。)、独立行政法人労働者健康安全機構からの立替払いを受けられます。

(2)解雇無効を主張する方法

再建型の倒産手続において、整理解雇の4要件を満たさない形で解雇が断行されてはいないでしょうか。
要件が満たされていない場合、会社に対する解雇無効の主張が認められれば、従業員としての地位を回復できますし、解雇によって就労を拒否されていた期間の賃金(いわゆるバックペイ)の支払いも合わせて求めていれば、これも認められることが多いです。
解雇無効を主張やバックペイの請求をするための方法は、以下の3つです。

(2-1)会社との交渉

会社に対して解雇を思いとどまるよう説得したり、合意退職と引き換えに退職金の上乗せを要求したりします。交渉がまとまれば、問題解決が迅速に実現できます。

(2-2)労働審判

裁判所において開催される労働審判手続の中で、解雇の無効等を争います。
原則として3回以内で審理が終結するため、訴訟よりは短い期間での問題解決が可能です。

(2-3)訴訟

裁判所の法廷で解雇の無効等を徹底的に争います。
問題解決までに、長いと1年以上の期間がかかる場合もしばしばです。

どの手続きを選択すべきかは、会社の反応や解雇に関する事情によって異なります。
詳しくは労働問題に精通した弁護士に相談すると良いでしょう。

(3)雇用保険上の失業給付を申請する方法

倒産により解雇された場合、ハローワークで雇用保険の失業給付を申請することをお勧めします。当面の生活資金を確保してください。

参考:雇用保険手続きのご案内|厚生労働省

受給可能期間は、被保険者であった期間や年齢区分によって決まります。
とくに倒産によって解雇された場合は、会社都合退職の扱いになって比較的長期間の受給が可能です。

【まとめ】勤務先の倒産で困ったら専門家に相談することをおすすめします

勤務先の倒産により思わぬ形で解雇された場合には、まずは未払賃金立替払制度や雇用保険の失業給付などを利用して生活費を確保するのが大切です。
そのうえで、状況や必要に応じて、会社に対する金銭の支払いなどが主張できないかを検討していきましょう。
勤務先の倒産やそれに伴う解雇で困っている人は、専門家を頼って一緒に解決策を探してみてください。