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自己破産時の財産隠しは違法?合法的に財産を残す債務整理の方法を解説

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自己破産をしても、生活に必要な範囲であれば一定の財産を手元に残しておくことができます。もっとも、法律や裁判所の運用などによって「生活に必要な範囲」は、現金99万円以下、預金20万円未満などと定められているため、それを少なく感じる破産者もいるでしょう。
そうなると、財産を手放すのをもったいなく感じ、隠しておこうと考える人がいます。
しかし、自己破産時の財産隠しは決して許されません。
そこで、今回は弁護士が「合法的に財産を残す方法」をお伝えします。

自己破産時の財産隠しとは?

自己破産時の財産隠しとは、自己破産時に没収されるべき自身の財産を隠す行為です。

代表的なケースとしては、次のようなものが考えられます。

  • 現金などの財産を密かに親族や知人に預ける
  • 預金口座の一部を申告しない
  • 預金口座から現金を引き出して隠す(いわゆる「タンス預金」)
  • 売買や贈与、離婚による財産分与によって財産が譲渡されたかのように偽装する

自己破産時の財産隠しは免責不許可事由となる

そもそも、なぜ財産を隠そうと考えるのでしょうか。
「頑張って働いたからこの財産がある!誰にも渡したくない」と思うためかもしれません。
しかし、その財産を築く過程で借金をしていた以上、その財産はお金を貸してくれた人(債権者)がいてくれたからこそ築けたものなのです。それにもかかわらず、裁判所を欺いてまで財産を残したいと考える人に対して、裁判所は厳しい対応をします。
具体的には、財産隠しを図った人に対しては自己破産の申立て・免責許可の申立てがあっても、借金の返済義務を免除しなくてよいとされています(免責不許可)。
免責不許可になった場合、破産者は自己破産をしても借金を返済し続けていかなければなりません。
このように借金の返済義務を免除しなくてもよい事由を「免責不許可事由」といいます。

次のような財産隠しは、免責不許可事由にあたります。

  • 債権者を害する目的での財産を隠匿・損壊等すること(破産法252条1項1号)
  • 帳簿などを隠滅・偽造等すること(同項6号)
  • 虚偽の債権者名簿を提出すること(同項7号)
  • 裁判所への説明を拒絶したり、うその説明をしたりする行為(同項8号)
  • 管財業務を妨害する行為(同項9号)
  • 破産法上の義務違反行為(同項11号)

実際に免責不許可となった事例をご紹介しましょう。

2500万円余の借金を抱え、自己破産を弁護士に依頼したAさんは、父親の死亡時、定期特約付養老保険に係る死亡保険金1566万1654円を受け取ったにもかかわらず、入金口座の存在や受け取りの事実に関して自己破産を依頼した弁護士に伝えませんでした。その後、自己破産を裁判所に申立てた際にも、その口座に関して裁判所に伝えませんでした。破産管財人の調査により、受領口座の存在が発覚すると、Aさんは行方をくらませました(神戸地裁伊丹支部決定平成23年12月21日判例タイムズ1366号246頁)。

このケースは裁判所や破産管財人の指示に従わず、行方もくらませていることから、免責は認められなくても当然といえる事案でしょう。

自己破産時の財産隠しは詐欺破産罪になる

自己破産時に財産を隠すと、借金を帳消しにしてもらえないばかりか、詐欺破産罪(破産法265条)で起訴される可能性があります。実際、Aさんは在宅起訴され、懲役2年、4年間執行猶予の有罪判決を受けました。
前科の有無・回数などによっては、刑務所に入らなければならないこともあるでしょう。

(1)詐欺破産罪とは

債権者を害する目的で以下の行為をすると、詐欺破産罪が成立します。

  • 債務者の財産を隠匿または損壊する行為(破産法265条1項1号)
  • 債務者の財産の譲渡または債務の負担を仮装する行為(同項2号)
  • 債務者の財産の現状を改変して、その価格を減損する行為(同項3号)
  • 債務者の財産を債権者の不利益に処分し、又は債権者に不利益な債務を債務者が負担する行為(同項4号)

事情を知っているにもかかわらず、債権者を害する目的で財産隠しに関与した者も処罰されるおそれがあります(破産法265条1項後段、2項)。

(2)詐欺破産財の罰則

有罪判決が確定すると10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方に処せられるおそれがあります。仮に実刑を免れても、有罪が確定すれば前科者となり自身の経歴を汚すことになります。

(3)免責許可が取り消されることもある

有罪判決が確定すると、免責許可が取り消され借金の返済義務が復活することがあります(破産法254条1項前段)。

自己破産の財産隠しはすぐにバレる

自己破産するときには、すべての財産を正直に申告する必要があります。
どのように財産隠しが発覚するのかをお伝えしましょう。

(1)破産管財人による調査

Aさんのケースで保険金が発覚したのは、管財人による調査がきっかけでした。

自己破産を申立てをし、破産管財人が選任されると、免責が確定するまで破産者宛の郵便物等が破産管財人の事務所へと転送されるのが通常です(破産法81条、82条1項)。破産管財人とは、裁判所から選任された、債務者の財産を管理する弁護士のことで、併せて借金の返済義務を帳消しにしてよいか等の検討も行います。
管財人に転送される郵便物等の調査で、財産目録にない財産が発覚することがあります。Aさんのケースでは、火災保険の保険会社からの郵送物に隠し口座について記載があったことから、発覚しました。
そのほか、破産管財人には破産財団(債務者の財産)に関する帳簿や書類などを調査する(破産法83条)などさまざまな権限があります。

(2)自己破産の申立と添付書類

自己破産を申立てる前に、自己破産を依頼した弁護士の調査によって財産隠しが発覚するケースもあります。この場合、弁護士から辞任を申し入れられるケースもあるものの、自己破産申立て前なので、その後、誠実に事情を話し、手続を進めることができれば免責が許可される可能性も十分にあります。

自己破産を申立てるにあたっては、手持ち財産のわかる書類を裁判所に提出します。
東京地裁の場合、提出が必要な代表的な書類は以下の通りです。なお必要に応じて、これら以外の資料も求められることがあります。

  • 過去1年間または2年間の通帳の履歴(すべての保有口座)
  • 家計簿
  • 車検証
  • 給与明細、賞与明細
  • 源泉徴収票
  • 保険証券、解約返戻金のわかる資料
  • 通信料金明細表
  • 不動産登記簿

また、地方や事案によっては、同居人の資料も提出を求められることがあります。

これらの資料から、たとえば次のような財産が発覚することがあります。

給料明細(保険料の天引き)保険
給料明細(振込口座)未申告の口座
源泉徴収票(退職の事実)退職金

財産隠しをしなくても財産を残せる方法とは?

自己破産を申立てる場合でも合法的に財産を残せる方法をご紹介します。

(1)自由財産を残す

生活に必要だと認められる財産は「自由財産」として手元に残すことができます。
次のようなものが本来的自由財産にあたります。

  • 破産手続き開始後に取得した新得財産(破産法34条1項)
  • 99万円以下の現金(同条3項1号)
  • 差押えが禁止された財産(同項2号)

(2)自由財産の拡張申立てをする

本来的自由財産以外にも、「自由財産の拡張」を裁判所が認めることにより、所持が可能となる財産もあります。

たとえば、東京地方裁判所の基準では、次のものは自由財産の拡張として所持が認められることがあります。

  • 残高20万円以下の預貯金(複数口座がある場合は合算した残高が20万円以下)
  • 見込額が20万円以下の生命保険解約返戻金(複数口ある場合は合算して20万円以下)
  • 処分見込額が20万円以下の自動車 ※自動車ローン等が残っていると、所有権留保等により債権者が当該自動車を換価・処分する可能性があります。
  • 居住用家具の敷金債権
  • 電話加入権
  • 支給見込額の8分の1相当額が20万円以下の退職金債権
  • 支給見込額の8分の1相当額が20万円を超える退職金債権の8分の7相当
  • 家財道具

このように自由財産の拡張をしたい場合は、自己破産を依頼した弁護士に自由財産の拡張申立書を作成・提出してもらうなどして、自由財産の拡張申立てをします。破産法34条4項では、次のように定められています。

裁判所は、破産手続開始の決定があった時から当該決定が確定した日以後一月を経過する日までの間、破産者の申立てにより又は職権で、決定で、破産者の生活の状況、破産手続開始の時において破産者が有していた前項各号に掲げる財産の種類及び額、破産者が収入を得る見込みその他の事情を考慮して、破産財団に属しない財産の範囲を拡張することができる。

引用:破産法34条4項

自由財産の拡張申立ては、原則として開始決定から1ヶ月以内に手続きを済ませる必要があるので、注意してください。

どうしても残したい財産があるなら自己破産以外の方法を検討する!

自己破産をしても生活に必要であれば、自由財産にあたらない財産でも手元に残せる可能性はありますが、確実ではありません。住宅や車などどうしても手元に残したい財産がある場合には、個人再生や任意整理といった自己破産以外の手続きを検討する必要が生じます(ただし状況によっては個人再生や任意整理をしても、希望する財産を残せない場合があります)。
しかし、個人再生や任意整理であれば基本的に破産とは異なり、一定程度の返済を続けなければならないため、返済するだけの資金がない場合、いずれ手続きが頓挫してしまう可能性があります。返済できないほどの多額の借金を抱えているならば、その財産を手元に残す必要性がどこまであるのかを慎重に考え、また弁護士に相談しましょう。場合によっては、その財産を手放すことを覚悟したうえで自己破産手続きを進め、経済的な再生を早く図ったほうが人生をより豊かにできる可能性もあります。

【まとめ】自己破産時の財産に関するご相談はアディーレ法律事務所へ

自己破産時に財産を隠していても、自己破産を依頼した弁護士や破産管財人の調査等によって発覚することが多いです。財産隠しが発覚すると、詐欺破産罪が成立して刑事罰を含めて重い処罰が下されることになりかねません。自己破産をしても、自由財産として一定の財産は手元に残せる可能性もあります。持っている財産は何か正直に弁護士に相談し、財産隠しは絶対にやめましょう。
ご自身の借金を整理する方法についてお悩みであれば、アディーレ法律事務所にご相談ください。

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