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離婚した後からでも監護権の変更はできるのか?

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子どもがいる夫婦が離婚をする際には
「父母のどちらが子どもを引き取るのか?」
この問題を避けては通れません。

「親権・監護権」の問題です。

「親権」については耳にしたことがあるかも知れませんね。
父母の婚姻中は、子どもの「親権」は夫婦が共同して行使することとされています。
そして夫婦が離婚する場合には、父母のいずれかを親権者として定めることになります。

では「監護権」とはなんでしょうか。
そして、いったん決まった監護権を、離婚した後でも変更できるのでしょうか。
監護権についてもぜひ知っておいてください。

この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

親権と監護権

「監護権」は親権の中の一部です。
通常は親権者が決まれば「親権」に「監護権」も含まれていますから、親権者が監護者になります。

(1)親権

『親権』とは、未成年者の子どもを監護・養育し、その財産を管理し、その子どもの代理人として法律行為をする権利や義務のことです。
つまり『親権』には『財産管理権』と『身上監護権』が含まれています。

  • 『財産管理権』
    子どもの財産を親権者が管理する権利・義務です。
    社会的に未熟な子どもが財産を自分で管理することは難しいため、親権者が代理人として管理を行います。
    子どもの財産を包括的に管理する権利のほか、子どもの法律行為に対する同意権(民法5条)も含まれます。
  • 『身上監護権』
    親権のうち、未成年の子供と生活を共にし、子供の世話や教育を行う権利・義務のこと(民法820条)です。
    子どものしつけや身分行為の代理など、親権者は社会的に未熟な立場にある子どもを守る義務を負います。

子どもが身分法上の行為を行うにあたっての親の同意・代理権(民法737条、775条、787条、804条)や親が子どもの居所を指定する権利(同821条)などです。

その他、「懲戒権」も民法上規定されていますが(822条)、児童虐待事件の増加などを背景に見直しが検討されています。

(2)監護権

『親権』のうち『身上監護権』のみを取り出して、親が子どもを監護し教育する権利義務を「監護権」と呼んでいます。
監護権は親権の一部ですから、原則として親権者が監護権を行使します。

ですが、夫婦の間で合意ができれば、一方を「親権者」とし他方を「監護者」とすることも認められます。

離婚の際に役所に提出する離婚届には子供の親権者を記載する欄があり、夫婦に子供がいる場合はこの欄が埋まっていなければ届を受理してもらうことができません。
これに対して、監護権者のほうは離婚届に個別の欄が設けられているわけではありません。
また、役所に届け出る必要もないのです。

ですから、親権と監護権を分ける場合にはまず離婚協議書を作成し、その内容を離婚協議書に残しておくのが原則です。

監護権の変更方法

それでは離婚時に決まった監護権者を、離婚した後から変更するにはどうしたら良いでしょうか。

監護権の変更には

  • 監護権だけ変更する場合
  • 親権とともに変更する場合

とあります。

(1)当事者間協議での合意

監護権者のみの変更であれば、当事者間の話し合いにて変更することも可能です。
また、変更の届出も不要です。

(2)家庭裁判所に対して調停や審判を申立て、認められる

監護権だけ変更する場合であっても、なにかしらの事情により当事者の合意が出来ないような場合は、家庭裁判所に調停・審判を申立てることによって監護権者を変更することになります。

離婚後に親権者を変更する場合、家庭裁判所による調停、または審判の手続きを経る必要があります。
当事者間の合意のみでは変更は認められません。
また、調停前にあらかじめ当事者間で親権者を変更することに合意していたとしても、それだけで家庭裁判所が変更を認めてくれるわけでありません。
子供にとって本当に有益となる判断を下すため、必ず家庭裁判所調査官による家庭訪問や父母・子供との面会が行われることになります。
調査の結果によっては親権者の変更が認められることになります。

審判で監護権者の変更が認められやすいケース

家庭裁判所側は一度決めた親権を簡単に変更すべきではないと考えています。ですから親権者の変更については慎重に判断されることになるため、変更はかなり難しいといえます。
子供の福祉や利益が最大限考慮されることは当然ですが、どちらか一方に親権者が定められている以上、子どもの環境の変化は望ましくないと考えられているからです。

親権変更の場合には「どちらが子どもを育てるのに適切な親権者か」、ということに加え、さらに
「離婚時に比較して現在の親権者による養育環境は悪化しているか」
「悪化の程度はこのまま親権者を維持するべきではないと考えるほどのものか」
という点も重視されます。

それでは、審判となった場合、どのようなケースで親権者(監護権者)の変更が認められやすいといえるでしょうか。

下記の項目が親権者(監護権者)の変更を認めるかどうかの判断に際して重要となります。

(1)監護権変更において考慮される事情

家庭裁判所による審判では、現監護者・変更後の監護権者・子ども本人のそれぞれの事情を把握して判断されることになります。

(1-1)監護権者側の事情

親権変更にあたっては親権変更を申立てられた親側、そして親権を申立てた親側の以下の事情が考慮されます。

  • 監護能力
  • 経済力
  • 養育環境
  • 子に対する愛情

離婚時と比較して、監護親の監護能力が失われたことや、経済環境の悪化、そして居住環境・教育環境・家庭環境などが悪くなっているといった変化が見られるかどうかを判断します。
また、子どもに対する虐待が始まったことなども、重視されます。

(1-2)子の事情

  • 本人の意思
  • 本人の年齢、性別、精神状況
  • 本人の現状への適応状況
  • 本人の新しい養育環境への順応性

子どもが幼いほど母親が育てるべきとする考えが根強くあります。
ただ、親権者は子供の福祉を最優先して判断すべきものですから、子供自身が親権者の変更を望んでいる場合には、それを認めることが適切だと考えられています。

そのため、15歳以上の場合には裁判所は子供の意思を確認します。
15歳未満の場合でも、10歳くらいであればある程度は判断能力があると判断されるので、子供の意見を聞いてそれを判断材料にすることもあります。

(2)監護権者の変更が認められやすい具体的な例

  • 監護権者の育児放棄
    監護権者がギャンブルや恋人との関係にのめり込み、子どもの世話を放棄しているような場合です。
    その他、監護権者が重い病気にかかってしまって子どもの面倒を見ることができない状態になっている場合、監護権者が罪を犯し服役することになってしまい子どもと離れて暮らすことになってしまった場合などです。
  • 監護権者による虐待
    監護権者が子どもを虐待している事実が発覚した場合です。

【まとめ】監護権変更でお悩みの方は弁護士にご相談ください

監護権とは、子供と生活を共にし、その子供の世話や教育を行う権利・義務のことです。
監護権は、原則として親権の一部ですが、親権と監護権を分離させることも認められています。
夫婦の合意があれば監護権の変更は可能ですが、双方が監護権を主張する場合など、監護権の変更で揉めるケースや、いろいろな事情から合意ができない場合もあります。
その場合には、家庭裁判所に調停・審判を申立てることによって監護権者を変更することになります。

ただし、監護権者の変更はかなり難しいといえます。
個人で行うことには限度がありますから、監護権者の変更でお悩みの方は弁護士に相談するのがおすすめです。

この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

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