相手の浮気で離婚することに!慰謝料の相場と請求方法を解説

  • 作成日

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    2023/07/13

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    2023/07/13

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目次

相手の浮気で離婚することに!慰謝料の相場と請求方法を解説
配偶者との間で、お互いにただ一人の相手であると誓って結婚をしたのに、配偶者が浮気をしたとなれば裏切り行為です。
そのため、辛い思いをさせた配偶者や浮気相手に対して、慰謝料を請求したいと考えるのも当然といえるでしょう。

ただ、浮気を理由に慰謝料請求をするにも、相場や方法がわからないとお困りになってはいないでしょうか。

浮気を理由に慰謝料請求をした場合(離婚する場合)の相場は、一般的に数十万円から300万円となります。
慰謝料の相場や請求方法について知っておきましょう。

この記事では、次のことについて弁護士が詳しく解説します。

この記事を読んでわかること
  • 離婚や慰謝料請求が認められる「浮気」とは
  • 浮気による慰謝料の相場
  • 浮気による慰謝料請求の方法・ポイント
相手の浮気が原因で離婚した場合の、慰謝料の相場と請求方法について解説します。

慰謝料請求や離婚が認められる「浮気」とは?

一般的な「浮気」という言葉は、法律上は存在しません。
法律上で離婚原因や慰謝料請求の対象となる行為は「不貞行為」と呼ばれます。

浮気が「不貞行為」にあたると慰謝料請求や離婚が認められることになります。

それでは「不貞行為」とはどのような行為を指すのでしょうか。
なぜ不貞行為を根拠に慰謝料請求ができるのか、そして相手の不貞行為を裁判離婚の根拠にできるのかについて見てみましょう。

(1)「不貞行為」とは

「不貞行為」とは、婚姻共同生活を侵害・破壊に導く可能性のある行為のことをいいます。

具体的には、既婚者が配偶者以外の者と自由な意思に基づいて性行為におよぶこと(肉体関係を持つこと)や、肉体関係に準ずる行為(性交類似行為、体を直接触った愛撫など)をすることをいいます。

そのため、2人きりで会う、食事をする、手をつなぐという行為だけでは、基本的に「不貞行為」にはあたらず、不法行為にもあたりません。

(2)浮気を理由とする慰謝料請求をするための要件

浮気が不貞行為(不法行為)にあたるとして慰謝料請求をするためには、さらに次に挙げる要件も満たす必要があります。
【浮気(不貞行為)を理由に慰謝料請求をするための要件】
• 浮気(不貞行為)であることの「故意・過失」があること
• 浮気(不貞行為)によってあなたが「権利の侵害」を受けたこと
詳しく説明します。

(2-1)浮気(不貞行為)であることの「故意・過失」があること

浮気(不貞行為)を理由に慰謝料を請求するためには「故意・過失」、言い換えると、次の要件が必要になります。
【故意・過失が認められるための要件(※)】
1.浮気をした時点で、相手に配偶者がいることを知っていたことまたは、注意すれば気づくことができたこと
2.浮気をした時点で、相手の夫婦関係が破綻していないことを知っていたことまたは、注意すれば気づくことができたこと
なお、配偶者に対して慰謝料請求する場合には、配偶者自身が浮気と認識していることは当然ですので、「故意・過失」は問題とならないのが一般的です。
ただし、故意・過失の対象として、1のみ知っていればいいという立場に立つ判例と、1・2を両方知っている必要があるという判例があり、どちらの考えが絶対に正しいということはできません。

なお、この要件が認められる場合としては、相手に配偶者がいることを知りうる状況にあった場合や夫婦関係が破綻していないことを知りうる状況にあった場合も含まれます。

具体的には、次のとおりです。
故意・過失
〇認められるケース ×認められないケース
・既婚者であることを知りながら、肉体関係を持った
・浮気相手は、既婚者と不倫をしていると気づく状況であるにも関わらず、気づいていなかった
・既婚者だと知っていたが、婚姻関係がすでに破綻していたと勘違いし、注意を払えば破綻していないことに気づく状況であったにもかかわらず肉体関係を持った
・マッチングアプリなどで知り合い、お互いの素性を知らず、既婚者であることに気づく余地のないまま肉体関係を持った
・既婚者だと知っていたが、婚姻関係がすでに破綻していたと聞かされており、実際夫婦は別居しているなど夫婦関係はすでに破綻していると思わざる得ない状況で、肉体関係を持った

(2-2)浮気(不貞行為)によってあなたが「権利の侵害」を受けたこと

浮気を理由に慰謝料を請求するためには、不貞行為によってあなたの「権利の侵害」を受けたことが必要になります。
具体的には、次の要件を満たす必要があります。
・ 法律上の浮気(不貞行為)によって、婚姻共同生活が侵害・破壊されたことによって精神的苦痛を受けたこと
浮気された時点で、すでに婚姻生活が破綻していた(別居状態、夫婦仲が冷め切っているなど)状況であった場合には、慰謝料請求をすることができません。

なぜなら、このような状況で、不倫をされても、すでに夫婦の婚姻生活が破綻している以上、浮気によってさらに夫婦仲が悪化して精神的ショックを受けることはないと考えられているからです。

ただし、結婚していながら婚姻関係が破綻していたという状況はまれであり、簡単には認められません。

具体的には、次のとおりです。
権利の侵害
〇認められるケース ×認められないケース
・浮気により、それ以前は円満だった夫婦関係が悪化し、離婚した ・浮気が行われた時点で、すでに夫婦の仲が悪く、夫婦の共同生活がすでに破綻していた(浮気が行われた時点ですでに夫婦が別居している場合、婚姻関係が破綻していたと判断される可能性があります)

浮気で離婚する場合の慰謝料の相場とは

次に、配偶者の浮気が原因で離婚する場合の慰謝料額はいくらくらいになるでしょうか。

慰謝料の金額は法律で定められているわけではありません。
当事者同士の話合いで慰謝料を決める際には、裁判上の相場を踏まえつつ、自身の精神的損害の大きさや、いかに早期解決するか等を考慮して金額が決まることが多いようです。

話合いで慰謝料の金額等がまとまらなければ、裁判で解決することになります。
裁判では、相手の財産のあるなしにかかわらず、過去の裁判例を参考としつつ、被害者が受けた精神的苦痛の大きさを裁判官が客観的に認定したうえで、慰謝料の金額が決定されることになります。

裁判で決定される慰謝料の相場は大体、100万円〜300万円のケースが多いようです。

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浮気の慰謝料の請求相手は配偶者?それとも浮気相手?

不貞行為の慰謝料の請求は、配偶者と浮気相手の両方に請求できます。

不貞行為は、配偶者と浮気相手の「共同不法行為」(民法第719条)で、配偶者と浮気相手は「不真正連帯債務」を負います。
浮気をした配偶者と浮気相手は、不貞行為に対する損害について「共同」で責任を負う必要があり、それぞれが損害の「全額」を支払う義務があります。
ですから「半額しか支払いたくない」という反論は認められていません。

ただし、ここで注意してほしいことは、あなたが配偶者もしくは浮気相手から十分な慰謝料を受け取っている場合には、他方の浮気相手もしくは配偶者から重ねて慰謝料を受け取るということができない可能性があります。

そもそも、浮気の慰謝料は、配偶者と浮気相手の2人が支払うものとされています。

たとえば、あなたが配偶者からすでに十分な慰謝料を受け取っており、浮気相手からそのことについて指摘された場合には、重ねて浮気相手から慰謝料を受け取れない可能性があります。
【具体例】
(仮名)Aさん(妻)が浮気をしたAさんの夫から200万円の慰謝料を受け取った場合を考えてみましょう。このとき、客観的に妥当な慰謝料金額200万円の場合には、Aさん(妻)はすでに浮気によって被った精神的な損害の全額の支払いを受けているため、重ねて浮気相手に対して慰謝料を請求することはできません。
具体例
ただし、配偶者から慰謝料が支払われた理由が、浮気だけではなく、暴力などの理由もあった場合には、浮気相手に対しても慰謝料を請求できる可能性があります。

なお、配偶者から受け取った慰謝料が十分といえるかどうかは、専門的な判断が必要ですので、弁護士への相談をおすすめします。

浮気による離婚で慰謝料請求する前に!押さえておきたい3つのポイント

浮気による離婚で慰謝料請をするまえに、次の3つのポイントを押さえておきましょう。
1. 相手に反論させないただけの証拠を集めておく
2. 時効(請求期限)を確認しておく
3. 慰謝料以外に請求できるお金を確認しておく

(1)証拠を集める

配偶者と浮気相手が不貞行為の事実を認めなかった場合、慰謝料請求においては被害者側に立証責任があるため、不貞行為を証拠によって証明しなければなりません。

そのため、浮気による精神的苦痛を理由として慰謝料を請求するためには、それが裁判官や相手方にもわかるよう、精神的苦痛を受けた証拠を集めることが大切です。

慰謝料請求の裁判では「不貞行為を推認させる証拠」、つまり「性交渉があったことを推認させる証拠」 によって、間接的に立証していくケースが一般的です。

たとえば、次のような証拠を集められないかを検討してみましょう。
  • 肉体関係を確認できる画像や動画、SNS等でのやり取り
配偶者が不倫相手と一緒にホテルに出入りするところを撮影したもの。
その他、配偶者と不倫相手との肉体関係がわかるようなLINEやメールのやり取りなど。
  • 通話記録
配偶者と携帯電話の契約を家族契約にしている場合に、自分が契約者となっていれば、配偶者の通話履歴も取り寄せることができます。
夜中の不自然な時間帯の通話や、同じ相手との頻繁で長時間の通話、このような通話記録から不倫の事実を推測できる可能性があります。
  • 交通系ICカードや領収書、クレジットカードの利用明細
領収書やカードの利用履歴などから、ホテル料金や、ホテルへ行くための交通ルートが判明するかも知れません。
これは「ホテルで不倫行為をした」ことを推認するために役に立つので、証拠となる可能性があります。

なお、証拠は裁判の場面だけではなく、示談で慰謝料を請求する場合にも重要になってきます。
強力な証拠があれば、相手は裁判になっても勝ち目がないと考えるため、こちらに有利な条件で交渉を進めることが可能となります。

もし、決定的な証拠を入手できない場合であっても、複数の証拠を組み合わせることで不貞行為を立証できる可能性もあるため簡単にはあきらめず、証拠集めの段階で弁護士に相談してみるとよいでしょう。

(2)時効を確認する

浮気の慰謝料にも「時効」といって請求することができる期限があります。

時効期間を経過し、相手から時効が経過したことを主張された場合には慰謝料請求はできなくなってしまいます。

(2-1)配偶者に対して慰謝料請求をする場合(離婚した場合)

配偶者に対する慰謝料請求の時効は、次のように定められています(2020年4月1日民法改正に対応)。
  • 離婚が成立したときから3年
  • 最後に浮気があった時から20年
⇒いずれか早い時点が時効の完成日となります。

(2-2)配偶者に対して慰謝料請求をする場合(離婚しなかった場合)

配偶者に対する慰謝料請求の時効は、次のように定められています(2020年4月1日民法改正に対応)。
  • 配偶者が浮気や不倫をしていることを知ったときから3年
  • 最後に浮気や不倫があったときから20年
⇒いずれか早い時点が時効の完成日となります。

(2-3)浮気・不倫相手に対して慰謝料請求をする場合

浮気・不倫相手に対する慰謝料請求の時効は、次のように定められています(2020年4月1日民法改正に対応)。
  • 浮気や不倫をしていることに気づき、かつ、不倫相手の名前や住所(連絡先)を知ったときから3年
  • 最後に浮気や不倫があったときから20年
⇒いずれか早い時点が時効の完成日となります。

なお、時効が迫っているという方には、時効の更新や完成を猶予する方法もあります。

(3)離婚時に慰謝料以外に請求できる金銭を確認する

離婚の際には、慰謝料以外にも例えば財産分与や養育費、婚費などで金銭を請求できる可能性があります。
離婚したあとに二度手間になったり、請求自体ができなくなり後悔したりすることのないよう、これらについてもチェックしておくとよいでしょう。

請求対象の費目や請求金額は個別の事情や状況に応じてケースバイケースのため、弁護士に相談することをおすすめします。

浮気の慰謝料請求の主な方法は「示談」、「調停」、「裁判」の3種類

では浮気の慰謝料請求はどのような方法で行えばよいでしょうか。
慰謝料請求の方法は、大きく「示談」、「調停」、「裁判」の3種類があります。

示談で慰謝料を決める際は、相場を踏まえつつ、自身の精神的損害の大きさや、いかに早期解決するか、裁判となったときにどれほど有利な証拠があるか等を考慮して金額が決まることが多いようです。

示談で慰謝料の金額等がまとまらなければ、調停や裁判上で請求することになります。
裁判では、相手の財産のあるなしにかかわらず、過去の裁判例を参考としつつ、被害者が受けた精神的苦痛の大きさを裁判官が客観的に認定したうえで、慰謝料の金額が決定されます。
アディーレ法律事務所の裁判での慰謝料解決事例については下記をご覧ください。

【まとめ】浮気で離婚する際の慰謝料に明確な基準はないが、相場は100万〜300万円程度

今回の記事のまとめは次のとおりです。
  • 浮気による離婚で慰謝料を請求できるかどうかは、不貞行為の有無次第
  • 浮気で離婚する場合、慰謝料の相場は100万~300万円程度
  • 配偶者と浮気相手の一方もしくは双方に対し、慰謝料を請求できる
  • 慰謝料請求の手続きに入る前に、証拠収集と時効の確認をしよう
  • 浮気の慰謝料請求の方法は、「示談」、「調停」、「裁判」の大きく3種類
慰謝料請求したい方からよくいただく質問について、詳しくは慰謝料請求のよくある質問をご覧ください。
浮気・不倫の慰謝料は請求して終わりと思われているかもしれません。
しかし、その後のトラブルを回避することにも注意しておかなければなりません。

ただ、浮気・不倫の慰謝料請求の経験が何度もある人はそういませんので、個人で慰謝料請求を行う際には、そこまで気を付けることは難しいかもしれません。
そこで、慰謝料請求は弁護士へ依頼されることをおすすめします。今後のトラブル防止にも繋がると同時に、あなたの意向を踏まえた一番良い解決を目指すことができます。

浮気・不倫を理由とする慰謝料請求はアディーレ法律事務所にご相談ください。

アディーレ法律事務所では、浮気・不倫の慰謝料請求につき、相談料、着手金をいただかず、原則として成果があった場合のみ報酬をいただくという成功報酬制です。

原則として、この報酬は獲得した慰謝料などからのお支払いとなりますので、あらかじめ弁護士費用をご用意いただく必要がありません。
また、浮気の慰謝料請求につき、原則として、成果を超える弁護士費用の負担はないため費用倒れの心配がありません。

詳しくは浮気・不倫の慰謝料請求の弁護士費用をご覧ください

また、慰謝料請求についてお一人で悩んでいる方や、弁護士に相談することに抵抗を感じられている方は、ご相談前に慰謝料請求に成功した「ご相談者さまの声」をご覧いただき、ぜひ参考にしてください。

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この記事の監修弁護士

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

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