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児童相談所とは?その権限や役割について弁護士がわかりやすく解説

作成日:
kiriu_sakura

「児童虐待のニュースを見るたびに心が痛い…ニュースでもよく児童相談所の対応に問題はなかったのか議論されているけど、そもそもどのような機関なの?」

児童相談所は、児童虐待事件がニュースで報じられる際によく耳にしますが、一体どのような機関なのか詳しく把握している人はそう多くないでしょう。
他方、このような報道は、特に子どもを持つ親御さんにとって、無関心ではいられないはずです。

児童相談所とはどのような役割を担っており、どのような権限を持っているのでしょうか。

今回の記事では次のことについて、弁護士がわかりやすく解説します。

  • 児童相談所とは
  • 児童相談所の権限と役割
  • 児童虐待防止における今後の対策
この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

児童相談所とは

児童相談所は、児童福祉法に基づき各都道府県に設置されている行政機関です。

児童福祉法第12条1項

都道府県は、児童相談所を設置しなければならない。

引用:児童福祉法|e-Gov法令検索

児童相談所の主な設置目的は、子ども(18歳未満)に関する家庭などからの相談に応じ、子どもや家庭に対して援助を行うことによって、子どもの福祉を図り、その権利を守ることです。

そのため、児童相談所は、子ども自身からはもちろん、各家庭や学校の先生、地域の人などからの相談も受け付けています。
また、児童虐待事件があった際にばかりクローズアップされがちな児童相談所ですが、相談内容は虐待に関することにかぎられず、広く子どもに関する相談に応じています。

児童相談所の権限・役割

次に、児童相談所の持っている権限や担っている役割についてご説明します。

(1)児童相談所の権限

児童相談所は、文字通り「児童」に関する「相談」に応じるだけの機関ではありません。
後ほどご説明するように、子どもの権利を守るために強い権限が与えられています。
例えば、次のような権限が挙げられます。

  • 一時保護(児童福祉法第33条)
  • 立入調査(児童虐待の防止等に関する法律第9条・児童福祉法第29条、第61条の5)
  • 親子の面会等の制限(児童虐待の防止等に関する法律第12条1項)

特に一時保護は、親の意思に反していても、子どもを親から物理的に引き離すことができる非常に強い権限となっています。

(2)児童相談所の役割

次に、児童相談所が担っている役割についてわかりやすくご説明します。

(2-1)広く子育てや子どもに関する相談に応じる

児童相談所は、子育てや子どもに関する相談に応じており、子ども自身やその親からだけでなく、地域の住民等からも相談を受け付けていることは先ほど述べたとおりです。

主な相談は、その内容によって次のように分類されています。

養護相談
保護者が失踪・死亡したり、虐待を受けたりした子どもなど、環境的問題を有する子どもに関する相談や、養子縁組に関する相談

保健相談
虚弱であったり、小児ぜんそくなど疾患(精神疾患を含む)等を有する子どもに関する相談

障害相談
身体障害・知的障害、自閉症(あるいは自閉症同様)の症状がある子どもに関する相談
(運動発達や言語発達の遅れに関する相談もここに含まれます)

非行相談
家出や乱暴、あるいは飲酒・喫煙等の問題行動のある子どもや、触法行為があったとされる子どもに関する相談

育成相談
行動上の問題を有する子どもに関する相談や、不登校児に関する相談
(進学適性、職業適性、学業不振等に関する相談や、家庭内における育児やしつけに関する相談もここに含まれます)

その他、上記のいずれにも該当しない相談も、児童相談所は広く受け付けています。

参照:市町村・児童相談所における相談援助活動系統図|厚生労働省

(2-2)児童虐待における役割

1.通告の受理

児童虐待における児童相談所の役割としてまず挙げられるのが、「通告の受理」です。
児童相談所は日々、児童虐待についての通告や情報提供を受け付けています。
児童相談所虐待対応ダイヤルというものがあり、「189」(通話料は無料)に電話をかけると、近くの児童相談所につながるようになっています。

近くに虐待を受けている子どもがいると感じたのであれば、迷わずこの「189」にご連絡ください。このダイヤルへの通告・相談は匿名でも行うことができ、その内容に関する秘密は守られます。

参照:児童相談所虐待対応ダイヤル「189」について|厚生労働省

2.一時保護

子どもの生命の安全を確保することを第一の目的として、一時的に子どもを親から引き離す「一時保護」を行うことができます
一時保護を行うことで、子どもの安全を確保し、子どもへ危害が及ぶことを心配することなく、虐待を行っている親への調査や指導を進めることができるという利点があります。
さらに、子どもの様子を観察したり、子どもから事情を聴いたりする際にも、一時保護によって子どもを安全な環境におくことで、より本質的な情報収集を行うことが期待できます。

一時保護を決定するには、「一時保護決定に向けてのアセスメントシート」によって、一時保護の要否、重大な結果が生じる可能性の有無、子どもに虐待の影響と思われる症状が表れているか、といった事項を確認する手続きが定められています。

なお、一時保護された子どもの世話も、原則として児童相談所にて行われます。
ただし、一定の場合には医療機関、児童福祉施設、里親、警察署その他適当な者に、一時保護を委託できることになっています。

参照:第5章 一時保護|厚生労働省

3.立入調査

児童虐待の防止等に関する法律(以下「児童虐待防止法」といいます)によって、児童虐待が行われているおそれがある場合は、必要に応じて、その子どもの家庭内に立ち入って調査をする権限が認められています
子どもや職員等の安全のため、必要に応じ、警察に援助を依頼し、事前協議や連携を図ることもあります。

児童虐待防止法第9条1項

都道府県知事は、児童虐待が行われているおそれがあると認めるときは、児童委員又は児童の福祉に関する事務に従事する職員をして、児童の住所又は居所に立ち入り、必要な調査又は質問をさせることができる。この場合においては、その身分を証明する証票を携帯させ、関係者の請求があったときは、これを提示させなければならない。

引用:児童虐待の防止等に関する法律|e-Gov法令検索

児童相談所の問題点と今後の対策について

2019年3月には、児童虐待防止対策に関する関係閣僚会議において、「児童虐待防止対策の抜本的強化について」が決定されました。
本決定のうち、児童相談所に関する主な施策は次のとおりです。

  1. 児童相談所の体制強化
  2. 児童相談所の設置促進

(1)児童相談所の体制強化

児童虐待が発生した際の迅速・的確な対応を可能にするために、児童相談所の体制強化が進められることになりました。児童相談所では、かねてより人手不足や、専門知識を持った人材の不足が問題視されていたため、その解決も期待されています。

主な具体的施策は次のとおりです。

・職員の機能分化
一時保護などの介入的対応を行う職員と、支援を行う職員を分けるなどして、児童相談所における機能分化を行う。

・弁護士の配置等
法律関連業務について、常時弁護士による指導または助言の下で対応するため、弁護士の配置またはこれに準ずる措置を行う。

・医師・保健師の配置の義務化

・児童福祉司の2000人増員

本決定では他にも、第三者評価など児童相談所の業務に関する評価の実施や、児童福祉司などの処遇改善を図ることなどが定められています。

(2)児童相談所の設置促進

児童相談所の設置(管轄区域)に関する基準を設定することや、中核市や特別区における児童相談所の設置を促進することが定められました。
また、一時保護を必要とする子どもが適切な環境で保護されるように、一時保護所の環境を改善することや、個別的な対応を可能にするために職員体制を強化することなどが定められています。

参照:児童虐待防止対策|厚生労働省

【まとめ】児童相談所は、子どもに関する相談を広く受け付けている行政機関|「虐待かも…」と感じたら、迷わず「189」に連絡を

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 児童相談所は、児童福祉法に基づき各都道府県に設置される行政機関である
  • 児童相談所の主な設置目的は、子ども(18歳未満)に関する相談に応じ、子どもや家庭に対して援助を行い、子どもの福祉を図り、その権利を守ること
  • 児童相談所の持つ権限の例
    1. 一時保護
    2. 立入調査
    3. 親子の面会等の制限
  • 児童相談所への相談は、内容によって次のように分類されている
    • 養護相談
    • 保健相談
    • 障害相談
    • 非行相談
    • 育成相談
    • その他の相談
  • 児童虐待における児童相談所の役割
    1. 通告の受理
      近くの児童相談所につながる児童虐待対応ダイヤルの電話番号は「189」(通話料は無料)
    2. 一時保護
      一時的に子どもを親から引き離す「一時保護」を行うことができる
    3. 立入調査
      必要に応じて、子どもの家庭内に立ち入って調査をする権限が認められている
  • 2019年3月に、児童虐待防止対策に関する関係閣僚会議において、「児童虐待防止対策の抜本的強化について」が決定された
  • 上記決定のうち児童相談所にかかわる主な内容は次のとおり
    1. 職員の機能分化、弁護士の配置等、医師・保健師の配置の義務化や児童福祉司の増員により、児童相談所の体制強化を図る
    2. 児童相談所の設置促進

児童相談所は、広く子どもに関する相談を受け付けているだけでなく、子どもの権利を守るために非常に強い権限を与えられた行政機関です。

もし、虐待を受けていると思われる子どもに気付いた際には、迷わずに児童虐待対応ダイヤル(局番なし189)にご連絡ください。相談は、匿名でも可能で、その内容に関する秘密は守られます。

参照:児童相談所虐待対応ダイヤル「189」について|厚生労働省

この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

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