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民事執行法改正 競売で暴力団が不動産を買えなくなる!

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リーガライフラボ

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以前の民事執行法に基づく不動産競売手続きにおいては、暴力団員だからといって、不動産の購入を認めないとする規定はありませんでした。
一方で、多くの自治体で暴力団排除条例が制定されるなどし、一般の不動産取引である任意売却においては、暴力団排除が進んでいました。
このため、一般の不動産取引で不動産を買うことができない暴力団ないし暴力団員が、不動産競売において購入した建物を暴力団事務所として利用する等の問題が生じていました。

もしかしたら近所の不動産が、不動産競売手続きで売却されるかもしれません。
近所に突然暴力団事務所ができたら、それはもう驚きますよね。

そこで、今回の民事執行法の改正(2020年4月1日施行)では、不動産競売手続きにおいて、暴力団の購入を制限する規定が新設されました。
どのように暴力団の購入を規制しているのかについて説明します。

この記事の監修弁護士
弁護士 谷崎 翔

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。

不動産競売手続き

競売で不動産を購入したい人はどうすればよいのでしょうか。
一般的な、入札期間を設ける競売手続きのケースで説明します。

(1)買受の申出

まず、購入したい不動産について、買受の申し出をします。

(2)入札期間

入札期間に、買受価格を提出します。

(3)最高価買受申出人の決定

裁判所が、入札のあった中から、最高価買受申出人を決定します。

(4)売却の許可・不許可の決定

裁判所が、売却決定期日において、売却の許可・不許可を決定します。

このような流れで、不動産競売手続きは進んでいきます。

暴力団員等に該当しないこと等の陳述

(1)制度

民事執行法改正によって、不動産の買受けの申出をしようとする場合には、暴力団員でないこと又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者ではないことを陳述しなければならないこととされました(民事執行法65条の2)。
陳述できなければ、買受の申出をすることができません。

(2)罰則

虚偽の陳述をした場合には、6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金という罰則があります(法213条1項3号)。

裁判所から警察へ暴力団員かどうかの調査を依頼

以前から、例えば民間企業の取引において、取引先企業の代表者が暴力団員である疑いがあるから、確認したいという場合には、警察に対して、暴力団員かどうかの調査と情報の提供を依頼することができました。
民事執行法改正により、不動産競売手続きにおいても、制度上、裁判所が警察に対して、買受人が暴力団員かどうかの調査を依頼することができるようになりました。

具体的には次の通りです。

裁判所は、入札期間において複数なされた入札の中から、最高価買受申出人を決定します。
その後、裁判所は、当該最高価買受申出人が暴力団員等に該当するか否かについて、原則として、必要な調査をその裁判所の所在する都道府県警察に依頼しなければなりません(民事執行法68条の4)。

売却許可・不許可の決定

裁判所が、以上のような調査を経て、最高価買受申出人が暴力団員等に該当すると判断した場合には、売却不許可決定をします(民事執行法71条5号)。

おわりに

改正された民事執行法における、不動産競売手続きでの暴力団排除の規制を説明しました。

実際にご自身が所有する不動産が競売手続きにのってしまった場合はもちろんのこと、競売手続きで不動産を購入したい場合にも、弁護士等の専門家に相談することをお勧めします。

この記事の監修弁護士
弁護士 谷崎 翔

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。

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