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企業から解雇された場合の法的な規定と不当解雇への対処法を解説

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解雇をするためには、法律上様々な規制があり、解雇が無効であるといったケースも少なくありません。
解雇に関する規制と、不当解雇への対処法を弁護士が解説いたします。

目次

解雇とは

解雇とは企業側が一方的に従業員との雇用契約を解除するものです。

解雇と混同されやすいものに、退職勧奨があります。
退職勧奨は、会社が従業員に自主的に退職するように勧めてくるものであり、労働者が退職に同意する必要があります。
そのため、労働者の同意なしに退職させることができる解雇とは別のものです。

解雇されたら必ず有効というわけではなく、解雇の理由に、客観的合理性・社会的相当性が無ければ、解雇権濫用として、解雇は無効となります(労働契約法16条)。

参考:労働契約の終了に関するルール|厚生労働省

解雇の種類と解雇が有効となる条件

解雇は、大きく分けると次の3種類あります。

  • 普通解雇
  • 懲戒解雇
  • 整理解雇

種類ごとに解雇が有効となる条件が異なりますので、種類別に解説いたします。

(1)普通解雇

普通解雇とは、懲戒解雇(懲罰)、整理解雇(経営上の理由)以外の解雇のことをいいます。
労働者が健康上の問題を抱えている、能力が足りない、無断欠勤が多いなどの場合に普通解雇になる可能性があります。

(2)懲戒解雇

懲戒解雇は、規律違反等に対する罰としての解雇です。
例えば、業務上の地位を利用した犯罪行為や、長期間の無断欠勤などをした場合に懲戒解雇となる可能性があります。

(3)整理解雇

整理解雇とは、企業の経営上の事情により、人員削減の必要が生じたため、解雇されることをいいます。

解雇予告

解雇するためには、原則として、解雇予告または解雇予告手当が必要となります。
これらについて解説いたします。

(1)原則として解雇予告期間が必要

解雇しようとする場合には、少なくとも30日前に解雇予告をしなければなりません(労働基準法20条1項)。
また、予告が30日前に満たない場合は、「不足した日数分の平均賃金」を企業が支払う義務があります(解雇予告手当、労働基準法20条2項)。

(2)例外的に即時解雇が可能な場合

ただし、次のいずれかの場合には、解雇予告期間や解雇予告手当がなくとも、労働基準監督署長の認定があれば、即時に解雇することが可能です(労働基準法20条1項但書、同条3項)。

1.地震などの天変事変や、その他やむを得ない理由により、事業を続けることができなくなったとき

解雇予告期間を設けることが使用者にとって酷な状況のときは、即時解雇が可能となります。

2.労働者に帰責性があるために解雇する場合

懲戒解雇の場合、即時解雇が可能となることがあります。
もっとも、即時解雇されてもやむを得ないといえるほどに、重大な帰責性が労働者にある場合のみ即時解雇が可能です。
そのため、労働者の帰責性の程度がそれよりも軽い場合には、懲戒解雇であっても、解雇予告期間や解雇予告手当が必要となりますので注意しましょう。

また、上記のほかにも、次の労働者に対しては、原則として即時解雇が可能です(労働基準法21条)

  • 日雇い労働者(1ヶ月を超えて引き続き雇用される場合を除く)
  • 2ヶ月以内の雇用期間を定められている季節労働者以外の労働者(2ヶ月を超えて引き続き雇用される場合を除く)
  • 季節労働者であって、4ヶ月以内の雇用期間を定められている労働者(4ヶ月を超えて引き続き雇用される場合を除く)
  • 試用期間中の労働者(14日を超えて引き続き雇用される場合を除く)

(3)解雇予告期間や解雇予告手当に違反があった場合の効果

解雇予告期間や解雇予告手当に違反があった場合の効果については、裁判官によって判断が異なるものの、「使用者が即時解雇に固執する趣旨でない限り、解雇の通知後、30日が経過した時点、または解雇予告手当の支払をした時点のいずれかから解雇の効力が発生する」とする裁判例があります(細谷服装事件(最高裁第二小法廷判決昭和35年3月11日民集14巻3号403頁))。

また、即時解雇の通知を受け取った労働者が、労務の提供を断念し、解雇予告手当の請求をした事例において、「解雇通知から30日の経過により雇用契約は終了し、その終了した時点で、使用者は解雇予告手当を支払うべき義務を負う」とする裁判例もあります(プラス資材事件(東京地裁昭和51年12月24日判時841号101頁)。

その他の解雇の制限

解雇予告期間・解雇予告手当の他にも、解雇には様々な制限があります。

(1)業務上のケガや病気を理由とする解雇の制限

「労働者が、業務上のケガや病気の療養のために休業する期間」+「その後の30日間」は、原則として、解雇することができません(労働基準法19条1項)。
また「休業」には、一部だけ休業する場合も含みます(大阪築港運輸事件(大阪地裁判決平成2年8月31日))。

このように原則として休業明けから30日経過するまでは解雇できないわけですが、これには、次の例外があります。

1.療養開始後3年を経過しても、ケガや病気が治らない場合、使用者が平均賃金の1200日分にあたる「打切補償」(労働基準法81条)を支払った場合は、休業中でも解雇が可能になります(労働基準法19条1項但書前段)。

なお、ケガや病気になってから3年を経過した時点において、傷病補償年金(※)を受給している場合は、この3年を経過した時点において打切補償が支払われたものとみなされ、休業中でも、解雇することが可能です(労働者災害補償保険法19条)。

※傷病補償年金……1年6ヶ月たっても治らない業務上のケガや病気が、1年6ヶ月経過の時点で、1~3級に該当し、その状態が続く場合に、支給される年金

ケガや病気になってから3年を経過した時点以降に、傷病補償年金を新たに受給することになった場合も、受給を受ける日に、打切補償が支払われたものとみなされ、休業中でも、解雇が可能になります(労働者災害補償保険法19条)。

2.地震などの天災事変、その他やむを得ない事由のために事業の継続ができなくなった場合は労働基準監督署長の認定を受ければ、休業中でも、解雇することが可能です(労働基準法19条1項但書後段、同条2項)。

(2)業務外の事由に基づくケガや病気を理由とする解雇の制限

業務外の事由に基づくケガや病気の場合、療養の時間を十分に与えても、業務をこなせるまでに回復できない場合には、就業規則に基づき、解雇が可能となります。

業務上のケガや病気の場合と異なり、「休業明け30日経過するまでの解雇禁止」や「打切補償の支払わないと解雇禁止」などの制限はありません。

(3)能力不足を理由とする解雇の制限

能力不足を理由に解雇するためには、その能力不足の程度が、企業の経営・運営への支障や、重大な損害を発生させるなど、企業から排除すべき状態にまで達することが必要です(エース損害保険事件(東京地裁判決平成13年8月10日))。

(4)懲戒解雇の制限

懲戒解雇となると、退職金の全部または一部が払われない場合もあり、普通解雇よりも、労働者に重大な不利益をもたらします。
そのため、裁判例上、懲戒解雇には、普通解雇よりも厳しい制限があり、少なくとも以下のいずれの条件も満たさないと、懲戒解雇が無効となる傾向にあります。

  1. 懲戒解雇の事由・程度が就業規則に明記されていること
  2. 問題となった労働者の行為が、就業規則上の懲戒解雇の事由に該当すること
  3. 懲戒解雇が社会通念上相当であること

3.を満たすためには、通常、少なくとも以下のいずれの事項もクリアしていることが必要です。

  • 問題となった労働者の行為や勤務歴などに比べて、懲戒解雇という処分が重すぎないこと
  • 同じ問題行為を取った過去の労働者に対する処分に比べて、公平性を害しないこと
  • 就業規則などに定められた懲戒解雇の手続きをきちんと守っていること
  • 懲戒解雇について、本人に弁明の機会を与えていること

(5)整理解雇の制限

整理解雇は、労働者側の事情ではない、という点に特徴があり、整理解雇は、普通解雇よりも厳しく制限されているのが現状です。
そのため、裁判例上、基本的には、以下の4つの要素を総合的に考慮して、整理解雇が無効となるか判断されています。

1.人員削減の必要性
経営不振など、企業が経営する上で人員削減の必要性が高いことが求められます。

2.解雇回避努力
まずは、配転、出向、希望退職の募集など、可能な限り解雇以外の手段を試み、解雇を回避するための努力をしていることが必要です。

希望退職を募集したもの、社長の報酬は高額のまま維持し、整理解雇された者には少額の退職金しか提供されなかった事案においては、解雇回避努力が足りないとして、整理解雇を無効とした裁判例があります(日本通信事件(東京地裁判決平成24年2月29日労判1048号45頁))。

3.被解雇者選定の合理性
整理解雇の対象者が、客観的で合理的な基準により、公正に選ばれていることが必要です。
何が客観的で合理的な基準に当たるか、という点は裁判例上もはっきりとはしませんが、「欠勤、遅刻などの勤務態度や、勤続年数など」を基準に整理解雇している場合、客観的で合理的な基準で解雇の対象者を選んでいると認定されることがあります。

客観的で合理的な基準を設けていない整理解雇の場合、裁判例上、無効と判断される傾向にあります。

4.手続きの相当性
解雇の対象者や組合に、人選の基準や当否につき十分に説明し、協議していることが必要です。

(6)労働組合法による解雇の制限

労働組合法とは、労働者が、資本家や企業と対等に交渉するために労働者の権利を確保する法律です。
この労働組合法は、労働者が労働組合の組合員であること、正当な労働組合活動をしたことなどを理由とした解雇を禁止しています(労働組合法7条1項4号)。

(7)男女雇用機会均等法による解雇の制限

男女雇用機会均等法とは、企業の事業主が性別を理由にした差別を禁止し、職場における男女の待遇を均等にするよう定めた法律です。
この男女雇用機会均等法は、以下のことを理由とする解雇などを禁止しています(男女雇用機会均等法6条4号、9条2項、3項、17条2項、18条2項)。

  • 労働者の性別
  • 女性労働者が結婚・妊娠・出産・産前産後の休業をしたこと
  • 産前産後の休業の請求をしたこと
  • 性差別禁止の規定をめぐる争いについて、労働者が労働局長に解決の援助を求めたこと
  • 同争いにつき、労働者が調停を申請したこと

参考:男女雇用機会均等法関係資料|厚生労働省

(8)育児・介護休業法による解雇の制限

育児・介護休業法とは、育児や介護をおこなう労働者が、育児や介護のための休業を取りやすくすることなどを目的とした法律です。
この育児・介護休業法は、労働者が、以下のことを申し出たり、利用したりすることを理由とする解雇を禁止しています(育児・介護休業法10条、16条、16条の4、16条の7、16条の9、18条の2、20条の2、23条の2)。

  • 育児・介護休業
  • 子の看護休業
  • 時間外労働の制限
  • 深夜業の制限
  • 所定労働時間の短縮など

参考:育児・介護休業法のあらまし|厚生労働省

(9)短時間・有期雇用労働者法による解雇の制限

短時間・有期雇用労働者法は、通常の労働者と、短時間・有期雇用労働者との間に、不合理な待遇差を設けることを禁止する法律です。
短時間・有期雇用労働者法は、以下を理由として、解雇することを禁止しています(短時間・有期雇用労働者法14条3項、24条2項、25条2項)

  • 短期間・有期雇用労働者が、通常の労働者との間の待遇差の内容・理由等について説明を求めたこと
  • 短期間・有期雇用労働者法に関する争いについて、労働局長に紛争解決の援助を求めたこと
  • 同争いについて、調停を申請したこと

参考:パートタイム・有期雇用労働法の解説|厚生労働省

(10)パワハラ・セクハラの相談をしたことを理由とする解雇の禁止

労働施策総合推進法は、労働者がパワハラに関し、事業主に相談をしたことを理由とする解雇を禁止しています(労働施策総合推進法30条の2第2項)。
セクハラに関しても、事業主に相談したこと等を理由とする解雇は禁止されています(男女雇用機会均等法11条2項)。

(11)個別労働紛争解決促進法による解雇の制限

個別労働紛争解決促進法は、労働者と事業主との間の紛争について、あっせん制度を設けることにより、迅速かつ適切に解決を図ることを目的としています。
この個別労働紛争解決促進法は、労働者が労働局長に解決の援助を求めたこと、あっせんを申請したことを理由とする解雇を禁止しています(個別労働紛争解決促進法4条3項、5条2項)。

(12)公益通報者保護法による解雇の禁止

公益通報者保護法は、公益通報者の保護などを図ることを目的とした法律です。
この公益通報者保護法は、労働者が一定の公益通報をしたことを理由とする解雇を禁止しています(公益通報者保護法3条)。

(13)障害者雇用促進法による解雇の制限

障害者雇用促進法とは、障害者の雇用促進や雇用の安定を目的とする法律です。
この障害者雇用促進法は、労働者が障害者であることを理由として解雇することなどを禁止しています(障害者雇用促進法35条)。

参考:障害者雇用促進法の概要|厚生労働省

(14)国籍・信条・社会的身分を理由とする解雇の制限

労働基準法は、国籍・信条・社会的身分を理由とする解雇を禁止しています(労働基準法3条)。

解雇された場合の対処法

解雇されたときの対処法を労働者の視点で解説いたします。

(1)解雇理由証明書を請求する

「解雇理由証明書」を労働者が請求すると、事業主は遅滞なく解雇理由証明書を交付する義務があります(労働基準法第22条2項)。
この解雇理由証明書には、解雇理由を具体的に記載しなければなりません。
具体的には、解雇された労働者は、就業規則のどの条項に該当したのか、該当するに至った事実関係などについて解雇理由証明書に記載する必要があります。

解雇理由が不当な場合は、不当解雇として争うことができますので、ぜひとも解雇理由証明書の開示を受けておきましょう。
開示請求をした証拠が残るよう、メールなどで請求をおこなうことが大切です。

(2)解雇予告手当の金額や日数について確認する

既にご説明した通り、解雇を行う際には原則として、少なくとも30日前に解雇の予告をする必要があり、予告を行わない場合には、30日分以上の平均賃金を支払わなければなりません。
そのため、解雇予告手当として何日分の手当がもらえるか、人事担当などに確認しましょう。
例えば10日前に解雇を予告された場合は、原則として、20日分の解雇予告手当が支給されるはずなので書面や明細などで確認をします。

解雇予告手当が少なかった場合には、直ちに人事担当などに連絡し、金額を修正するよう交渉しましょう。

(3)弁護士へ相談する

不当解雇だとして、労働者が企業と直接交渉しても、企業が取り合ってくれないことは少なくありません。

そのため、不当解雇だと感じる場合、弁護士に相談することが大切です。
弁護士に相談する際は、解雇理由証明書など、解雇理由の書かれた書面を持参すると相談がスムーズになります。

訴訟など法的措置も場合によっては検討することになります。

(4)不当な解雇だった場合企業に請求をする

まだその企業で働きたい場合は、企業に「解雇の無効+未払い賃金の支払い(※)」を主張することになります。
※違法な解雇により退職に追い込まれなければ、当該企業での勤務を継続することで得られたであろう賃金相当額

他方で、その企業で働くことを断念する場合は、

  • 逸失利益(本来得られたはずの利益)として、再就職までに通常必要な期間分の賃金の請求
  • 解雇が不法行為に当たるとして慰謝料請求
  • 解雇予告が必要であるにも関わらず即時解雇された場合は、解雇予告手当の請求

などの方法があります。

【まとめ】不当な解雇に関する相談は弁護士へ

解雇とは、企業側が一方的に従業員との雇用契約を解除するものです。
解雇には様々な制限があり、この制限に反する場合には、解雇が無効になることがあります。
不当な解雇でお困りの方は弁護士へご相談ください。

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