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離婚して再婚したい!有責配偶者からの離婚請求と再婚禁止期間について

作成日:更新日:
リーガライフラボ

※アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。

「現在、付き合っている人がおり、離婚してその相手と再婚したい。」
このように、再婚のための離婚を考えている人がいるかもしれません。

配偶者と合意できれば、再婚のために離婚することは可能です。
もっとも、配偶者に離婚を拒否され、不倫した側(有責配偶者)が離婚を請求する場合、裁判で離婚が認められる可能性は低いと言わざるを得ません。

また、女性の場合、原則として離婚した日から起算して100日経過した後でなければ、再婚することができません(再婚禁止期間)が、例外もあります。
なお、この再婚禁止期間を撤廃する内容の法律案が国会に提出され、2022年12月に可決されています(施行日は未定)。

参考:民法等の一部を改正する法律案|法務省

この記事を読んでわかること
  • 再婚のために離婚することは可能なのか
  • 離婚後すぐに再婚することができるのか
この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

再婚のために離婚を考えるケースとは?

再婚のため離婚を考えるケースとは、不倫しており、その不倫相手と再婚したいというケースが多いようです。

また、別居期間が長い、すでに夫婦関係が破綻している、などの事情を抱えており、別の相手と再婚して、結婚生活をやり直したいと思っているケースなどもあります。

再婚したいという理由で離婚できる?

では、再婚したいという理由で離婚できるのでしょうか?
離婚方法について説明した上で、離婚できるのかについて説明します。

(1)配偶者の合意で協議離婚が可能

離婚方法として、まず挙げられるのが「協議離婚」です。
「協議離婚」とは、配偶者と離婚について話し合い、双方が離婚に合意することをいいます。

仮に、あなたが不倫をした立場であるなど「有責配偶者」であったとしても、配偶者の合意があれば、離婚が成立します。

厚生労働省による2021年の「人口動態調査」によれば、離婚する夫婦の約86.4%が「協議離婚」によって離婚しています。

参考:2021年度人口動態調査 離婚の種類別にみた年次別離婚件数及び百分率|e-Stat 政府統計の総合窓口

(2)協議離婚が成立しない場合

離婚について合意することができず「協議離婚」ができなかった場合には、離婚調停を申立てて「調停離婚」、離婚調停でも離婚できなければ、「裁判離婚」となります。

(2-1)調停離婚

「調停離婚」とは、家庭裁判所において、調停委員や裁判官が間に入り、夫婦双方で離婚に向けた話し合いをして、離婚することをいいます。

夫婦双方の意見を調停委員や裁判官が聞き、調整を試みます。そのため、基本的には夫婦双方が顔を合わせることなく話し合うことができます。

仮に、あなたが不倫をした立場であるなど「有責配偶者」であったとしても、調停の場で夫婦が離婚に合意すれば、離婚が成立します。

もっとも、一般的に月に1度程度、調停(話合いの場)が設けられるため、離婚が成立するまでに長期化(長いと1年以上)してしまう可能性があります。

なお、「調停離婚」で離婚する件数は、全体の1割程度になります。

(2-2)裁判離婚

「調停離婚」でも、離婚の合意に至らない場合、「裁判離婚」となります。
「裁判離婚」とは、裁判所に離婚訴訟を提起し、裁判官が離婚の判決を下して、離婚することをいいます。

「裁判離婚」は、離婚調停が不成立となっていることが前提となりますので、離婚調停を経ずに離婚訴訟を提起することはできません。

流れとしては、次のようになります。

また、「協議離婚」や「調停離婚」は、離婚事由はどのようなものでもかまいませんが、「裁判離婚」を提起するには、民法上で定められた離婚事由(不貞行為の存在など)が必要とされています(民法770条1項 ※ただし後述の通り有責配偶者からの裁判上の離婚請求は原則として認められません)。

なお、裁判離婚まで至るのは、調停離婚よりさらに少なく、調停離婚の10分の1程度になります。

離婚の方法や「裁判離婚」について詳しくはこちらをご覧ください。

離婚方法の種類とは?調停・裁判離婚の手続きと離婚成立までの流れ

(3)有責配偶者からの裁判上の離婚請求は原則、認められない

先ほどご説明したとおり、不貞行為の存在は離婚事由にあたりますが、不貞をした配偶者(「有責配偶者」)からの裁判上の離婚請求は原則として認められません。

「有責配偶者」とは、不貞行為など民法上の離婚事由に該当する行為を行い、婚姻関係が破綻する原因を主につくった配偶者のことをいいます。

そして、「有責配偶者」からの裁判上の離婚請求は原則、認められないのです。

例えば、不貞行為をした本人が、不貞行為があることを理由に離婚請求をしても、裁判所は離婚を認めないということになります(なお、有責配偶者からの離婚請求でも、配偶者が離婚に合意をした協議離婚、調停離婚、裁判上の和解による離婚は可能です)。

しかし、次のような場合には、有責配偶者からの裁判上の離婚請求であっても、離婚が認められると考えられています。

  1. 別居期間が長期間にわたること
  2. 夫婦に未成年の子がいないこと
  3. 離婚後の配偶者の生活が精神的・社会的・経済的に過酷な状況におかれないこと

参考:最大判昭和62年9月2日判決民集41巻6号1423頁│裁判所 – Courts in Japan

裁判例では、一般的に、10年以上の別居期間があれば長期であると判断していることが多いといえます。
例えば、別居期間8年余りであった事例において、長期間とはいえないと判断している判例(最判平成元年3月28日)があります。

もっとも、これらは考慮要素に過ぎず、必ずしもこの3要素を充たしていない場合であっても、婚姻関係が破綻していて関係回復の可能性がないという場合で、かつ、有責配偶者からの離婚請求が著しく社会正義に反しないといった場合には、有責配偶者からの離婚請求を認める判決もあります。

(高校2年生の子がいる事案(最判平成6年2月8日判時1505号59頁)、夫婦の同居期間22年、別居期間6年で離婚が認められた事案(東京高判平成14年6月26日判時1801号80頁))

有責配偶者からの離婚請求が認められるか否かは、離婚に至った経緯、子どもの年齢など、個別事情によって異なるため、別居期間だけで一律に判断することはできません。

すぐに再婚できない!再婚禁止期間とは?

「再婚禁止期間」の概要、「再婚禁止期間」が適用されないケースについて説明します。

(1)再婚禁止期間とは?

「再婚禁止期間」とは、離婚した日から起算して100日経過した後でなければ、再婚することができないとされる規定です(民法733条1項)。女性だけに定められているため、男性であれば、離婚後すぐに再婚することができます。
なお、以前は、再婚禁止期間は6ヶ月とされていましたが、2016年の法改正で100日に短縮されました。

また、2020年10月には女性の再婚期間の撤廃する内容を含んだ民法改正案が国会に提出され、同年12月には可決されています。
正確な施行日は未定ですが、女性の再婚禁止期間は近い将来撤廃されると考えて良いでしょう。

参考:民法等の一部を改正する法律案|法務省

(2)再婚禁止期間がある理由

女性のみに再婚禁止期間がある理由としては、女性の子どもについて扶養義務を負う父親を明確にし、子どもの権利や利益を保護するためです。

つまり、離婚後すぐに再婚して妊娠した場合、子どもの父親が前の夫、または、新しい夫どちらの可能性もあるという事態になってしまいます。そうなると、子どもの本当の父親が、養育費の負担を免れるため、自分は父親でないと主張することができてしまうなど、子どもにとって大きな不利益が生じてしまいます。そこで再婚禁止期間を設けて、どちらが父親かわからない事態を防いでいるのです。

※民法上、婚姻中に懐胎した子は夫の子と推定するとの規定があります(「嫡出推定」といいます)。また、婚姻の成立の日から200日経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものとして、夫の子と推定されます(民法772条)。

(3)再婚禁止期間が適用されないケース

再婚禁止期間が適用されないとされるのは、次のような場合です(民法733条2項)。

(3-1)女性が離婚の時に妊娠していないこと
(3-2)女性が離婚の前に妊娠し、離婚の後に出産した場合
(3-3)その他

(3-1)女性が離婚の時に妊娠していないこと

女性が離婚時に妊娠していない場合、子どもの父親がどちらかわからないという事態は生じませんので、再婚禁止期間の適用はなく、離婚後すぐに再婚することができます。

この場合、再婚する場合には、医師が作成した「民法733条第2項に該当する旨の証明書」を添付して婚姻届を提出する必要があります。

この証明書の書式は、次の法務省ウェブサイトに掲載されています。

参考:民法の一部を改正する法律(再婚禁止期間の短縮)の施行に伴う戸籍事務の取扱いについて|法務省

(3-2)女性が離婚前に妊娠し、離婚の後に出産した場合

女性が離婚前に妊娠し、離婚の後に出産した場合、その出産の日以降は、再婚禁止期間の適用はなく、離婚後すぐに再婚することができます。

出産した子どもは、婚姻中に妊娠した子どもですので、前の夫の子と推定され、法律上は、子どもの父親がわからないという事態は生じません。

この場合も、再婚する際には、医師が作成した「民法第733条第2項に該当する旨の証明書」を添付して婚姻届を提出する必要があります。

(3-3)その他

その他にも、法律上父親がわからないという事態を防ぐという目的からすれば、次のような場合も再婚禁止期間の制限はないと考えられています。

  • 子宮を全摘している、高齢であるなど妊娠することができない場合
  • 前婚と同一人物と再婚する場合
  • 前の夫が生死3年以上不明という理由で離婚判決があった場合
  • 夫の失踪宣告を受けて婚姻を解消した場合 など

「再婚禁止期間」についてさらに詳しくは、こちらをご覧ください。

再婚禁止期間とは?規定の目的や例外となるケースについて解説

【まとめ】合意があれば再婚のための離婚は可能|裁判でも一定の条件を満たせば認められるケースがある

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 不倫した側(有責配偶者)からの離婚請求でも、夫婦間の合意さえあれば離婚は可能
  • 話し合いによる離婚(協議離婚)ができなければ、離婚調停を申立て、離婚調停でも離婚に合意できなければ裁判を提起し、最終的には判決で離婚の成否を判断してもらう
  • 有責配偶者からの離婚請求は原則として認められない
  • 例外的に有責配偶者からの離婚請求が認められる条件は次の3つ
    1. 別居期間が長期間に及んでいる
    2. 夫婦に未成年の子がいない
    3. 離婚後の配偶者の生活が精神的・社会的・経済的に過酷な状況におかれない
  • 女性には再婚禁止期間があり、原則として離婚した日から起算して100日経過した後でなければ、再婚することができない

再婚のための離婚は、配偶者と話し合い、配偶者の合意が得られれば、すぐにでも離婚することができます。

しかし、あなたが不倫をして離婚の原因を作ったなどの「有責配偶者」である場合、あなたが配偶者に支払う慰謝料などについても話し合わなければならず、話し合いはさらに複雑なものになるでしょう。

また、あなたが女性である場合、離婚後の再婚には、現在100日間とされている再婚禁止期間にも注意することが必要です(女性の再婚禁止期間は近い将来撤廃される予定です)。

参考:民法等の一部を改正する法律案|法務省

再婚するために離婚したいけれども配偶者から離婚を拒否されている方や、離婚慰謝料などの離婚条件についてお悩みの方は、離婚を取り扱っている弁護士にご相談ください。

この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

※¹:2024年4月時点。拠点数は、弁護士法人アディーレ法律事務所と弁護士法人AdIre法律事務所の合計です。

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