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法律上の「5つの離婚の条件」と離婚協議書を作成する際の注意点

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「離婚するのに、何か条件って必要なの?」

夫婦双方が話し合って離婚に合意する場合は、役所に離婚届を提出すれば離婚ができます。
他方、夫婦の一方が離婚に合意しない場合には、最終的には離婚を求めて裁判をする必要があります。
そして、実は、裁判で離婚する場合は、「法律上の条件」を満たさない限り、どれだけ夫婦の一方が離婚したいと思っていても離婚はできないのです。
裁判で離婚が認められるために必要な条件のことを、「離婚事由」といいます。

今回の記事では、

  • 裁判で離婚をするために必要な条件
  • 離婚に役立つ離婚協議書

などについてご説明します。

この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

離婚できる条件と離婚の方法

まずは、離婚の種類を見てみましょう。現在、離婚の種類は次の4つです。

協議離婚

調停離婚

審判離婚

裁判離婚

「協議離婚」とは、夫婦双方が話合いで離婚する場合です。
離婚を検討している方がまず、最初に考えるのがこの協議離婚でしょう。
実際に、日本における離婚の大半を占めています。

「調停離婚」とは、話合いで離婚の合意がまとまらない時に、家庭裁判所の調停制度を利用して離婚する場合です。
調停制度とは、家庭裁判所において、お互いの言い分を調停委員に伝え、落としどころを調停委員が提案するという制度です。

「審判離婚」とは、調停でも離婚の合意がまとまらない時に、家庭裁判所が調停に代わる審判を下すことにより離婚する場合です。
審判離婚は、審判が下されてから2週間以内に当事者が異議を申立てれば効力がなくなってしまいますので、実際にはほとんど使われていません。

「裁判離婚」とは、調停離婚が成立しなかった時に、離婚を求めて訴訟を提起する場合です。

離婚を認める判決が下されると、相手が拒否したとしても、離婚をすることができます。
離婚をする場合の基本的な流れは、次のとおりです。

法律上における5つの離婚の条件

夫婦の一方が離婚を拒否する場合は、最終的には裁判離婚を目指すことになりますが、裁判離婚では、離婚を求める側が「離婚事由」(民法770条1項)の存在を立証する必要があります。

具体的な「離婚事由」は、次の5つです。

  1. 配偶者に不貞行為があったこと
  2. 配偶者から悪意の遺棄を受けたこと
  3. 配偶者の生死が3年以上不明なこと
  4. 配偶者が強度の精神病で回復の見込みがないこと
  5. その他婚姻を継続し難い重大な事由があること

離婚事由がないとどうなるのですか?

離婚事由がなければ、裁判離婚は認められません。

離婚事由があれば、裁判離婚はできますか?

離婚事由があるからと言って、必ず裁判離婚ができるわけではありません。
裁判官は、離婚事由があってもその裁量で離婚の請求を退けることができますので、婚姻関係自体が破綻していない場合には、裁判官は基本的には離婚を認めません。

それでは、それぞれの法定離婚事由についてご説明します。

(1)配偶者に不貞行為があった

不貞行為とは、配偶者以外の異性と自由な意思にもとづいて性的関係を持つことをいいます。

これは、一時的なものか、継続的なものであるかを問いません。
ただし、法定離婚事由に該当するためには、夫婦関係が破綻する前の不貞行為である必要があります。

不貞行為を原因とする離婚の場合、慰謝料の請求なども絡みますので、話合いで解決できずに調停や裁判にもつれるケースが多いです。

なお、不貞行為を原因とする裁判離婚は、基本的には不貞行為の確実な証拠がないと認められません。
浮気相手と配偶者が2人でラブホテルに出入りしている写真・動画や明らかに肉体関係があったことが直接分かるやり取りをしているメールなど、決定的な証拠を集めておくと、有利に、そして早期に交渉・調停・裁判が進むことになります。

不貞行為(浮気・不倫)の証拠がない!意外な証拠の集め方をパターン別で解説

(2)配偶者から悪意の遺棄を受けた

悪意の遺棄とは、正当な理由もなく、夫婦の義務(協力、同居、扶助義務)を果たさない場合のことをいいます。

実際の裁判で「悪意の遺棄」が認められたのは、例えば、次のような場合です。

  • 難病により視野の中心部が大きく欠損して失明に等しい状態の妻と小学生2人の子を残して実家に帰り、健康保険を使えなくさせたり、住宅ローンの支払を停止するなどした事案(東京家裁立川支部令和2年3月12日)

  • 事前説明もなく一方的に別居を開始し、関係の修復を求められても、具体的な同居に向けた協議・提案等を行うことなく、これを拒絶して別居を継続した事案(東京地裁平成29年9月29日)

  • 浮気相手との交際を目的として、配偶者の一方が関係修復を望んでいるのに一方的に別居に踏み切り、生活費の負担もしなかった事案(東京地裁平成28年3月31日)

  • 半身不随で日常生活もままならない配偶者を自宅に置き去りにして正当な理由もなく長期間別居を続け、生活費も送らなかった事案(浦和地裁昭和60年11月29日)

他方、別居をしたとはいっても、別居中も相当程度の生活費を送金している場合(東京地裁平成16年6月25日、東京地裁平成16年9月29日など)や、相手の精神状態の改善を目的として別居する場合(東京地裁平成16年6月10日)などは、単に家を出て別居しただけでは「悪意の遺棄」とは認められない可能性があります。

夫婦が同居し、協力して生活するといった、本来の婚姻倫理に反する行為になるかが判断のポイントになります。

悪意の遺棄の具体例とは?離婚の可否や慰謝料請求についても解説!

(3)生死が3年以上不明

単に連絡が取れないとか、行方不明であるとかではなく、死亡の可能性が相当程度あるような場合が該当します。
例えば、沈没した船に乗っていたり、紛争地域に行ったまま3年以上連絡がないなどの場合です。

この場合、生死が不明になった理由や、過失が問われることはありません。

(4)配偶者が強度の精神病で回復の見込みがない

強度の精神病で、夫婦間の精神的な交流ができない場合がこれにあたります。

精神病の種類は問いませんが、回復の見込みがないということが条件になります。
この条件は、他の条件に比べて本人に責任がないため、これだけでは裁判所が離婚を認められないことも多いです。
この条件に該当する場合には、離婚しても相手がちゃんと生活できる保証があるなどの事情がないと、離婚が認められない可能性があります。

(5)その他婚姻関係を継続できない重大な事由

上記以外の事由で、総合的に見て円満な夫婦関係を継続できないくらいに婚姻関係が破綻していると判断されるものがここに該当します。
例えば、長期間の別居や、暴力や虐待、病気、金銭の浪費などになります。

婚姻関係を継続できるかできないかは、さまざまな事情を総合的に考慮して、家庭裁判所が判断することになります。
その結果、家庭裁判所に、婚姻の継続を相当と認められ、離婚の請求を棄却されることもあります。

「婚姻関係の破綻」が認められやすい主なパターンを判例を交えて解説

離婚の際に夫婦間で決める主な条件

ところで、協議離婚をする場合であっても、裁判離婚をする場合であっても、夫婦が離婚をする際には、様々なこと(条件)を決めておかなければいけません。
ここでは、離婚の際に当事者間で決めるべき条件について解説していきます。

(1)子供の親権者

「親権」とは、未成年の子を育て、財産を管理し、子どもの法律行為を代理する権利のことです。
子どもは、父母の婚姻中は両親の親権に服しますが、父母が離婚した場合には、その一方が親権者となります。
子供が未成年の場合、父母のどちらが親権を持つか離婚届に記載しなければ離婚届が受理されませんので、離婚ができません。

ですから、離婚の際には、必ず父母のどちらが親権者になるか決めなければいけません。
夫婦間の話し合いで決まらない場合は、調停で決めるのが一般的ですが、調停でも決まらなければ審判や裁判で裁判所に決めてもらうことになります。

離婚調停で親権を獲得するには?

離婚調停で親権を判断するポイントは、次のようなものがあります。

  • 実際の監護状況
  • 子供への愛情
  • 収入などの経済力
  • 代わりに面倒を見てくれる人の有無
  • 親の年齢や心身の健康状態など親の監護能力
  • 在宅事情や学校関係などの生活環境
  • 子供の年齢や性別・発育状況
  • 環境の変化が子どもの生活に影響する可能性
  • 兄弟姉妹が分かれることにならないか
  • 子供本人の意思

親権獲得のためには、調停委員を味方につけること、家庭裁判所調査官の調査での受け答えなどが重要になってきます。
特に子どもが高校生以上の場合には、子どもの意思がかなり重視されます。

(2)面会交流

親権を持たない片方の親が、定期的に子供と会うのが面会交流です。
面会交流は、当事者間の話し合いで決めることになりますが、調停で申立てることも可能です。

調停手続きでは、子供の年齢、性別、性格、生活環境などを考量して、子供の意思を尊重した形で取り決めるように話合いを進めていくことになります。

(3)養育費の支払

養育費とは、衣食住の費用、教育費、医療費など子どもの監護に必要な費用のことを言います。

養育費は、親の子に対する扶養義務の一環として、離婚しようがしまいが、本来支払わなければいけない費用です。

養育費の計算方法や支払期間を紹介します。

(3-1)養育費の計算方法

養育費の金額を決めるためには、まず夫婦間で話し合いをします。
話合いがまとまらなければ、離婚調停において、支払方法なども含めて協議を持つことになります。

調停で決まらなければ、離婚審判や離婚訴訟において裁判官に決めてもらうことになりますが、調停や訴訟などで養育費を決めるには、裁判所が作成した「養育費算定表」が基準とされます。

参考:平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について│裁判所 – Courts in Japan

次のサイトでは養育費をいくらくらい受け取ることができるのか簡単にチェックすることができますので、養育費の目安を知りたい方は試してみてください。

(3-2)養育費の支払期間

養育費の支払期間は、原則として、請求した時点から子供が20歳になるまでです(※ただし、大学進学が見込まれる場合には、大学卒業が見込まれる「○年○月○日まで」や「子が22歳に達した後の3月まで」というように、支払の終期をピンポイントで特定することもできます)。

離婚時に養育費について決めないと離婚はできないんですか?

離婚時に決めておかなければいけないのは親権者なので、養育費について離婚時に決めておかなくても離婚はできます。
ただ、離婚後に養育費を請求するときは、離婚から請求時までの分を遡って請求することはできません。
また、いったん離婚をした後は、相手と連絡を取りにくくなることもありますから、離婚時に養育費についても取り決めておくことをお勧めします。

(4)慰謝料の支払

不貞行為やDVなど、違法な権利侵害行為がある場合は、慰謝料請求が可能です。

他方、離婚原因が「性格の不一致」のような場合には、基本的には慰謝料の請求はできません。

慰謝料の相場は、原因別によりさまざまですが、一般的にはおおむね50万~300万円の間であると言われています。
慰謝料を請求するためには、やはり証拠が必要です。
まずは証拠を集めてしっかりと自分の主張を固めましょう。

(5)財産分与

財産分与とは、夫婦が協力して築いた財産を公平に分配する制度のことをいいます。

財産分与は、結婚後に夫婦で築いた財産が対象です。

婚姻後の相手の給料なども基本的には財産分与の対象となります。
財産分与で損をしないためにも、どの財産が分与の対象となるのか、しっかり調べて把握しましょう。

専業主婦ですが、財産分与は受けられますか?

専業主婦の方であっても、財産分与の割合は原則として2分の1ずつと考えられています。

相手の貯金は全て2分の1分をもらえるんですか?

財産分与はあくまでも結婚した後に夫婦で築いた財産が対象です。
相手の貯金のうち、結婚後に受け取った給料分などは財産分与の対象になりますが、結婚前から貯金していた分は分与の対象とはなりません。

(6)婚姻費用

婚姻費用とは、「夫婦と未成熟の子」という家族が、その収入や財産、社会的地位に応じて、通常の社会生活を維持するために必要な生活費のことです。

離婚協議中でも、法律上は夫婦であることに変わりはありませんから、夫婦はお互いに生活を助け合う義務があります。

婚姻費用は、別居、同居に関わらず、要求する権利があります。

婚姻費用として請求できるのは、具体的には、居住費や生活費、子どもの生活費や学費といった費用になります。

本来は当事者間で話し合って決めるものですが、話し合いで決まらない場合には、家庭裁判所に調停を申立てて、調停委員を交えた話し合いにより決めていくことになります。

ただし、請求者側が不倫で婚姻関係を破綻させた場合や、同居の拒否、財産分与が済んでいる、自分に収入があるといった場合には、婚姻費用請求は認められない場合があります。

離婚協議書を作成する場合の注意点

離婚に際して夫婦で話し合って取り決めた条件は『離婚協議書』にまとめておくことをお勧めします。

『離婚協議書』の作成しなくとも離婚はできますが、合意した条件を書面に残しておくと、後から言った言わないのトラブルを防ぐことができます。

『離婚協議書』は個人で作成することができますが、執行力のある公正証書にすることをお勧めします。

公正証書にするとどんなメリットがありますか。

公正証書にした上で「強制執行認諾文言」を記載すると、公正証書で取り決めた金銭の支払がない場合には、公正証書を債務名義として相手の給料や預金などの財産を差し押さえることができるというメリットがあります。

「強制執行認諾文言」とは何ですか。

公正証書で取り決めた支払を怠った時は、直ちに強制執行をされても良いという内容の条項です。
このような条項がない場合には、たとえ公正証書で取り決めたとしても、相手の財産を差し押さえるためには改めて訴訟を提起するなどしなくてはいけなくなります。

図にすると、次のような流れになります。

公正証書とは?作成するメリットや種類・作成の手順を詳しく紹介

離婚にあたって、婚姻中に築いた財産がほとんどなく、子どももいないというようなケースでは当事者同士の話合いで離婚することも多いです。
他方、ある程度の財産があり、未成熟の子どもがいるような場合には、権利関係も複雑になりますし、場合によっては調停や訴訟に発展することも考えられますから、弁護士に相談されることをお勧めします。

【まとめ】裁判離婚の場合、離婚事由が満たされないと離婚ができない

今回の記事のまとめは、次のとおりです。

  • 協議離婚は当事者の合意があれば離婚が成立する。
  • 夫婦の一方が離婚委合意しない場合、最終的には裁判所に離婚を認めてもらう必要があるが、裁判離婚はまずは次の条件が認められなくてはいけない。
    1. 配偶者に不貞行為があった
    2. 配偶者から悪意の遺棄を受けた
    3. 生死が3年以上不明
    4. 配偶者が重度の精神病で回復の見込みがない
    5. その他婚姻できない重大な事由がある
  • 裁判離婚では、「婚姻関係が破綻しているか」どうかが重視されるため、離婚事由があっても離婚が認められないこともある
  • 離婚に際しては、次の事項の取り決めをするのが良い
    1. 未成年の子の親権者
    2. 面会交流
    3. 養育費の支払
    4. 慰謝料の支払
    5. 財産分与
    6. 婚姻費用
  • 養育費や慰謝料などの金銭の支払について「強制執行認諾文言付きの公正証書」で取り決めておけば、相手が支払を怠った時には公正証書を債務名義として、相手の給料や預金などの財産を差し押さえることができる。

離婚の条件や、離婚協議書作成でお悩みなら、離婚問題を取り扱っている弁護士にご相談ください。

この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

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