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【離婚準備リスト】離婚を切り出す前に準備しておきたい4項目

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離婚しようと決意したら、すぐさま相手との話し合いを始めた方がよいのではないかと考える方もいるかもしれません。

しかし、さしたる準備や見通しもないまま離婚に向けた協議を始めてしまうと、相手にされずなかなか話し合いが進まなかったり、離婚できたとしても不利な条件を飲まざるを得なかったりなど、疲労感や後悔が成果を大きく上回ってしまう結果にもなりかねません。

なるべく有利な条件で、早期に離婚を成立させるためには、離婚を切り出すまでの間に、可能な限り事前の準備を進めておく必要があります。

今回は事前に準備しておきたい次の4項目について、弁護士が解説いたします。

  • 離婚原因の精査
  • 離婚条件の交渉準備(財産分与、年金分割、慰謝料、親権、子の戸籍、養育費、面会交流)
  • 離婚後の生活の目処(離婚時に必要なお金、経済的自立、住まい)
  • 弁護士への相談
この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。2016年弁護士登録。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。現在、東京弁護士会所属。

(1)その理由で離婚できる?離婚原因を精査しよう

原則として、民法770条1項に列挙されている「法定離婚事由」に合致する場合を除き、配偶者同士の合意がなければに離婚を成立させることはできません。

夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
1号 配偶者に不貞な行為があったとき。
2号 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
3号 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
4号 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
5号 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

引用:民法770条1項

厚生労働省の統計によると、日本での離婚の形式は、約9割が協議離婚(当事者同士の話し合いによる離婚)によるものとなっています。

参考:平成21年度「離婚に関する統計」の概況│厚生労働省

しかし、自分が考える離婚理由に配偶者が同意してくれない(交渉が進まない、あるいはそもそも交渉の席にすらついてくれない)結果、離婚に向けた協議がまとまらない場合には、離婚調停→離婚審判→離婚訴訟へと進んでいくことになります。

当然ながら、先へ進めば進むほど、期間も費用も労力も、どんどん大きくなっていきます。

そのため、次のことを検討して、あらかじめ見通しを立てておくことが必要です。

  • 合意できる見込みがあるのか
  • 合意できなかった場合、訴訟をすれば離婚が認められるのか

「訴訟をすれば離婚が認められるか」については、ご自身で判断が難しいことも多いので、弁護士に相談するとよいでしょう。

(2)離婚条件の交渉準備をしよう

離婚する場合に、きちんと条件を定めておくべき代表的なものは以下のものです。

  • 財産分与
  • 年金分割
  • 慰謝料
  • 親権、子の戸籍
  • 養育費、面会交流

上記の中には、離婚後に取り決めすることができるものもありますが、離婚後は、より連絡が取りづらくなり、取り決めが難航しやすくなります。

そのため、離婚と同時にこれらの取り決めも終了できるように、これらの手続きについては離婚を切り出す前に準備しておくとよいでしょう。

これらの準備に関して、次に解説いたします。

(1)財産分与

財産分与とは、婚姻期間中に築いた夫婦の財産を離婚の際に分配する制度のことをいいます。
この制度については、民法768条が規定しています。

1項 協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することできる。
2項 前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、離婚の時から2年を経過したときは、この限りでない。
3項 前項の場合には、家庭裁判所は、当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びにその額及び方法を定める。

引用:民法768条

婚姻期間中に築いた財産であれば、それが共有名義であった場合はもちろん、夫婦どちらかの名義であったとしても、名義にかかわらず財産分与の対象に含まれるのが原則です。
詳しくはこちらの記事もご確認ください。

離婚時に知っておきたい財産分与とは?大切な財産を失わないための基本を解説

また、相手方の配偶者に隠し財産がある可能性もありますので、離婚を切り出す前に、配偶者名義の財産がどれくらいあるのもしっかりと把握しておきましょう。

離婚後に隠し財産があったことが分かった場合でも、隠し財産があったことを示す証拠があって、離婚後2年以内ならば(民法768条2項ただし書参照)、再度の財産分与を請求することはできます。

しかしやはり、協議段階ですべてを把握していた方が、さまざまな手間や諸費用を省くこともできるでしょう。

なお、離婚を切り出した後に財産調査をすると、財産を隠されてしまう危険性が上がってしまうため、離婚を切り出す前に財産調査するのがお勧めです。

(2)年金分割

年金分割とは、一定の条件を満たした場合に、婚姻していた期間中の夫婦の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を分割することができる制度です。

厚生年金記録の分割を受けると、分割された分の厚生年金保険料を納付したと扱われるようになります。
ただし、分割しても自身の年金受給資格期間等には算入されませんので注意しましょう。

配偶者の年金の加入状況や、分割した場合の金額シミュレーションを知りたい場合は、年金事務所に「年金分割のための情報提供請求書」を提出すると良いでしょう。
日本年金機構のウェブサイトから、書式や見本をダウンロードすることができます。

参考:離婚時に年金分割をするとき│日本年金機構

これは、請求してから回答が届くまでに1ヶ月ほどかかるため、早めに準備することをおすすめします。

まだ年金受給が開始されていない場合であれば、年金の運営主体に問い合わせると、年金受給の見込額や、受け取り方法(一時金方式か年金方式か)を教えてもらえることが多いです。

(3)慰謝料

慰謝料は、相手の加害行為(不倫であれば不貞行為)によって生じた損害である精神的苦痛を金銭に換算したもので、不法行為(民法第709条)に基づく損害賠償の一種として位置づけられます。

個別の事情によって慰謝料の金額はさまざまですが、例えば不貞行為による慰謝料であれば、おおむね数十万円~300万円程度が相場と言われています。

もっとも、そうした慰謝料の金額の相場は裁判離婚でのものです。
当事者同士の話し合いで慰謝料の金額や支払方法等を決める協議離婚においては、裁判での相場を踏まえつつ、被害者の精神的損害の大きさや、どのくらいの額であれば早期に解決できるか等を考慮して、慰謝料の金額を算出することが多いです。

慰謝料の金額は、個別の事情によって大きく変化します。
離婚理由が不貞行為(不倫・浮気)であればその内容・程度・期間などが金額に影響しますし、DV(ドメスティックバイオレンス)であった場合には、暴力や暴言の内容・程度・回数・負傷の度合いなどが金額に反映されることになります。

したがって、高額な慰謝料を獲得するには、可能な限り、良質な証拠を集めておくことが重要です。
なぜなら、慰謝料請求のような不法行為に基づく損害賠償請求訴訟では、被害者側(賠償を請求する側)が、証拠に基づいて、相手方による不法行為があったという証明をしなければならないからです。

証拠が足りないうちに離婚を切り出してしまうと、相手方配偶者は自分に不利な証拠となりそうなものを隠したり捨てたりするという行動に出てしまいます。
ですから、不貞行為やDV等、離婚の原因となった事実を証明する証拠については、事前に集めておく必要があるのです。

詳しくはこちらの記事もご確認ください。

民法709条とは?具体的な事例で損害賠償請求についてくわしく解説
有責配偶者と離婚するには?慰謝料請求や注意点について解説

(4)親権、子の戸籍

親権とは、未成年の子どもを養育する権利及び義務のことをいいます。

婚姻中は、原則として、父母が同時に、しかも共同で親権者になります(民法818条1項、3項)が、離婚後は、父母どちらかが単独で親権者となります。

離婚後にどちらが親権者になるかは、基本的には父母の話し合いによって決められます。
しかし、離婚協議や離婚調停で合意ができない場合には、一方が離婚訴訟を起こすことになり、その訴訟において、裁判所が「どちらが親権者としてふさわしいか」という判断を下すことになります(民法第819条2項)。

裁判所は、「父母側の事情」(過去及び現在の監護状況、離婚後の監護能力・監護意欲など)と、「子ども側の事情」(年齢や性別、兄弟姉妹の有無、子ども自身の意向など)を総合考慮して、親権者を決定します。

当然ながら事案によって結論は異なるわけですが、どの事案でも、根底にあるのは「どちらを親権者にすればより子どもの利益になるか」という考え方です。
裁判所の詳しい判断基準については、下記の記事が参考になります。
詳しくはこちらの記事もご確認ください。

親権とは?知っておきたい基礎知識からトラブルの対処法

親権は欲しいけれど、配偶者の同意が得られるかが不安だという場合には、専門家である弁護士に交渉の仕方などを相談すると良いでしょう。

なお、2019年度司法統計によると、離婚調停又は審判離婚となった事件は全家庭裁判所で1万8580件ありましたが、そのうちの1万7358件(約93.4%)の事案で母親が親権を得ています。

参考:司法統計│裁判所 – Courts in Japan

子の戸籍についても注意すべき点があります。

婚姻により氏を改めた夫又は妻は、離婚をすると当然に旧姓に戻ります。これを「復氏」といいます(民法767条1項)。

ただし、結婚時の氏を離婚後もそのまま名乗っていきたい場合は、離婚の日から3ヶ月以内に、戸籍法77条の2の規定に従って「離婚のときに称していた氏を称する旨の届」を出せば、離婚の際に称していた氏を名乗ることができます(同条2項)。これを「婚氏続称制度」といいます。届け出先は、夫婦の本籍地または届け出人の所在地の役所になります。

婚姻によって氏を改めた人が離婚すると、上記の婚氏続称制度を利用しない限り、当然に旧姓に戻るのはすでに説明した通りです。
一方で、父母が離婚し、親権者となった側の親が旧姓に戻ったとしても、子どもの氏は当然には変更されません。
そうすると、これからともに生きていく子どもと親権者との間で氏が異なることとなり、もろもろの不都合が生じる可能性が出てきてしまいます。

そこで、離婚によって親権者が旧姓に戻る(復氏する)場合、子どもも同じ呼び名の氏にしたければ、「子の氏の変更許可」の申立てをして、家庭裁判所の許可を得る必要があります(民法791条1項)。

氏についても、親権と同様に子ども自身の意向が重要ですから、可能であれば離婚協議に入る前に意向を確認しておくのが良いでしょう。

(5)養育費、面会交流

民法第877条1項は、「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」と、一定の親族が互いに扶養義務を負うことを定めています。

つまり、親は、直系血族である自らの子に対して扶養義務を負っています。
たとえ離婚によって親権者でなくなったとしても、その子の親でなくなったわけではありませんから、自らの子どもを扶養する義務を負うことは、離婚によっても変わりません。

親権者でなくなった方の親が、子どもに対して負う扶養義務は、最低限の生活ができるための義務(生活扶助義務)ではなく、「自分の生活を保持するのと同じ程度の生活を、扶養を受ける者にも保持させる義務」、すなわち「生活保持義務」であると解されています。

その生活保持義務の具体化が、養育費ということになります。
親権者でなくなった方の親が、生活保持義務を履行すべく、現実の監護養育をする代わりに、監護養育にかかる費用として、養育費を支払う義務を負うことになるわけです。

養育費の金額は、夫婦それぞれの収入や子どもの数、年齢などを総合的に考慮して算出されます。この算定にあたっては、簡易・迅速な算定を目的として東京・大阪の裁判官らが研究し、2003年に発表した算定表が従来から使用されてきました。
もっとも、個々の事案によって事情も異なるため、算定作業が長期間に及ぶことになったり、時代によって物価も変動するため、生活の実態に比べて養育費が低く抑えられる傾向にあったりするなど、さまざまな問題が指摘されてきました。

そこで2019年12月23日、社会情勢や実際の支出傾向を反映させた新しい算定表が裁判所から発表されました。子どもの数や年齢によってそれぞれ異なる表が用意されており、両親の年収をそれぞれ縦軸と横軸に当てはめると、交差するマスが毎月の養育費の額を示すようになっています。

参考:平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について│裁判所 – Courts in Japan

日本弁護士連合会も、これに先駆けて2018年2月に独自の養育費算定表を発表していましたが、実務においては、主に裁判所の算定表が利用されているようです。
詳しくはこちらの記事もご確認ください。

養育費の基準は?気になる相場や考えられるトラブルを解説

養育費の金額等と並んで、「面会交流」の条件も話し合いの争点となることが多い項目です。

面会交流とは、監護権を持たず、子どもと同居していない方の親が、定期的・継続的に子どもと面会をしたり交流(電話、手紙やメール等のやりとり)をしたりすることをいいます。
法律上でも、離婚に際して定める必要がある事項として挙げられているものです。

離婚で子どもと離れて暮らすことになっても、親である以上は子どもと面会交流の機会を数多く持ちたいと思うのが自然な感情でしょう。
他方で、単独親権者となって、子どもと同居しながら監護養育する側の親の中には、別れた方の親と頻繁に会うのはかえって子どもの成長によくないと主張する方もいます。
そうした感情的な対立が大きい事柄の性質上、面会交流は、子どもをめぐる紛争の中でも、とりわけ激しい争点となりやすい項目の1つといえます。

しかし、法律で定められている以上、離婚を切り出す前に自分の考えをある程度整理しておくのが理想でしょう。そして実際に離婚に向けた協議が始まった後は、子どもの幸せを第一に考え、冷静に話し合いを持つべきでしょう。

面会交流の頻度は、月1回程度となることが多いようです。
しかし、それも当事者の関係性などによって変わってくるでしょう。
協議、調停、裁判のいずれの場合も、面会交流の頻度や方法などを決める判断基準となるのは、「子どもの福祉(健全な成長)を害するか否か」です。そしてそこでは、子ども自身の意向も大きくかかわってきます。
詳しくはこちらの記事もご確認ください。

面会交流は親子の義務?取り決めておきたい条件や拒否したい・拒否されたときの対処法

(3)離婚後の生活の目処をつけよう

後先考えずに離婚に踏み切ると、離婚後の生活が立ち行かなくなる可能性があります。
離婚に踏み切る前に、離婚後の生活の目処をつけておくことをおすすめします。

(1)離婚時に必要なお金の目処

転居費用、慰謝料請求する際の証拠収集費用(調査会社に依頼する場合は高額になることが多い)等、離婚に際してはまとまったお金が必要になります。

現在の自分の預貯金に余裕があったとしても、離婚するにあたって必要なお金の目処をつけることで、離婚後の生活への支障の有無を見積もっておくことができます。

(2)経済的自立の目処

離婚後の生活の収支を見積もり、経済的に自立した生活を送っていけるか、公的支援を受けないといけないか等の目処をつけておきましょう。
以下のサイトなどを参考に、自分が受けられる公的支援などの制度について、あらかじめリサーチしておきましょう。

離婚後の家計を見積もるには、裁判所のウェブサイトからダウンロードできる「家計収支表」を使うのもよいでしょう。
本来は自己破産を申立てる際に使用するひな型で、形式は各地の裁判所によって異なりますが、一般的な収支項目が網羅されており、項目漏れを防止できます。

(3)住まいの目処

離婚したら実家に戻りたいと思っていても、実家の家族から受け入れられなかったり、実家の状況等によっては戻ることが難しかったりするケースもあります。

いざ離婚したときに住む場所に困らないよう、現実的な住まいの目処をつけておくことが必要です。

(4)弁護士に相談しよう

離婚に必要な準備事項は人によって異なります。
子どもの有無や、夫婦双方の収入状況、住宅ローンの組み方等、準備が必要なこと、ものを決める要素にはさまざまなものがあるからです。

準備不足や対応漏れのせいで、離婚協議でトラブルになったり、離婚後に後悔したりしないよう、離婚に踏み切る決意を固めた時点で、離婚に向けて必要な準備や、離婚手続きについての全体像を把握しておくことが重要です。

ですので、家を出たり、配偶者に離婚を切り出したりするといった、離婚に向けた実際の行動に踏み出す前の段階で、離婚問題に詳しい弁護士に相談しておくことをおすすめします。

【まとめ】スムーズな離婚成立については弁護士にご相談ください

スムーズに離婚を成立させるためには、配偶者に離婚を切り出す前に、離婚準備や離婚手続きの全体像を把握しておくことが重要です。

法務知識や離婚条件の交渉に関するノウハウ等がないと、準備不足や対応漏れが理由となって、離婚協議でトラブルになったり離婚後に後悔したりする可能性があります。

離婚成立に向けた話し合いを少しでもスムーズに進めたいとお考えの方は、相手に離婚を切り出す前に、弁護士にご相談ください。

この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。2016年弁護士登録。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。現在、東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

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