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労働者が押さえておきたい労働条件(雇用条件)の基礎知識を解説

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働こうとする人が求人の募集に応募する場合には、労働条件(雇用条件)を応募前に必ず確認するものでしょう。

条件が合わなければそもそも働くことができませんし、労働者としては、求人が複数あれば可能な限りよりよい条件の会社に応募したいと思うものだからです。

しかし、いざ会社に入って働きだしてみると、「こんなはずじゃなかった……」という誤算が生じるようなケースは珍しくありません。

今回は、労働条件(雇用条件)に関する基本的な知識について、条件をめぐるトラブルへの対処法なども含め、解説していきます。

この記事の監修弁護士
弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、2006年弁護士登録。アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。現在、東京弁護士会所属。

労働条件(雇用条件)についての基礎知識

まずは労働条件に関する基本的な事項について説明していきましょう。

(1)採用時には労働条件(雇用条件)の明示が必要

会社に採用され、入社が決まるということは、法的に見ると、会社と労働者の間で労働契約(雇用契約)が成立するということです。

そして、会社が労働者と労働契約(雇用契約)を結ぶ際には、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならないとされています(労働基準法15条1項)。

1項 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
2項 前項の規定によって明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
3項 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から14日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。

引用:労働基準法15条

(2)労働条件(雇用条件)は労働条件通知書に記載されている

労働条件を労働者に明示するための書面として、「労働条件通知書」と呼ばれるもものがあります。
これは、法的な名称ではなく、慣習的にそう呼ばれてきたものになります。

そうした書面にて明示しなければならない労働条件は、絶対的明示事項(必ず書面で交付しなければならないもの)と相対的明示事項(書面にせず口頭でもよいもの)とがあります(労働基準法15条、労働基準法施行規則5条1項)。

書面の交付による明示事項としては、以下のものがあります。

  1. 労働契約の期間
  2. 就業の場所・従事する業務の内容
  3. 始業・終業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、交代制勤務をさせる場合は就業時転換に関する事項
  4. 賃金の決定・計算・支払いの方法、賃金の締め切り・支払いの時期に関する事項
  5. 退職に関する事項(解雇の事由を含む)

口頭の明示でもよい事項は、以下のようなものとされています。

  1. 昇給に関する事項
  2. 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算・支払いの方法、支払いの時期に関する事項
  3. 臨時に支払われる賃金・賞与などに関する事項
  4. 労働者に負担させる食費・作業用品その他に関する事項
  5. 安全衛生に関する事項
  6. 職業訓練に関する事項
  7. 災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項
  8. 表彰、制裁に関する事項
  9. 休職に関する事項

参考:採用時に労働条件を明示しなければならないと聞きました。具体的には何を明示すればよいのでしょうか。|厚生労働省

なお、使用者及び労働者は、労働契約の内容を、できるだけ書面にて確認することが求められます(労働契約法第4条)。これは、契約締結時の労働条件の明示について労基法15条が存在しますが、事後に労働条件が変更された場合も含め、より広く書面による確認を求めるものです。

1項 使用者は、労働者に提示する労働条件及び労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにするものとする。
2項 労働者及び使用者は、労働契約の内容(期間の定めのある労働契約に関する事項を含む。)について、できる限り書面により確認するものとする。

引用:労働契約法4条

(3)労働条件通知書の発行対象者

使用者は、正社員のみならず、パートやアルバイト、派遣などの形態で働く労働者に対しても、労働条件を通知しなければなりません。

雇用形態によっては、上記の条件(2で記したもの)に加えて、それぞれ以下のような労働条件を明示すべきものと定められています。

  • パートやアルバイトなどの短時間労働者:昇給、退職手当、賞与の有無、雇用管理の改善等に係る相談窓口
  • 期間の定めがある契約労働者:契約期間が終わった後の契約更新に関する内容(自動的に更新する、更新する場合がありえる、契約更新をしない、など)
  • 派遣労働者:経験や能力などを考慮した賃金見込額や社会保険などの加入といった待遇に関する事項、会社概要などの事業運営に関する事項、労働者派遣制度の概要

(4)労働条件通知書と雇用契約書の違い

労働条件通知書と併せて、雇用契約書が渡されることも多いでしょう。
雇用契約書は、会社と労働者の間で雇用契約を交わすにあたって作成される契約書になります。

民法の規定上、書面でなく口頭でも両者が内容に合意していれば契約は成立するので、雇用契約書を交わすことは会社の義務ではありません。
ただし、のちに双方の認識の相違によってトラブルが起こるのを防ぐために、多くの会社が雇用契約書を作成しています。

一方で、労働条件通知書については、作成及び労働者への交付が会社の義務となっています。

労働条件(雇用条件)に関して発生しうるトラブル

労働条件(雇用条件)に関する代表的なトラブルとして、以下で4つのケースを紹介します。

(1)労働条件通知書の条件が実態と異なる

会社から明示された賃金や労働時間などの労働条件が事実と違っている場合、労働者は即時に雇用契約を解除することができます(労働基準法15条2項)。

このケースで、就業のために引っ越した労働者が契約解除の日から14日以内に帰郷する場合、必要な旅費を会社が負担しなければなりません(労働基準法第15条第3項)。

(2)求人票の条件が労働条件通知書の条件と異なる

求人票に記載する労働条件はあくまで「見込み」であり、求人票の労働条件が労働条件通知書の条件と異なるだけでは違法とはいえません。

また、求人票の労働条件がただちに実際の労働契約の内容となるわけでもありません。

ただし、採用面接や入社前の話し合いで、労働者(応募者)と会社が合意の上で求人票の労働条件を変更したと認められるような事情がない場合は、求人票の労働条件が確定したものになると考えられます。

なお、虚偽の条件を提示して、ハローワークや職業紹介事業者に求人の申し込みをした者(会社など)には、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられてしまいます(職業安定法65条9号)。

(3)労働条件(雇用条件)が労働基準法などの法令に違反している

労働条件は、労働基準法などの労働関係法令に違反したものや、労働関係法令に定められた基準を満たさないものであってはなりません。

労働関係法令に違反していたり、労働関係法令の基準を満たしていなかったりするような労働条件は無効となりますので、そうした条件に従う必要はありません。
無効となった部分は、労働基準法などの定める基準に置き換えられて適用されることになります。

(4)そもそも労働条件(雇用条件)が通知されていない

労働条件の締結にあたって労働条件が明示されなかった場合でも、その労働契約自体は有効に成立します。

ただし、会社が労働条件を明示しなかった場合、会社には30万円以下の罰金が科せられます(労働基準法120条)。

労働条件(雇用条件)のトラブルに対処する方法

それでは、労働条件(雇用条件)のトラブルに対処する方法について、紹介していきましょう。

(1)労働基準監督署などの公的機関に相談する

労働条件については、公的機関の窓口に相談することが可能です。

相談先としては、まず第1に、労働基準監督署が挙げられます。
労働基準監督署は、賃金や残業代が支払われなかったり、長時間労働、不当解雇などが法令に違反していたりするような場合などについて、労働者が相談したいときに利用できます。
会社が労働基準法などに違反している場合には、労働基準監督署は会社に是正指導や勧告をすることが可能です。

参考:都道府県労働局(労働基準監督署、公共職業安定所)所在地一覧|厚生労働省

他にも、相談先としては「総合労働相談コーナー」があります。
法令に直接違反しない労働条件変更や解雇などの問題を相談したいときに利用できます。
労働問題について相談したいものの、どの分野に該当するかわからないときにも利用が可能です。
各都道府県にある労働局や全国の労働基準監督署内などに、379ヶ所設けられています。

参考:総合労働相談コーナーのご案内|厚生労働省

また、「労働条件相談ほっとライン」では、労働条件についての電話相談を無料で受け付けています。
違法な時間外労働、過重労働による健康障害、賃金不払残業などの問題について、専門知識を持つ相談員が、相談対応や各関係機関の紹介などを行っています。

  • 電話番号は0120-811-610となっています(平日の17〜22時、土・日・祝日の9〜21時に電話相談可能。年末年始除く)。

参考:労働条件相談「ほっとライン」に相談してみよう!|厚生労働省

(2)弁護士に相談する

公的機関に相談してもトラブルの解決が難しい場合、弁護士に相談するという手段もあります。

労働基準監督署などの公的機関は、会社が労働基準法などに違反しているという証拠がないと動いてくれないことが多いですが、弁護士は証拠がなくても相談に乗ってくれます。

「労働条件ではそう決まっているから」などという理由で本来支払われるべき賃金が支払われない場合には、その分を会社に請求することも可能ですが、そういった場合、弁護士に請求を依頼するとスムーズかつ正確に手続きが進みます。

もちろん証拠は、あるに越したことはありません。
問題が発展し、裁判になった場合には、証拠の有無で結論が分かれることもあります。
弁護士に早めに相談することで、必要な証拠を整理することができますし、また事案に即したアドバイスも期待できます。

相談料が無料の法律事務所もありますので、気軽に相談するとよいでしょう。

【まとめ】労働条件(雇用条件)で悩んでいる方は早めの相談を検討しましょう

労働条件は、会社が労働者を採用するにあたって必ず労働者に明示しなければならないものです。

また、労働基準法などの法令に違反していたり、法令の基準を満たしていなかったりするような内容の労働条件は無効となります。

労働条件に書いてあるからといって違法な残業をさせられていたり、採用・入社の際に示された労働条件と実態との間に相違があったりするなど、労働条件に関して何か問題が起こっている場合は、労働基準監督署などの公的機関や弁護士などに、なるべく早めに相談するとよいでしょう。

この記事の監修弁護士
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※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

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