B型肝炎給付金の請求に必要な書類は?受給までの流れも解説

  • 作成日

    作成日

    2023/05/30

  • 更新日

    更新日

    2023/05/26

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B型肝炎給付金の請求に必要な書類は?受給までの流れも解説
「B型肝炎給付金を受給したいけれど、受給するためには、どのような書類を提出する必要があるんだろうか。」
B型肝炎給付金を受給するためには、所定の要件を満たすことを証明するための証拠を裁判で提出する必要があります。
証拠として提出しなければならない資料は、血液検査結果の原データや医療記録など様々であり、また、一次感染者と二次感染者によっても異なります。
本記事では、
  • B型肝炎給付金の請求に必要な書類
  • 受給までの流れ
などについて弁護士が解説します。

B型肝炎給付金の概要

B型肝炎給付金とは、幼少期に受けた集団予防接種等によってB型肝炎ウイルスに感染してしまった方を救済するために、国から支払われる給付金です。
ここでは、制度の概要や、対象となる人について解説します。

(1)制度の概要

B型肝炎ウイルスの持続感染者は110万人以上とされ、そのうち最大40万人以上が幼少期に受けた集団予防接種等における注射器の連続使用が原因とされています。
B型肝炎訴訟とは、このような注射器の連続使用によってB型肝炎ウイルスに感染してしまった方が、国にその賠償を求める訴訟です。この訴訟の中で、国との間で裁判上の和解が成立した場合、給付金を受け取ることができます。
B型肝炎訴訟で受け取ることができる給付金の額は、
  • 病態の種類
  • 20年の除斥期間等の経過の有無
によって異なります。
なお、除斥期間等の起算点は、無症候性キャリアの方についてはB型肝炎ウイルスに感染したときから20年、それ以外の方については対象となる病態を発症したときから20年です。

死亡・肝がん・肝硬変(重度) 除斥期間等が経過していない方 3600万円
除斥期間等が経過している方 900万円
肝硬変(軽度) 除斥期間等が経過していない方 2500万円
除斥期間等が経過している方のうち、現に治療を受けている方等 600万円
除斥期間等が経過している方で、上記以外の方 300万円
慢性肝炎 除斥期間等が経過していない方 1250万円
除斥期間等が経過していない方で、現に治療を受けている方等 300万円
除斥期間等が経過していない方で、上記以外の方 150万円
無症候性キャリア 除斥期間等が経過していない方 600万円
除斥期間等が経過している方 50万円+定期検査費の支給等の政策対応
なお、B型肝炎給付金について、弁護士に依頼された場合、この表の給付金額とは別に、給付金の4%が訴訟手当金として給付されます。

(2)対象となる人

B型肝炎訴訟給付金の対象となる人は、満7歳となる誕生日の前日までの間で、かつ、1948年7月1日~1988年1月27日までの間に、集団予防接種等を受け、これによって、B型肝炎ウイルスに持続感染してしまった方(このような方を「一次感染者」といいます)です。
また、一次感染者から母子感染または父子感染し、持続感染に至った二次感染者も対象になります。さらに、二次感染者から母子感染または父子感染し、持続感染に至った三次感染者も対象になり得ます。

B型肝炎給付金の請求に必要な書類:一次感染者の場合

一次感染者としてB型肝炎給付金を受給するためには、次の要件を満たす必要があります。

・B型肝炎ウイルスに持続感染していること

・満7歳となる誕生日の前日までに集団予防接種等(※)を受けていること

・集団予防接種等における注射器の連続使用があったこと

・母子感染でないこと

・その他集団予防接種等以外の感染原因がないこと

  • 「集団予防接種等」とは、集団接種の方法で実施された予防接種およびツベルクリン反応検査を指します。B型肝炎訴訟では、これらの要件を満たしていることを証明するための証拠を提出する必要があります。

(1)B型肝炎ウイルスに持続感染していることを示す書類

B型肝炎給付金を受給するためには、一過性感染ではなく、B型肝炎ウイルスに持続感染していることが必要となります。
この持続感染を証明するためには、原則として血液検査結果が必要となり、具体的には次のいずれかの血液検査結果が必要となります。

1. 6ヶ月以上の間隔を空けた2時点における次の検査結果のいずれか

ア HBs抗原陽性

イ HBV-DNA陽性

ウ HBe抗原陽性

2. HBc抗体高力価陽性

(2)満7歳となる誕生日の前日までに集団予防接種等を受けたことを示す書類

予防接種
2006年の最高裁判決では、持続感染化するのは、原則として6歳ころまでにB型肝炎ウイルスに感染した場合であるとされました。したがって、集団予防接種等を満7歳となる誕生日の前日まで受けていることが要件となります。

この要件を証明するためには、原則として、次のアイウのいずれかの資料か必要となります。

ア 母子健康手帳

イ 予防接種台帳

ウ 母子健康手帳、予防接種台帳を提出できない場合には

•陳述書

•接種痕意見書

•住民票または戸籍の附票等

(3)集団予防接種等で注射器の連続使用があったこと

国が責任を負うのは、予防接種法の施行日である1948年7月1日から、注射筒の一人ごとの取り替えが指導された1988年1月27日までの間になされた集団予防接種等における注射器の連続使用についてです。
そして、この期間内に実施された集団予防接種等については、特段の事情がない限り、注射器の連続使用が行われていたものと推認されます。

そのため、この期間内に集団予防接種等を受けていることが要件となります。この要件を証明するための資料は、満7歳となる誕生日の前日までに集団予防接種等を受けたことを証明するために用いた資料が何かによって異なり、次のアとイのいずれかの資料が必要になります。
ア 母子健康手帳または予防接種台帳によって満7歳となる誕生日の前日までに集団予防接種等を受けたことを証明する場合は、接種日が1948年7月1日~1988年までの間であることが記載された母子手帳または予防接種台帳
イ 陳述書等によって満7歳となる誕生日の前日までに集団予防接種等を受けたことを証明する場合には、戸籍(1941年7月2日~1988年1月27日までの間に出生していることが必要になります)

(4)母子感染ではないことを示す書類

母子感染
持続感染の最も有力な原因は母子感染です。そのため、母子感染ではないことが要件となります。
母子感染でないことを証明するための資料として、原則として、次のような資料が必要となります。

ア 母親の血液検査結果

母親が生存している場合には、HBs抗原陰性、かつ、HBc抗体陰性または低力化陽性

母親が死亡している場合には、80歳未満のHBs抗原陰性の検査結果のみでも可

イ 母親が死亡しており、母親の生前の検査結果が残存しない場合、年長のきょうだいの血液検査結果(HBs抗原陰性、かつ、HBc抗体陰性または低力価陽性)

(5)集団予防接種等以外の感染原因がないことを示す書類

集団予防接種等や母子感染以外にもB型肝炎ウイルスに感染する原因には様々なものがありますが、そのような他の感染原因がないことも要件となります。
次の資料が必要となります。
ア カルテ等の医療記録
イ 父親のHBs抗原陰性の検査結果(父親がB型肝炎ウイルスの持続感染者である場合には、父子の塩基配列比較検査結果)
ウ ジェノタイプAeに感染しているのではないことを確認するための資料

(6)病態を示す書類(無症候性キャリアの場合は不要)

前記したとおり、給付金額は、病態の種類によって異なります。
そのため、無症候性キャリア以外の発症者の方は、病態判断のために、病態を発症したこととその病態がB型肝炎ウイルスを原因とするものであることを示す書類を提出する必要があります。
具体的には、カルテや検査結果等の医療記録、病態診断書などを提出します。

特に重要なのは、カルテ等に記載された医師の診断内容やその診断内容の裏付けとなる各種検査結果です。各種検査結果は、血液検査結果や画像検査結果、病理組織検査結果などです。また、死亡の場合は、死亡診断書も重要な資料になります。

病態診断書は、B型肝炎訴訟で用いるために用意された特別な診断書です。肝疾患診療連携拠点病院または肝疾患専門医療機関(肝がんの場合には、これらに加えて、がん診療連携拠点病院)にて作成されたものである必要があります。

B型肝炎給付金の請求に必要な書類:二次感染者(母子感染)の場合

二次感染者(母子感染)としてB型肝炎給付金を受給するためには次の要件を満たす必要があります。

・母親が一次感染者の要件を全て満たしていること

・B型肝炎ウイルスに持続感染していること

次のアイウのいずれかから、二次感染者の感染原因が母子感染であるといえること

ア:母子のB型肝炎ウイルスの塩基配列が同定されていること

イ:出生直後の時点でB型肝炎ウイルスに持続感染していたことを明らかにできること

ウ:父子感染等の母子感染以外の感染原因がないこと

一次感染者と同様、B型肝炎訴訟では、これらの要件を満たしていることを証明するための証拠を提出する必要があります。

(1)母親が一次感染者の要件を満たすことを示す書類

『B型肝炎給付金の請求に必要な書類:一次感染者の場合』で挙げた資料を提出する必要があります(『(5)病態を示す書類』は不要)。

(2)本人がB型肝炎ウイルスに持続感染していることを示す書類

二次感染者の場合も、一次感染者の場合と同様、一過性感染ではなく持続感染であることが求められます。
必要資料についても一次感染者と同じです。

1.6ヶ月以上の間隔を空けた2時点における次の検査結果のいずれか

 ア HBs抗原陽性

 イ HBV-DNA陽性

 ウ HBe抗原陽性

2.HBc抗体高力価陽性

(3)母子感染であることを示す書類

母子感染した二次感染者としてB型肝炎給付金を受給するためには、母子感染であることという要件を満たす必要があります。
母子感染であることという要件は、
ア:母子のB型肝炎ウイルスの塩基配列が同定されていること
イ:出生直後の時点でB型肝炎ウイルスに感染していること
ウ:父子感染等の母子感染以外の感染原因がないこと
のいずれかが認められることによって満たされます。
アについては、母子の塩基配列比較検査結果によって証明することが可能です。
イについては、本人や母の医療記録や母子手帳の記載等から証明できる場合があります。
ウについては、カルテ等の医療記録、父親の血液検査結果(父親が持続感染者であった場合は、父子の塩基配列比較検査結果)、ジェノタイプ検査結果等によって証明可能です。

(4)本人の病態や死因を示す書類(無症候性キャリアの場合は不要)

一次感染者と同様、発症者の場合は、医療記録や病態診断書等の病態を示す書類が必要となります。

B型肝炎給付金を受給するまでの流れ

B型肝炎給付金を受給するまでのおおまかな流れは次のようになります。
B型肝炎給付金を受給するまでの流れ
これがB型肝炎給付金を受給するまでのおおまかな流れですが、このプロセスのうち最も重要なのは、裁判に提出するための資料収集の場面です。
必要資料を自分自身で収集することも不可能ではありませんが、血液検査については検査項目や場合によっては検査方法に指定がありますし、役所や医療機関等の様々な場所に問い合わせをする必要があります。

また、提出するべき資料としてカルテが求められていることとの関係上、カルテの中身をチェックし、他の医療機関への通院歴が見つかった場合には、その医療機関からカルテを開示してもらった上で、再度カルテの中身をチェックするという作業も行わなければなりません。
さらに、他原因による感染を疑わせるような記載がないか等をカルテからチェックする必要もあり、この作業には医学的な専門知識も必要となってきます。カルテの量が相当な量に及ぶ場合もあり、その場合にはカルテチェックに膨大な時間を費やす必要がでてくることも稀ではありません。

このように、B型肝炎給付金を受給するため個人で手続きを進めることには、多大な労力を要します。これに対して、B型肝炎訴訟の経験のある弁護士に依頼すれば、資料集めやそのチェックについて専門のサポートがあり、訴訟提起までが非常にスムーズとなります。

このような事情から、B型肝炎給付金を受給しようとお考えの方は、個人でB型肝炎訴訟の手続きを進めるよりも、弁護士に相談する方がよいでしょう。

【まとめ】B型肝炎給付金を受給するためには、血液検査結果やカルテ等の医療記録などの資料が必要となる

本記事をまとめると次のようになります。
  • B型肝炎訴訟給付金とは、幼少期に受けた集団予防接種等によってB型肝炎ウイルスに持続感染してしまった方が、国に対してその賠償を求める訴訟を提起し、その中で国との間で裁判上の和解を成立させた場合に受給することができる給付金をいう。
  • B型肝炎訴訟給付金を受給するためには、所定の要件を満たすことを証明するための資料を裁判上で提出する必要がある。
  • B型肝炎給付金を受給するまでのおおまかな流れとしては、『資料収集→国賠訴訟の提起→裁判上の和解の成立→支払基金への請求』であり、手続きをスムーズに進めるため、弁護士に依頼するのがおススメ
アディーレ法律事務所では、B型肝炎に悩まれている方を一人でも多く救いたいという思いから、B型肝炎給付金の受給をお考えの方のご相談をお待ちしております。
アディーレ法律事務所はB型肝炎訴訟の資料収集の代行から、B型肝炎訴訟、同給付金の申請まで全て代わりに行います。
(※)母子手帳など、弁護士では収集できない一部資料を除きます。
また、アディーレ法律事務所では、B型肝炎訴訟・給付金請求に関し、着手金、相談料はいただいておらず、原則として報酬は給付金受け取り後の後払いとなっております。
そのため、当該事件についてアディーレ法律事務所にご依頼いただく場合、原則としてあらかじめ弁護士費用をご用意いただく必要はありません。
さらに、弁護士に依頼して、B型肝炎訴訟で和解した場合には、国から弁護士費用の一部として、訴訟手当金(給付金の4%)が支給されます。
B型肝炎訴訟・給付金請求に関しては、アディーレ法律事務所にご相談ください。

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この記事の監修弁護士

香川大学、早稲田大学大学院、及び広島修道大学法科大学院卒。2017年よりB型肝炎部門の統括者。また、2019年よりアスベスト(石綿)訴訟の統括者も兼任。被害を受けた方々に寄り添うことを第一とし、「身近な」法律事務所であり続けられるよう奮闘している。東京弁護士会所属。

大西 亜希子の顔写真
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