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休日出勤の定義と割増賃金が発生するケースを解説

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リーガライフラボ

「休日出勤」とは、労働義務のない休みの日に労働することです。
この休日出勤した日が「法定休日」なのか、「所定休日」なのかによって、割増賃金の取り扱いが異なります。
また、「振替休日」をとったのか「代休」をとったのかによっても、割増賃金の取り扱いが異なります。
そのため法定休日と所定休日、振替休日、代休のそれぞれの区別が重要となります。
この記事では、休日出勤とは何か、休日の種類ごとの割増賃金の取り扱いの違いについて弁護士がわかりやすく解説いたします。

この記事の監修弁護士
弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。東京弁護士会所属。

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休日出勤とは?

「休日出勤」とは、勤め先が休日と定めた日(労働義務のない日)に労働することです。
休日出勤には「割増賃金」という、基本給より高い賃金が支払われることがあります。

休日の種類によっては割増賃金が発生しなかったり、同じ休日出勤でも割増率が変わったりすることがあります。

休日出勤の対象となる休日の定義

「休日」とは労働者の労働義務が発生しない日のことをいいます。
休日には、次の2種類があり、これらが休日出勤の対象となります。

  • 法定休日
  • 所定休日(法定外休日)

この2種類の休日の内容について解説いたします。

(1)法定休日

「法定休日」とは、労働基準法によって必ず設けなければならない休日のことです。
原則として、雇用者は週に1日の法定休日を労働者に与える必要があります。

なお、会社によっては、「変形週休制」をとっているところもあります。これは、特定の4週間を通じて4日以上の法定休日を与えればよいというものです(労働基準法35条2項)。
そのため、変形週休制を取る会社では週に1回法定休日があるとは限りません。

(2)所定休日(法定外休日)

「所定休日」とは、雇用者が任意で労働者に与える休日のことで、法定休日以外の休日のことをいいます。
所定休日を定めるかは任意ですので、所定休日のない会社もあります。

(例)

  • 週休2日制の会社であればいずれか1日が法定休日
  • 会社の創立記念日(法定休日と重複する日を除く)
  • お盆や正月時の全社休業日(法定休日と重複する日を除く)

休日出勤に発生する割増賃金

休日出勤や、その他の一定の残業には、法律上、割増賃金が義務付けられます。
なお、管理監督者など一部の方は、休日に関する労働基準法の規制が適用されないため、休日出勤をしても法律上の割増賃金は発生しません。

割増賃金の計算方法は次の通りです。

割増賃金=1時間あたりの基礎賃金×法定時間外労働の時間数(※)×割増率

※時間外労働、休日労働(法定休日の労働)、深夜労働の時間数のことをいいます。

【割増率一覧表】

割増率は次の通りです。
法定休日の休日出勤か、所定休日の休日出勤であるかによって、割増率が異なります。

※管理監督者など、一部の方は、全部または一部の割増賃金(深夜労働に割増賃金を除く)の規定が適用されません。

残業の種類割増賃金が発生する条件(※1)最低限度の割増率
時間外労働1日8時間・週40時間のいずれかを超えて労働(※2)。
所定休日の労働時間も含む。法定休日の労働時間は含まず)
時間外労働が月60時間までの部分1.25倍
時間外労働が月60時間を超えた部分1.5倍(※3)
深夜労働22~5時の間の労働1.25倍
休日労働法定休日の労働1.35倍
重複する部分時間外労働が0時間を超えて月60時間までの部分と、深夜労働が重複する部分1.5倍
時間外労働が月60時間を超えた部分と、深夜労働が重複する部分1.75倍(※4)
法定休日に深夜労働した部分1.6倍
※1 残業時間として認められるためには、「会社の指示によって労働させられた」ことが必要です。
※2 時間外労働の例外
常時10人未満の労働者を使用する商業、映画・演劇業(映画の製作は除く)、保険衛生業、接客業については、週44時間を超えた労働
※3 次に該当する企業(中小企業、以下同じ)は、2023年3月末までは、最低の割増率は1.25倍となります。
・小売業:資本金5000万円以下または常時使用する労働者が50人以下
・サービス業:資本金5000万円以下または常時使用する労働者が100人以下
・卸売業:資本金1億円以下または常時使用する労働者が100人以下
・その他:資本金3億円以下または常時使用する労働者が300人以下
※4 中小企業では2023年3月末までは、最低の割増率は1.5倍となります。

次に、休日出勤に割増賃金が発生するケースについて解説いたします。

(1)法定休日出勤の場合

法定休日に休日出勤した場合、割増賃金は1.35倍以上となります。
(例)
月~金8時間勤務・土日休み(土曜:所定休日 日曜:法定休日)
日曜日(法定休日)10~15時まで休日出勤
基礎賃金1600円

この場合、休日労働となるため、割増率は1.35以上です。

割増賃金は、
1600円×5時間×1.35=1万800円
以上となります。

(2)所定休日出勤の場合

所定休日に休日出勤した場合、時間外労働として労働時間がカウントされます。
他の時間外労働の時間と、所定休日に休日出勤した時間を合算して、原則1日8時間または1週40時間(特定の事業では1週44時間)を超えると割増賃金が発生します。
また、所定休日に休日出勤した時間帯が、22~5時の間の場合、深夜労働となり、深夜労働の割増率となります。
他方で、「他の時間外労働の時間」+「所定休日に休日出勤の時間」が1日8時間・1週40時間(特定の事業では1週44時間)以下であり、深夜労働にもならない場合には、原則として割増賃金は発生しません。

(例1)
月~金の各日8時間(週40時間)勤務・土日休み(土曜:所定休日 日曜:法定休日)
土曜日(所定休日)10~15時まで休日出勤
基礎賃金1600円
※1週の法定労働時間が40時間となる会社の場合

この場合、月~金で1日8時間、週40時間労働しているため、土曜日の休日出勤は時間外労働となります。

割増賃金は、
1600円×5時間×1.25=1万円
以上となります。

(例2)
月水金の各日8時間(週24時間)勤務・火木土日休み(火木土:所定休日 日曜:法定休日)
土曜日(所定休日)22~23時まで休日出勤
基礎賃金1600円
※1週の法定労働時間が40時間となる会社の場合

この土曜日の休日出勤は深夜労働となります。
1日8時間または週40時間を超えては働いていないので、土曜日の休日出勤に対する割増率は深夜労働の1.25のみとなります。

この場合、割増賃金は、
1600円×1時間×1.25=2000円
以上となります。

※土曜日の22~23時までの勤務は、時間外労働ではなく(1日8時間超過もなく、週40時間超過もない)、いわゆる法内残業(週40時間以内でありますが、所定労働時間を超過した勤務)に該当するため、時間外労働における割増率を乗じた賃金の支払いは不要でありますが、1時間あたりの基礎賃金たる1600円の支払いは必要であると考えられております。
そして、深夜の時間帯の勤務であるため、1時間あたりの基礎賃金に深夜労働における割増率を乗じた賃金の支払いが必要となることから、1時間あたりの基礎賃金たる1600円に1.25倍の割増率を乗じた2000円が割増賃金となります。
なお、仮に土曜日の22~23時までの勤務が、例えば週40時間を超過する時間外労働となりますと、1時間あたりの基礎時給たる1600円に1.5倍の割増率(時間外労働と深夜労働が重複するため)で乗じた2400円が割増賃金となります。

(例3)
月水金の各日8時間(週24時間)勤務・火木土日休み(火木土:所定休日 日曜:法定休日)
土曜日(所定休日)10~15時まで休日出勤
基礎賃金1600円
※1週の法定労働時間が40時間となる会社の場合

1日8時間または週40時間を超えてはおらず、また深夜労働にもあたらないため、土曜日の休日出勤に対しては、割増賃金は発生しません(社内で特別なルールがない限り、雇用主には、定時内の労働と同じ賃金の支払い義務しか発生しません)。

(3)振替休日を設定する場合

休日出勤する代わりに、別の出勤日をあらかじめ休日(振替休日)に設定する場合、元の休日が法定休日であったとしても、休日労働の割増賃金は発生しません。

(例)
日曜(法定休日)に出勤することになったので、あらかじめ次週の水曜日は振替休日とする場合

この場合、元は法定休日である日曜に休日出勤しても、休日労働の割増賃金は発生しません。

(4)振替休日が決まっていない休日出勤の場合

休日出勤することになったものの、別の出勤日があらかじめ休日に設定されておらず、休日出勤した日が、法定休日と定められていた場合には、休日労働として割増賃金が発生します。

(例)
先週の日曜(法定休日)に出勤したが、いずれの出勤日を休日とするのか決まっていないため、来月の平日に代休を取得したい場合

この場合、日曜日の法定休日に休日出勤したことにより休日労働としての割増賃金が発します。

休日出勤に関するトラブル事例

次に、休日出勤が絡んだトラブル事例を以下で解説いたします。

(1)休日出勤の割増賃金が少ない

休日出勤の割増賃金の計算が間違っており、賃金が少なく支払われるというトラブルが生じることがあります。
例えば、法定休日に休日出勤した分の割増賃金が、時間外労働の割増賃金として計算されているため、割増賃金の未払いが発生していることがあります。

これは、雇用主が休日出勤について正しく理解していないことが原因の一つとして考えられます。

この場合、割増賃金の未払い分を会社に請求する必要があります。
ご自身での交渉が難しい場合は、労働トラブルに強い弁護士に相談することをお勧めします。

(2)休日出勤しても割増賃金が全く支払われない

法定休日に休日出勤をしたり、所定休日に出勤して時間外労働が発生したりしているのに割増賃金が全く支払われないというトラブルもあります。

この場合、そもそも雇用主が割増賃金を支払うつもりがない可能性もありますし、雇用主が法定休日の休日出勤であることや、時間外労働であることを認識していないということもあります。

この場合も割増賃金の未払いを会社に請求する必要があります。
ご自身での交渉が難しい場合は、労働トラブルに強い弁護士に相談しましょう。

業務日報やメール、タイムカードといった法定休日に休日出勤をしていた証拠を揃えておくと割増賃金の未払いを請求しやすくなります。

残業代請求で集めるべき証拠について、詳しくはこちらをご覧ください。

【まとめ】法定休日に出勤すれば割増賃金がもらえる

この記事のまとめは次のとおりです。

  • 休日出勤とは、勤め先が休日と定めた日に労働すること。
    休日出勤には、割増賃金が支払われることがある。
  • 法定休日とは、労働基準法によって必ず設けなければならない休日のこと。
    原則、週に1日以上の休日。
  • 所定休日とは、法定休日以外の休日のこと。
  • 休日出勤には、原則として割増賃金が発生する。
  • 休日出勤に関して、割増賃金が少なかったり全く支払われなかったりするなどのトラブル事例がある。

休日は本来ゆっくり休むためのもの。
そのような休日に働いたのであれば、せめて割増賃金はしっかり受け取りたいですよね。

割増賃金が未払いになっている場合には、残業代請求をするとよいでしょう。

アディーレ法律事務所は、残業代請求に関し、相談料、着手金ともにいただかず、原則として成果があった場合のみを報酬をいただくという成功報酬制です。

そして、原則として、この報酬は獲得した残業代からお支払いとなり、あらかじめ弁護士費用をご用意いただく必要はありません。

また、当該事件につき、原則として、成果を超える弁護士費用の負担はないため費用倒れの心配がありません。

※以上につき、2022年2月時点

残業代請求でお悩みの方は、残業代請求を得意とするアディーレ法律事務所へご相談ください。

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