「B型肝炎の治療費をなんとか抑えたい!医療費助成の制度があると聞いたけど、どうしたら助成を受けることができるの?」
インターフェロン治療や核酸アナログ製剤治療などB型肝炎の助成対象医療については、厚生労働省と都道府県により、医療費の助成を行う制度が設けられています。
これにより、B型肝炎の治療費を原則月額1万円または2万円に抑えることが可能です。
申請方法は都道府県により若干異なるものの、医師の診断書や住民票などを提出することにより助成を受けることが可能となりますので、お住まいの各都道府県にお問い合わせください。
また、B型肝炎に感染している方は、医療費助成を受けられるほかに、B型肝炎給付金を受給できる可能性があります。
受給対象者である場合、医療費助成とB型肝炎給付金を両方受給することが可能です。
本記事では、
- B型肝炎医療費助成の申請方法
- B型肝炎給付金の申請方法
について、弁護士が解説します。
香川大学、早稲田大学大学院、及び広島修道大学法科大学院卒。2017年よりB型肝炎部門の統括者。また、2019年よりアスベスト(石綿)訴訟の統括者も兼任。被害を受けた方々に寄り添うことを第一とし、「身近な」法律事務所であり続けられるよう奮闘している。東京弁護士会所属。
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助成制度の利用回数や期間には制限があります。インターフェロン治療は最大3回まで、核酸アナログ製剤治療は制限なしで助成されます。助成期間は核酸アナログ製剤治療が原則1年間、インターフェロン治療は最長1年間で、必要に応じて延長が認められる場合もあります。
医療費助成の申請には、申請書、医師の診断書、健康保険証の写し、住民票、課税状況証明書などが必要です。申請後、各都道府県の審査会で審査され、承認されれば受給者証が交付されます。医療機関で受給者証を提示すれば、自己負担額のみの支払いで治療を受けられます。
B型肝炎給付金は、幼少期の集団予防接種での注射器の連続使用による感染者に対して国が支給するもので、医療費助成制度とは異なる制度ですが、B型肝炎の医療費の助成を受けつつ、B型肝炎給付金を受給することは可能です。
給付金を受給するには、国を被告とする訴訟を提起し、和解を成立させる必要があります。給付金の申請には多くの資料収集と手続きが必要で、弁護士に依頼することが一般的です。
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B型肝炎の医療費助成制度について
厚生労働省と都道府県は、B型肝炎治療についての医療費助成制度を設けています。
まずは、医療費助成制度についての説明、利用回数などについて解説します。
(1)B型肝炎の医療費助成制度とは
B型肝炎の医療費助成制度は、厚生労働省と都道府県が設けている制度で、B型肝炎にかかる一定の医療について、医療費を助成し、自己負担額を月額1万円または2万円にする制度です。
【助成対象医療】
- インターフェロン治療
- 核酸アナログ製剤治療(ラブミジン、アデホビル、エンテカビル、デノホビル)
※保険診療となるものに限定されます。
【自己負担額】
世帯の市区町村民税(所得割)課税年額 | 月額の自己負担額 |
23万5000円以上 | 2万円 |
23万5000円未満 | 1万円 |
なお、助成対象の医療とは無関係の医療費や、保険診療以外の費用は助成の対象となりませんので注意しましょう。
※例えば東京都は、市区町村民税(所得割・均等割とも)非課税の患者について、負担額がなしとなっています。都道府県によって異なりますので、詳しくはお住まいの都道府県にお問い合わせください。参考:肝炎治療(インターフェロン治療、インターフェロンフリー治療、核酸アナログ製剤治療)に対する医療費の助成|厚生労働省
参考:肝炎治療医療費助成制度|国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 肝炎情報センター
(2)B型肝炎医療費助成の利用回数および期間
B型肝炎の治療のうち、インターフェロン治療および核酸アナログ製剤による治療については医療費の助成を受けることができます。
ただし、助成には利用回数および期間について制限がありますので注意が必要です。
【制度の利用回数:東京都】
治療内容 | 回数 | 対象となる条件 |
インターフェロン治療 | 2回目まで | B型慢性肝炎と診断され、認定基準を満たす場合 |
3回目まで | 認定基準を満たし、かつ、これまでにインターフェロン製剤(ペグインターフェロンを除く)による治療に続いて、ペグインターフェロン製剤による治療を受けて不成功であった者が、再度ペグインターフェロン製剤による治療を受ける場合 | |
核酸アナログ製剤治療 | 制限なし | 認定基準を満たすこと |
詳細については、各都道府県にお問い合わせください。
【助成期間】
核酸アナログ製剤による治療については1年間とし、医師が必要と認める場合等には、更新を認めるとする都道府県が多いようです。
一方で、インターフェロン治療については、治療法により助成期間が異なる場合が多く、最長1年間とする都道府県が多いようです。
なお、期限内に治療が完了しなかった場合、一定の要件を満たすことで期間の延長が認められる場合もあります。
こちらも詳細については、各都道府県にお問い合わせください。
参考:各自治体の「医療費助成」についての取組|厚生労働省
B型肝炎の医療費助成の申請方法
ここでは、B型肝炎の医療費助成の申請方法について解説します。
(1)B型肝炎医療費助成の申請に必要な書類
B型肝炎医療費助成の申請に必要な書類は、各都道府県により異なりますが、次のものが典型です。
- 申請書
- 医師の診断書
- 健康保険証の写し
- 世帯全員が記載されている住民票
- 世帯全員分の区市町村民税の課税状況を証明するもの
なお、診断書については、各都道府県が指定する医療機関によって作成されたものである必要がありますので注意してください。
詳細については、各都道府県がwebページ等で案内をしていますので、そちらをご覧ください。
(2)申請~受給者証交付の流れ
必要書類を準備したら、お住まいの保健所や市区町村役場の担当窓口に必要書類を提出して申請します。
申請後、各都道府県の審査会により審査され、承認または不承認が決定されます。
承認がなされた場合、受給者証等がご自宅等に送付されることになります。
受給者証が交付されたら、医療機関にて治療を受ける際に、受給者証を提示すれば医療費の助成を受けることができます(医療機関を受診の際、窓口で自己負担額のみを支払えばよいことになります)。
お住まいの保健所等に申請(必要書類の提出)
各都道府県の審査会による審査・承認
受給者証の交付
医療機関への受診(支払いは自己負担額のみでOK)
B型肝炎給付金について
これまでB型肝炎に関する医療費助成制度についてご説明しましたが、医療費助成制度とB型肝炎給付金は、異なる制度です。
したがって、両制度の対象となる方は、医療費の助成を受けつつ、B型肝炎給付金を受給することも可能です。
ここでは、両制度の違いやB型肝炎給付金の申請方法等について解説します。
(1)B型肝炎給付金と医療費助成は別の制度
B型肝炎給付金とは、幼少期に受けた集団予防接種等における注射器の連続使用によってB型肝炎ウイルスに感染してしまった方などに対して、国が給付金を支給するというものです。
これに対して、B型肝炎医療費助成制度は、B型肝炎の患者について、その医療費を助成し、自己負担額を月額1万円または2万円に制限するというものです。
このように、B型肝炎給付金は、国の責任によってB型肝炎ウイルスに感染してしまった方に対して給付金を支給するものであるのに対して、B型肝炎医療費助成制度は、感染原因を問わず、B型肝炎について治療を受けている方の医療費を助成するものであるので、両者は全く別の制度であるといえます。
したがって、B型肝炎の医療費の助成を受けつつ、B型肝炎給付金を受給することは可能です。
B型肝炎に感染している方であれば、B型肝炎給付金の受給対象者の可能性があります。
そのため、B型肝炎給付金の受給対象者に該当するかどうかは、必ずチェックしておきましょう。
B型肝炎給付金の受給対象者について詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
(2)B型肝炎給付金の申請方法
医療費助成と異なり、B型肝炎給付金を受給するためには、国を被告として訴訟を提起した上で、国との間で裁判上の和解を成立させる必要があります。
給付金を受給するまでの簡単な流れは次のとおりです。
裁判に提出するための資料収集
裁判所で国を被告とする国家賠償訴訟を提起する
和解協議手続・国との間で裁判上の和解を成立させる(和解調書の作成)
社会保険診療報酬支払基金に給付金の請求をする
B型肝炎給付金を受給するためには、医療費助成制度よりも多くの必要書類を収集し、提出する必要があります。
必要書類を収集するためには、どのような必要書類が必要かをあらかじめ把握しておくことが重要です。
B型肝炎給付金の必要書類について詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
多くの資料収集を行い、国を相手に訴訟を提起して和解を成立させる必要がありますので、患者さんが治療しながら行うのには大変手間な作業です。そこで、B型肝炎給付金については、弁護士に依頼する人も少なくありません。
【まとめ】医療費助成制度は医師の診断書や住民票等をお住まいの保健所等に提出して申請できる
本記事をまとめると次のようになります。
- B型肝炎ウイルスに感染している場合、医療費助成制度を申請できる可能性がある
- 医療費助成制度には、利用回数や助成期間に制限があり、各都道府県で異なることがあるので問い合わせが必要
- 医療費助成制度の申請に必要な診断書は、各都道府県指定の医療機関に作成してもらう必要がある
- 幼少期に受けた集団予防接種等における注射器の連続使用によりB型肝炎ウイルスに感染してしまった方(および、その方から母子感染または父子感染してしまった方等)については、B型肝炎給付金を受給することができる
- B型肝炎医療費助成制度とB型肝炎給付金の制度は別の制度なので、両制度の対象となる方は、医療費の助成を受けつつ、B型肝炎給付金を受給することが可能
アディーレ法律事務所はB型肝炎訴訟の資料収集の代行(※)から、B型肝炎訴訟、同給付金の申請まで全て代わりに行います。
(※)母子手帳など、弁護士では収集できない一部資料を除きます。
また、アディーレ法律事務所では、B型肝炎訴訟・給付金請求に関し、着手金、相談料はいただいておらず、原則として報酬は給付金受け取り後の後払いとなっております。
そのため、当該事件についてアディーレ法律事務所にご依頼いただく場合、原則としてあらかじめ弁護士費用をご用意いただく必要はありません。
さらに、弁護士に依頼して、B型肝炎訴訟で和解した場合には、国から弁護士費用の一部として、訴訟手当金(給付金の4%)が支給されます。
※以上につき、2024年8月時点
B型肝炎訴訟・給付金請求に関しては、B型肝炎訴訟・給付金請求を得意とするアディーレ法律事務所にご相談ください。