別居中に配偶者やその弁護士から連絡がくる3つのケースと対処法

  • 作成日

    作成日

    2023/05/23

  • 更新日

    更新日

    2023/05/23

  • アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。

離婚に関するご相談は
アディーレへ!

夫婦の一方が別居を選ぶ場合、その理由はさまざまです。
離婚を考えつつも、相手が離婚に合意しないためやむを得ず別居をすることもあれば、配偶者との共同生活に疲れてしまったものの、離婚への踏ん切りがつかず冷静になるために別居することもあるでしょう。
そんなとき配偶者から突然連絡がくれば、動揺してしまうのも無理はありません。
ここでは、別居中に配偶者から連絡がくる3つのケースと対処法を解説します。

ケース(1)別居中の配偶者から「夫婦関係をやり直したい」と直接連絡がきたとき

別居中の配偶者から「やり直したい」、「何か不満があるなら直す」、「戻ってきてほしい」と連絡を受けたとします。
まずは自分の心と向き合ってみてください。
あなたはどう感じているのでしょうか。
配偶者とやり直すことを望みますか?
それともすでに相手への信頼はなくなっていて、戻ることは不可能と感じていますか?

(1)あなたに夫婦関係をやり直す意思があるとき

配偶者に対して、もっと自分の意思を尊重してくれることや、許せない態度を改めることを期待して、あなたは別居を選んだのかもしれません。
配偶者もあなたが別居を選んだことにより、あなたの心の傷の大きさや、ことの重大さを自覚した可能性があります。
もしもあなたに夫婦関係をやり直す意思があるのでしたら、別居の解消に向けて前向きに話合いをするとよいでしょう。
ここで話合いをせずに、なんとなく別居を解消してしまえば、配偶者は「ほんの気まぐれで別居しただけなんだ」と事態を軽く見てしまい別居した意味がなくなってしまいます。
自分が不満に思うこと、耐えられないと考えていることをしっかり相手に伝えましょう。
そして具体的に相手に対してどのような対応を期待しているかを言語化して伝えるとよいでしょう。
もしも配偶者の浮気や不倫等が別居の原因となっている場合は、浮気・不倫関係の解消・清算は必須です。
そのために単なる相手の誓約や謝罪で済ませるのではなく、浮気・不倫相手との関係の解消を目に見える形で求め、相手にけじめをつけさせると効果的です。
例えば、配偶者が浮気・不倫相手との関係を断ち切るよう、「接触禁止」を要求し誓約書を書かせるなどといった方法があります。

(2)あなたに夫婦関係をやり直す意思がなく離婚したいとき

別居を決意するまでにあなたは我慢に我慢を重ねていたことと思います。
何度も関係改善のための努力をしたものの、それも徒労に終わり疲れ果ててしまったでしょう。
そうだとすると、別居を決意した段階で、もはやあなたの配偶者に対する信頼はなくなっており愛情が残っていないとしても仕方のないことです。
そんなあなたにとって、すでに嫌悪の対象ともなっている配偶者からの連絡はとてもつらいものとなっていることでしょう。
以後は離婚に向けて準備を進めることが望ましいでしょうし、配偶者からの直接連絡を受けずに済ませたいところです。
その場合、弁護士に依頼して離婚協議の準備を進めることをご検討ください。
弁護士に代理人になってもらうことで、配偶者からの連絡を直接受けなくて済むようになるという点でもメリットは大きいです。

ケース(2)別居中の配偶者から直接「離婚協議に応じる」等の連絡がきたとき

配偶者に離婚を求めたものの話合いに応じてもらえなかったことから別居に踏み切っていた場合、相手から直接「協議離婚に応じるから話合いをしよう」といった連絡がくるかもしれませんが、まだ相手の意図はわかりません。

言葉どおり、離婚もやむを得ないという気持ちから連絡をしてきたのかもしれません。
しかし、本当は離婚に応じるつもりがまったくなくても直接話せばあなたを説得できると考え、あなたを呼び出す『餌』として、あなたの望む『協議離婚に応じる』という言葉を使っている可能性もあります。
そういった可能性を念頭に置き、相手からの連絡方法別に適切な対処を解説します。
対処法を誤ると、自分にとって不利に働くことがあります。

(1)電話やメール、手紙で離婚条件を提示されたとき

配偶者から電話やメールなどで連絡がきていた場合、これを無視しても法的に不利になることは原則ありません。
むしろ、弁護士に相談せず独力で対処するのであれば無視していたほうが無難であるとも言えます。
ここで下手に「相手を怒らせたくないから」と友好的な態度を示したり、相手に迎合するような応答をすると、それを電話口で録音されたり、メールの記録で残される危険性があります。
その録音やメールは、離婚裁判を起こしたときに「婚姻が破綻していない」証拠として用いられる可能性があり、離婚が認められないということにもなりかねません。
もしも弁護士に依頼予定であれば「正式に依頼次第、弁護士から連絡するので現時点では回答を差し控えたい」とだけ伝えるのがよいでしょう。
また、電話に出る際は、口頭のやり取りは記録に残らないため取り急ぎ録音するか、あらためて会話した内容を書面に残すなどの工夫が必要です。
自分からは言葉少なくし、相手の言葉を録音で残すことが望ましいです。

(2)内容証明郵便が届いたとき

配偶者から『内容証明郵便』の形で連絡が届く場合もあります。
内容証明郵便とは日本郵便が「誰が、誰に、いつ、どのような内容の文書を送ったか」ということを証明してくれる郵便のことです。
内容証明郵便の場合、受取り記録や、受取りを拒否した記録が残ることになります。
内容証明郵便が届いたからといって対応の義務が発生するわけではないのですが、安易に無視したり回答したりすると、内容によってはその後の離婚協議で不利になる可能性があります。
例えば、同居中はあなたが育児していたが、別居後は配偶者が子供を育児している場合について考えてみます。仮に、この際、配偶者から子供の既往症について質問されたとしましょう。あなたが、この質問を無視したとすれば、離婚後にあなたが親権者になりたいと希望する際に、あなたに不利に判断されてしまうかもしれません。なぜなら、調停委員があなたのことを不誠実な当事者であると判断するリスクがあるからです。
相手があなたにプレッシャーを与える意図で内容証明郵便を送っている可能性もあります。
内容証明郵便の意図についてご自身で判断がつかない場合には、弁護士に対応要否や対応内容を相談する方がよいかもしれません。

ケース(3)別居中の配偶者の弁護士から受任通知が届いたとき

これまで説明した2つのケースは、配偶者が自らあなたに連絡を取ってくる場面でした。
これに対して次に説明するのは、配偶者が弁護士に依頼し、弁護士から受任通知が届いたケースです。
弁護士からの受任通知が来て驚くかもしれませんが、まずはそのことにパニックを起こさず、現実を冷静に受け止めて行動を起こすことが重要となってきます。
以下、配偶者の弁護士から受任通知が届いた際のポイント4点を説明します。

(1)弁護士からの受任通知や連絡は、無視しないこと

受任通知を無視すると、相手方は交渉の余地なしと考え離婚調停等の法的手続を進めるリスクがあります。
弁護士からの受任通知や連絡の内容の妥当性を冷静に判断し、回答書(見解・反論等)を準備しましょう。
この段階にきている場合には、あなたも弁護士に相談に行くことを強くすすめたいところです。

(2)配偶者に直接連絡しないこと

受任通知では、「今後は弁護士が交渉の代理人となるから、配偶者本人には接触しないこと」を求められることがほとんどです。
それにもかかわらず「裁判なんてとんでもない!話せばわかってくれるはず」などと判断し、配偶者に直接連絡をするということは絶対にやめてください。
「配偶者本人には接触しないこと」という弁護士の求めに反して配偶者に連絡すると、配偶者の弁護士から抗議を受けたり、離婚協議や調停等の交渉で不利になったりするリスクがあります。
場合によっては裁判になった際に、あなた自身がモラハラやパワハラの加害者であるという印象を裁判官に与える危険性すらあるのです。

(3)弁護士との交渉では、その場で結論を出したり、同意したりしないこと

相手の受任通知に対して応答をすると、相手の弁護士が対面での話合いを申し出てくることがあります。
ですが、この場合にあなた自身だけで弁護士と交渉することはおすすめできません。
弁護士は法務知識や交渉ノウハウを持っていますから、対面交渉の場で適確に反論したり熟慮したりするのが難しいこともよくあります。
その場の勢いでのちのち取り返しのつかないことを言ってしまったり、合意してしまったりするケースもあります。
対面交渉の場で合意書(離婚協議書)にサインを求められた場合は、「○日までに内容を確認してご回答します」と期日を伝えて、その場ではサインしないほうがよいでしょう。

(4)あなたも弁護士に依頼すること

やはり配偶者の弁護士と交渉して有利な離婚条件を得るためには、こちら側も弁護士に代理人になってもらうことが重要となってきます。
弁護士の選び方は、後述「別居後にスムーズに離婚をしたいなら、弁護士に相談・依頼するのがおすすめ」を参考にしてみてください。

別居後にスムーズに離婚をしたいなら、弁護士に相談・依頼するのがおすすめ

今は別居していても、近い将来に離婚を考えているのであれば、やはり弁護士に相談するほうがよいでしょう。
「円満に離婚するつもりだから弁護士を入れるとかえって相手との関係が悪化しそうで心配」
そのように思うかもしれませんが、必ずしも弁護士を『立てる』必要はありません。
準備不足や対応漏れでトラブルになったり離婚後に後悔したりしないよう、離婚準備や離婚手続の仕方について弁護士に相談することもできるのです。

(1)短期間で離婚するには、協議離婚で手続したほうがよい

離婚については感情的な問題や金銭的な問題が複雑に絡み合ってくるため、時間ばかり過ぎてなかなか先に進まないということも多いです。
話がこじれた結果、離婚調停や裁判離婚に発展すれば、手続がさらに長期化する可能性が高くなります。
短期間で離婚したいのであれば、すぐに配偶者の希望も加味した離婚条件を整理し、離婚に向けた協議を開始することが必要となってきます。
事案を整理する能力と知識、そして交渉ノウハウを持ち合わせた弁護士に依頼するとスムーズに進むことが期待できます。

(2)別居しただけでは、法定離婚事由にならない可能性がある

相手が離婚に応じてくれないため、離婚を求めて別居を選択している場合があります。
しかし、別居の事実だけでは離婚できない可能性があるのです。
民法第770条では以下の5項目が離婚理由として定められており、これらの場合には相手の同意がなくても裁判所が離婚することを認めることになります。
  • 配偶者に不貞行為があったとき
  • 配偶者から悪意で遺棄されたとき
  • 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
  • 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
  • その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
別居しているだけで直ちに「婚姻を継続し難い重大な事由がある」と判断されるわけではありません。
裁判上の離婚を念頭に置くのであれば離婚事由の法的な組み立てが必要となってくるのです。
例えば、相手の不貞行為の証拠を準備することや、離婚調停の申立て等、話合いの形跡などから離婚の意思を示し『婚姻関係の破綻』が認められる可能性を高めるといったことが必要です。
また、裁判上の離婚にまで至らなくても、弁護士に代理人を依頼して配偶者に受任通知が届くことで、こちらの離婚意思の固さが配偶者に伝わり、離婚協議の席についてもらえるケースもあります。
自分の本気を示すという意味で弁護士に依頼することは有益といえます。

(3)弁護士に離婚を依頼するメリット

弁護士に離婚を依頼する代表的なメリットとして、次の3点が挙げられます。
  1. 弁護士が代理人となることで、配偶者が前向きに離婚協議に応じる可能性が高まる。弁護士が代理人になることで、相手は調停や裁判に進むことを意識せざるを得ず、話合いに前向きになることが多いようです。
  2. 有利な離婚条件で合意できる可能性が高まる。自分で離婚条件の交渉をする場合には、合意をまとめることに焦るあまり、不利な条件をのんでしまったり、相手に対する遠慮から強く要求を言えないまま相手の言い分に従ってしまったりする可能性があります。弁護士がつくことにより、離婚条件についてしっかり交渉し有利な合意を引き出せる可能性が高まります。
  3. 配偶者に直接連絡したり交渉したりするストレスから解放される。夫婦間の力関係の問題もあり、交渉で強く出られない、相手に恐怖を感じる、対面だと押し切られてしまう、相手と顔を合わせたくない、そんな人は多いです。弁護士が代わりに交渉することにより、配偶者に直接連絡したり交渉したりするストレスから解放されるメリットは大きいでしょう。

(4)弁護士を選ぶときの4つのポイント

今から弁護士に依頼することを考えている方のため、弁護士を選ぶ際の主なポイントを挙げておきましょう。
  1. 離婚問題に精通しているか。離婚問題を取り扱っている弁護士に相談すると、多くの離婚事件のケースを知っているため、今後の見通しがつきやすく安心できます。
  2. 誠実に対応してくれそうか。弁護士との関係であってもやはり誠実さは重要です。人として信頼できない相手に頼むことは避けた方がよいでしょう。相談した感触で、あなたを軽く扱っているような態度が見られないか、注意してみてください。
  3. 費用体系が明確かどうか。料金や費用についての説明が不明確で、費用体系が不明確な法律事務所の弁護士に頼んでしまうと、あとからズルズルと弁護士費用が膨らんでくる可能性があります。費用体系が明確で、解決までの費用を大体の概算で出せる事務所を選ぶとよいでしょう。そのように費用の概算が出せるのは、離婚問題に精通し実績があることの表れでもあります。
  4. 円滑にコミュニケーションを取れるかどうか。弁護士との間で円滑にコミュニケーションが取れないと、必要な説明を受けることができず、また進行の度合いや状況すらわからずにイライラしてしまいます。もちろん弁護士が多忙であることも多く、いつでも連絡が取れるということを期待することは困難かもしれません。ですがある程度の配慮をしてくれて、円滑にコミュニケーションを取れる弁護士であれば安心できるでしょう。

【まとめ】別居中の配偶者からの連絡にお悩みの方は弁護士にご相談ください

別居中に配偶者から連絡があった場合、動揺することは仕方がないことです。
それでも、自分が不利な立場にならないよう、適切な対応をとりたいものです。
相手の連絡方法の違いによって対応方法は異なるので、記事を参考にしてみてください。
別居中の配偶者からの連絡に直接応じることが苦痛であれば、離婚や慰謝料請求を取り扱う弁護士に依頼して代わりに交渉してもらうとよいでしょう。
離婚準備を進める際にも、離婚を取り扱う弁護士に依頼すれば、以後は弁護士が代理人として配偶者との交渉・連絡の窓口になってくれます。

離婚に関するご相談は
アディーレへ!

この記事の監修弁護士

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

林 頼信の顔写真
  • 本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

こんな記事も読まれています

FREE 0120-818-121 朝9時~夜10時・土日祝日も受付中