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家族がくも膜下出血で倒れた!労災認定を受けるためのポイントは?

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kiriu_sakura

「毎日会社に行って、長時間働いていた家族が、くも膜下出血で突然倒れた…。労災認められるかな…。」

働いてくれていた大事な家族がくも膜下出血で倒れてしまうと、精神的なショックも大きいです。。それだけでなく、経済的にも家庭の収入が絶たれてしまう場合もあり、家族が生活に困ることにもなりかねません。
このような場合、どのように対応すればよいのでしょうか。

ご家族のくも膜下出血が労災と認定されれば、労災補償により、給付を受けることができます。

この記事では、次のことについて弁護士が解説します。

  • くも膜下出血は労災補償の対象疾病であること
  • 仕事がくも膜下出血の有力な発症原因である認められるポイント
  • 労災補償の給付内容
  • 会社が労災申請に協力的でないときの対応
  • 労災認定に不安がある場合の相談先
この記事の監修弁護士
弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。東京弁護士会所属。

「業務による明らかな過重負荷」があった場合は、くも膜下出血で労災補償を受けられる

くも膜下出血の原因は、様々な要因が考えられます。
くも膜下出血を含め、脳・心臓疾患は、その発症の基礎となる血管病変等が、主に加齢、食生活、生活環境などの日常生活による諸要因や遺伝等による要因により徐々に増悪して発症するものですが、仕事が主な原因で発症する場合もあります。
くも膜下出血は、労災補償の対象疾病の一つです。

参考:脳心臓疾患の労災認定 1頁|厚生労働省

しかしながら、労災補償されるためには、「業務による明らかな過重負荷」によりくも膜下出血になったと認定されることが必要であり、全てのくも膜下出血が労災認定を受けられるわけではありません。

では、「業務による明らかな過重負荷」とは、どのような場合に認められるのでしょうか。

例えば、長時間労働は、疲労の蓄積が甚だしいばかりか、脳・心臓疾患との関連性も強いといわれています。
よく耳にする「過労死ライン」といわれるものが一つの基準になります。
過労死ラインとは、健康障害のリスクが高まるとする時間外労働の「時間」を指す言葉です。
労働災害認定において、労働と過労死との因果関係判定に用いられます。

過労死ラインの目安となる時間は、1月あたり80時間です。
具体的には、毎月22日間出勤する会社の場合、1日の法定労働時間8時間に加え、1日約3.64時間の残業、合計すると1日の労働時間がおおよそ11時間半程度の場合です。
そして、この80時間を超える時間外労働が、発症前の2~6ヶ月間、平均的に続いている場合、長時間労働と病気の発症や死亡との間の因果関係を認められやすくなります。

また、発症1ヶ月前、100時間を超える時間外労働の場合も、長時間労働と発症した病気や死亡との間の因果関係が認められやすくなります。
1月あたり100時間とは、毎月22日間出勤する会社の場合、1日の法定労働時間8時間に加え、1日4.55時間の残業、合計すると1日の労働時間がおおよそ12時間半程度になると、長時間労働と病気の発症や死亡との間の因果関係が認められやすくなります。

また、発症前6ヶ月を平均して、45時間を超えている場合には、時間外労働が長くなればなるほど因果関係が強まっていくとされています。

そして、過労死ラインに達する程度に至った場合には、因果関係(判例では相当因果関係と表現されます。)が認められるという考え方を取っています。

このように長時間労働が過労死ラインに至っていると,
すなわち

  • くも膜下出血発症の直近1ヶ月の時間外休日労働が100時間を超えている
  • くも膜下出血発症の直近2〜6ヶ月間の1ヶ月あたりの時間外休日労働が平均80時間超である

と、業務による明らかな過重負荷によりくも膜下出血を発症したと認定される可能性が高くなります。

「業務による明らかな過重負荷」の3つの認定ポイント

「業務による明らかな過重負荷」とは、過労死ラインなど長時間労働以外の場合もあります。
それでは、過労死ライン場合以外、どのように判断されるのでしょうか。
「業務による明らかな」とは、仕事、業務がくも膜下出血の有力な発症原因になっていたと客観的に認められることをいいます。
「荷重負荷」は、医学的見地から、くも膜下出血の引き金となる血管病変等を引き起こすに妥当と認められる負荷のことをいいます。

「業務による明らかな過重負荷」と認定されるポイントは、どのようなものでしょうか。

厚生労働省は、「業務による明らかな過重負荷」について3つの認定基準を設けています。

  1. 発症直前から前日にかけて「異常な出来事」があったかどうか
  2. 発症前おおむね1週間の間に「特に過重な業務」があったかどうか
  3. 発症前おおむね6ヶ月間の間に「著しい疲労蓄積をもたらす過重業務」があったかどうか

参考:脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準について 基発第1063号|厚生労働省

言い換えると、業務における明らかな過重負荷の有無は、次の3つの有無を検討して、総合的に判断されます。

  1. 異常な出来事の有無
  2. 短時間の過重業務の有無
  3. 長時間の過重業務の有無

次に、厚生労働省の基準である3つのポイントについて説明します。

(1)発症直前から前日にかけて「異常な出来事」があったかどうか

ポイントの1つ目は、発症直前から前日にかけて本人が「異常な出来事」に遭遇しているか否かです。
「異常な出来事」には、「精神的負荷」「身体的負荷」「作業環境の変化」があげられます。

精神的負荷とは、極度の緊張、興奮、恐怖、驚がく等の強度の精神的負荷を引き起こす突発的又は予測困難な異常な事態です。
例えば、業務に関連した重大な人身事故や重大事故に直接関与し、著しい精神的負荷を受けた場合などが考えられます。

身体的負荷とは、緊急に強度の身体的負荷を強いられる突発的又は予測困難な異常な事態です。
例えば、事故の発生に伴って、救助活動や事故処理に携わり、著しい身体的負荷を受けた場合などが考えられます。

作業環境の変化とは、急激で著しい作業環境の変化です。
例えば、屋外作業中、極めて暑熱な作業環境下で水分補給が著しく阻害される状態や特に温度差のある場所への頻回な出入りなどが考えられます。

そして、主に次の2つを判断基準に、「異常な出来事」の有無が総合的・客観的に判断されることになります。

  • 通常業務では遭遇すること自体が希有な事故・災害だったか、またその程度
  • 作業環境の変化の度合い(気温の急上昇や急低下)

(2)発症前おおむね1週間の間に「特に過重な業務」があったかどうか

認定のポイントの2つ目は、短期間(発症前おおむね1週間)の過重業務の有無です。
当該労働者の日常業務(所定労働時間内の所定労働内容)や同僚労働者・同種労働者と比べて、特に過重な身体的・精神的負荷があったかどうかで判断されます。
代表的な負荷要因としては、次のようなものがあげられます。

  • 発症直前から前日までの間に特に過度の長時間労働が認められること
  • 発症前おおむね1週間以内に継続した長時間労働が認められること
  • 休日が確保されていないこと
  • 不規則な勤務、拘束時間の長い勤務
  • 出張の多い業務、交代制勤務・深夜勤務
  • 温度環境、騒音、時差
  • 精神的緊張を伴う業務

(3)発症前おおむね6ヶ月間の間に「著しい疲労蓄積をもたらす過重業務」があったかどうか

認定のポイントの3つ目は、長期間(発症前おおむね6ヶ月間)の過重業務の有無です。
恒常的な長時間労働の度合いをはじめ、一定期間の就労の実態等を考察して、蓄積した疲労によって過重な身体的・精神的負荷があったかどうかが判断されることになります。

  • 長時間労働とは、発症前1~6ヶ月平均で月45時間を超えて長くなるほど、業務と発症との関連性は強まる傾向になります。
  • 発症前1ヶ月間に100時間又は2~6ヶ月間平均で月80時間を超える時間外労働は、業務と発症との関連性は強くなります。
  • 短期間の過重業務同様に、労働時間以外にも、勤務形態・作業環境・精神的緊張(休日が確保されていないこと、不規則な勤務、高速時間の長い勤務、出張の多い業務、交代制勤務・深夜勤務、温度環境、騒音、時差、日常的に精神的緊張を伴う業務、発症に近接した時期における精神的緊張を伴う業務に関連する出来事など)も考慮されます。

くも膜下出血で受けられる労災給付の内容

家族がくも膜下出血により亡くなったり、倒れた場合、ご遺族や倒れた方ご本人が受けることができる給付の内容が次のとおりです。

(1)亡くなった場合

業務による明らかな過重負荷により、くも膜下出血を発症し、ご本人が亡くなった場合は、ご遺族は労災保険から次の給付を受けられます。

  • 遺族(補償)給付(遺族年金または遺族一時金)

くも膜下出血により労働者が死亡した場合は、遺族(補償)年金、あるいは遺族(補償)一時金が支給されます。このほかに遺族特別支給金や遺族特別年金等が支給されます。

  • 葬祭料(葬祭給付)

くも膜下出血より死亡した人の葬祭を行うときに支給されます。

(2)存命の場合

本人が存命の場合は、労災保険から次の給付を受けられます。

  • 療養(補償)給付
    怪我や病気が治るまで、労働者が無料で診察及び治療等が受けられるようにするものです。診察、治療費等が給付されます。
  • 休業(補償)給付
    くも膜下出血のため労働者が働けず賃金を得られないときには、働けなくなった日の4日目から、休業(補償)給付として給付基礎日額の60%相当額、休業特別支給金として20%相当額が支給されます。ただし業務災害による休業の場合には、最初の3日間分は、労働基準法第76条に基づいて、使用者が平均賃金の60%を補償します。
  • 障害(補償)給付(障害年金または障害一時金)
    怪我や病気が治っても障害が残ったときには、その程度に応じて障害(補償)年金あるいは障害(補償)一時金が支給されます。このほかに障害の程度に応じて障害特別支給金が支給されます。
  • 傷病(補償)年金
    療養を開始してから1年6ヶ月を経過しても怪我や病気が治らないときなどに、それまで支給されていた休業補償給付は打ち切られ、傷病による障害の程度に応じて年金が支給される場合もあります。このほかに傷病の程度に応じて傷病特別支給金が支給されます。
  • 介護(補償)給付
    労災によって重い後遺障害を受け、介護が必要になった場合に支給されます。
    支給要件は、次のア~エ全ての要件を満たす必要があります。
    ア 障害(補償)年金又は傷病(補償)年金の第1級の方全て、又は第2級で精神神経・胸腹部臓器に障害を残し、常時あるいは随時介護を要する状態にあること、
    イ 民間の有料介護サービスなどや親族、友人、知人から、現に介護を受けていること、
    ウ 病院又は診療所に入院していないこと、
    エ 介護老人保健施設などに入所していないこと、

なお、亡くなる前に治療が先行した場合も、治療期間中はこれらの給付対象となります。

参考:労災保険給付の概要|厚生労働省

会社が労災申請に協力的でないときの対処法

労災認定は、会社からの申請(報告)に基づいて労働基準監督署長が行ないます。
会社は労働災害が発生した場合、発生後、迅速に労働基準監督署に報告しなければなりません。
しかし、残念ながら、会社がいわゆる「労災隠し」を図るケースもないわけではありません。

給付金別の申請期限と申請手続きについて、詳しくはこちらをご覧ください。

労災の申請期限はいつ?給付金別の申請期限と申請手続きについて

会社に労災申請を依頼しても、会社が労災申請してくれない場合は、自分で労働基準監督署に申請することも可能です。このような場合には、会社を管轄する労働基準監督署に相談するとよいでしょう。

また、労災認定されるか不安な場合や、会社に対する損害賠償請求を検討している場合は、労働災害に精通した弁護士に相談・依頼するのもおすすめです。

【まとめ】くも膜下出血の労災認定のポイントは、「異常な出来事」「短期間の過重業務」「長期間の過重業務」の有無

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 「業務による明らかな過重負荷」があった場合、くも膜下出血は労災補償の対象疾病
  • 仕事がくも膜下出血の有力な発症原因になっていたと客観的に認められるには「異常な出来事」「短期間の過重業務」「長期間の過重業務」の有無がポイントとなる
  • 給付内容は、本人が亡くなった場合は遺族(補償)給付や葬祭料、存命の場合は療養(補償)給付や休業(補償)給付など
  • 会社が労災申請に協力的でないときは、労働基準監督署に相談すると良い
  • 労災認定されるか不安な場合や、損害賠償請求を検討している場合は、労働問題に精通した弁護士に相談・依頼するのもおすすめ

くも膜下出血の労災認定、労災補償に関するお悩みは、労働基準監督署にご相談ください。

参考:都道府県労働局(労働基準監督署、公共職業安定所)所在地一覧|厚生労働省

この記事の監修弁護士
弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

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