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「内縁の妻」という選択をするメリットとは?デメリットや相続権についても解説

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日本では、古くから「内縁関係」という、法律上結婚した夫婦と同様の夫婦関係を営む夫婦がいます。
最近では、「事実婚」といわれることもあります。
家族や夫婦のあり方は多種多様化してきており、その中で、法律上結婚せず、内縁関係という選択をする夫婦も増えてきているようです。
しかしながら、法律婚の妻には認められる権利も、内縁の妻には認められないことがありますので、法律婚するかしないかは慎重に考える必要があります。
今回の記事では、内縁関係、特に内縁の妻という選択をするメリットやデメリットについて、法律上の結婚との違いなどについて解説します。

内縁の妻とは

内縁の妻とは、婚姻の意思を双方が持ちながら婚姻届を出さずに夫婦の実体を有する共同生活をする妻のことを指します。
法律上結婚していなくても、婚姻の意思と夫婦の実態はありますので、法律上の結婚と同様に、貞操義務、同居の義務、扶養の義務、婚姻費用(生活費)の分担義務、事実婚解消時の財産分与などは認められると考えられています。
また、内縁の妻は夫の社会保険の被扶養者になることができますし、遺族年金の支給を受けることができる可能性があります。

ただし、内縁の妻は法律上結婚していませんので、法律上結婚した妻に認められる地位や権利が認められないものもありますので、次で説明します。

(1)内縁とは

内縁は、法律上の定義はありませんが、一般的に以下のような事情を総合的に考慮して、家庭内及び家庭外で夫婦の実態があるとされると、内縁と認められています。

  1. 婚姻の届出はしていないが、双方が婚姻の意思を持ち、ある程度長期間、夫婦同然に同居して共同生活を送っている。
  2. 双方の親族から夫婦同然に扱われている。
  3. 結婚式やハネムーンをし、会社関係や友人に対して配偶者として紹介するなど、外部の人に対して夫婦であることを表明している。 など

内縁の妻は、法律上結婚した妻と比べて、主に次のような違いがあります。

(2)原則として相続人にならない

法律上の妻は、夫の法定相続人になりますが(民法890条)、内縁の妻は、内縁の夫の法定相続人(民法で定められた相続人)とはならないため、相続人として内縁の夫の遺産を取得することができません。
内縁の夫が妻に財産を残すためには、遺言書による遺贈、生前贈与、死因贈与などの方法をとる必要があります。

(3)子どもが非嫡出子になる

法律上の夫婦の間に生まれた子は「嫡出子(ちゃくしゅつし)」とされ、法律上の父子関係は当然に生じますが、内縁関係の男女の間に生まれた子(婚外子)は「非嫡出子」とされ、父子関係は法律上当然には生じません。
非嫡出子と、内縁の夫と間に法律上の父子関係を生じさせるためには、内縁の夫が別途認知をすることが必要となります。
非嫡出子は、認知されない限り、内縁の夫との法律上の父子関係がありませんので、法律上父親に扶養を求める権利はなく、父親の法定相続人ともなりません。

(4)戸籍や住民票における違いがある

法律上結婚すれば夫婦は同じ名字となり、同一の戸籍に入りますが、内縁の夫婦は同一の戸籍には入りません。
ただし、住民票に内縁関係がわかるような記載をすることができます。
希望すれば、住民票の続柄は「世帯主」と「夫(未届)」又は「妻(未届)」と記載されます。
双方の住民票を新居に移し、その時点からこの続柄を利用すると、内縁関係の開始時期が明確になります。

内縁の妻を選択するメリットとは

法律上結婚せず、内縁の妻を選択する理由は人によって様々です。
ここでは、内縁の妻を選択することで得られるメリットを2つ紹介します。

(1)夫婦別姓が実現できる

日本では、外国籍の異性と結婚するのでない限り、法律上、夫婦別姓は認められていません。
法律上婚姻するときに、男女どちらかが、一方の姓を選択し、変更しなければならず、結果として姓を変更するのはほとんどが女性です。
そこで、姓を変更したくない女性にとっては、内縁の妻は、姓を変更する必要がないというメリットがあります。

夫婦同姓を強制する法律の是非及びほとんど女性が姓を変更しているという実情を踏まえて、法制審議会民法部会は、昔から夫婦別姓の実現について議論していました。
1996年には、「希望者には夫婦別氏を認めるべき」とする選択的夫婦別氏制度の導入が答申され、継続的に政治や社会で議論されてきています。
2017年に法務省が実施した「家族の法制に関する世論調査」の結果では、本人が希望する場合には夫婦別姓を認めてかまわないと答えた割合が42.5%に上り過去最高となっており、夫婦別姓を認めるべきではない(法改正は必要ない)と答えた割合は29.3%で過去最低となっています。
社会は、夫婦別姓を受け入れて寛容になってきたといえそうですが、いまだに制度変更(法改正)には至っていません。

参考:選択的夫婦別氏制度に関する調査結果の推移(総数比較)|法務省

(2)離婚しても戸籍上履歴が残らない

離婚歴がある人のことを、俗に「バツイチ」などと称したりしますが、これは、かつては法律上離婚すると、戸籍にバツ印がついて記録が残ることがあったため,これを特徴的に表現したものです。
現在は、戸籍も電子化されていてバツ印はつきませんが、離婚により「除籍」したことが記載されます。
内縁の妻は、戸籍上夫婦として記録されないので、内縁関係を解消して離婚しても、戸籍上結婚の記録も、離婚の記録も残ることはありません。

内縁の妻を選択するデメリットや注意点

内縁関係は、最近は事実婚として社会的に認知されてきましたが、法律上の結婚と比べると次のようなデメリットがありますので注意が必要です。

(1)法定相続人とはならない

内縁の妻は、夫の法定相続人とはなりませんので、夫が死亡しても当然には夫の遺産を受け取ることができません。

(2)各種税金の控除が受けられない

税法上は配偶者としては認められないので、配偶者控除や配偶者特別控除などの税金の優遇は受けられません。
また、法律婚している配偶者が相続・贈与した場合に受けられる相続税・贈与税の各種特例や控除は、内縁関係では受けることができません。

(3)当然には配偶者を代理できない

法律上結婚していれば、法律上日常生活について夫婦間に代理権がありますので、配偶者の代理人として契約をすることができますが(民法761条)、事実婚ではこのような代理権はありません。
具体的には、病気やけがで意思表示できない場合に、代理人として手術や必要な処置について契約できないことがあります。

(4)子どもがデメリットを受ける可能性がある

内縁関係にある両親の間に生まれた子どもは、非嫡出子となりますので、法律上当然には父子関係が生じません。
そのため、次のようなデメリットがあります。

(4-1)子どもは父と姓が異なる

子どもは母親の戸籍に入り、基本的に母親の姓を名乗ることになりますので、父親とは姓が異なります。
また、法律婚であれば、両親は子どもの共同親権者となりますが(民法808条3項)、内縁関係の場合、共同親権は認められていないので、基本的に母親が親権者となります(父親が子どもを認知した場合には、協議の上で父親が親権者となることも可能)。

(4-2)認知しなければ父には扶養義務がない

父となるべき内縁の夫が認知をしなければ、子どもと内縁の夫には法律上父子関係が生じませんので、子どもは内縁の夫に対して扶養を求める権利がなく、法定相続人ともなりません。

内縁の妻は、夫に対して慰謝料を請求できるのか

内縁の夫婦であっても、法律上の夫婦と同様に、お互いに貞操義務(配偶者以外の異性と性行為を行ってはいけない義務)を負っています。
したがって、夫が不貞行為(既婚者が自由意思で配偶者以外の異性と性行為を行うこと)を行った場合には、夫に対して、慰謝料を請求することができます。
また、夫の不貞行為などの有責行為が原因で離婚せざるを得なくなった場合には、夫に対して、離婚に伴う慰謝料を請求することもできます。
しかし、夫が内縁関係にあることや、不貞行為を否定するかもしれませんので、内縁関係を基礎づける事情や、性行為についての証拠については事前に準備しておくようにしましょう。

それでは、内縁の妻は、不貞相手に対しても慰謝料を請求できるのでしょうか。
内縁関係であっても不貞相手に慰謝料を請求できる可能性はあります。
ただし、慰謝料を請求する側が、内縁関係の存在と、不貞相手が内縁関係を知りながら(又は不注意で知らずに)不貞行為を行ったことを証明する必要があります。
したがって、内縁関係の証明が困難だったり、不貞相手が内縁関係の事実を認識していなかったりすると、慰謝料の請求をあきらめざるを得ないこともあります。

内縁の妻が夫の遺産を取得するために必要な手続き

内縁関係の場合、夫が亡くなっても、妻はその法定相続人ではありませんので相続権がありません。
子どもがいる場合、夫が認知をしていれば、子どもは父親の法定相続人となりますので、父親の財産を相続することができます。
しかしながら、子どもがいない場合、夫が遺言書を残しておかないと、夫の両親や兄弟姉妹が夫の法定相続人となりますので、基本的に内縁の妻は遺産を取得できません。
そのような事態を防ぐために、事前に、夫の遺産を譲り受けることのできるような準備が必要となります。
次では、遺産を譲り受ける主な方法について紹介します。

(1)夫が遺言書を作成して妻に遺贈する

遺贈とは、遺言をする者が、一定の財産を特定の者に譲り渡す旨遺言書に記すことで、その財産を処分することをいいます(民法964条)。
遺贈は、特定の財産(預金口座や不動産など)を対象にすることもできますし、包括的にすべての財産を対象にすることもできます(民法964条)。
ただし、一定の法定相続人は、法律上「遺留分」として最低限度相続できる割合が決められていますので(民法1042条)、この遺留分を侵害するような内容の遺贈だと、後々、法定相続人と残された夫(妻)との間で争いが生じるかもしれません。
例えば、「すべての遺産を内縁の妻に遺贈する」旨と遺言書に残したとしても、遺留分を主張する法定相続人が一部の遺産を取得する可能性があります。

後々の争いを避けるためには、遺留分以外の財産を遺贈するような内容とするとよいでしょう。
兄弟姉妹には遺留分がありませんので、夫の法定相続人が兄弟姉妹のみとなる場合には、妻に対する包括的な遺贈としても法的な問題はありません。

内縁の妻には、法定相続人に認められる相続税控除などは受けられませんので、不動産など遺贈が高額になると、支払わなければならない相続税が高額になるおそれがあります。

(2)特別縁故者として相続財産の分与を受ける

内縁の夫に法定相続人がいない場合には、「特別縁故者」として相続財産の一部又は全部を受け取ることができる可能性があります(民法958条の3)。
特別縁故者とは、亡くなった人と生計を同じくしていた人、療養看護をしていた人など、特別の関係があった者のことをいいます。
内縁の夫の親族(親、祖父母、兄弟姉妹、甥姪)が生存している場合には、法定相続人がいるため特別縁故者にはなれない。
特別縁故者として相続財産の分与を受けるためには、一定期間内に家庭裁判所に財産の分与を請求し、家庭裁判所から分与を受けることが相当であると認めてもらう必要があります(民法958条の3第2項、958条)。

(3)生命保険金の受取人となる

保険契約によると、一般的に、生命保険の受取人は、戸籍上の配偶者と二親等以内の血族である法定相続人と規定されているようです。
ただし、内縁関係にある者を生命保険の受取人にしたいという需要もありますので、保険会社により異なるようですが、一定の要件を満たせば内縁の妻を生命保険金の受取人に指定して保険加入が認められる可能性があります。
具体的要件については、加入を希望する保険会社に尋ねて確認するようにしましょう。
相続人が死亡保険金を受け取った場合、保険料の全部又は一部を被相続人が負担していたものは、相続税の課税対象となります。ただし、非課税限度額がありますので、500万円×法定相続人の数の金額までは、課税対象とはなりません。
しかし、内縁の妻は相続人ではないため、内縁の妻が死亡保険金を受け取った場合、保険料の全部又は一部を被相続人が負担していたものは、税法上は贈与税の対象となります。

参考:No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金|国税庁

(4)生前贈与する

夫より生前に財産の贈与を受けることで、内縁の妻は夫の財産を取得することができます(民法549条)。
ただし、贈与財産の価額によっては、高額の贈与税がかかる可能性がありますので、注意が必要です。

(5)遺族年金の受給

年金制度は、内縁関係についても法律上の結婚と同じような保護を与えています。
遺族厚生年金は、厚生年金受給者により生計を維持していた配偶者に対し支払われ、配偶者には内縁の妻も含まれます。
ただし、生計を維持していたという実態は調査により確認されますので、内縁関係による共同生活がわかる資料(住民票の記載、同居期間がわかるもの、夫の健康保険の被扶養者となっているか等)が必要となります。

仮に、内縁の夫に法律上結婚をしている妻がいる場合にはどうなるのでしょうか。
どちらの妻が受給権を有するのかが問題となったケースで、戸籍上の妻からも事情を聴き、戸籍上の妻との婚姻関係が形骸化しているとして内縁の妻に遺族厚生年金の受給を認めた最高裁判所判決があります(最高裁判所判決平成17年4月21日)。
内縁の妻との同居期間が長く、戸籍上の妻が夫より生活費をもらっておらず婚姻関係が形骸化しているような場合には、内縁の妻が受給権を認められる可能性が高いでしょう。

内縁関係で夫が死亡した場合の損害賠償請求はどうなるのか

法律上結婚している妻は、夫が交通事故で死亡した場合には、夫の損害賠償請求権を相続して加害者に損害賠償請求をすることができます。また、遺族固有の権利として、夫が死亡したことで受けた精神的苦痛を慰謝するために、損害賠償請求をすることができます。

一方、内縁の妻は、夫が交通事故で死亡しても、夫の法定相続人ではありませんので、夫の損害賠償請求権を相続して加害者に損害賠償請求することはできません。
しかし、内縁の妻が、死亡した夫の扶養を受けて生活していたような場合には、夫から受けることができた将来の扶養利益の損失を損害として、加害者に対して損害賠償請求をすることができると考えられています(最高裁判所判決平成5年4月6日民集47巻6号4505頁)。

したがって、内縁の妻も、被害者の扶養を受けて生活していた場合には、加害者に対して損害賠償を請求することができますが、内縁関係にあったことは資料(住民票、健康保険証など)により証明する必要があります。

【まとめ】内縁の妻を選択するなら不利益を受けないように対策を!

内縁の妻は、法律上の結婚に準じて法律上も権利や地位が保護されていますが、夫の相続権はないので、遺産を受け取ることができないなどの不利益を受けることがあります。
夫の死後、思わぬ不利益を受けて生活が困難になる状況に陥ることのないように、財産については事前に対策をしておくとよいでしょう。どのような対策があるか、税金はどれほどかかるのか知りたい方は、専門家である弁護士や税理士に相談するとよいでしょう。

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