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労働基準監督署への匿名通報はバレる?匿名での相談方法について

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「職場の労働条件や待遇が違法ではないか」と疑われる場合、労働基準監督署への相談や通報をするという対処法があります。

そうした相談・通報の際に、違法状態を証明する証拠などを持参することができれば、労働基準監督署が会社への調査や行政指導などのアクションをとってくれる可能性もあります。

もっとも、そうした一連の行動によって、自身が相談者・通報者であることが会社に知られてしまうのはなるべく避けたいところでしょう。
そこで考えられるのが、匿名で相談や通報をすることはできないか、ということです。

今回は、労働基準監督署を中心に、匿名で相談・通報をする方法について解説していきます。

労働基準監督署には匿名で相談・通報できる

労働基準監督署へは、匿名で相談や通報をすることができます。

ただし、電話や電子メールでの相談を匿名でした場合には、何らかのアドバイスをもらえる可能性はありますが、具体的な事情までは分からないため、実際に労働基準監督署に調査等をしてもらうことは難しいでしょう。

ですから、労働基準監督署に対応を求める場合は、直接訪問をした上で、実名による申告をしたほうが効果的といえます。

また、労働基準監督署に立ち入り調査をしてもらうためには、会社の違法性を立証できる証拠をひとつでも多く持参して、調査の必要性を伝える必要があります。
証拠となりうるものとしては、例えば違法なサービス残業が問題となる場合には、以下のようなものが挙げられます。

  • タイムカード
  • 労働契約書
  • パソコンのログアウト記録
  • オフィスの入退出記録
  • 送信メール
  • 就業規則

労働基準監督者に通報したのが誰なのか会社にバレてしまう?

労働基準監督署には守秘義務があるため、誰が通報したのかを外部に知らせることは、通常ありません。

もっとも、労働基準監督署から直接会社に対して通報者そのものについての情報が漏れてしまうことがなくても、「会社が小規模で告発者が予測できてしまう」といった場合や、「労働基準監督署に提出した証拠に、特定の個人しか知らないはずの情報がある」などといった場合には、誰が通報したかということが分かってしまう可能性があります。

労働基準監督署に匿名で相談・通報できる内容

労働基準監督署は労働基準法違反の有無の観点から会社を監督・調査するため、相談内容は、労働基準法違反の可能性が疑われるトラブルである必要があります。

そして、労働基準監督署に匿名で相談・通報できる内容には、「賃金や残業代の未払い」「違法な長時間労働・休憩時間不足」「有給休暇が与えられない」「違法な休日設定」「労働条件が雇用契約と異なる」「危険な場所での作業」「給与が現物支給」などがあります。

なお、残業代が未払いであるといった事案につきましては、労働基準監督署の対応は会社への行政指導(是正勧告)にとどまるのが一般的です。
例えば「残業代の請求」を実際に行うようなことはありません。

匿名で相談・通報する方法

それでは、匿名で相談・通報する方法について解説していきます。

(1)労働基準監督署を直接訪問する

労働基準監督署の窓口を訪問すれば、直接相談や通報をすることが可能です。

この場合は、メールや電話での相談・通報に比べて、より信憑性・緊急性が高いと判断されやすく、会社の違法行為を明確に示す証拠があれば、早期に調査を行なってもらえる可能性があります。
自分の名前や身分を明らかにしない匿名という方法を希望する場合も、信頼できる証拠によって違法性が十分に証明できるのであれば、労働基準監督署が動いてくれる可能性はあるでしょう。

労働基準監督署は各市区町村にあるため、最寄りの窓口を訪問してみるとよいでしょう。

参考:全国労働基準監督署の所在案内|厚生労働省

(2)労働基準関係情報メール窓口を利用する

また、労働基準監督署へ電子メールで相談・通報することも可能です。

これは、厚生労働省のウェブサイトにある「労働基準関係情報メール窓口」を利用して電子メールを送信する形の相談・通報になります。

電子メールは24時間いつでも送信することができます。
送信履歴は残ってしまいますが、相談する上で必要以上に個人情報を明かす必要もありません。

もっとも、電子メールでの提供情報は、立入調査対象の選定などの参考程度にしかならないことが多いといえます。
そのため、電子メールで相談や通報をした場合は、調査等の踏み込んだ対応をしてもらうことは難しいでしょう。
電子メールへの返信は基本的になく、電子メールの内容に関する照会も受け付けていません。
そのため、相談・通報したあとは、労働基準監督署の対応をただ待つことになります。

参考:労働基準関係情報メール窓口|厚生労働省

(3)電話で通報する

電話での相談・通報は、厚生労働省が開設している「労働条件相談ほっとライン」から無料で可能となっています。
電話番号:0120-811-610
相談時間:(月・火・木・金)17~22時、(土・日)10~17時
※年末年始を除く

また、地域を担当する労働基準監督署に直接電話で相談することもできます。

直接訪問に比べると、電話での相談は書面などによって具体的な証拠を提示することができないため、相談内容に関する詳しい事情や切迫感などが伝わりにくい部分があります。
匿名で相談する場合はなおさらでしょう。
そのため、電話で相談や通報をする際には、説明の仕方を工夫した方がよいでしょう。

参考:労働条件相談ほっとライン│厚生労働省

内部通報者に対する保護

会社内部での労働問題を匿名で相談・通報したいと思うのは、やはり、自分が外部に相談・通報をしたという事実を会社に知られたくないからでしょう。
外部に相談・通報をしたことが会社に発覚してしまえば、昇進や配置転換などの点で、報復的な不利益取扱いを受けるおそれも考えられるところです。

もっとも、法は、内部通報者を不利益的取り扱いを受けないよう保護するための規定を置いています。

  1. 労働基準法104条は、同法に違反する事実を行政官庁等に申告したことを理由として当該労働者を不利益に取り扱ってはならないと規定しています。

1項 事業場に、この法律又はこの法律に基いて発する命令に違反する事実がある場合においては、労働者は、その事実を行政官庁又は労働基準監督官に申告することができる。
2項 使用者は、前項の申告をしたことを理由として、労働者に対して解雇その他不利益な取扱をしてはならない。

引用:労働基準法104条
  1. また、2004年に制定された公益通報者保護法は、一定の要件をみたす「公益通報」を行った労働者に対し、「公益通報」を行ったことを理由とする解雇その他の不利益取扱いをすることを、事業者に禁止しています。
    ここでいう「公益通報」には、行政機関だけでなくマスコミなどへの通報も含まれます。
    もっとも、公益通報者保護法は、通報先が会社か、行政機関か、それともマスコミ等かで通報行為の要件が異なります。
    通報対象事実(別表に掲げる法律に規定された罪の犯罪行為の事実及びそれらの法律の規定に基づく処分の理由となる事実。)が生じ、または生じようとしていると思料することだけで足りるのは、会社内部に通報する場合であり(公益通報者保護法3条1号)、所轄行政機関に通報する場合は、通報対象事実が生じ、または生じようとしとしていると信じるに足る相当の理由が求められますし(同条2号)、マスコミ等に通報する場合は、所轄行政機関に通報するときの要件に加え、会社内部ないし所轄行政機関に通報すると解雇その他の不利益な取り扱いがなされるおそれがあるといった要件を充足する必要があります(マスコミ等に通報する場合の付加的要件は、同条3号に規定されており、同号規定のいずれかを充足する必要があるとされております。)。
  2. 上記1及び2の法律が適用されないケースでも、通報者が報復的な不利益取扱いから保護される可能性があります。

すなわち、裁判例によれば、外部への相談・通報が正当な行為といえるものであれば、会社のそうした取扱いは、正当な内部告発によっては人事権の行使において不利益に取り扱わないという信義則上の義務に違反したものというべきであり、会社は労働者に対して債務不履行に基づく損害賠償責任を負う、とされています。

内部告発をした労働者が懲戒の対象とされうるのは、企業秘密漏洩のおそれがあることや、告発が自己の所属する企業の名誉・信用を損なうからであるとされます。
それでも会社による懲戒が許されない場合があるのは、そうした内部告発が真実を含む場合には、組織体等の運営方法の改善の契機ともなりうるものであること、内部告発を行う者の人格権ないしは人格的利益や、表現の自由等との調整の必要も存することによります。

そして、外部への相談・通報に関する正当性の判断は、以下の3要素によって総合的になされるとされています。

  1. 内容が真実でありまたは真実と信ずべき相当な理由があるか(事実の真実性)
  2. 目的が公益性を有するか(目的の公益性)
  3. 手段・態様が相当なものであったか(手段・態様の相当性)

以上のように、匿名による相談・通報が難しい場合や、匿名を通したかったがうまくいかなかった場合なども、自分の身を守りつつ目的を果たせる可能性はあるといえるでしょう。

【まとめ】労働基準監督署への匿名通報は基本的にバレません

今回の記事のまとめは以下のとおりです。

  • 労働基準監督署に対しては、直接窓口へ赴くことによって、匿名で労働基準法違反に関する相談や通報をすることができます。
  • 労働基準監督署には守秘義務があるため、誰が通報したかを外部に知らせることはありません。
  • 相談・通報方法は、直接訪問・電子メール・電話の3種類がありますが、そのうち直接訪問がもっとも緊急性・信憑性が高いと判断されるでしょう。ただし、労働基準監督署の対応は調査や行政指導にとどまることが多く、実際に未払い残業代を請求するなどのアクションに関しては、労働基準監督署への相談結果も踏まえた上で、別に対処法を考える必要があります。
  • 仮に外部への通報や相談をしたことを会社に知られたとしても、労働基準法や公益通報者保護法等によって、通報や相談をした労働者は解雇その他の不利益取扱いから保護されます。

職場の違法行為に悩んでいる場合には、労働基準監督署への匿名通報を検討してみましょう。ただし、残業代を回収したいと考えている場合には、弁護士へ相談することを検討するとよいでしょう。

参考:都道府県労働局(労働基準監督署、公共職業安定所)所在地一覧|厚生労働省

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