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休業手当とは?金額の計算方法や休業補償との違いも解説

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「突然、会社から明日以降休業するから休んでほしいといわれた。給料はどうなるの?」
新型コロナウイルスの流行に伴い、このような目に遭う方も多くなりました。

会社都合による休業の場合、会社から、賃金のおおよそ60%にあたる「休業手当」を貰えることがあります。

休業手当について、弁護士が解説いたします。

この記事の監修弁護士
弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、2006年弁護士登録。アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。現在、東京弁護士会所属。

休業手当とは

休業手当とは、使用者の責めに帰すべき事由(会社都合)により労働者が休業した場合に、使用者が、当該労働者に対し支払わなければならない手当のことです(労働基準法第26条)。

(1)休業の定義

労働基準法第26条でいう「休業」とは、「労働義務のある時間について労働ができなくなること」をいいます。
休業は時間単位でカウントされますので、所定労働時間の一部のみ休んだ場合も「休業」時間としてカウントされます。

そのため、元々労働義務のない休業期間中の休日、代休日などの場合は、「休業した」とはいえないため、休業手当の対象外となります。

(2)会社都合の休みに対する手当

休業手当について労働基準法第26条は次のように定めています。

第26条(休業手当)

使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。

引用:労働基準法第26条

同条にある「賃金」とは、労働基準法11条で定める賃金に該当し、「労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのもの」を意味します。
そのため、休業手当には、通常の賃金と同様に、社会保険料や税金がかかります。

また、労働基準法第26条で休業手当の対象となる「労働者」には、正社員に限らず、パート・アルバイト、日雇い雇用なども含まれます。
ただし業務委託など個人事業主として仕事をしている場合は労働者とは言えないため、休業手当の対象とはなりません。
ただし、個人事業主に該当するかどうかは、その実態に照らして判断されます。
「個人事業主」という形式をとっていても、実態が「雇用されている」といえる場合には、休業手当の対象となることがあります。

参考:労働基準法|e-Gov法令検索

休業手当の計算方法

休業期間中に支払われる休業手当(労働基準法26条)の金額は、「平均賃金×60%」以上です。

平均賃金と休業手当の計算例を解説いたします。

参考:平均賃金について【賃金室】|厚生労働省 神奈川労働局

(1)一日分の平均賃金の計算方法(原則)

原則として、平均賃金には、次のAの金額を用います(労働基準法12条1項)。
ただし、賃金の全部または一部が時間額や日額、出来高給で決められていて、労働日数が少ない場合などの場合は、A・Bの内、いずれか高い金額を用います(Bは最低保証額)。

A 直前3ヶ月間の賃金の合計÷直前3ヶ月間の暦日数
B 直前3ヶ月間の賃金の合計÷直前3ヶ月間の労働日数

なお、日雇い労働者の場合は、計算方法が異なります(後述)。

(1-1)「直前3ヶ月間」とは

平均賃金の計算式A、Bに出てくる「直前3ヶ月間」とは、「休業事由が発生した日の直前の賃金の締め日から、3ヶ月間遡った期間」のことを指します。
なお、次の期間は直前3ヶ月間の期間から除きます(労働基準法12条3項)。

  • 業務上のケガや病気により療養するために休業した期間
  • 産前産後休業期間
  • 使用者の責めに帰すべき事由によって休業した期間
  • 育児・介護休業期間
  • 試用期間

勤務期間が3ヶ月に満たない場合は、入社~直前の給与締め日までの賃金の総額を計算することになります。

(1-2)「賃金」とは

平均賃金の計算式A、Bに出てくる「賃金」とは、賃金の締日ごとに、基本給のみならず、交通費、皆勤手当、残業手当など諸手当も合算した金額です。
税金や社会保険料などの金額は控除しません。

また、以下の賃金は、平均賃金の計算で用いる「賃金」には含まれません。

  • 臨時に支払われる賃金(慶弔見舞金、退職金等)
  • 3ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(6ヶ月に1回支払われる賞与など)
  • 労働協約で定められていない現物給与(なお、労働協約によらない現物給与は違法)

(1-3)3ヶ月間の暦日数・労働日数を計算する

直近3ヶ月間の暦日数・労働日数を計算します。
「暦日数」には、労働日以外の休日も含みますが、「労働日数」には、労働日以外の休日は含みません。
なお、次の期間は直前3ヶ月間の暦日数・労働日数から除きます(労働基準法12条3項)。

  • 業務上のケガや病気により療養するために休業した期間
  • 産前産後休業期間
  • 使用者の責めに帰すべき事由によって休業した期間
  • 育児・介護休業期間
  • 試用期間

勤務期間が3ヶ月に満たない場合は、勤務開始日~前締日までの暦日数を計算します。

(2)日雇い労働者の場合の平均賃金の計算方法

日雇い労働者の場合、日によって、勤務先が異なったりすることも珍しくないため、平均賃金の計算方法は次のようになります。

1. 当該労働者が同じ事業場で1ヶ月以上働いている場合
⇒本人に同一事業場で1ヶ月間に支払われた賃金総額÷その間の総労働日数×73%

2.1で計算できないが、当該事業場で1ヶ月以上働いた同種労働者がいる場合は
⇒同種労働者の賃金総額÷その間の同種労働者の総労働日数×73%

※2でも計算できない場合は、労働基準監督署などにご相談ください。

(3)原則的な休業手当の計算例

10月2日~10月26日までの間、会社都合で休業。
この間の所定労働日数は20日。
賃金の締め日は毎月末締め(月給制)
7月末に支払われた賃金→31万円
8月末に支払われた賃金→31万円
9月末に支払われた賃金→30万円

この場合、休業手当(労働基準法26条)の計算は次のようになります。

STEP1まずは平均賃金を計算しましょう。
この場合、「7月1日~9月30日」までの3ヶ月間が平均賃金の計算対象となります。

とすると、直近3ヶ月間の賃金の総額は、
(7月)31万円+(8月)31万円+(9月)30万円=総額92万円
となります。
また、7月1日~9月30日の暦日数は92日です。
したがって、この場合の1日あたりの平均賃金は、
直近3ヶ月の賃金総額92万円÷直近3ヶ月の暦日数92日=1万円
となります。

なお、小数点第2位未満の端数は切り捨てにします。

STEP2次に1日あたりの休業手当の額を計算しましょう。
1日あたりの休業手当の額は,平均賃金×60%以上ですから、
少なくとも1万円×60%=6000円となります。

STEP3最後に休業期間の休業手当の総額を計算しましょう。
1日あたりの休業手当の額が少なくとも6000円であり、休業日数が20日となりますから、少なくとも6000円×20=12万円となります。

なお、1円未満の端数は四捨五入となります。

休業補償給付(労働基準法第76条)ついて

休業手当と似た制度である「休業補償」(労働基準法第76条)について以下で解説いたします。

(1)労働基準法における休業補償とは

労働基準法第75条1項、第76条1項で、休業補償につき次のように定めています。

(療養補償)

第七十五条 労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかつた場合においては、使用者は、その費用で必要な療養を行い、又は必要な療養の費用を負担しなければならない。
・・・

(休業補償)

第七十六条 労働者が前条の規定による療養のため、労働することができないために賃金を受けない場合においては、使用者は、労働者の療養中平均賃金の百分の六十の休業補償を行わなければならない。

引用:労働基準法第75条1項、第76条1項

このように、労働者が業務により負ったケガや病気で労務の提供ができない、いわゆる「業務災害」のケースでは、労働基準法76条の休業補償(平均賃金の60%)の対象となります。

参考:労働基準法|e-Gov法令検索

(2)労働基準法における休業手当と休業補償の違い

労働基準法における休業手当と休業補償は似た制度であり、支給される金額に関しても、賃金の60%に定められているなど類似点が多いです。
しかし、休業手当が支給される原因は「会社都合の休業」である一方、休業補償(労働基準法76条)は「業務災害」であるという点で、支給される原因に大きな違いがあります。

新型コロナウイルス感染症による休業の場合に休業手当はもらえる?

新型コロナウイルスの影響で会社が休業せざるを得なくなった場合に、会社が休業手当(労働基準法26条)を支払う必要があるか否かはケースバイケースです。

会社では如何ともしがたい「不可抗力」による休業の場合、会社には休業手当(労働基準法26条)を支払う必要がありません。
この「不可抗力」に該当するには、次の2つの条件をいずれも満たす必要があります。

【外部起因性】
休業が、事業の外部の事情に起因するものであること
【防止不可能性】
事業主が通常の経営者として最大限の注意を尽くしても、避けることのできない休業であること

休業が不可抗力と判断されれば休業手当の支払い義務は生じません。
しかし、単に「仕事が減った」という理由だけでは会社都合による休業と捉えられ、休業手当を支払わなければならない可能性があります。

また、在宅勤務などにより労働者を働かせることが可能であるにもかかわらず、休業をした場合には、「使用者の責に帰すべき事由による休業」として、休業手当(労働基準法26条)の支払が必要となることがあります。

(1)会社は雇用調整助成金の活用も検討すべき

新型コロナウイルスによって、業績が悪化し、経営が立ち行かなくなる企業が急増しました。
そんなときに企業が活用できるのが、支払った休業手当の一部が国から助成される「雇用調整助成金」です。
安定的に休業手当を払い続けるために、企業は、雇用調整助成金の活用も検討すべきといえます。

※雇用調整金の受給のためには一定の要件を満たす必要があります。
雇用調整助成金ついては、頻繁に制度内容が変更される可能性がありますので、最新の情報にご注意ください。

参考:雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)|厚生労働省

(2)労働者本人が新型コロナウイルスに感染して休業する場合

労働者本人の都合で、休業した場合には休業手当(労働基準法26条)の支払いは必要ありません。
例えば次のような場合が、基本的に、労働者本人の都合による休業となります。

・労働者本人が新型コロナウイルスに感染して休業した場合
※ただし、雇用保険から傷病手当が支給される可能性があります。
・労働者が発熱しているため自主的に休業する場合(発熱の原因は不明)
※ただし使用者の指示により、発熱の事実だけをもって休業させる場合には、休業手当を支払う必要があります。

参考:新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)|厚生労働省

「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」がもらえることも

「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」は、新型コロナウイルス感染症の影響で休業させられた中小企業の労働者のうち、休業中に休業手当を貰えなかった方に対し、支給されるお金です。

対象者は、2020年4月1日~12月31日までの間(※2020年11月20日現在)に、使用者の指示により休業したものの、休業手当(労働基準法26条)の支払いがなかった中小企業の労働者です。
おおよそ、平均賃金(日)の80%が支払われます(1日1万1000円が上限)。正確には、次の式で算定されます。

休業前の平均賃金(日)×80%×休業日数(※)

※休業日数には、就労した日や労働者の都合で休んだ日は含みません。

労働者本人、または事業主を通じて、一定の書類を添付して申請する必要があります。
申請の締め切り日(郵送の場合は必着)は次の通りとなっていますので注意しましょう。

2020年4~9月の休業の場合⇒2020年12月31日が締め切り
2020年10~12月の休業の場合⇒2021年3月31日が締め切り
※申請開始日は「休業した期間」の翌月の初日です。

今後、新型コロナウイルスの関連の制度については、流行の状態に合わせて、内容が変更される可能性もあるため、最新の情報に注意してください。

参考:新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金|厚生労働省

【まとめ】休業手当に関しては専門家に相談

休業手当とは、使用者の責めに帰すべき事由(会社都合)により労働者が休業した場合に、使用者が、当該労働者に対し支払わなければならない手当のことです(労働基準法第26条)。

休業手当の対象となる「休業」なのかどうかは、なかなか判断が難しい場合もあります。

「会社都合と疑われる事情で休業しているが、休業手当を貰えない」と言った場合には、速やかに専門家に相談して、適切な対応を取ることが望ましいです。

この記事の監修弁護士
弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、2006年弁護士登録。アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。現在、東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

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