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製造業の残業時間は多い?残業代未払いの実態と残業代の請求方法

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労働のかたちは業種によってさまざまなものがあります。
残業に関しても、業種によって、残業が生じやすいものと、生じにくいものとがあります。

製造業は、工場などの現場が昼夜を問わずにフル回転しているケースも多く、人手不足などの事情もあいまって、労働者が長時間労働を強いられる傾向にあるといえます。
そして、こうした環境で働く労働者には、未払い残業代が発生しているケースが少なくありません。

残業時間が多くなりがちな製造業における労働環境の実態や、未払い残業代の請求方法について、解説していきます。

この記事の監修弁護士
弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、2006年弁護士登録。アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。現在、東京弁護士会所属。

製造業の残業時間と適正な労働時間

製造業とは、新たな製品を製造し販売することを業務とする事業のことをいいます。
まずは、製造業における労働時間の実情と、適正な労働時間の知識について、理解を深めていきましょう。

(1)製造業の労働時間はどれくらい?

厚生労働省が発表している「毎月勤労統計調査」によりますと、製造業の残業時間(所定外労働時間)は、鉱業・採石業等、建設業、電気・ガス業、情報通信業、運輸業・郵便業などの業界と並んで、高いレベルの数字で推移しています。

参考:毎月勤労統計調査 令和2年11月分結果速報|厚生労働省
参考:毎月勤労統計調査 令和2年12月分結果速報│厚生労働省

製造業の工場で2交代制を敷いている場合、各労働者の労働時間は12時間ずつとなりなり、法定労働時間は8時間であるため、4時間分の空白ができることになります。
そのため、2交代制で24時間の稼働を維持するには、変形労働時間制を導入するか、労使間で36協定を締結した上で残業する形になります。

ただし、人手不足を理由に、サービス残業を強いられるようなケースもみられるところです。

(2)適正な労働時間は何時間?

法定労働時間は、原則として、1日8時間、週40時間と定められています(労働基準法32条1項)。

また、時間外労働については、1ヶ月につき45時間及び1年につき360時間が上限とされています(労働基準法36条4項)。
この時間外労働の上限規制は、大企業では2019年4月から、中小企業では2020年4月から施行されています。

違反した場合には、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金という罰則が科されるおそれがあります。

製造業に残業代の未払いが多い理由

製造業の残業代未払いの実態や、製造業で残業代の未払いが起こる理由について解説していきます。

(1)製造業における残業代(割増賃金)未払い状況

厚生労働省が発表している2017年度の調査「100万円以上の割増賃金の遡及支払状況」によると、残業代未払いがあった企業の数を業種別に比較すると、製造業が全業種のうち22.0%を占めてトップになっています。

また残業代未払いがあった対象労働者数を業種別に比較すると、製造業は5万6190人で全体の27.4%を占めており、33.8%の運輸交通業に次ぐ多さとなっています。

業種別の是正支払額は、運輸交通業が約224億円と圧倒的に多くなっていますが、製造業は、それに次いで約91.4億円で第2位となっています。

参考:100万円以上の割増賃金の遡及支払状況(平成29年度分)|厚生労働省

ここでは、製造業ではなぜ残業代の未払いが多く発生するのか、その理由について以下で紹介していきます。

(2)役職があることで管理監督者だと思い込んでしまう

労働基準法上の「管理監督者」に対しては、使用者は、時間外労働、休日労働の割増賃金の支給をしなくてもよいことになっています。

「管理監督者」の意義については、労働基準法41条2号に規定があります。

この章、第6章(年少者)及び第6章の2(妊産婦)で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。
1号 (省略)
2号 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者
3号 (省略)

引用:労働基準法41条(労働時間等に関する規定の適用除外)

裁判例によると、管理監督者とは、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者をいい、管理監督者に該当するかどうかは、名称や肩書き、就業規則の定めのいかんにとらわれず、実態に即して客観的に判断されるべきであるとされています。
したがって、単に「工場長」や「課長」などの肩書があるだけでは管理監督者とはみなされません。

具体的には、「経営者と一体性を持つような(経営や人事に関与する)職務権限を有しているか」、「厳密な時間管理を受けず、自己の勤務時間に対する自由裁量を有しているか」、「その地位にふさわしい待遇を受けているか」といった点を考慮して、管理監督者に該当するかどうかが判断されます。

何らかの肩書があるために「管理監督者だから残業代は出ないだろう」と労働者の側で思い込んでしまい、残業代を支給してもらえるケースなのに未払いとなっているようなことがないように注意しましょう。

(3)固定残業代制を導入している場合

24時間稼働する工場では2交代制あるいは3交代制のシフトが敷かれていることが多く、2交代制の場合には、法定労働時間(1日8時間)との関係で、残業せざるを得ない場合が出てきます。

あらかじめ残業代が給与に組み込まれる固定残業代制(基本給に組み込んで支給するものと、別途定額の手当として支給するものとに分類されます)を採用していることがありますが、固定残業代が相当する残業時間を超えて残業すると、使用者は、固定残業代とは別に、その超えた分の割増賃金を労働者に支払う必要があります。

しかし、固定残業代制が適正に実施されていないと、相当する残業時間を超過して残業したにもかかわらず、別途支払われるはずの割増賃金が支払われないというトラブルが発生します。

「固定残業代制」を導入している場合には、固定された一定額しか残業代が出ないというのはありがちな誤解なのです。

(4)変形労働時間制

閑散期と繁忙期とで稼働時間が変わる製造業では、変形労働時間制を導入するケースが多くみられます。

変形労働時間制は、1年単位、1ヶ月単位などのように期間を区切り、その期間内のトータルで平均して週40時間以内の労働時間内に収まるようにすれば、仮に特定の労働日の労働時間が8時間を超えたり、特定の週の労働時間が40時間を超えたとしても(1年単位の変形労働時間制においては、1日の労働時間の上限は10時間とされ、週の労働時間の上限は52時間とされます)、労基法32条違反とはされず、労働時間を弾力的に調整することを可能とする制度です。

この変形労働時間制が採用されると残業代が全く発生しないということではありません。例えば、

  1. 変形労働時間制が採用され、所定労働時間が10時間とされている労働日において、労働時間が8時間を超えても10時間以内に収まれば、時間外労働の残業代(割増賃金)は発生しませんが、10時間を越えれば、時間外労働の残業代(割増賃金)が発生します。
  2. 所定労働時間が44時間とされている週において、労働時間が40時間を超えても44時間以内に収まれば、時間外労働の残業代は発生しませんが、44時間を越えれば、時間外労働の残業代(割増賃金)が発生します。
  3. 法定労働時間(労基法32条)を超える定めをしていない労働日や週においては、1日の労働時間が8時間を超えたり、週の労働時間が40時間を越えるのであれば、時間外労働の残業代(割増賃金)が発生します。
    さらに、
  4. 変形期間の総枠(1ヶ月単位の変形労働時間制であれば、31日の月は177.1時間、30日の月は171.4時間)を超えて労働させたということであれば、これについても時間外労働の残業代(割増賃金)が発生します(法定労働時間を超えて労働させることができる日や週における残業時間及びそうでない日や週の残業時間を除いて計算されます。そうしないと、既に日や週で残業時間をみており(上記1~3)、残業時間を二重に計算することになるからです)。

※1日の所定労働時間が6時間とされたり、週の所定労働時間が週36時間とされるなど、労基法32条の労働時間の上限を下回る場合であっても、そうした所定労働時間を超えて業務に従事すれば残業代は発生します。しかし、その残業時間が上限の8時間や40時間以内に収まるのであれば、割増率の上乗せがない1時間あたりの賃金単価を前提とした残業代の支払いを受けることになります。その残業時間が上限の8時間や40時間を超えるのであれば、割増率の上乗せされた残業代(割増賃金)の支払いを受けることになります。
なお、1時間あたりの賃金単価は、一般に基礎時給といわれており、賃金が月給制でありましたら、通常の労働時間の賃金(典型的には基本給がこれにあたります。労基法37条5項所定の除外賃金や割増賃金はこれに含まれません。)を、一月平均所定労働時間(1日の所定労働時間×年間の所定労働日数÷12)で除して計算され、日給制の賃金でありましたら、これを所定労働時間で除して計算されます。時給制の賃金でありましたら、時給そのものが基礎時給となります。

変形労働時間制を採用している会社において、同制度によって残業代は発生しない仕組みとなっているとの間違ったことを言っていれば、残業代がきちんと支払われていない可能性が非常に高いです。

未払い残業代の計算方法

残業代の基本的な計算方法は「1時間あたりの基礎賃金×支給対象の残業時間×割増賃金率(1.25)」という式を利用するものです。
深夜早朝労働の場合は割増賃金率が25%以上、法定休日労働の場合には割増賃金率が35%以上となります。

しかし、固定残業代制、変形労働時間制の場合は注意が必要です。

雇用契約書等に書かれた固定残業代に対応する労働時間を超えて労働者に労働をさせた場合には、使用者に残業代の支払い義務が発生します。

変形労働時間制のもとでは、上記のとおり、1日8時間あるいは週40時間を超える労働に従事した=残業とはならないため、各労働日における所定労働時間がどうなっているのか、週の所定労働時間がどうなっているのかを把握し、実際の労働時間を自分でもきちんと管理・計算しないと、残業代の未払いがあるのではないかとの思いにすら至らない可能性があります。

自分で残業代を計算するのが難しい場合や、制度そのものの違法性が疑われるような場合には、弁護士に相談すると良いでしょう。

未払い残業代を請求する手順

未払い残業代を請求するにあたって、必要な準備と請求方法を解説していきます。

(1)残業代未払いの証拠集め

未払い残業代を会社に請求する場合には、正確な残業代を計算し、残業が発生した証拠を集めることが必要です。

実際に残業が発生した証拠として有効とされるものには、以下のようなものがあります。

  • タイムカード
  • 労働時間管理ソフト
  • オフィスの入退室記録
  • PCのログイン・ログアウト時間の記録
  • 電子メールの送信履歴
  • 勤務シフト表
  • 日報・週報など

一方で、業務中の私的なメールの送信記録や、毎日記録していないメモ書きなどは、証拠として認められにくいでしょう。

(2)会社に交渉する

証拠を集めたら、まずは会社と直接交渉し、話し合いによる解決を試みましょう。
会社を退職することなく、在職しながら未払い残業代を請求する場合には、今後のことも考えて、交渉の過程でトラブルにならないように務めなければなりません。

また、労働組合がある場合には、組合を通じて未払い残業代を請求すると良いでしょう。

(3)労働基準監督署に相談

会社との直接交渉や労働組合を通じての請求でも無理だった場合は、労働基準監督署に相談し、指導や是正勧告を出してもらう方法もあります。

もっとも、労働基準監督署は優先度が高い相談から着手するため、思うように動いてくれないこともあります。

(4)弁護士に依頼する

弁護士に依頼すると、残業代の計算や証拠集め、会社との交渉をすべて任せられるうえに、労働基準監督署よりも短期間で解決しやすい傾向にあります。

もし会社から配置転換や異動などの嫌がらせを受けた場合でも、弁護士が間に入ることで、状況の改善が期待できます。

【まとめ】残業代の未払いでお悩みの方はアディーレ法律事務所にご相談ください

製造業の残業時間は全業種のなかでも多い傾向にあり、残業代の未払いも運輸交通業に次ぐ多さとなっています。

製造業は、固定残業代制、繁忙期・閑散期の変形労働時間制などを採用しているケースが多いことから、他業種の一般企業よりも労働時間が一定でなく、未払い残業代が発生しやすい傾向にあります。

残業代の未払い分を請求したい場合には、正確な残業代の計算や証拠集めが必要となってきます。

製造業の場合、労働条件によって残業代の計算が複雑になるので、自分で請求するよりも弁護士に依頼すべきでしょう。

製造業にお勤めで、残業代の未払いにお困りなら、アディーレ法律事務所にご相談ください。

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