夫婦喧嘩が離婚に発展するケースは?回避する方法も徹底解説
作成日
2023/07/20
更新日
2023/07/20
- ※アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。
目次
夫婦喧嘩の結果、思いもよらず離婚話に発展し、慌てている方もいるかもしれません。
夫婦であっても他人である以上、育ってきた環境や価値観が異なりますので、意見や考えの違いから喧嘩になることがあります。
喧嘩後仲直りしたり、話合いにより歩み寄ったりできればよいのですが、そのまま離婚に発展してしまうケースもあります。
今回の記事では、次のことについて弁護士が解説します。
- 夫婦喧嘩が離婚に発展するケースや
- 離婚回避する方法
よくある夫婦喧嘩の原因
よくある夫婦喧嘩の原因は、次の通りです。
- 嘘をつかれる
- 約束を守らない
- 互いの金銭感覚が合わない
- 夫(妻)の収入に不満がある
- 夫(妻)のいい加減な性格にいら立つ
- 妻(夫)の料理や掃除(家事)の仕方が気に入らない
- 家事の分担割合に納得できない
- 子育ての方針が合わない
- 子育てに主体的に関わらない
- 浮気が発覚する
- 義家族との関係が悪く、夫(妻)も味方をしてくれない
- 休みの日も家族ではなくプライベートを優先する
離婚問題に発展する可能性がある夫婦喧嘩
喧嘩が多いけれども、その度に話し合って解決して、自分たちなりの夫婦としての形を整えている夫婦は、長い目で見ると安定的な夫婦関係を築くことができる可能性があります。
一方で、夫婦喧嘩はないけれども、それは夫婦の一方が我慢して耐えているだけという場合、ある時点で不満が爆発して、夫婦関係を修復できずに離婚せざるをえなくなった、という事態となる可能性もあります。
通常、離婚問題に発展しうる夫婦喧嘩は、その喧嘩の結果、将来的に信頼しあって家族として暮らしていけない、と感じるか否かという点がポイント になります。
一方で、話し合っても浪費を繰り返したり、「もう借金しない」と約束したのに隠れて借金したりしているような場合には、信頼関係に基づく家族関係の構築は困難であると感じ、離婚を検討する人が多くなる印象です。
浮気についても、喧嘩しながらも話し合って信頼関係を回復することができれば、離婚するとは限りません。
しかしながら、一度浮気をしてしまうと、今までの夫婦の信頼関係は崩壊し、新たな信頼関係を築くことは大変な努力が必要です。また、浮気をされた側の精神的苦痛の大小も人によって異なりますので、夫婦関係修復の過程で、離婚するという結論に達する夫婦もいます。
感情的な夫婦喧嘩だけで離婚に発展するわけではない
人間ですから、感情的になって、配偶者が気にしている、傷つけてしまうとわかっていて乱暴な言葉を発してしまうこともあります。
たとえば、「結婚しなければよかった」、「ほかの人より収入が低いくせに」など、結婚したことを後悔したり、すぐには変えられない収入について責めるような発言をしたりすると、相手は傷つき、防衛するために逆に傷つけるような反論をしてくるかもしれません。
感情的になると、互いに気にしている身体的特徴やコンプレックスについて、あえてからかって貶めるような発言、義家族の一方的な悪口などを言ってしまうこともあります。
このような感情的にお互いに傷つけあうような夫婦喧嘩をしてしまっても、通常、冷静になれば自分が言いすぎたことはわかりますので、謝罪したり再度話し合ったりすることで、関係は修復に向かうでしょう。
夫婦喧嘩による離婚を回避する方法はあるのか
仲直りできるはずであったのに、きっかけがつかめずに夫婦関係が破綻に向かってしまい、離婚せざるをえなくなるのは避けたい ところです。
(1)夫婦喧嘩から仲直りする方法
夫婦喧嘩から仲直りするために、一番大切なのは、「仲直りしたい」という気持ち だと考えられます。
仲直りは相手方がいることですので、一般的な仲直りする方法を実践しても、自分の配偶者に効果があるとは限りませんが、次のような仲直りの方法が考えられます。
理路整然と話しすぎない
相手が話しているのに、途中で遮って自分の意見を言わない
「でも」、「だって」など、否定・反論する言葉を使いすぎない
相手は、「自分の気持ちをわかってくれた」と感じ、こちらの話にも耳を傾けてくれるようになるでしょう。
自分の意見を押し付けない
自分の意見を100%押し通すことを目指すのではなく、お互いの妥協点を見つける努力をしましょう。
自分にも悪い点があれば素直に謝罪する
9割は相手の話を聞き、1割程度自分の意見を話すイメージをもつ
(2)裁判所の夫婦喧嘩仲裁で離婚を回避
あまり実務上は利用されていませんが、当事者同士で夫婦間の問題が解決できない場合、家庭裁判所に対して夫婦関係調整調停(円満) を申し立てて、調停委員仲介のもとで、問題解決と仲直りを目指す方法があります。
調停において調停委員という第三者の客観的な意見を聞いたり、調停委員の仲介により冷静な話合いをしたりすることで、円満な夫婦関係の調整を目指すもの です。
(3)裁判所の夫婦関係に関する調停
婚姻費用の分担の調停 は、夫婦の間で、婚姻から生じる費用の分担について、当事者間の話合いがまとまらない場合や話合いができない場合に利用することができます。 婚姻から生じる費用(婚姻費用)とは、未成熟子(経済的社会的に自立していない子)を含めた夫婦一体の共同生活に必要な費用のことです。夫婦は、その資産や収入、その他一切の事情を考慮して、婚姻費用を分担することとされています(民法第760条)。
別居後に婚姻費用が支払われなくなり、話合いでも解決できない場合には、婚姻費用の負担を求めて、相手方に対して、婚姻費用分担調停を申し立てることができます。
また、 夫婦間であっても、配偶者に対して、不法行為について慰謝料を請求することができます。
当事者間の話合いで解決できればよいのですが、話合いによる解決ができない場合には、 慰謝料請求の調停を申し立てて、調停手続のなかで調停委員あっせんのもと、話合いによる解決を目指す ことができます。
手続きは自分で行うことができますが、弁護士に依頼して弁護士に手続をしてもらうこともできます。
夫婦関係継続が難しい場合は最終的に離婚も視野に
日本では、夫婦で離婚に合意し、必要事項を記入した離婚届を提出することで離婚が成立しますので、比較的簡単に離婚することができます。
したがって、夫婦喧嘩をして「離婚したい」と思っても、 離婚は比較的簡単にできますので、一度冷静に夫婦関係について考えて、関係修復が可能かどうかを検討する ことをおすすめします。
しかしながら、夫婦関係が破綻していて話合い自体が困難なことや、話し合っても歩み寄りの姿勢がなく合意できないケースもあります。
そのような場合には、弁護士に依頼して代理人として相手方と離婚について話し合ってもらうこともできますし、家庭裁判所に対して、離婚調停を申し立てて、調停委員仲介のもとで、離婚条件について話合う方法もあります。
離婚すると決意した場合には、離婚の際に話し合うべき事柄、交渉方法などについて、一度弁護士に相談してみるとよいでしょう。
【まとめ】夫婦喧嘩が離婚に発展しないようお互いを尊重し、ときには素直に謝罪を
- 離婚問題に発展しうるかどうかは、その喧嘩の結果、将来的に信頼しあって家族として暮らしていけない、と感じるか否かという点がポイント
- 身体的特徴や収入についての発言、義家族の悪口などを言ってしまった場合であっても、謝罪したり再度話し合ったりすることで関係を修復できれば、感情的な夫婦喧嘩が離婚に発展するとは限らない
- 夫婦喧嘩からの一般的な仲直り方法
- 理路整然と話しすぎない
- 相手が話しているのに、途中で遮って自分の意見を言わず、最後まで話を聞く
- 「でも」、「だって」など、否定・反論する言葉を使いすぎない
- 自分の意見を押し付けず、妥協点を見つけられるようにする
- 自分にも悪い点があると思ったら、素直に謝罪する
- 9割は相手の話を聞き、1割程度自分の意見を話すイメージをもつ
- 家庭裁判所に夫婦関係調整調停(円満)を申し立てたりして、仲裁してもらうという手段もある
- 夫婦関係継続が難しい場合は離婚も考えよう
夫婦関係の修復には、双方の努力が必要になりますので、「相手方が悪い」という気持ちは少し置いておいて、相手方の意見や考えに耳を傾けて、譲歩する姿勢を示せるとよいでしょう。
当事者同士で話し合うのが難しい場合には、家庭裁判所の調停手続きを利用して、裁判所関与の下で話し合うこともできます。
調停手続でわからない点がある場合や、調停手続について弁護士への依頼を考えているような場合には、一度弁護士に相談してみるとよいでしょう。
アディーレ法律事務所のチャンネル
慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。
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