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熟年離婚の慰謝料の相場はいくらか?

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熟年離婚というのは、結婚してからの期間が20年以上ある夫婦が離婚することをいうとされています。

統計データによると、2013年に50歳以上の夫婦が離婚した件数は5万7573件でした。1970年は5416件ですから、40年前と比較すると約10倍も増えています。
特に、1990年~2000年にかけて急増し、約2万件から約5万7000件とおよそ2.5倍になっています。熟年離婚がこの10年で急増した原因はいったい何でしょうか。

その理由のひとつに、第一次ベビーブームのころに生まれた世代(いわゆる「団塊の世代」)の夫婦が、子どもの独立や夫の定年退職の時期に差し掛かっていることが挙げられます。
この世代は、ほかの世代に比べて人数が多いだけでなく、「夫が外で稼ぎ、妻は家庭を守る」という家庭像の影響を強く受けていた世代です。
仕事中心の生活を続け、家庭のことは妻に任せきりという夫も多く、そうした生活を何十年と続けてきたことで、夫の思いもよらない形で妻の不満が蓄積してしまうことがあります。

その結果、子どもの独立や夫の定年をひとつの区切りとして、妻が離婚を決断するケースが増えていると考えられます。
さらに、90年代以降、パートや派遣など女性が社会進出する機会が増加し、女性自身の経済力も上昇しました。

2007年4月からは、婚姻期間中に収めた夫の年金を夫婦で分割する「年金分割制度」もはじまっています。そうした状況も、熟年離婚を後押しする要因となっているようです。

そうした熟年離婚のケースで、慰謝料をどれだけ請求できるのか、今回はそのあたりについて解説していきます。

熟年離婚で慰謝料を請求できないケース

離婚の慰謝料とは、「離婚に至る原因や、離婚そのもので精神的な苦痛を受けた場合に請求できる賠償金」のことです。

そのため、精神的苦痛に対する賠償金である慰謝料は、離婚すれば必ずもらえるというわけではありません。
離婚の原因が相手方の落ち度に起因する場合に、慰謝料請求権が発生するということになります。

以下のようなケースでは、一方的に相手方に非があるとは言えないので、慰謝料の請求が難しいということになってきます。

ただし、以下のようなケースから発展して、婚姻の継続破綻につながる有責性のある行動があった場合には、慰謝料請求が可能になるケースもあります。
そうしたケースでは、まずはそうした行動の証拠を集めて弁護士に相談すると良いでしょう。

(1)性格の不一致

協議離婚で最も多い離婚理由として挙げられるものです。
男女ともに離婚時によく使われる理由であり、特にこれといった理由がないが離婚したい場合に、「性格が合わなかった」と言われることが多いです。

この場合、違う人間である以上、性格の不一致は当然存在するものと考えられます。
したがって、男女のどちらか一方に非があるとはみなされず、慰謝料が認められることは難しくなってきます。

(2)重度の精神障害

重度の精神障害(いわゆるうつ病など)で回復の見込みがない場合は、法律上の離婚事由として離婚が認められることがあります。
この場合は、民法752条に定められている、「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」という同居・協力・扶助の義務を果たせない程度の「重度」であることが求められ、また「回復の見込みがない」という点も重要視されます。

しかし、精神病になりたくてなる人はいないので、相手の有責性が認められないということになり、慰謝料を請求することは難しくなってきます。

(3)自分にも非がある場合

自分にも離婚に関して非があったような場合には、相手方も精神的苦痛を被ったとして、慰謝料の減額や相殺を主張されたり、あるいは逆に請求をされたりしてしまうケースもあります。
これを「過失相殺」と呼びますが、この点については、民法には2つの規定があります。

債務の不履行又はこれによる損害の発生若しくは拡大に関して債権者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の責任及びその額を定める。

引用:民法418条

被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。

引用:民法722条2項

民法418条は債務不履行に関する規定で、民法722条2項は不法行為に関する規定になります。
慰謝料を請求できるかどうかは非の度合いによって変わり、自分の非より相手の非が過大であれば請求できるケースも多くなってきます。

(4)信仰・宗教の違い

信仰や宗教は憲法で認められた人権であるため、それだけを理由に離婚する場合には慰謝料の請求は難しくなってきます。

ただし、宗教活動の中で有責性のある行動があった場合は、慰謝料請求が可能となるケースがあります。

熟年離婚で慰謝料を請求できるケースとその相場

離婚原因が相手による有責性のある行動である場合は、精神的苦痛に対する賠償金として、慰謝料の請求が可能になります。

慰謝料の相場は、婚姻期間や有責行為の性質、内容、期間、悪質性などによって変動してきます。

これを理由に自分が有責性のある行動をとってしまうと、慰謝料が減額されてしまうリスクがあるので、行動に移す前に弁護士へ相談することが望ましいです。

(1)暴力・暴言

このケースでは、暴力・暴言の内容や程度、婚姻期間によって慰謝料額は増減します。
相場は、50万~300万円ほどといわれています。

なお、いわゆるDV、「ドメスティックバイオレンス」は、日本では「配偶者や恋人など親密な関係にある、又はあった者から振るわれる暴力」という意味で使用されることが多いとされています。

配偶者からの暴力を防止し、被害者の保護等を図ることを目的として制定された「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」は、「DV防止法」と呼ばれることもあります。

(2)悪意の遺棄

悪意の遺棄とは、民法770条に規定された法定離婚事由の1つです。
民法752条に定められている「同居の義務」「協力義務」「扶助の義務」を怠った場合に請求できますが、こちらも内容や程度によって慰謝料額が増減します。

具体的には、生活費を入れない、ということや、正当な理由のない家出、同居拒否、健康で働ける状態であるにもかかわらず働かない、などが該当します。

こうした場合には慰謝料を請求できる可能性が出てきますが、相場はやはり、50万~300万円ほどといわれています。

(3)セックスレス

セックスレスとは、「特殊な事情が認められないにもかかわらず、カップルの合意した性交あるいはセクシャル・コンタクトが1ヶ月以上なく、その後も長期にわたることが予想される場合」などと定義されます。

セックスレスの状況によって、慰謝料額は増減することになります。

若い人の場合は、慰謝料請求が認められるには、おおむね1年以上のセックスレス状態が必要と考えられていますが、熟年離婚の場合には慰謝料が発生しないケースが多いです。

相場としては、0~100万円程度でしょう。

(4)不貞行為

不貞行為とは、いわゆる不倫のことです。
これも、民法770条に定められている法定離婚事由の1つですが、不貞行為とは何かという点について、最高裁判所は、「民法770条1項1号の不貞な行為とは、配偶者のある者が、自由な意思にもとづいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶことをいい、相手方の自由な意思にもとづくものであるか否かは問わない。」と判示しています(最高裁第一小法廷判決昭和48年11月15日)。

また、不貞行為の内容や程度、婚姻期間によって慰謝料額は増減することになります。

この場合の慰謝料の相場は100万~300万円とされています。

慰謝料以外で金銭を請求できるケースとその相場

慰謝料の他にも、離婚の際に金銭を請求できるケースがあります。

理由は異なるにしろ、慰謝料にこだわらなくても「財産」を受け取ることが可能ですので、以下の項目も検討すべきでしょう。

これらも、一律で金額が決まっているものではなく、人によって金額が変わってきますので、弁護士へ相談することが望ましいでしょう。

(1)財産分与

財産分与とは、婚姻生活中に夫婦で協力して築き上げた財産を、離婚の際にそれぞれの貢献度に応じて分配することをいいます。
法律では、財産分与については、民法768条が規定しています。
まず1項に、

協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。

引用:民法768条1項

とあります。
そして2項で、

前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、離婚の時から2年を経過したときは、この限りでない。

引用:民法768条2項

となっています。
そして3項で、

家庭裁判所が、財産の額その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうかやその額を定める

引用:民法768条3項

とされています。

財産分与についてもう少し詳しく説明しますと、大きく分けて以下の3つの種類があります。

  1. 夫婦が婚姻中に形成した財産を清算する「清算的財産分与」
  2. 離婚により困窮する(元)配偶者を扶養するための「扶養的財産分与」
  3. 傷つけたことに対する慰謝料としての意味を含む「慰謝料的財産分与」

婚姻期間に夫婦で築いた財産は、原則として折半することになります。
なお、結婚前に築いたものや、自分の実家から相続した財産は該当しません。

財産分与の除斥期間は離婚届を提出した日から2年で、離婚の慰謝料請求の時効より短いので、注意が必要です。
除斥期間とは、法律で定められた期間のうち、その期間内に権利を行使しないと権利が当然に消滅する場合の、その期間のことをいいます。
時効と異なり、中断すること(ある事由により経過した期間が消えること)はなく、また、当事者の援用(この規定によって利益を受ける旨の意思表示)がなくても、期間が経過すれば効果が生じてしまいます。

(2)退職金

退職金も財産分与の一部となります。
それは、退職金には、給与の後払い的な性質があると考えられていることによります。
勤続期間のうち、婚姻期間相当分が財産分与の対象になります。

勤続中で離婚後10年以内に退職する見込みがあり、退職金を確実にもらえる場合にも、財産分与の対象となりうることになります。

ここで、ローン返済などに退職金を充ててしまった場合は、退職金の残高が0となり、請求できなくなるので注意が必要です。

もっとも、会社の経営状態や退職理由によっては、退職金の支払い自体がされない可能性も出てきてしまいます。

(3)年金分割

年金分割とは、婚姻中に払い込んだ厚生年金保険料を分割し、将来受け取る年金額を調整する制度です。
ただし、受け取れる年金の全額を折半するものではないので、注意が必要です。

熟年離婚の場合、婚姻期間が長いだけに、離婚時点での夫婦の年金の納付額に大きな差がある場合があります。
そうなると、その分、将来の年金受給額も大きく差がついてしまいます。

例えば、会社員と専業主婦の夫婦の場合はそれが顕著であり、年金分割を行わないと、妻側の老後の生活が成り立たなくなってしまう可能性があります。
夫婦間で保険料がぴったり同じということは少ないので、特に熟年離婚の場合は、厚生年金保険料の支払いが少なかった方が年金受給額極端に少なくなるリスクが生じないよう、年金分割の手続きをした方が良いでしょう。

参考:離婚時の年金分割について│日本年金機構

【まとめ】熟年離婚で慰謝料請求を考えている方は弁護士へご相談ください

熟年離婚の場合は、婚姻期間が長くなることから、慰謝料請求の相場が高騰するケースが多くなっています。

また、離婚の慰謝料請求権は、離婚届を提出した日から3年で時効を迎えてしまいます。
さらに、自分が有責性のある行動をとってしまったことを理由に、慰謝料が減額されるリスクがあることにも注意が必要です。

熟年離婚の慰謝料で悩んでいる場合は、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。

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