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熟年離婚後の生活が心配!生活保護の申請・受給はできる?

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リーガライフラボ

※アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。

結婚して以来、何度も何度も離婚を考えつつも、幼い子どものことや離婚後の生活のことが心配で離婚を思いとどまっていた人がいます。このような人は、配偶者の定年退職で家にいる時間が多くなることで、長年の鬱積がたまりにたまって限界を超えてしまうことがあります。

「夫と一緒に暮らすなんてもう耐えられない!」

実際、残りの人生を充実したものにするために熟年離婚に踏み切る熟年夫婦(同居期間20年以上の場合)は毎年約4万組います。

ただ、熟年離婚で心配なのは、やはり熟年離婚後の生活のことです。

あなたの収入だけでは熟年離婚後生活していくことが難しいと感じる場合には、「生活保護」を受けることも検討してみましょう。

生活保護は、働ける場合は働くことや親族から援助を受けるなど条件はあるものの、国が定める最低生活費を下回る収入の場合に受けることができます。

生活保護を受けることは国民の正当な権利です。生活保護を受けることを恥ずかしいことと思う必要はありません。

この記事を読んでわかること
  • 熟年離婚後に生活保護は受給できるのか
  • 熟年離婚後の生活保護はいくらもらえるのか
  • 熟年離婚後の生活保護をもらったら気を付けるべきこと
この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

熟年離婚を考えた時は離婚後の生活が成り立つかシミュレーションが必要

『熟年離婚』には明確な定義はありませんが、一般的には長年連れ添った夫婦が離婚することをいいます。

厚生労働省の統計によれば、同居期間が20年以上である夫婦の離婚件数は約4万件前後で横ばい傾向にあるものの、1985年と比較すると2倍近くに増えています。

参考:令和2年(2020)人口動態統計月報年計(概数)の概況|厚生労働省

この統計を前提とすると、熟年離婚のハードルは1985年と比べると低くなっていますが、これまで専業主婦やパートをやっていた人にとっては、やはり経済的な問題は大きいものです。

そこで、熟年離婚を考えるのであれば、離婚後に生活が成り立つかどうかをシュミレーションしてみることをおすすめします。

例えば、次のポイントを考えてみましょう。

【熟年離婚後の生活シミュレーションで考えるべきポイント】

  • 自分だけで収入(年金や生活保護を含む)がいくら得られるか
  • 自分一人だけで住むと1ヶ月必要となる生活費はいくらか
  • 離婚後の住まいはどうするか

さらに、熟年離婚にあたっては、夫婦の財産を分ける「財産分与」を受けられたり、夫婦がこれまで納めてきた年金を分ける「年金分割」といった手続でもらえる年金額が変わったりする可能性があります。

離婚後の生活をシミュレーションするにあたっては、財産分与や年金分割も押さえておきましょう。

財産分与や年金分割についてくわしく知りたい方は、こちらの記事もご確認ください。

離婚時に知っておきたい財産分与とは?大切な財産を失わないための基本を解説

また、配偶者から暴力や暴言を受けていた場合や不倫をされていた場合には熟年離婚に伴って配偶者に対し慰謝料を請求できる可能性があります。熟年離婚における慰謝料についてくわしく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

熟年離婚の慰謝料の相場について知っておくべきことを弁護士が解説

熟年離婚後に経済的不安がある場合は生活保護を受給できる?

ご自身の収入がない場合など熟年離婚後の生活に不安がある場合には、生活保護を受給することはできるのでしょうか。

特に、熟年離婚の場合ですと、熟年離婚後に就職しようとしても高齢のため仕事が見つかりにくく、生活保護などの公的支援を受けざるを得ないこともあります。

(1)生活保護とは

生活保護とは、資産や自分の能力を活用してもなお生活費に困り、必要最低限の生活を維持することが困難な方を援助し、自立できるよう支援する制度です。

生活保護については「恥ずかしい」「後ろめたい」「恥」「税金泥棒」、そのような悪いイメージを持たれている人も多いですが、そのようなイメージに流されて必要な救済を受けることなく悲劇が起きることは許されることではありません。

生活保護を申請することは国民の正当な権利です。「恥ずかしい」と考えずに、生活費にお困りの方は生活保護の申請を検討してください。

(2)生活保護の受給資格とは

生活保護は誰でも受給できるわけではありません。

厚生労働省は、生活保護の要件について次のように説明しています。

『生活保護は世帯単位で行い、世帯員全員が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することが前提でありまた、扶養義務者の扶養は、生活保護法による保護に優先します』

参考:生活保護制度|厚生労働省

この要件に照らすと、生活保護を受給するためには次の4つの前提条件を満たす必要があります。

【生活保護を受給する前提条件】

  • 貯金や土地や家、車などの資産を売却して生活費にする
  • 働ける場合は働く
  • 年金や手当などの制度を利用する
  • 親族などから援助を受ける

生活保護の受給は、前提条件をすべて満たしても、世帯の収入が厚生労働省の定める最低生活費に届かない場合に受給することができます。

【例】令和3年4月時点の最低生活費

  • 東京都立川市に住む62歳女性一人暮らしの場合 13万6690円
  • 静岡県浜松市に住む65歳女性の一人暮らしの場合 12万520円
※なお、障害がある場合や医療費がある場合には変わってきます。

なお、持ち家や車などがあっても申請できる場合もあります(例:障害があり、通院に車が必要など)。住んでいる市や区、都道府県が設置している福祉事務所の生活保護担当に相談してみてください。

生活保護の支給額はどれくらい?

生活保護の受給が認められるとして、支給額はどれくらいになるでしょうか。

生活保護の生活保護の支給額は、最低生活費から自身の収入を差し引いた差額になります。毎月その額を支給されます。

図にすると次のようになります。

厚生労働省が定める最低生活費
自身の収入(給与や年金、親族などの援助も含む)支給される生活保護費

自身の収入には、給与や年金、手当、親族などによる援助のほかに養育費を受け取っている場合はそれも含まれることになります。

生活保護費の内訳とは

生活保護制度費の内訳は、大きく次のように分かれており、生活を営む上で必要となる各種費用に対応して扶助が支給されることになります。

扶助の種類生活を営む上で生じる費用支給内容
生活扶助日常生活に必要な食費や衣料、光熱費などの費用基準額は、
1.食費等の個人的費用
2.光熱水費等の世帯共通費用を合算して算出します。
特定の世帯には加算があります。(母子加算等)
住宅扶助アパートなどの家賃定められた範囲内で実費を支給
教育扶助子どもが義務教育を受ける学用品などの費用定められた基準額を支給
医療扶助医療サービスを受ける費用(医療サービスを受けた際の本人負担がなくなる)費用は直接医療機関へ支払(本人負担なし)
介護扶助介護サービスを受ける費用(介護サービスを受けた際の本人負担がなくなる)費用は直接介護事業者へ支払(本人負担なし)
出産扶助出産費用定められた範囲内で実費を支給
生業扶助就職するために必要な技能の修得などにかかる費用定められた範囲内で実費を支給
葬祭扶助葬式などにかかる葬祭費用定められた範囲内で実費を支給

参考:生活保護制度|厚生労働省

生活扶助は、住んでいる地域や年齢、世帯の人数によって支給される金額が変わってきます。

例えば、厚生労働省の資料によると、生活扶助の金額例は、高齢者単身世帯(68歳)の場合、東京都区部などでは7万7980円、地方郡部などでは6万6300円となっています。

参考:「生活保護制度」に関するQ&A Q.5 |厚生労働省

熟年離婚後に生活保護を申請する方法とは?

生活保護の相談や申請手続きは、住んでいる市や区、都道府県が設置している福祉事務所の生活保護担当で行うことができます(※)。

(※)福祉事務所を設置していない町村にお住まいの方は、町村役場でも申請の手続を行うことができます。

生活保護の申請にあたっては、生活保護を受給する資格があるかどうかを判断するために、次のような調査を行います。

【生活保護の申請で行われる調査】

  • 生活状況等を把握するための実地調査(家庭訪問など)
  • 預貯金、保険、不動産などの資産調査
  • 扶養義務者による扶養(仕送りなどの援助)の可否の調査
  • 年金などの社会保障給付、就労収入などの調査
  • 就労の可能性の調査

申請にあたっては、特に必要な書類はありません。しかし、生活保護の申請をした後に調査のために、世帯の収入・資産等の状況がわかる資料(通帳の写しや給与明細等)の提出を求められることがあります。

熟年離婚後に生活保護を受給すると、課される義務や制限とは?

生活保護を受給する場合、その使途などについて一定の説明を求められるなど、次のような義務や制限を課されることがあります。

【生活保護を受給する場合に課される義務や制限】

  • 福祉事務所やケースワーカーの指示や指導に従う
  • 収入と支出について定期的に報告する
  • 自立を目指す
  • 住宅扶助の金額以下の家賃の物件にしか住めない
  • 預貯金や財産を持てない
  • 貯蓄型の保険には加入できない
  • 借金やクレジットカードを使用することができない
  • 健康保険証を返還する

ただし、財産の所有などが認められる可能性もあるため、福祉事務所やケースワーカーに相談すると良いでしょう。

【まとめ】最低生活費に収入が足りない場合には生活保護を受けられる可能性あり!

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 熟年離婚後の生活シミュレーションで考えるべきポイント
  • 自分だけで収入(年金や生活保護を含む)がいくら得られるか
  • 自分一人だけで住むと1ヶ月必要となる生活費はいくらか
  • 離婚後の住まいはどうするか
  • 生活保護を受給する前提条件
  • 貯金や土地や家、車などの資産を売却して生活費にする
  • 働ける場合は働く
  • 年金や手当などの制度を利用する
  • 親族などから援助を受ける
生活保護の受給は、前提条件をすべて満たしても、世帯の収入が厚生労働省の定める最低生活費に届かない場合に受給することができます。
  • 生活保護の生活保護の支給額は、最低生活費から自身の収入を差し引いた差額になります。
  • 生活保護は申請すれば必ず受けられるわけではなく、受給する資格があるかどうかを判断する調査(生活状況や資産、就労収入などの調査)が行われます。

生活保護は国民の権利ですから、生活保護の申請も視野に入れ、必要に応じてためらわずにご利用ください。

生活保護の受給資格の有無や生活保護の制度について知りたい方は、住んでいる市や区、都道府県が設置している福祉事務所の生活保護担当窓口でご相談ください。

また、離婚後の生活を少しでも充実したものにするためには、離婚時に財産分与や慰謝料などで少しでも多くのお金を受けとっておくことも重要です。

弁護士に相談することで、あなたの状況に応じた具体的なアドバイスを受けることができるでしょう。また、「配偶者と話すとストレスを感じる」といった場合にも、弁護士に依頼すると、配偶者との交渉も弁護士があなたに代わり行いますので、ストレスを軽減できる可能性があります。
少しでも有利な条件で離婚をしたいとお考えの方は、離婚問題を取り扱うアディーレ法律事務所への相談をご検討ください。

アディーレ法律事務所では、離婚問題のご相談を承っております(※)。
(※なお、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。)

また、アディーレ法律事務所では、安心してご依頼いただけるよう、離婚問題について、ご依頼の目的を全く達成できなかったような場合には、ご依頼時にお支払いいただいた基本費用などを原則として返金いたしますので、費用倒れになることは原則ありません(2024年4月時点)。

離婚でお悩みの方は、離婚問題を積極的に取り扱っているアディーレ法律事務所(フリーコール0120-783-184)にご相談下さい。

この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

※¹:2024年4月時点。拠点数は、弁護士法人アディーレ法律事務所と弁護士法人AdIre法律事務所の合計です。

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