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熟年離婚をする夫婦の特徴や原因とは?離婚の準備と手続きについても解説

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リーガライフラボ

「熟年離婚という言葉を最近聞いたけど、何が原因なの?」

熟年離婚は、長年夫婦として連れ添った夫婦が様々な原因から離婚することをいいます。
日本において、年間の離婚件数は2002年をピークとして減少していますが、同居期間25年以上の夫婦の離婚件数は、すべての同居期間で前年より増加しており、熟年離婚は増加傾向にあるといえます。
熟年離婚の原因は夫婦によって様々ではありますが、一般的には、長年積み重なった配偶者に対する不満が存在することや、男性は定年後に妻とのコミュニケーションを重視しているが、女性は定年後も友人関係を重視する傾向があり、お互いに生活に求めるものが違うことから不仲となってしまう可能性があること等が、原因として考えられます。

本記事では、次のことについて弁護士が解説します。

  • 熟年離婚とは
  • 熟年離婚の原因
  • 熟年離婚のための準備
  • 離婚の手続き
この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

熟年離婚とは?

熟年離婚は、長年夫婦として連れ添った夫婦が様々な原因から離婚することをいいます。
熟年離婚には明確な定義はありませんが、結婚期間は何十年にも及び、不貞などの特段の離婚原因はなく長年の不満が蓄積した結果、離婚に至るものが多いようです。

2018年の統計を参考にすると、年間の離婚件数自体は2002年をピークに減少が続いています。
一方で、同居期間別に離婚件数をみると、2018年は同居期間25年未満のすべての同居期間で前年より減少していますが、同居期間25年以上では、すべての同居期間で前年より増加しています。
このように、統計からも熟年離婚は増加傾向にあることが分かります。

参考:平成30年(2018)人口動態統計月報年計(概数)の概況|厚生労働省

熟年離婚をする夫婦の特徴や原因とは?

熟年離婚をする夫婦には、直近の出来事が原因というよりも、長年の間夫婦の間に積み重ねられてきた様々な事情が、離婚の原因となるという特徴があることが多いようです。

  • 熟年離婚の原因は離婚間際にあるものではなく、家事育児不参加や不倫などを理由として、40代・50代からその芽ははぐくまれていること
  • 長年積み重なった配偶者に対する不満が存在すること

熟年離婚で後悔しないためにも準備しておくこと

熟年離婚は、長期間の婚姻期間を経て婚姻関係を解消することになりますので、離婚後後悔しないためにも、事前の準備が必要です。

(1)離婚後の財産分与を確認する

実際に離婚する前に、離婚後財産分与をどれくらい受けられそうかを確認し、自立して生活していけるかどうかを検証するようにしましょう。
財産分与の対象となるのは、基本的に婚姻期間中に夫婦で協力して取得した財産であり、独身時に得た財産や婚姻期間中でも夫婦の協力なく得た財産(贈与や遺産)は原則として対象となりません。

また、離婚前に長期間別居している場合には注意が必要です。別居期間に夫婦それぞれが取得した財産は、基本的に財産分与の対象とはならないためです(公平の観点から、財産分与時に考慮される場合もあります)。
婚姻期間が長期間になれば、その間に夫婦間に形成される財産も多額になる傾向がありますので、不動産、投資、退職金、預貯金、年金などについて、事前に調べて価値などを把握しておくようにしましょう。

財産分与の割合は基本的に2分の1ですので、財産分与の対象となる財産の半分は離婚後自分のものとなると計算し、自立した生活が可能かシミュレーションしてみるとよいでしょう。

なお、財産分与についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、財産分与について詳細を知りたい方はぜひご覧ください。

離婚時に知っておきたい財産分与とは?大切な財産を失わないための基本を解説

(2)年金分割の制度を利用する

過去厚生年金・共済年金に加入したことがなく、専業主婦(夫)だった場合には、熟年離婚した後に受け取れる可能性があるのは国民年金のみです。
しかし、離婚の際に年金分割制度を利用すれば、専業主婦(夫)であっても、婚姻期間中の配偶者の厚生年金・共済年金(報酬比例部分)の保険料納付実績について最大半分を分割して、のちに年金を受け取ることができます。

注意が必要なのは、受給できる年金自体を分割するわけではなく、納付実績を分割するという点です。分割を受けた側は、分割された納付実績に基づいた保険料を納付したものと扱われ、それに基づいて算定された老齢厚生年金を受け取ることができます。共働きの場合は、合算してから分割するので、収入が配偶者よりも低い場合には分割制度を利用するメリットがあるでしょう。

年金分割には、合意分割と3号分割の2種類があります。
第3号被保険者(企業に勤務するサラリーマンなどの第2号被保険者に扶養されている配偶者)は、双方の制度を利用できますが、3号分割は相手方の同意が不要ですから3号分割を利用する場合が多いです。ただ、3号分割は2008年4月1日以降の結婚のみが対象となりますので、婚姻期間が長い熟年離婚の場合には、両方の分割制度を組み合わせることになるでしょう。
年金分割には請求期間があります。原則離婚日の翌日から2年以内ですので、注意するようにしましょう。

(3)慰謝料の請求について検討する

熟年離婚の原因が、相手方の不貞行為・DVなどの責任のある行為にある場合には、離婚によって精神的苦痛を被るとして、慰謝料を請求できる可能性があります。相手方の問題のある行為について、相手方が否定しても証拠を示せるように、事前に証拠を集めておくとよいでしょう(DVでケガをした写真、診断書、不貞行為の証拠となる動画、写真、SNSのやり取りなど)。

(4)子どもとの関係を確認する

熟年離婚の場合、子どもは成人して自立しているケースが多いです。

子どもが成人していれば、離婚時に親権を定める必要はありませんので、子どもについて法律上取り決めるべきことはありません。ただし、子どもにとっては、何歳になっても親は親ですから、離婚することや、緊急事態が起きたときの連絡先をどうするかなどを話し合っておくとよいでしょう。

熟年離婚の流れとその後の手続きについて

熟年離婚も、通常の離婚と同様、まずは話し合いによる離婚を目指し(協議離婚)、話し合いが成立しない場合には調停を申立てて継続して話し合いをし(調停離婚)、調停が不成立となった場合には、離婚訴訟を提起して離婚を求めることになります。それぞれ説明します。

(1)話し合いによる協議離婚

まず、夫婦間で話し合いによる協議離婚を目指します。
夫婦での話し合いは難しいと思われるかもしれませんが、離婚の約9割が協議離婚で成立していますので、話し合って離婚できる可能性は高いです。
なぜ離婚を希望するのかその理由を伝え、相手の話にも耳を傾けながら、冷静に話し合ってみましょう。

離婚の合意が得られたら、次は財産分与や慰謝料についても話し合うとよいでしょう。
熟年離婚の場合には、財産分与の対象となる財産が多いなど、離婚の合意内容も複雑になることが予想されますので、離婚協議書や公正証書を作成しておくとよいでしょう。具体的な作成方法は、専門家に相談するようにしましょう。
なお、夫婦間で話し合いが困難な場合でも、弁護士の介入により協議離婚が成立する場合もあります。

(2)離婚調停による熟年離婚

協議により離婚に合意できない場合には、離婚を希望する者が離婚調停を申立てることになります。
離婚調停でも話し合いが決裂すると、調停は不成立となり、訴訟を提起することになります。離婚についてはまず話し合いで解決することが望ましいとされていることから、調停を経ずに訴訟をすることはできません(調停前置主義、家事事件手続法257条1項)。

離婚調停では、裁判所の調停委員関与のもとで、離婚に向けて話し合いを行います。
2020年度の統計を見てみると、調停が成立して離婚した件数は、25年以上の婚姻期間の場合で2000件を超えています。

一方で、調停不成立となる件数も1000件を超えており、調停で話し合いがまとまらずに、離婚するために訴訟せざるを得ない夫婦が少なくないことが想定されます。

参考:第20表 婚姻関係事件数-終局区分別婚姻期間別|裁判所

(3)離婚訴訟を行うこともある

離婚調停で話し合っても離婚に合意できない場合には、調停不成立となりますので、離婚を希望する者は、原則として離婚訴訟を提起して裁判所に離婚を認めてもらう必要があります。
裁判所は、「妻(夫)との生活が苦痛だから離婚したい」などと漠然とした理由だけでは、離婚を認めることはありません。
裁判所に離婚を認めてもらうためには、法律上の離婚事由(原因)が必要ですので、その離婚事由に即した主張と立証(証拠)が必要になります。
また、離婚訴訟には、法的知識に基づいた書面の作成や裁判官とのやり取りが必要となりますので、裁判に慣れていない本人が対応するのは難しいと考えられます。
訴訟を提起する前に、事前に弁護士に相談・依頼するようにしましょう。

【まとめ】熟年離婚には準備が必要。話し合いが困難な場合は弁護士に相談を

本記事をまとめると次のようになります。

  • 熟年離婚は増加傾向にある
  • 熟年離婚の原因として、長年積み重なった配偶者に対する不満が存在することや、男性は定年後に妻とのコミュニケーションを重視しているが、女性は定年しても友人関係を重視する傾向があり、お互いに生活に求めるものが違うことから不仲となってしまう可能性があることなどが考えられる
  • 後悔しないためにも熟年離婚にはしっかりとした準備が必要になる。財産分与、年金分割、慰謝料請求の可能性等については確認しておくこと

熟年離婚では、夫(妻)の退職・引退などをきっかけに、人生をリセットして新しい生活を始めたいと考えているパートナーが、離婚を希望することが多いようです。
法律の専門家である弁護士に相談すれば、事情を伺って、離婚に関する具体的なアドバイスをすることができますし、弁護士に離婚協議書や公正証書の作成を依頼することもできます。

熟年離婚を考えているけれども、今後の離婚の話し合いについて不安な方は、一人で悩まずに、離婚を取り扱っている弁護士にご相談ください。

アディーレ法律事務所では、離婚問題のご相談を承っております(※)。
(※なお、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。)

また、アディーレ法律事務所では、安心してご依頼いただけるよう、離婚問題について、ご依頼の目的を全く達成できなかったような場合には、ご依頼時にお支払いいただいた基本費用などを原則として返金いたしますので、費用倒れになることは原則ありません(2023年10月時点)。

離婚でお悩みの方は、離婚問題を積極的に取り扱っているアディーレ法律事務所(フリーコール0120-783-184)にご相談下さい。

この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

※¹:2024年3月時点。拠点数は、弁護士法人アディーレ法律事務所と弁護士法人AdIre法律事務所の合計です。

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