調停離婚・審判離婚の違いは?手続の流れや法的効力について解説

  • 作成日

    作成日

    2023/07/20

  • 更新日

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    2023/07/20

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目次

「調停離婚」、「審判離婚」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
しかし、どういった手続なのか、裁判離婚と何が違うのか、わからない部分も多いのではないでしょうか。

2つとも話合いでの離婚が難しい場合にとられる離婚の手続であるのですが、次のような違いがあります。
  • 調停離婚:家庭裁判所で当事者の話合いで離婚をする手続
  • 審判離婚:裁判官が離婚か否かを判断する審判で離婚をする手続
調停離婚では、話合いの解決となりますので、結論に納得がいかない場合には、結論に対して同意せずに調停不成立とすることも可能です。
一方、審判離婚についても、異議申立ての機会が与えられていますので、納得がいかない場合には、異議を申し立て、審判の効力がおよばないようにすることができます。

これから調停離婚・審判離婚を検討されている方は、わからないことも多く不安もあると思いますが、どのような手続・流れになるのかを知っておくことで、不安を払拭しておきましょう。

この記事では、次のことについて弁護士が詳しく解説します。
  • 離婚の方法(協議離婚・調停離婚・審判離婚・裁判離婚)
  • 調停離婚・審判離婚の手続きと流れ
  • 調停離婚・審判離婚の法的効力
調停離婚、審判離婚について検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

離婚の4つの方法(協議・調停・審判・裁判)

離婚の方法には、調停離婚・審判離婚を含めて次の4つの方法があります。

(1)協議離婚

「協議離婚」とは、夫婦間の話合いで離婚をする方法です。

協議離婚の場合、双方で合意ができたら、離婚届を役所に提出すれば、離婚原因も特別な手続や費用も必要なく、受理されると離婚が成立します。

この方式は、離婚届の提出以外の手続は不要のため、早く離婚することができます。

離婚の際に話し合った内容(財産分与や、親権、子供の養育費など)については、離婚協議書を作成しておくことがおすすめです。書面に残しておくことで、あとから「そのような約束はしていない」などと言い逃れされてしまうことを防ぐことができます。

(2)調停離婚

離婚について話合いがまとまらない場合や話合いが難しい場合には、調停離婚の手続を進めることになります。

「調停離婚」とは、家庭裁判所に離婚調停を申し立てて、話合いを行って離婚をする方法です。

調停離婚は、夫婦双方に離婚することの合意が成立し、家庭裁判所で調書が作成されることで離婚が成立します。その後、戸籍に離婚の事実を反映させるため、離婚届を提出します。
もし、夫婦で離婚についての合意が得られなければ、調停をしても離婚は成立しません。

(3)審判離婚

「審判離婚」とは、調停が不成立となった場合に、調停に代わる審判(裁判官が離婚について判断します)によって離婚をする方法です。

審判に納得できない場合、当事者が審判の告知を受けた日から2週間の間は、書面で異議を申し立てることができ、異議申立てがなされると審判離婚の効力はなくなります。

なお、異議申立てがなされずに2週間経過すると、審判離婚は確定します。

(4)裁判離婚

「裁判離婚」とは、家庭裁判所で調停をしても、夫婦で離婚すること、または離婚条件について合意ができずに調停が不成立となった場合や審判に異議が出た場合に、裁判によって離婚する方法です。

家庭裁判所で離婚判決の言い渡しがあって、その判決が確定すると離婚が成立します。

なお、判決に納得できない場合(離婚不成立、離婚が成立しても慰謝料額に納得できない場合)には、控訴・上告することができます。

これまで説明した離婚の流れを図にすると次のようになります。

【離婚の流れ】

調停離婚・審判離婚の手続

調停離婚・審判離婚の手続の流れと離婚の流れについて解説します。

(1)調停離婚の手続

  1. (1)家庭裁判所に離婚調停を申し立てる
    配偶者の住所地を管轄する家庭裁判所に申立書類一式を提出し、申立費用を納付します(持参または郵送)。
    申立時の手数料として収入印紙代1,200円(申立ての内容が増えれば、印紙代も増加)、戸籍謄本代や住民票代、切手代1,000円程度(家庭裁判所によって異なる)が一般的に必要となります。

  2. (2)離婚調停期日
    申立てから約1~2ヵ月後に第1回調停期日が実施されます。
    調停期日通知書を持参し、通知書に記載の日程で家庭裁判所に行くことになります。
    離婚調停では、基本的に当事者が顔を合わせて直接話し合うことはありません。夫婦が待機する待合室も別々ですし、調停委員と話をするときも別々となります。

  3. (3)第2回目以降の調停期日
    第1回期日と同じく、申立人・相手方がそれぞれ調停室に案内され、調停委員と話をします。
    期日回数は2~4回、期間は3~6ヵ月のケースが多いです。
    ただし、親権や面会交流など、子供に関する話合いは、家庭裁判所調査官の調査があるので、期間が長引いてしまう傾向にあります。

  4. (4)離婚調停の終了 話合いで合意し、調停が成立すると離婚成立となります。
    調停が成立した場合には合意した内容について調停調書にまとめます。
    また、話合いでの解決が難しい場合には、調停を不成立として、離婚裁判に移行する場合があります。

(2)審判離婚の手続

審判離婚は、離婚調停の手続のなかで行われ、審判離婚となるケースは稀です。

たとえば、次のような場合には、調停を不成立とし、家庭裁判所が調停に代わる審判によって離婚を命ずる方法(審判離婚)をとる場合があります。
  • 離婚自体には同意しているが離婚条件にわずかな意見の違いがあり、当事者が審判に委ねることに合意している場合
  • 離婚・離婚条件に争いがないが当事者の一方がどうしても出廷できない場合 など
この手続は、家庭裁判所の判断で行われますので、当事者に特に手続が必要となることはありません。

(3)(離婚が成立した場合)調停調書や審判書が作成されてから離婚をする手続

調停調書や審判書が作成された後は、次のような流れで離婚をすることになります。
  • 調停調書の謄本を請求する(審判の場合は審判書謄本と審判確定証明書)
  • 調停調書の謄本と併せて離婚届を提出(審判の場合は審判書謄本と審判確定証明書)

(3-1)調停調書の謄本を請求する(審判の場合は審判書謄本と審判確定証明書)

まず、調停調書謄本(審判書と審判確定証明書)を請求して交付してもらいます。

調停調書謄本(審判書謄本と審判確定証明書)の申請方法には、郵送で申請する方法(郵送申請)と、裁判所に足を運んで申請する方法(来庁申請)があります。

通常は、調停が成立したら、引き続いて書記官室に行って謄本申請します。帰宅前に申請書を提出して帰れば、2、3日で郵送してもらえます。
こうしておけば、わざわざ後日に裁判所へ出向いたりホームページからダウンロードして郵送したりする必要がありません。

(3-2)調停調書の謄本と併せて離婚届を提出(審判の場合は審判書謄本と審判確定証明書)

次に、調停調書謄本(審判書と審判確定証明書)と離婚届を夫婦の本籍地または所在地にある役所に提出します。

本籍地以外の役場に提出する場合には、戸籍謄本も提出します。
離婚届は、離婚調停の成立した日を含めて10日以内に提出します。
10日を過ぎると、5万円以下の過料が課されてしまいます。

離婚における「調停調書」と「審判」の法的効力

「調停調書」と「審判」には、裁判所の判断である「判決」と同等の法的効力があります。

具体的には、主に次の2つの効力があります。
  1. 離婚届に夫婦双方の署名捺印がなくても離婚可能!
    調停調書や審判書がある場合には、夫婦のうち一方の署名捺印がある離婚届と調停調書謄本(もしくは審判書謄本)を役所に提出することで離婚が可能です。

  2. 慰謝料などの未払いがあれば強制執行ができる可能性あり!
    調停調書(もしくは審判書)に記載されている合意内容が守られない場合には、権利者側が申し立てることで、調停調書(もしくは審判書)に執行文を付けて強制執行を行うことが可能です。
    強制執行とは、勝訴判決を得たり、相手方との間で和解が成立したにもかかわらず、相手方がお金を支払ってくれなかったり、建物等の明渡しをしてくれなかったりする場合に、相手方に対する請求権を、裁判所が強制的に実現する手続です。

【まとめ】調停離婚は話合いで行われる離婚|審判離婚となるケースは稀

今回の記事のまとめは次のとおりです。
  • 離婚の方法
1.協議離婚…夫婦間の話合いで合意することによって離婚を決める方法
2.調停離婚…家庭裁判所に離婚調停を申し立てて、話合いを行って離婚をする方法
3.審判離婚…家庭裁判所が調停に代わる審判によって離婚を命ずる方法
4.裁判離婚…家庭裁判所で離婚判決によって離婚する方法
  • 離婚における「調停調書」と「審判」の法的効力
  • 調停離婚や審判離婚の場合、夫婦のうち申立人(場合によっては相手方)が署名捺印をした離婚届と調停調書謄本(審判離婚の場合は審判書謄本、審判確定証明書)を役所提出することで離婚が成立する。
  • 調停調書や審判調書に記載されている合意内容が守られない場合には、権利者側が申し立てることで、調停調書に執行文を付けて強制執行を行うことが可能。
「離婚に向けてどういう準備が必要か知りたい」、「離婚について不安や疑問がある」という方は離婚に関するQ&Aをご覧ください。
調停離婚、審判離婚についてお悩みの方は、離婚問題を取り扱う弁護士へのご相談をおすすめします。

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この記事の監修弁護士

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

林 頼信の顔写真
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