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過失割合9:1の事故とは?過失割合に納得できないときの対処法

作成日:更新日:
kiriu_sakura

Fさん(仮名)は休日に自動車を運転中、細い道から急に飛び出してきた自動車に衝突され、全治1ヶ月のけがを負いました。事故後、相手方の保険会社の担当者と過失割合について話し合いをしたところ、保険会社が言うには、相手方とこちらの過失割合は9:1が妥当とのことでした。

Fさんとしては、細い道から減速もせずにいきなり飛び出してきた相手方が全責任を負うべきであり、こちら側に1割の過失があるというのは納得がいきません。
この記事では、

  • 過失割合9:1になる交通事故の事例
  • 交通事故の過失割合が9:1とされた場合における注意点
  • 過失割合に納得できないときにすべきこと

について、弁護士が解説します。

この記事の監修弁護士
弁護士 村松 優子

愛知大学、及び愛知大学法科大学院卒。2010年弁護士登録。アディーレに入所後,岡﨑支店長,家事部門の統括者を経て,2018年より交通部門の統括者。また同年より、アディーレの全部門を統括する弁護士部の部長を兼任。アディーレが真の意味において市民にとって身近な存在となり、依頼者の方に水準の高いリーガルサービスを提供できるよう、各部門の統括者らと連携・協力しながら日々奮闘している。現在、愛知県弁護士会所属。

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過失割合9:1になる交通事故の事例

まず、過失割合が9:1になる交通事故について、具体的なケースを説明します。
※なお、以下に挙げる過失割合はいずれも基本的な過失割合であり、個別事情により修正されることがあります(後述)。

(1)自動車どうしの事故

自動車どうしの事故で、過失割合が9:1になるケースとしては、次のようなものがあります。

ア 信号のない交差点で、優先道路走行中の優先車(B)に劣後車(A)が衝突

【過失割合(%)】

A(劣後車)B(優先車)
9010

過失割合9:1でもっともよくみる事故態様です。優先道路を進行中の被害者側には殆ど回避不能な場合が多いのですが、停止中ではなく双方が動いているということで、最低限の過失割合を負担している例とも言えます。

イ 一時停止規制がある交差点で、一時停止の規制がない道路の直進車(B)(減速)と、一時停止のある道路を直進していた車(A)(減速せず)が交差点内で衝突

【過失割合(%)】

A(減速せず)B(減速)
9010

ウ 交差点に赤信号で進入した車(A)と、青信号で進入し赤信号で右折した車(B)が衝突

【過失割合(%)】

AB
9010

エ 追い越しが禁止されている交差点で、右折車(B)の後続車(A)が道路の中央を越えて右折車を追い越そうとして衝突

参考:東京地裁民事交通訴訟研究会(編集)『別冊判例タイムズ38』判例タイムズ社【135】

【過失割合(%)】

AB
9010

オ 追い越し禁止道路で、直進車(B)を追い越した車(A)が衝突

参考:東京地裁民事交通訴訟研究会(編集)『別冊判例タイムズ38』判例タイムズ社【151】

【過失割合(%)】

AB
9010

(2)自動車とバイクの事故

自動車とバイクの事故で、過失割合が9:1になるケースとしては、次のようなものがあります。

ア 交差点の優先道路を直進するバイク(B)と、劣後車(A)が衝突

参考:東京地裁民事交通訴訟研究会(編集)『別冊判例タイムズ38』判例タイムズ社【171】

【過失割合(%)】

A(劣後車)B(優先車)
9010

イ 一方通行規制がある交差点で、一方通行に違反する自動車(A)と、一方通行規制のないバイク(B)が衝突

参考:東京地裁民事交通訴訟研究会(編集)『別冊判例タイムズ38』判例タイムズ社【173】

【過失割合(%)】

A(一方通行違反あり)B(一方通行違反なし)
9010

ウ 信号のある交差点で黄色信号でバイク(B)が進入し、赤信号で進入した自動車(A)が衝突

参考:東京地裁民事交通訴訟研究会(編集)『別冊判例タイムズ38』判例タイムズ社【162】

【過失割合(%)】

AB
9010

現在では、双方が赤信号になる「全赤」状態が2~4秒程度設定されており、この事故態様は稀です。

エ 交差点に赤信号で進入した自動車(A)と、交差点に青信号で入って右折した時には赤信号になっていたバイク(B)が衝突

【過失割合(%)】

AB
9010

オ 信号機がない交差点で、直進するバイク(B)とバイクを追い越して左折しようとした後続車(A)が衝突

参考:東京地裁民事交通訴訟研究会(編集)『別冊判例タイムズ38』判例タイムズ社【214】

【過失割合(%)】

AB
9010

(3)自動車と自転車の事故

自動車と自転車の事故で、過失割合が9:1になるケースとしては、次のようなものがあります。

ア 明らかに幅が広いほうの道路を直進する自転車(B)と、幅が狭いほうの道路を直進する自動車(A)が衝突

参考:東京地裁民事交通訴訟研究会(編集)『別冊判例タイムズ38』判例タイムズ社【241】

自動車右折の場合も同様です。

【過失割合(%)】

AB
9010

イ 一時停止規制のない道路を直進する自転車(B)と、一時停止違反の自動車(A)が衝突

参考:東京地裁民事交通訴訟研究会(編集)『別冊判例タイムズ38』判例タイムズ社【243】

【過失割合(%)】

A(一時停止違反)B
9010

自動車右折の場合も同様です。

ウ 優先道路を直進する自転車(B)と、優先道路でない道路を直進する自動車(A)が衝突

参考:東京地裁民事交通訴訟研究会(編集)『別冊判例タイムズ38』判例タイムズ社【241】

【過失割合(%)】

A(劣後車)B(優先車)
9010

自動車右折の場合も同様です。

エ 信号のある交差点で、黄色信号で進入した自転車(B)と、赤信号で進入した自動車(A)が衝突

参考:東京地裁民事交通訴訟研究会(編集)『別冊判例タイムズ38』判例タイムズ社【237】

【過失割合(%)】

AB
9010

オ 信号機のない交差点で、直進する自転車(B)と、対抗して右折する自動車(A)が衝突

参考:東京地裁民事交通訴訟研究会(編集)『別冊判例タイムズ38』判例タイムズ社【260】

【過失割合(%)】

AB
9010

カ 信号機のある交差点で、双方青色信号で、直進する自転車(B)と、右折する自動車(A)が衝突

参考:東京地裁民事交通訴訟研究会(編集)『別冊判例タイムズ38』判例タイムズ社【249】

【過失割合(%)】

AB
9010

キ 歩行者用信号機のある交差点で、横断歩道に沿って直進する自転車(B)と、右折する自動車(A)が衝突

参考:東京地裁民事交通訴訟研究会(編集)『別冊判例タイムズ38』判例タイムズ社【297】

【過失割合(%)】

AB
9010

(4)自動車と歩行者の事故

自動車と歩行者の事故で、過失割合が9:1になるケースとしては、次のようなものがあります。

ア 信号機のある横断歩道で、(青信号に変わると見込んで)赤信号で横断を開始した歩行者(B)(横断中に青信号に変わる)と赤信号で右折してきた自動車(A)が衝突

参考:東京地裁民事交通訴訟研究会(編集)『別冊判例タイムズ38』判例タイムズ社【19】

【過失割合(%)】

AB
9010

イ 工事中などで歩道を通れず車道の側端を通行する歩行者(B)と、車道の自動車(A)が衝突

【過失割合(%)】

AB
9010

ウ 駐車場内での歩行者(B)と自動車(A)が衝突

参考:東京地裁民事交通訴訟研究会(編集)『別冊判例タイムズ38』判例タイムズ社【338】

【過失割合(%)】

AB
9010

過失割合9:1の場合における注意点

過失割合は、事故の相手方(相手方が自動車の場合は、通常は相手方が加入する保険会社)との示談交渉の中で決めることになります。
では次に、過失割合9:1となった場合の注意点を説明します。

(1)過失割合が1割であっても、相手に損害賠償を払う可能性はある

交通事故でケガの治療費などの損害が生じた場合、損害賠償は過失割合に基づき支払うのが原則です。
例えばA(仮名):B(仮名)の過失割合が9:1の交通事故で、Bに生じた損害額が100万円(Aには損害なし)だった場合、損害額100万円のうち10万円はB自身が負担し、Aは90万円を負担することになります。

この場合、Bは損害額100万円から自身の過失割合分10万円(=100万円×1割)が差し引かれて受取額は90万円となりますが、Aに対して賠償金を支払う必要はありません。

しかし、A:Bの過失割合が9:1のケースであっても、Aの損害額が多い場合、Bの方が賠償金を支払わねばならないこともあります。
例えば、A(過失割合:9割)の損害が1000万円、B(過失割合:1割)の損害が100万円の場合、

AからBに支払われる額……100万円×9割=90万円
BからAに支払われる額……1000万円×1割=100万円

となります。

この場合、BはAから90万円の支払いを受けますが、Aに対して100万円支払わねばなりません。自身の過失割合は1割しかないにもかかわらず、結果として差し引き10万円をAに支払わなければならなくなってしまうのです。(※)
加害者と被害者の過失割合が9:1であっても、例えば加害者が重傷の場合や、高級車に乗っていたなどの場合は、被害者の方が逆に加害者に賠償金を支払う結果になってしまうこともあるので注意が必要です。

(※)ここでは、相殺でなく、差引き計算として結局10万円を支払うこととなるという意味です。なお、民法上、不法行為が原因の支払義務についての相殺は、悪意の不法行為(民法509条1号)または人身損害(同2号)の場合にはできないとされていますが、支払清算方法として双方の合意があれば相殺可能と解されています。

(2)保険の等級が下がる

過失割合が1割とされた場合でも、相手方に対して損害賠償を支払う際は、通常は自身が加入する自動車保険を利用することになります。
その際、保険を利用すると等級が下がり、翌年の保険料が高くなってしまいます(自車の修理に車両保険を使う場合も同様です)。

そこで、翌年値上がりする保険料と相手方に支払う損害賠償額を比較し、保険料のほうが高くなってしまう場合は保険を使わず、自腹で損害賠償を支払うことも検討すべきです。

(3)車の修理費をまかなえない場合がある

事故による自車の損傷が激しい場合、車体の時価額よりも修理費のほうが上回ってしまうことがあります。

この場合、加害者から被害者への賠償は、車体の時価額+買替えに必要な諸費用(自動車取得税や移転登録費用など)に限定されてしまいます(これを「経済的全損」といいます)。
相手方に対する1割の損害賠償を負う上に、経済的全損と評価されると、自車の修理費すらまかないきれなくなることもあります。

過失割合9:1に納得できないときにすべきこと

以下では、こちら側に1割の過失があるとされたことに納得できない場合、被害者がとるべき対処法を解説します。

(1)保険会社と話し合う

加害者側の保険会社は、基本的には上でご紹介した各ケースのように、過去の交通事故の裁判例に基づき定められた過失割合を提示してきます。
しかし、保険会社が提示する過失割合は最終的な結論ではなく、単なる打診にすぎません。過失割合1割に納得できない場合、再度保険会社と話し合うことが大切です。

その際、こちら側に一切過失がないことを主張するためには、客観的かつ具体的な証拠が必要です。ドライブレコーダーの映像や、実況見分調書などの事故記録があれば有力な証拠となります。

(2)片側賠償で「9:0」にする

片側賠償とは、被害者と加害者間で過失割合の合意が取れない場合に、妥協策として双方の過失割合を「9:0」とすることにより解決する方法です。

9:0では足して10にならないため、不思議に感じる方も多いと思いますが、これは過失割合9とされた側が損害賠償請求を放棄することで、過失割合1とされた側が相手方への損害賠償を支払わずに済ませる方法です。

【具体例】

A(仮名)とB(仮名)の間の衝突事故で、Aに200万円、Bに100万円の損害が生じたケースを考えます。
事故の状況から、AとBの過失割合が9:1と考えられる場合、お互いが負担する額は次のようになります。

【A:B=9:1の場合】

AB
自身の損害についての自己負担額180万円10万円
相手方に支払うべき賠償額90万円20万円
総負担額270万円30万円

Bが、自分に1割の過失割合があるということに納得いかない場合、A:Bの過失割合を10:0にしたいと思うでしょう。この場合のお互いの負担額は次のようになります。

【A:B=10:0の場合】

AB
自身の損害についての自己負担額200万円0万円
相手方に支払うべき賠償額100万円0万円
総負担額300万円0万円

ただし、BがA:Bの過失割合を9:1から10:0にするためには、A(通常は、Aが加入する保険会社)を納得させる必要があります。A側が納得しなければ、交渉に多くの時間と労力を注がなければならない場合も出てきます。

そこで、A:Bの過失割合を9:0として処理すれば、お互いの負担額は次のようになります。

【A:B=9:0の場合】

AB
自身の損害についての自己負担額180万円10万円
相手方に支払うべき賠償額90万円0万円
総負担額270万円10万円

このように、A:Bの過失割合=9:0(片側賠償)にすると、Bとしては、A:Bの過失割合=9:1の場合と比べて、Aに支払うべき賠償額が20万円→0円となって総負担額が減るとともに、保険の利用による等級ダウンを避けられるメリットがあります。

また、Aとしても、A:Bの過失割合=9:0(片側賠償)にすると、交渉の結果10:0にされるよりは、総負担額を減らせる(300万円→270万円)メリットがあります。
このように、時間と労力のかかる交渉を避け、お互いに一定の経済的なメリットを受けたいという場合に片側賠償という方法が用いられます。

(3)加害者の修正要素を主張する

この記事の前半部分で、過失割合が9:1となる事故のケースをいくつかご紹介しました。もっとも、これらはいずれも基本的な過失割合です。
事故類型から見ると、通常は被害者に1割の過失が認められるケースであっても、加害者側に過失を加重する修正要素が認められれば、10:0が認められることもあります。

例えば、上で挙げた、(1)自動車どうしの事故の「イ 信号のない交差点で、優先道路走行中の優先車(B)に劣後車(A)が衝突」で、Aの過失割合が加重される修正要素は次のようなものがあります。

【Aの著しい過失】

  • 脇見運転など、著しい前方不注意
  • 著しいハンドル・ブレーキ操作不適切
  • 携帯電話使用などの「ながら運転」
  • おおむね時速15km以上30km未満の速度違反(高速道路は除く)
  • 酒気帯び運転

【Aの重過失】

  • 酒酔い運転
  • 居眠り運転
  • 無免許運転
  • おおむね時速30km以上の速度違反(高速道路は除く)

事故時に、Aがこれらのいずれかに該当する場合は、基本的な過失割合であるA:B=9:1が修正されて10:0になる可能性があります。

ただし、30:70を20:80に修正する場合と、10:90を0:100に修正する場合では、同じ10%でも意味合いが異なります。加害者側の過失が重大であっても、被害者側が通常の注意をしていれば事故を回避できただろうといえる場合には0:100にはなりにくい傾向があります。

また、そもそも道路状況が危険をはらんでいた場合にも、被害者側に一定の過失負担が課される傾向があります(お互い様の危険負担)。

(4)弁護士に相談する

過失割合を決めるにあたって、被害者本人が相手側の保険会社直接示談交渉することは可能です。もっとも、過失割合の知識がないと、保険会社から提示された過失割合を変更はなかなか難しいのが現実です。
法律に詳しい弁護士に依頼した方が、納得のいく過失割合にできる可能性は高まるでしょう。

また、弁護士に依頼すれば、過失割合の決定だけでなく、相手側との損害賠償金の交渉を代行してくれるメリットもあります。
そこで、交通事故による過失割合や賠償金額の交渉は、弁護士に依頼することをおすすめします。

なお、示談交渉などを弁護士に依頼する際には弁護士費用が必要となりますが、ご加入の任意保険に弁護士費用特約が付いていれば、弁護士費用をそちらから賄うことができます。

弁護士費用特約についてはこちらもご参照ください。

弁護士費用特約は保険に入っていない人でも補償範囲になる?利用できるケースを解説

【まとめ】交通事故にあい、過失割合9:1に納得できない場合は弁護士にご相談ください

この記事のまとめは次のとおりです。

  • 交通事故で、過失割合が9:1になるのはいくつかのパターンがあります。
  • こちら側の過失割合が1割とされた場合でも、相手方に賠償金を支払わなければならない場合や、自動車保険の等級がダウンしてしまう場合があるので注意が必要です。
  • 過失割合9:1に納得がいかない場合は、相手側の保険会社と交渉したり、9:0の片側賠償にするなどの方法もあります。いずれにしても、交渉は弁護士に依頼するのがよいでしょう。

交通事故の被害による賠償金請求をアディーレ法律事務所にご相談・ご依頼いただいた場合、原則として手出しする弁護士費用はありません。

すなわち、弁護士費用特約が利用できない方の場合、相談料0円、着手金0円、報酬は、獲得できた賠償金からいただくという完全成功報酬制です(途中解約の場合など一部例外はあります)。

また、弁護士費用特約を利用する方の場合、基本的に保険会社から弁護士費用が支払われますので、やはりご相談者様・ご依頼者様に手出しいただく弁護士費用は原則ありません。
※なお、法律相談は1名につき10万円程度、その他の弁護士費用は300万円を上限にするケースが多いです。
実際のケースでは、弁護士費用は、この上限内に収まることが多いため、ご相談者様、ご依頼者様は実質無料で弁護士に相談・依頼できることが多いです。

なお、法律相談は1名につき10万円程度、その他の弁護士費用は300万円を上限にするケースが多いです。弁護士費用が、この上限額を超えた場合の取り扱いについては、各弁護士事務所へご確認ください。

(以上につき、2022年2月時点)

交通事故の被害にあって賠償金請求のことでお悩みの場合は、交通事故の賠償金請求を得意とするアディーレ法律事務所にご相談ください。

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