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追突事故で加害者が不起訴になる可能性はあるのか?

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自動車を運転中のTさんは、信号待ちのため停車していたところ、後方からきた車に追突されて重いむち打ち症を負ってしまいました。相手方(加害者)は、スマホで通話しながら運転しており、話に夢中でTさんの車が停車していることに気が付かなかったとのこと。Tさんは、加害者に治療費や慰謝料を請求するつもりですが、何より反省のない加害者態度に怒りがおさまらず、刑罰に処してもらいたいと感じています。
この記事では、交通事故の加害者が起訴される・またはされない基準などについて、弁護士が解説します。

人身事故で加害者が不起訴になる可能性

起訴とは、犯罪を行ったと疑われる者について、検察官が裁判所に対して有罪かどうか審理を求めることをいいます。
交通事故を起こした加害者が負う法律上の責任には、

  1. 民事上の責任(被害者に対する金銭的な賠償責任)
  2. 行政上の責任(免許の停止・取消しなど)
  3. 刑事上の責任(犯罪を犯したことに対する刑罰)

の3つがありますが、3.刑事上の責任は、検察官から起訴され、有罪が確定したときにのみ負うことになります。

交通事故には、大きく分けて物損事故(車両など、物の破損にとどまる事故)と人身事故(死傷者が出た事故)があります。物損事故で加害者が起訴されることはまれであり、起訴されるのは主に人身事故の場合です。
もっとも、人身事故だからといって必ず起訴されるわけではなく、人身事故であっても不起訴になることもあります。
ちなみに、2019年における交通事犯の不起訴率(=起訴されなかった割合)を見ると、

  • 過失運転致死傷等罪(=自動車の運転上必要な注意を怠り、人を死傷させたもの):85.3%
  • 危険運転致死傷罪(=信号をことさらに無視するなど、危険な運転で人を死傷させたもの):22.6%
  • 道路交通法違反(=ひき逃げなど):43.6%

とされています(法務省 令和2年版犯罪白書「令和元年 交通事件 検察庁終局処理人員の処理区分別構成比」より)。

参考:令和2年版犯罪白書 令和元年 交通事件 検察庁終局処理人員の処理区分別構成比│法務省

過失割合で起訴・不起訴は左右されない

交通事故の損害賠償請求でよく問題となるものに過失割合があります。
過失割合とは、事故が発生したことについての加害者・被害者それぞれの過失(=不注意・ミス)の割合をいいます。過失割合が大きいほど責任は重くなり、相手方に対して負う賠償額も増えることになります。
もっとも、この場合の過失割合は「民事上の責任」である損害賠償額を決定するためのものです。
これに対し起訴・不起訴は「刑事上の責任」に関わる問題であるため、それを判断する際に、民事上の過失割合の大小は直接影響しません。
検察官が起訴・不起訴を判断する際に最も重視するのは、加害者が罪を犯したことが証拠により明白であり、刑事責任を負わせるべきか否かという点なのです。
そのため、検察官の起訴・不起訴判断において、加害者の過失の程度について、検察官は独自に判断することとなります。
例えば、事故の原因が加害者側の飲酒運転である場合と、被害者が急に飛び出してきた場合を比べると、飲酒運転のケースのほうが加害者の過失が大きいといえます。したがって、この2つを比べると、飲酒運転のケースのほうが起訴される確率は高くなります。

追突事故で不起訴になった場合

仮に、交通事故の加害者が不起訴となった場合、加害者は裁判にかけられることはなく、懲役や罰金などの刑事処分を科すことはできなくなります。
また、不起訴となった場合、加害者に前科はつきません。
なお、不起訴となる理由には、一般に「犯罪の嫌疑がないこと」「犯罪の嫌疑を立証する証拠が不十分であること」「起訴猶予」があります。
このうち、「起訴猶予」について少し説明します。

追突事故の起訴猶予とは

検察官が起訴・不起訴を判断する際、加害者が罪を犯したことが証拠により明白であっても、情状によって加害者は「起訴猶予」となることがあります。
情状とは、本人の性格・年齢・境遇、犯罪の軽重や犯罪後の状況(=反省しているか)などを含めたさまざまな事情をいいます。
起訴猶予とは、起訴すれば有罪になる可能性があるにもかかわらず、情状を考慮した結果、あえて不起訴とするものです。
起訴猶予となるか否かは、検察官が上記のさまざまな事情、つまり情状を考慮して判断します。具体的には、加害者の反省度合や、被害者への謝罪・民事上の賠償が済んでいるかなども考慮されます。

死亡事故の起訴・不起訴について

死亡事故を起こしたからといって、加害者が必ず起訴されるとは限りません。自動車の運転は、わずかなミスでも死亡という重大な結果が生じることがあり、刑事責任を負わせるべきとまではいえない場合もあるからです。
結局、過失の程度などを勘案した上で処分が決まりますが、上に述べたように、過失の程度が重ければ起訴される確率は高まります。
例えば、加害者が飲酒運転・無免許運転・あおり行為などの危険運転をしていた場合は、過失が重く悪質であるとして、起訴される可能性は高いでしょう。
なお、仮に加害者も事故で死亡した場合は不起訴となりますが、起訴・不起訴を判断する権限は検察官のみにあるため、警察はいったん事件を検察官へ書類送検します。その後、検察官によって不起訴処分が下されることになります。

追突事故の起訴・不起訴に関する通知について

加害者や被害者が、起訴・不起訴に関する処分内容を知るには、

  • 刑事訴訟法による告知・通知
  • 犯罪被害者等基本法に基づく通知

があります。

(1)刑事訴訟法による告知・通知

犯罪の被害者から刑事告訴(※)があった事件では、検察官が起訴・不起訴処分を行った際は、速やかにその旨を告訴した者に通知することとされています(刑事訴訟法260条)。
この場合、刑事告訴した者に対して、処分結果(加害者を起訴した・またはしなかった)を記した処分通知書が郵送されます。

(※)刑事告訴……犯罪の被害者などが、警察官や検察官などの捜査機関に対して犯罪事実を申告し、犯人の処罰を求めること

被害者が刑事告訴をしたにもかかわらず、検察官が不起訴処分とした場合は、告訴した者から請求があるときは速やかにその理由を告げなければなりません(刑事訴訟法261条)。
また、検察官が不起訴処分をした場合、事故の加害者(刑事手続きの上では「被疑者」と呼ばれます)から請求があれば、被疑者に対して速やかに不起訴処分をした旨を告知しなければなりません(刑訴法259条)。

なお、被害者が加害者に対して民事上の損害賠償請求をするために、その証拠として事故に関する捜査記録が必要となる場合があります。
加害者が起訴されれば、原則として被害者やその家族などは、裁判中にこれらの捜査記録を閲覧することが可能です。
これに対し、加害者が不起訴となった場合は、被害者であっても捜査記録は閲覧できないのが原則となります。
もっとも、被害回復のために必要な場合、被害者やその家族、弁護士などが検察庁に申請すれば、事故現場の実況見分調書や写真撮影報告書など、捜査記録の一部を閲覧・コピーさせてもらえることもあります。

(2)犯罪被害者等基本法に基づく通知

これは、犯罪の被害者やその家族、弁護士などが希望する場合に、起訴・不起訴の処分結果や、裁判の進行状況、加害者の刑務所からの出所情報などが通知される制度です。
上記の刑事訴訟法による通知制度とは別に、「犯罪被害者等基本法」という法律により設けられている制度です。
刑事訴訟法上の通知制度とは異なり、加害者を刑事告訴していなくても請求できます。ただし、事件の性質などから、希望する情報の一部または全部が通知されないこともあります。
通知を希望する場合は、事件を処理している検察庁に請求します。

【まとめ】追突事故の起訴・不起訴については弁護士へのご相談をおすすめします

追突事故の加害者を起訴するかどうかは、検察官の判断によって決まります。
起訴・不起訴の判断では、加害者の過失の程度や情状など、さまざまな事情が勘案されます。
交通事故の被害にあい、加害者の起訴・不起訴について疑問や不安があるときは、弁護士にご相談されることをおすすめします。

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