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過払い金返還の訴状の書き方と専門家に依頼するメリット

作成日:更新日:
リーガライフラボ

「過払い金返還請求をしたいんだけど、訴状はどうやって書けばいいんだろう?」

過払い金返還請求を取り扱っている弁護士は少なくありません。

しかし、弁護士に依頼せずに自ら手続きを行うことも、不可能ではありません。弁護士費用をかけずに、権利を実現できる場合もあるでしょう。

もっとも、実現する結果が弁護士に依頼したかどうかによって大きく異なるケースは少なくありません。場合によっては、本来獲得できたはずの金額を大幅に下回ってしまうおそれもあるのです。
この記事では、次のことについて弁護士が解説します。

  • 過払い金返還請求の概要・過払い金返還請求の手続きの流れ
  • 裁判で過払い金返還請求をするメリットとデメリット
  • 過払い金返還請求の訴状の書き方
  • 過払い金返還請求を専門家に依頼するメリットとデメリット
この記事の監修弁護士
弁護士 谷崎 翔

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。

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過払い金返還請求とは?

過払い金とは、利息制限法の上限を上回る利率での借入・返済をしていたことで、支払い過ぎたお金のことです。

かつて貸金業者の多くは、利息制限法で定められた利率をオーバーした利息を取っていました。

利息制限法の利率(年15~20%)をオーバーしていても、出資法の上限金利(年29.2%)までであれば刑事罰などのペナルティが無かったからです。

この支払い過ぎた利息を取り戻す方法が、過払い金返還請求です。

過払い金が戻ってくる可能性があるのは、次の2つの条件を満たす人です。

  1. 2010年6月17日以前に借入れを開始した方
  2. 最終取引日あるいは借金を完済してから10年以内の方

過払い金請求から返金までの流れ

過払い金返還請求の方法は、大きく分けると次の2つがあります。

  • 貸金業者と交渉する
  • 裁判を起こす

取引履歴の開示請求から過払い金の返還までのおおまかな流れは次のとおりです。

(1)取引履歴の開示請求

過払い金請求をするためには、単純に「過払い金を返して!」と伝えるだけでは足りず、「過払い金〇〇万円を返して!」と具体的に請求額を明示しなければなりません。そのためには、貸金業者に対して金額を算出する基礎となる取引履歴の開示を請求する必要があります。
貸金業者が全部の取引履歴を開示しない場合には、金融機関の預金口座から自動引落しの方法で返済していたのであれば、預金通帳の記録から返済した金額等を再現するなどの方法もあります。

取引履歴の開示請求をしただけで、事故情報が信用情報に登録される(いわゆる「ブラックリスト」)ことはありませんのでご安心ください。

(2)引き直し計算(過払い金の調査)

開示された取引履歴をもとに、過払い金の金額を計算します。
違法な金利で支払いを続けた実際のデータを利息制限法に基づく上限利率で支払っていた場合に引き直して、いくら払いすぎたお金があるのか計算するのです。これを「引き直し計算」といいます。

過払い金を計算できるソフトなどは、検索エンジンで検索すると出てきます。もっとも、入力ミスや漏れなどがあると、本来請求出来たはずの額より少なくなってしまうおそれがあるので注意が必要です。

(3)貸金業者への過払い金返還請求

引き直し計算の結果、過払い金が発生していたら、過払い金の返還を求めて貸金業者に請求書を送ります。

(4)貸金業者との交渉

過払い金返還請求書を送付すると、まもなくそれを見た貸金業者から電話がかかってくるなどなんらかのアクションがあるのが通常です。その後の交渉の結果、納得のいく金額を提示されれば和解が成立し、合意書を取り交わすことになります。

(5)裁判を提起

裁判外の交渉で和解に至らなかった場合には、通常は過払い金返還請求訴訟を提起することになります。裁判では、原告(請求者)と被告(貸金業者)とがしばらくお互いの主張について準備書面等を提出しあった後で、裁判所が案件についての見立てである心証を示すなどして、和解案を打診してくれることが多いです。
裁判で和解が成立すれば裁判所に和解調書を作成するなどしてもらいます。

和解が成立しなければ、最終的には裁判所が判決を下します。この場合、過払い金が発生していることが認められれば、被告(貸金業者)に対してその支払いを命じる判決が言い渡されます。
また、過払い金には、過払い金が発生した時から年5%の利息(2020年4月1日以降に初めて過払い金が発生した場合は、変動制の法定利率)を付けて支払うよう命じられるのが通常です。

(6)過払い金の返還

裁判外もしくは裁判において、過払い金の返還に関する合意が成立すれば、合意した返還期日までに、指定した口座に過払い金が振り込まれることになります。返還までにかかる期間は請求先の会社や和解金の金額などによって異なり、半年ほどかかることもあります。

判決で請求が認められれば、その判決が確定した後、貸金業者に判決で認められた金額を支払うよう請求し、過払い金を回収します。もっとも、第1審で勝訴したとしても被告から控訴が提起されれば控訴審に移行します。
裁判で和解したり、判決で請求が認められたりしたにもかかわらず、貸金業者が過払い金を返還しない場合には、強制執行の手続きを進めることになります。

過払い金返還を「裁判」で請求するメリット・デメリット

このように過払い金の返還を求める際には、裁判外で和解契約の締結に至らなかった場合でも、裁判を提起することができます。
それでは、裁判を提起するメリットとデメリットについてご説明します。

(1)「裁判」で過払い金返還請求をするメリット

裁判で過払い金の返還を請求することで、資金業者は交渉の場合より高額な和解案を提示してくる傾向にあります。

また、裁判所が請求者に有利な心証を抱けば、貸金業者からそれに応じたお金を受け取れる可能性があります(通常、大手の貸金業者は裁判でし烈に争っていても、裁判所が過払い金を返還する義務があると判断すればきちんとお金を払ってくれます)。
また、請求が認められるかどうか判断が難しいケースであっても、裁判所の働きかけにより、いくらかはお金を支払ってもらえる可能性があります。

(2)「裁判」で過払い金返還請求をするデメリット

ご自身で裁判を提起する場合には、訴状や準備書面を作成したり、月1回程度開かれる期日に出頭したりする労力がかかります。

過払い金返還の訴状の書き方

過払い金返還訴訟の訴状の一般的な記載事項は、次のとおりです。
訴状の書式は、日弁連のホームページにありますので、ご参考にしてください。

  1. 「訴状」という表題
  2. 訴状を作成した年月日
  3. 提出先の裁判所名
  4. 訴状を提出する人の氏名、押印
  5. 原告の住所、氏名、電話番号(FAX番号)、書類の送達場所
  6. 被告(貸金業者)の本店所在地、会社名、代表取締役の氏名
  7. 事件名(過払い金返還請求の場合は一般に「不当利得返還請求事件」と記載)
  8. 返還請求する過払い金の金額と、その金額に応じた収入印紙の金額
  9. 請求の趣旨(被告に求める請求の内容)
  10. 請求の原因(過払い金請求の根拠)
  11. 証拠方法(提出する証拠書類の名称)、付属書類(訴状(正本)に添付する書類の名称)

過払い金の返還請求は、民法703条、704条に基づいて行います。

それでは、特に書き方の工夫が必要な次の2つの項目について、ご説明します。

  • 請求の趣旨
  • 請求の原因

参照:役立つ書式など|日本弁護士連合会

(1)請求の趣旨とは

その訴訟において、何を求めるのかを「請求の趣旨」として記載します。

「金〇〇円(元本+最終取引までの利息)及び内金〇〇円(元本)に対する令和〇年〇月〇日(最終取引日の翌日)から支払い済みまで、年5分の割合による金員を支払え」

のように、利息の請求も忘れずに行いましょう。
また、「訴訟費用は被告の負担とする」として、裁判にかかる費用を相手方(貸金業者)の負担にするように求めるのが通例です。

(2)請求の原因とは

請求を基礎づける事実を「請求の原因」として記載します。
過払い金返還請求の場合には、次のことを記載する必要があります。

  1. 原告と被告の間で金銭消費貸借契約が締結されたこと及びその内容
  2. 1について、原告が被告に対して利息制限法の制限を超える利息等を返済したこと
  3. 被告が2のときに利息制限法の制限を超えていることを知っていたこと

原告が利息制限法の制限を超える返済をした事実を記載するため、別紙として、引き直し計算を行った計算書を添付するのが通常です。
被告が利息制限法の制限を超えていることを知っていたというためには、被告が貸金業法の登録を受けた貸金業者であることを記載しておくことが重要です。
被告が利息制限法上定められている利息を超える利息を取っていることを認識していたならば、本来払い過ぎた金額そのものに加えて法定利率を上乗せした金額を請求できるためです。

過払い返還請求を専門家に依頼するメリット・デメリット

過払い金返還請求は、自力でも行うことができる一方、弁護士や司法書士などの専門家に依頼することもできます。

それでは、専門家に依頼するメリットとデメリットについてご説明します。

(1)専門家に依頼するメリット

自力で過払い金返還請求をする場合、過払い金の額を左右する法的な争点を主張されるなどして貸金業者に丸め込まれてしまい、貸金業者に言われるがまま和解することになってしまうことになりかねません。

また、裁判ではしっかりと判例や法律に基づいた主張をしなければ、過払い金が大幅に減額されてしまう結果にもなりかねません。
裁判の途中で専門家に依頼しても、専門家はすでに行われた裁判の内容を前提とせざるを得ず、本来返還を受けられたはずの額を下回る額で妥協するしかなくなってしまう可能性もあります。そのため、始めから専門家に依頼しておくことで、回収額を増やせる可能性があるのです。

また、過払い請求訴訟においてよく争点となることの1つに、「取引が一連のものといえるか、分断されてるか」というものがあります。

一旦完済した後で、また借入れを再開したという場合、取引の空白期間が長いなどの理由で、その前後でそれぞれ別々の取引だった(分断)と扱われてしまう可能性があります。
分断があると扱われる場合には、分断前までの過払い金が時効にかかって消滅してしまうなどして、回収できる額が減る、過払い金を回収できなくなるなどのデメリットが生じるおそれがあります。

取引が「分断している」扱いになるかどうかは、貸金業者との交渉や裁判所の判断により決まることとなります。ですが、法的知識と経験のある専門家であれば、「期間は多少空いているかもしれないが、いつでもまた借入れを再開できる状況だった。これでは『分断』とは言えない」など、取引の事情に応じた反論をしっかりと行える可能性があります。

実際に取引を一連のものとして過払い金の額を計算できるかどうかは、あくまで個々のケースによって異なります。ですが、こういった法的な主張については専門家に任せておいた方が安心ではないでしょうか。

「取引の一連性」について、詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

この取引は一連?分断?過払い金請求での7つの判断ポイント

さらに、専門家に依頼する前にいろいろ調べているうちに、時が流れ、過払い金返還請求権が時効によって失われてしまうことがあります。一方、専門家に早めに相談すれば、消滅時効を見逃さずに済む可能性が上がります。時効完成が間近なものについてまずは時効完成を阻止し、そのうえで改めて返還請求の裁判を起こすといった対処もできます。

そのため早めに専門家に相談・依頼した方がよいという案件も少なくありません。まずは相談して、依頼するかどうか決めることがお勧めです(過払い金の相談については無料という法律事務所も少なくありません)。

(2)専門家に依頼するデメリット

一方、専門家に依頼すれば報酬が発生します。そのため、自分で請求するよりも手元に戻るお金が少なくなってしまう可能性があります。

もっとも、専門家が請求することによって和解金額などが高くなることがありますので、一概に弁護士に依頼したからといって手元に戻るお金が少なくなるとは限りません。

過払い金についてひとまず専門家に相談してみようかなと思われた方は、専門家選びについて詳しくはこちらをご覧ください。

過払金請求のトラブルを防ぐ!専門家選びの5つのポイント

【まとめ】自力で過払い金返還請求をすることは可能だが、交渉や裁判は簡単ではない

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 過払い金返還請求とは、利息制限法の上限を上回る利率で借入・返済を行っていたために支払い過ぎたお金である過払い金を貸金業者から取り戻すための手続き。
  • 過払い金返還請求の流れは、概ね次のようになる。
    • 交渉で請求
      取引履歴の開示請求→引き直し計算→貸金業者への請求→交渉→返還
    • 交渉がまとまらず裁判に移行
      取引履歴の開示請求→引き直し計算→貸金業者への請求→交渉→裁判を提起→返還
  • 裁判で過払い金返還請求を行う場合、交渉よりも高額の返還を受けられる可能性がある。ただし、自分で裁判を起こす場合、書面を作成したり、平日に定められる期日に毎回自分で行かないといけないなどのデメリットがある。
  • 過払い金返還請求の訴状の主な記載事項には、次のものがある。
    1. 「訴状」という表題
    2. 訴状を作成した年月日
    3. 提出先の裁判所名
    4. 訴状を提出する人の氏名、押印
    5. 原告の住所、氏名、電話番号(FAX番号)、書類の送達場所
    6. 被告(貸金業者)の本店所在地、会社名、代表取締役の氏名
    7. 事件名(過払い金返還請求の場合は一般に「不当利得返還請求事件」と記載)
    8. 返還請求する過払い金の金額と、その金額に応じた収入印紙の金額
    9. 請求の趣旨(被告に求める請求の内容)
    10. 請求の原因(過払い金請求の根拠)
    11. 証拠方法(提出する証拠書類の名称)、付属書類(訴状(正本)に添付する書類の名称)
  • 過払い金請求を専門家に依頼する主なメリットとデメリットには次のものがある。
    • メリット
      自力で行う場合より回収額を増やせる可能性
      消滅時効の完成を阻止できる可能性
      原則、裁判所に行ったり貸金業者と連絡を取ったりする手間がなく、待っているだけでよいこと
    • デメリット
      専門家の報酬が発生する分、受け取れる額が減る
      ※専門家に依頼することで回収額が増え、報酬を差し引いても受け取れる額が増えることが少なくない

専門家に相談・依頼することにも、メリットはあります。
相談してみて、説明などに納得がいかなければ依頼しなくてよいのです。まずは相談だけでもしてみませんか?

アディーレ法律事務所では、過払い金についてのご相談を受け付けております。

また、アディーレ法律事務所では、負債が残っている業者に対する過払い金返還請求をご依頼いただいたのに所定のメリットがなかった場合、当該手続きにあたってアディーレ法律事務所にお支払いいただいた弁護士費用を原則として全額ご返金しております。

さらに、完済した業者への過払い金返還請求の場合は、原則として、弁護士費用は回収した過払い金からのお支払いとなりますので、あらかじめ弁護士費用をご用意いただく必要はありません。

(2022年6月時点。業者ごとに判断します)

過払い金返還請求をお考えの方は、過払い金返還請求を得意とするアディーレ法律事務所にご相談ください。