【弁護士が解説】過払い金は利息も含めて請求することができるってホント?

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    2023/06/15

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    2023/06/15

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【弁護士が解説】過払い金は利息も含めて請求することができるってホント?
「過払い金返還請求で、『利息』も請求できるって聞いたけど、どういうこと?」
貸金業者に対して支払い過ぎたお金である「過払い金」。
実は、過払い金返還請求をするとき、もともと支払い過ぎた過払い金に「利息」も上乗せして請求できる可能性があります。
上乗せできる利息の利率は、基本的には「年5%」となるケースが多いです。
そのため、過払い金に利息を上乗せして回収できるとなると、実質的には「お金を、年5%の利息が付く口座に預けていた」のと同様の効果になる可能性があります。
この記事では、次のことについて弁護士が解説します。
  • 過払い金が発生する仕組み
  • 過払い金に利息を上乗せして請求できる理由
  • 過払い金に利息を上乗せして請求したいときの注意点

過払い金が発生する仕組みとは?

グレーゾーン金利
過払い金とは、基本的には、お金を借りたときに支払い過ぎた利息です。
かつて、消費者金融やクレジットカード会社などの「貸金業者」の多くが、利息制限法の上限金利(年15~20%)を超えた利息を取っていました。
利息制限法の上限金利を超えていても、「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」(いわゆる「出資法」)という法律の上限金利を超えなければ、ペナルティーがなかったからです。
「利息制限法の上限金利を超えているが、出資法の上限金利を超えない部分」は『グレーゾーン金利』と呼ばれ、かつて貸金業者の多くはこの範囲内の利率で利息を取っていました。
このグレーゾーン金利の範囲内で支払っていた利息が、「過払い金」なのです。
ですが、その後、利息制限法の上限金利を超えて支払った部分は基本的には無効であるとの最高裁判所の判断がなされると共に出資法や貸金業法が改正され、グレーゾーン金利は撤廃されました。
これによって、利息制限法の上限を超えて支払い過ぎた利息を「過払い金返還請求」で取り戻せることになったのです。
過払い金返還を取り戻せるかどうかの目安は、主に次の2つです。
  • 借入れを始めたのが、2010年6月17日以前である
法改正によりグレーゾーン金利は2010年6月18日以降、撤廃されました。
ですから、それ以降の貸付は利息制限法の範囲内ですので過払い金は発生しません。
  • 2010年6月18日以降も違法な金利で貸付を行っていたカード会社が一部存在します。そういったカード会社については2010年6月18日以降の貸付に対しても過払い金が発生している可能性があります。
  • 最後に借入れ・返済をした日(最終取引日)から、10年以内である
過払い金返還請求権には時効があります。過払い金の時効は、最後に借入れ・返済をした日から10年(※)のため、借金を完済したときから10年(※)が経過してしまうと時効により過払い金を取り戻せなくなってしまう可能性があります。
  • 法改正により、2020年4月1日以降に完済した場合、時効は最終返済日から10年(又は権利が行使できることを知ってから5年)に変更となりました。

過払い金だけでなく、「利息」も上乗せして請求できる?

過払い金返還請求をするときは、基本的には過払い金だけでなく、利息を上乗せして請求することができます。
利息を上乗せできる理由や利率などについてご説明します。

(1)過払い金の請求は、法的には「不当利得返還請求権」

過払い金返還請求権は、法律上、「不当利得返還請求権」(民法703条)という権利に当たります。

民法
第703条(不当利得の返還義務)

法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。

参考:民法|e-Gov法令検索

「不当利得」とは、法律上受け取る権利がないにもかかわらず、他人の財産又は労務によって受けた利益のことです。
そして「不当利得返還請求権」とは、損失を受けた側が不当利得を持っている相手に対して、その利得を「返して」と請求する権利です。
過払い金とは、先ほどご説明したとおり利息制限法の上限金利を超えた利息ですので、本来、貸金業者は法律上受け取る権利がありません。
そこで、利息制限法の上限金利を超えた利息を支払った(損失を受けた)側は、貸金業者に対して不当利得(=過払い金)を返すよう求めることができるのです。

(2)利息を上乗せできる理由とは?

さらに、民法は、不当利得の返還請求について、次のように規定しています。

民法
第704条本文(悪意の受益者の返還義務等)

悪意の受益者は、その受けた利益に利息を付して返還しなければならない。

参考:民法|e-Gov法令検索

つまり、請求の相手方が「悪意の受益者」(民法704条)だったときは、「返せ」というときに利息も請求できるのです。
この「悪意」というのは、人をわざと困らせようとするなどといった日常的な用法とは違って、単に「不当利得だと分かっていた」くらいの意味です。
過払い金返還請求の場面で言えば、利息を上乗せして請求するためには、「貸金業者が、過払い金が発生したときに、過払い金があることを知っていた」といえる場合です。

貸金業者が悪意の受益者だと利息を請求できるんですね。
どんな時に貸金業者が悪意の受益者とされるのですか?

ちょっと複雑になりますが、「みなし弁済」が認められない場合には、特段の事情がない限り貸金業者は「悪意の受益者」と推定されます。

「みなし弁済」とは何ですか?

かつて、貸金業法には、貸金業者が一定の書面を交付したことなどの条件に加えて、お金を返済する側が、利息制限法を超える利息であってもこれを任意に支払った場合には例外的にその返済は有効になるという規定がありました。これを「みなし弁済」と言います。
ただし、先ほどご説明した最高裁判所が、この任意性の要件を非常に厳格に解釈したため、現在、みなし弁済が有効とされることは事実上ほとんどありません。
ですから、特段の事情がない限り、貸金業者は「悪意の受益者」と推定されることがほとんどです。

過払い金に利息が発生するのは、いつから?

過払い金に利息が発生するのは、いつから?
過払い金に利息が発生するのは、原則として「過払い金が発生したとき」からです。
ですから、個別の返済について過払い金が発生すれば、そのつど、その時点から利息を請求できます。
過払い金に利息が発生するタイミングについて、貸金業者が「一連の取引が終了したときから」と主張していたことがあります。
一連の取引が終了したときは、基本的には「過払い金が発生したとき」よりも後になります。支払うこととなる金額を減らすために、このような主張をしていたのです。
ですが2009年9月4日に、利息が発生するのは過払い金が発生したときからであるという内容の最高裁判決が出ました。
そのため、この最高裁判決が出て以降は原則として「過払い金が発生したとき」から利息を計算することとなりました。

長年、貸し借りを繰り返している場合には、過払い金が発生する返済を全て取り上げて、過払い金が発生した時点からの利息を全て計算しますので、利息だけでもかなりの金額になります。さらに、その利息も含めて元金の支払に充てるので、元金の減りも早くなります。

過払い金に上乗せできる利息は何パーセント?

また、過払い金に上乗せできる利息の利率は、基本的に「年5%」です。
貸金業者からお金を借りる契約では、利息の利率が定められているのが通常です。
しかし、貸金業者がお金を取り過ぎていたことによって発生する過払い金については、過払い金が発生するよりも前に契約などで利息の利率が定められていることはありません。

そのため、契約などで利率が決まっていない場合に適用される「法定利率」(改正前民法404条)が用いられ、基本的には「年5%」になるのです。

過払い金が2020年4月1日以降に発生した場合:当面は年3%

ただし、過払い金が2020年4月1日以降2023年3月31日までに発生した場合、過払い金に上乗せされる利息の利率は「年3%」となります。
2020年4月1日に施行された改正民法で、当面の法定利率が「年3%」となったためです(民法404条2項)。

もっとも、過払い金が発生するのは、2010年6月17日まで「グレーゾーン金利」があったからです。
グレーゾーン金利があったのが現時点から12年以上前ということとなるので、過払い金が発生するのも「2020年3月31日以前」のケースが多いです。
そのため、改正前民法の「年5%」で過払い金の利息を計算できるケースが一般的です。

「過払い金に利息も上乗せして請求したい!」と思ったときの注意点

支払い過ぎた金額に利息も上乗せして請求できれば、より高額な過払い金が戻ってくる可能性があります。
特に、取引期間が長かった方の場合、利息が上乗せされる年数もより長くなるぶん、利息なしで請求する場合よりも数百万円単位で金額が増えるケースもあります。
それでは、利息を上乗せして請求したい場合の注意点についてご説明します。

利息を請求するには裁判を通じて請求することとなるケースが多い

まず、利息を上乗せして過払い金返還請求をする場合、基本的には裁判を通じて請求することとなります。
過払い金返還請求の方法は大きく次の2つに分かれるのですが、「任意交渉」で貸金業者が利息の上乗せに応じるケースはほとんどありません。
  • 貸金業者との間で、金額や支払時期などの条件について話し合いをする「任意交渉」
  • 過払い金返還請求の裁判を起こす。
過払い金返還請求の流れ

より高額な過払い金が戻ってくる可能性があるのは嬉しいですけど、裁判なんて面倒ですね……。

過払い金返還請求を弁護士に依頼した場合、裁判所での対応は原則全て弁護士が行います。
裁判所に出廷するのは、基本的に弁護士だけです。また、裁判所に提出する「訴状」などの書面も弁護士が作成します。

弁護士に依頼すると、弁護士が依頼者の代理人になりますので、依頼者に裁判所や貸金業者からの書面が届いたり、裁判所や貸金業者からの連絡が来ることは基本的にありません。
依頼者が裁判所まで足を運ばなければならなくなる可能性としては、本人尋問が必要となった場合などが考えられるものの、このようなケースは基本的には限られています。
そのため、たとえ裁判になったとしても、基本的に「過払い金が回収できるのをお待ちいただくだけ」ということになり、それほどご負担は大きくなりません。

でも、お金が足りなくて困ったときに、貸金業者には助けてもらったから……。裁判を起こすなんて、恩を仇で返すように思えてしまいます。

「裁判を起こすのは、貸金業者に悪い」と感じられる方は決して少なくありません。
ですが、そもそも「お金が足りなくて困ったとき」があったのは、貸金業者がお金を取り過ぎていたからかもしれません。
返済していた当時のことを思い出してみてください。
「生活を切り詰めて返済しているのに、ほとんど借金が減らない」と感じたことはありませんでしたか?
貸金業者が利息制限法の上限金利をきちんと守っていれば、返済に消えてしまったお金を家族旅行に使ったり、貯蓄に回したりできていたかもしれません。
ぜひ、「支払う必要のなかったはずのお金」を、少しでも多く取り戻せる可能性がある方法を選びましょう。

  • もともと発生している過払い金の額や、貸金業者の経営状況などによっては、「裁判を起こしても時間が長くなるばかりで、それほど回収額を増やせない」というケースもありえます。
このような、任意交渉と比較して裁判のメリットがそれほど大きくない場合については、弁護士はかかる時間や回収できる金額の見込みなどを説明のうえ、一番いいと思われる方法を提案するのが基本です。納得できるまで弁護士から話を聞いたうえで、どの方法にするかを依頼者が選ぶこととなります。

【まとめ】もともと支払い過ぎた「過払い金」を取り戻す時に、「利息」を上乗せして請求できる可能性がある!

今回の記事のまとめは次のとおりです。
  • 過払い金は、貸金業者が利息制限法違反の高利を取っていたことで発生する。支払い過ぎた金額を取り戻すための手続きが、「過払い金返還請求」。
  • 過払い金返還請求権は、法律上は「不当利得返還請求権」ということになる。貸金業者は利息制限法の高利を取っていたことを知っていたと扱われるのが通常なので、「過払い金+利息」を請求する権利が生じる。
  • 過払い金に上乗せできる利息の利率は、「年5%」となるケースが一般的。
  • 過払い金に利息を上乗せして請求したい場合、裁判を通じて貸金業者と交渉することとなるケースが多い。
過払い金に利息を上乗せするためには、裁判を起こす必要が出てくるケースが多いです。
もっとも、弁護士に過払い金返還請求をご依頼いただいた場合、依頼者は基本的には「回収できるのを待つだけ」ですので、そこまで負担は大きくありません。
過払い金返還請求をしたい方に特に気を付けていただきたいのが、「消滅時効」です。
このまま過払い金を放置していると、利息を上乗せして回収できた可能性もあった過払い金が、時効にかかって取り戻すことができなくなってしまうかもしれません。
本来取り戻せるはずの過払い金が取り戻せなくなることを防ぐためには、なるべくお早めのご相談がおすすめです。
アディーレ法律事務所では、過払い金についてのご相談を無料で受け付けております。
また、アディーレ法律事務所では、負債が残っている業者に対する過払い金返還請求をご依頼いただいたのに所定のメリットがなかった場合、当該手続きにあたってアディーレ法律事務所にお支払いいただいた弁護士費用を原則として全額ご返金しております。
また、完済した業者への過払い金返還請求の場合は、原則として、弁護士費用は回収した過払い金からのお支払いとなりますので、あらかじめ弁護士費用をご用意いただく必要はありません。
(業者ごとに判断します)
過払い金返還請求でお悩みの方は、過払い金返還請求を得意とするアディーレ法律事務所にご相談ください。

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この記事の監修弁護士

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。

谷崎 翔の顔写真
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