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残業代がつかず収入10万円減!?サービス残業の典型ケースと対処法

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日常的に残業している人の場合、残業代(割増賃金)は、月10万円以上にも上ることがあります。

しかし、法律の規定にしたがった割増賃金が適切に支払われていない場合も少なくないのが実情です。

このように、残業をしたにもかかわらず適正な割増賃金が支払われない事例が、いわゆるサービス残業の問題です。

今回の記事では、サービス残業によって損をすることがないように、正しい「労働時間」及びいわゆる「残業代」に関する法律の規定について確認していきましょう。

この記事の監修弁護士
弁護士 髙野 文幸

中央大学卒、2006年弁護士登録。アディーレ入所後は残業代未払いの案件をメインに担当し、2018年より労働部門の統括者。「労働問題でお悩みの方々に有益な解決方法を提案し実現すること」こそアディーレ労働部門の存在意義であるとの信念のもと、日々ご依頼者様のため奮闘している。東京弁護士会所属。

「法定労働時間」を超えた時間外労働・休日労働・深夜労働には、法的に残業代が発生する

使用者は、時間外労働・休日労働・深夜労働に対して、適切な割増賃金(いわゆる残業代)を支払う義務がありますので、まずその点について説明いたします。

(1)「時間外労働」の定義と残業代の支払義務

労働基準法32条は、労働時間について「1日8時間・1週40時間」を超えてはならないと定めています。この労働時間の上限の定めのことを「法定労働時間」と呼んでいます。

1項 使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。
2項 使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない。

引用:労働基準法32条

この法定労働時間を超える労働が原則として「時間外労働」にあたります。
使用者は、労働基準法36条に基づいて、労働者の代表との間で労使協定(36協定)を締結し、管轄の労働基準監督署に届け出ることによって、労働者に時間外労働や休日労働をさせることができるようになります。

また、時間外労働に対しては、所定の割増率に基づく割増賃金を支払わなければなりません(労働基準法37条1項)。

(2)「休日労働」の定義と、休日手当の支払義務

労働基準法35条は、「1週間当たり1日以上又は4週間当たり4日以上」の休日を、使用者は労働者に与えなければならないと規定しています。
法律で労働者への付与が使用者に義務付けられているこの休日のことを、「法定休日」といいます。

1項 使用者は、労働者に対して、毎週少くとも1回の休日を与えなければならない。
2項 前項の規定は、4週間を通じ4日以上の休日を与える使用者については適用しない。

引用:労働基準法35条

この法定休日にした労働のことを「休日労働」といいます。
休日労働に対しては、会社は労働者に、所定の割増率を加算した賃金を支払わなければなりません(労働基準法第37条1項)。

法律で規定されている「法定休日」に対し、会社が就業規則等で独自に定める休日のことを「所定休日」といいます。

例えば、週休2日制で土日休みという会社であれば、日曜日を法定休日とした場合、土曜日は所定休日と扱われることになります。
所定休日(法定外休日)にした労働は「休日労働」にはあたらないため、土曜日に労働をしたとしても、その日の労働時間及びその日を含めた週労働時間の合計が法定労働時間内に収まっていれば、通常通りの賃金を支払えば足りるということになります(深夜労働の場合は深夜労働所定の割増率にて支払う必要があります)。

(3)「深夜労働」の定義と、深夜手当の支払義務

深夜労働とは、22〜5時の間に行われる労働(場合によっては、23~6時)のことをいいます。

深夜労働が行われた場合には、使用者は労働者に、所定の割増率に基づく割増賃金を支払わなければなりません(労働基準法第37条4項)。

(4)時間外労働・休日労働・深夜労働の割増率について

時間外労働、休日労働、深夜労働については、それぞれ所定の割増率が定められています。

時間外労働は25%以上、休日労働は35%以上、深夜労働は25%以上となっています。
また、時間外労働のうち、月60時間を超える部分については、50%以上とされます。

なお、時間外労働と深夜労働が重複した場合、休日労働と深夜労働が重複した場合には、割増率が合算されるため、それぞれ50%以上(月60時間を超える部分と重複した場合には75%以上)、60%以上とされることになります。

割増率

種類支払う条件割増率
時間外労働法定労働時間(原則1日8時間・週40時間)を超えたとき25%以上
時間外労働が限度時間(1ヶ月45時間、1年360時間等)を超えたとき25%以上
(※1)
時間外労働が1ヶ月60時間を超えたとき(※2)50%以上(※2)
休日労働法定休日(原則週1日)に勤務させたとき35%以上
深夜労働原則22~5時までの間に勤務させたとき25%以上

(※1)25%を超える率とするよう努めることが必要です。
(※2)中小企業については、2023年4月1日から適用となります。

参考:しっかりマスター労働基準法 割増賃金編|厚生労働省 東京労働局

柔軟な労働時間制が適用されている場合も、残業代は発生する可能性がある

労働者が柔軟な働き方を実現できるように、法定労働時間の弾力的な運用が認められている労働形態もあります。

そのような場合でも、時間外労働が発生しうることには注意が必要です。
以下では、そうした変則的な労働時間制について、時間外労働が発生する条件を説明していきます。

(1)フレックスタイム制

フレックスタイム制とは、一定の期間(「清算期間」と呼ばれます)を区切り、その期間の中で一定時間労働をすることとすれば、自由な時間に出勤や退勤をすることができるという制度です。

フレックスタイム制を導入した場合には、清算期間における実際の労働時間のうち、清算期間における法定労働時間の総枠を超えた部分が時間外労働となります。

法定労働時間の総枠は、「1週間の法定労働時間(40時間)×清算期間の暦日数÷7日」という計算によって求められます。例えば、清算期間が1ヶ月の場合、31日の月であれば「40×31日÷7」すなわち約177.1時間ということになります。

なお、清算期間が1ヶ月を超える場合には、1ヶ月ごとの労働時間が週平均50時間を超えてはならないとされているため、

  1. 1ヶ月ごとに、週平均50時間を超えた労働時間
  2. 1でカウントした時間を除き、清算期間を通じて、法定労働時間の総枠を超えて労働した時間

が、それぞれ時間外労働となります。
詳しくはこちらの記事もご確認ください。

フレックスタイム制とは?メリットとデメリット、導入方法について解説

(2)裁量労働制

裁量労働制とは、業務の性質上、業務遂行に労働者の大幅な裁量を認める必要があるとされる一定の業務について、実際の労働時間に関係なく、一定の労働時間だけ働いたとみなす制度です。
裁量労働制には、「専門業務型裁量労働制」(労働基準法38条の3)と「企画業務型裁量労働制」(同法38条の4)の2種類があります。

裁量労働制の場合、労働したとみなされる時間数が法定労働時間(原則として1日8時間・週40時間)を超えている場合には、法定労働時間を超えて労働した部分が時間外労働となります。

詳しくはこちらの記事もご確認ください。

裁量労働制とはどのような制度?残業代や休日手当、長時間労働など知っておきたい知識を解説

(3)変形労働時間制

変形労働時間制は、実際の労働時間が法定労働時間(原則として1日8時間・週40時間)を特定の日又は週において超えることがあっても、一定の単位期間の範囲内で平均した週の労働時間が法定労働時間を超えなければ違法とはならず、特定の日又は週において法定労働時間を超えた部分についても時間外労働とはならないとする制度です。

変形労働時間制の場合、時間外労働となる時間数は、「1日単位の計算→週単位の計算→単位期間での計算」の順番で計算し、それらを合計することによって算出します。

  1. 1日単位の計算:所定労働時間が「1日8時間を超える場合」は所定労働時間を超えて労働した時間、「1日8時間以下の場合」には8時間を超えて労働した時間
  2. 週単位の計算:所定労働時間が「週40時間を超える場合」は所定労働時間を超えて労働した時間、「週40時間以下の場合」は週40時間を超えて労働した時間(1でカウントした時間を除く)
  3. 単位期間の計算:対象期間における法定労働時間の総枠(40時間×対象期間の暦日数÷7)を超えて労働した時間(1、2でカウントした時間を除く)

詳しくはこちらの記事もご確認ください。

変形労働時間制とは?種類やメリットとデメリットについて解説

勤務実態は変わらないのに「残業代がつかずに収入が10万円減った」という場合は、サービス残業の可能性がある

一般に「サービス残業」とは、実際には労働をしているのに、勤務管理上の労働時間に計上されず、正当な割増賃金(残業代)が支払われない時間外・休日・深夜労働のことをいいます。

ここでは、法律違反に相当する典型的なサービス残業のケースについて説明していきます。

(1)「時間外・休日労働に関する労使協定」(36協定)は締結・届出されているか?

使用者は、労働者の代表との間で「時間外・休日労働に関する労使協定」(36協定)を締結し、管轄の労働基準監督署に届け出なければ、労働者に時間外労働や休日労働をさせることはできません。

36協定では、「時間外労働を行う業務の種類」や、「1日、1ヶ月、1年あたりの時間外労働の上限」などについて定めることになります。

36協定の締結・届出をすることなく時間外労働や休日労働が行われればそれ自体が違法となりますし、時間外労働や休日労働に対する適切な割増賃金が支払われていなければ、これは違法なサービス残業であるということになります。

(2)基本的に、会社の指示のもと行われる行為はすべて「労働時間」

労働基準法における「労働時間」とは、「使用者の指揮命令下に置かれたと客観的に評価できる時間」のことをいいます。

業務の準備行為(始業前・終業後の清掃、手待ち時間、研修参加、業務時間外の学習、朝礼など)などについても、「使用者から義務付けられ、又はこれを余儀なくされたとき」には、特段の事情がなく、社会通念上必要と認められるものである限り、労働基準法上の労働時間に該当するものとされます。

これらは、2000年に最高裁判所による判決で示された定義であり、その後の判例等でも踏襲されて確立したものとなっています。

参考:最高裁第一小法廷判決平成12年3月9日・民集54巻3号801頁|裁判所 – Courts in Japan

したがって、「始業前・終業後の準備行為に要した時間は労働時間にあたらない」などとして適切な労働時間のカウントがなされず、適正な割増賃金が支払われない場合は、違法なサービス残業であるということになります。

なお、「休憩時間」については、労働時間に含まれません。
詳しくはこちらの記事もご確認ください。

労働基準法が定める休憩時間について詳しく解説!適切な相談先とは?

(3)いわゆる「名ばかり管理職」になっていないか?

労働基準法41条2号の規定によって、管理監督者(「監督若しくは管理の地位にある者」)に対しては、労働基準法が定める労働時間・休憩・休日に関する規制の適用が除外されます。

そのため、使用者は時間外労働や休日労働に対して割増賃金の支払いをする義務がありません(深夜労働に対しては割増賃金を支払う義務があります)。

「管理監督者」とは、行政解釈によれば、「労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者」のことをいうとされています。またそれは、名称や肩書き、就業規則の定めのいかんにとらわれず、実態に即して客観的に判断されるべきであるとされます。

つまり、課長や部長等の肩書きが与えられていても、職務内容や勤務上の裁量等の点からみて管理監督者に相当する実態がない場合には、いわゆる「名ばかり管理職」の可能性があります。

具体的には、裁判例などでは、1.経営者と一体性を持つような職務権限を有しているか(職務権限)、2.厳密な時間管理を受けず、自己の勤務時間に対する自由裁量を有しているか(勤務態様)、3.その地位にふさわしい待遇を受けているか(待遇)といった点を考慮して、管理監督者該当性が判断されます。

これらの実態がないとして管理監督者にあたらないと判断されれば、労働時間・休憩・休日に関する規制が、通常の労働者と同様に適用されることになり、時間外労働や休日労働に対する割増賃金の支払いも必要となります。

参考:東京地裁判決平成20年1月28日労判953号10頁(日本マクドナルド事件)│裁判所 – Courts in Japan

サービス残業で「残業代がつかずに収入10万円減」したのなら、未払い残業代を請求しよう

未払いの残業代については、一定期間であればさかのぼって請求をすることができます。

会社に対して未払いになっている残業代の支払いを申し入れても取り合ってくれない場合は、労働基準監督署に相談したり、労働審判や訴訟を起こしたりして請求するのが現実的な対処法でしょう。

会社と交渉する場合、労働審判や訴訟といった法的手続きを行う場合のいずれにしても、まずは、残業代が未払いとなっている証拠を集めることが必要となってきます。

詳しくはこちらの記事もご確認ください。

残業代請求で集めるべき証拠って何?弁護士が分かりやすく解説

未払いの残業代の請求については、弁護士に相談や依頼をすることをおすすめします。
残業代の計算は複雑なものになりがちですし、会社との交渉や労働審判・訴訟といった法的手続きにあたっては、証拠に基づいた十分な主張・立証を行うことが求められます。

また、適切な証拠収集に関するアドバイスも得ることができます。
さらに、残業代請求権の消滅時効期間の確認や、消滅時効期間の更新・完成猶予といった時効の完成を阻止するための法的手続きをとってもらうこともできます。

【まとめ】サービス残業に対しては、残業代の請求ができます。

  • 法定労働時間を超えた時間外労働、法定休日にした休日労働、原則22~5時までの間に行われた深夜労働には、使用者が適切な割増賃金を支払う義務を負います。
  • フレックスタイム制などの柔軟な労働時間制が適用されている場合も、柔軟化された法定労働時間の枠を超えて労働した場合には時間外労働が発生し、割増賃金の支払いも必要となります。
  • 適切な割増賃金が支払われない典型的なケースとして、労働時間であるはずの時間が正しくカウントされていない場合、肩書きだけの「名ばかり管理職」とされている場合などがあります。
  • 適切な割増賃金を支払わないサービス残業は労働基準法違反であり、未払いの残業代については、一定期間さかのぼって請求することができます。
    長時間労働やサービス残業でお悩みの方は、労働基準監督署や弁護士へご相談ください。

アディーレ法律事務所は、残業代請求に関し、相談料、着手金ともにいただかず、原則として成果があった場合のみ報酬をいただくという成功報酬制です。
そして、原則として、この報酬は獲得した金銭(例:残業代、示談金)からお支払いとなり、あらかじめ弁護士費用をご用意いただく必要はありません。
また、当該事件につき、原則として、成果を超える弁護士費用の負担はないため費用倒れの心配がありません。
※以上につき、2021年10月時点

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