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親の借金を勝手に連帯保証人にされていた!連帯保証を無効にする方法とは?

作成日:
kiriu_sakura

「借りた覚えのない金融機関から支払を求められた!何かと思ったら親が勝手に自分を連帯保証人にしてたみたいだ……。支払わないといけないの?」

なった覚えのない連帯保証人としてお金を払えと言われたら、戸惑ってしまうことと思います。
実は、無断で連帯保証人にされてしまった場合、支払には応じなくてよいというのが法律上の原則です。

子供から連帯保証契約を結ぶ権利を与えられていないにもかかわらず、親が勝手に子供の代理人として連帯保証契約を結ぶ行為は、基本的は民法上の「無権代理」(民法113条)に当たって無効となるためです。

しかし、債権者から請求されるがままに一部でも支払をしてしまうと、支払義務を負うことになりかねません。
連帯保証人としての支払義務を免れるためには、慎重に行動する必要があるのです。

そこでこの記事では、

  • 勝手に連帯保証人にされた場合の支払義務の有無
  • 連帯保証人の義務の重さ
  • 勝手に連帯保証人にされてしまった場合の対処法
  • 勝手に連帯保証人にされた際に弁護士に相談するメリット

について、弁護士が解説します。

この記事の監修弁護士
弁護士 谷崎 翔

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。

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勝手に連帯保証人にされた場合、支払義務は原則としてない

それでは、親が勝手に子供の代理人として振舞って子供を連帯保証人にしてしまった場合、子供には原則として支払義務がないことについて説明します。

(1)勝手に連帯保証人にされる「無権代理」は原則無効

無権代理とは、代理権のない人が勝手に代理して法律行為をすることです。

今回、子供は親に何らの代理権も与えていません。
それにもかかわらず、親は無断で子供の代理人として振る舞い、子供と債権者との間で連帯保証契約を結んでしまいました。

この連帯保証契約が無権代理で無効となる結果、子供の支払義務も生じないこととなるのです。

(2)支払義務が生じてしまう、無権代理の「追認」はNG

無権代理であれば基本的に支払義務はないのですが、「追認」(民法119条)をしてしまうと子供は支払義務を負ってしまうこととなります。
典型的な追認の方法は、債権者から請求を受けて一部でも支払ってしまうことです(民法125条1号)。

追認とは、無権代理をされた本人が、本来無効であるはずの法律行為を有効なものと認めることです。

追認の方法には、次のようなものが挙げられます。

一 全部又は一部の履行
二 履行の請求
三 更改
四 担保の供与
五 取り消すことができる行為によって取得した権利の全部又は一部の譲渡
六 強制執行

引用:民法125条

追認をしてしまうと、基本的に無権代理された連帯保証契約を覆すことはできなくなり、連帯保証人として全額を支払わねばならなくなります。
身に覚えのない連帯保証契約について、追認をしないよう気を付けてください。

(3)親の死亡時には、借金も相続対象!支払を免れる「相続放棄」とは

無権代理で連帯保証の支払義務を免れることができても、親がその借金を抱えたまま亡くなると、借金の支払義務を相続することになってしまいます。

連帯保証人にはなっていないのに、結局支払わないといけなくなるんですか?

「連帯保証契約」は確かに無効なので、連帯保証人としての支払義務はありません。
しかし、親が借金を残して亡くなった場合、「借主として、お金を返す義務」が子供に相続されてしまいます。
そのため、子供に結局支払義務が移ってしまうこととなるのです。

マイナスの財産(借金など)について、支払義務を負いたくない場合には、「相続放棄」を行うことで支払義務を免れることができます。

ただし、相続放棄ではマイナスの財産ばかりでなくプラスの財産(預貯金や不動産など)も手放さなければならないことには、ご注意ください。

相続放棄の方法について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

親の借金を相続したくない!生前に相続放棄はできない?

連帯保証人の義務とは?

連帯保証人は、債務者が支払えなくなった場合に備え、債権者が求めるものです。

しかし、債務者に支払能力があったとしても連帯保証人に請求することが法律上可能となっているなど、連帯保証人の義務は重いです。

そこで、保証人と「連帯」保証人の違いを説明します。

保証人と連帯保証人の違い

保証人と連帯保証人の大きな違いをまとめると、次の表のようになります。

保証人連帯保証人
催告の抗弁×
検索の抗弁×
分別の利益×

催告の抗弁:債務不履行で債権者が保証人に対して保証債務の履行を求めたときに、保証人が債権者に対して、まずは主債務者(今回のケースでは親)に請求するよう主張できること(民法452条)。

検索の抗弁:債務不履行があっても、主債務者に支払を行う資力があり、差押えなどの強制執行も容易であることを証明することで、保証人がいったん支払を免れること(民法453条)。

分別の利益:保証人が複数いる場合、債権者から請求を受けた保証人が、保証人の頭数で割った分の金額しか払わなくてよいこと(民法456条、427条)。

つまり、連帯保証人はたとえ主債務者に充分な支払能力があっても、債権者からの請求を拒めません。また、連帯保証人が何人かいたとしても債権者に対しては一人で全額を支払わねばならなくなってしまうのです(連帯保証人ごとの負担額は、連帯保証人間で調整します)。

勝手に連帯保証人にされてしまった場合の対処法

それでは、勝手に連帯保証人にされた場合の対処法を説明します。

(1)無権代理を主張するための方法

身に覚えのない連帯保証人としての支払義務を否定するためには、債権者に対して無権代理であることをしっかり主張する必要があります。

まずは、無権代理を主張するための方法を説明します。

(1-1)契約書の請求などで、事情を把握

知らないうちに連帯保証人にされてしまった場合、自分の手元には連帯保証についての資料が全くないはずです。

債権者に問い合わせて連帯保証契約の写しを送ってもらい、署名の筆跡や印鑑が自分のものではないか確かめます。
また、可能であれば勝手に自分を連帯保証人にした親からも、事情を聴いておきましょう。

(1-2)内容証明郵便で、勝手に連帯保証人にされた旨を債権者に通知

次に、勝手に連帯保証人にされたことを改めて債権者に通知します。
のちに裁判になった場合の証拠にするためにも、内容証明郵便を用いることがおすすめです。

この通知には、主に次のようなことを記載します。

  • 勝手に連帯保証人にされてしまったことや、経緯
    (親に印鑑を持ち出されたことなど)
  • 連帯保証契約は無権代理により無効となる以上、支払義務も支払の意思もないこと

(1-3)(債権者が引き下がらなければ)裁判で無権代理であることを主張

債権者は(1-2)で行った通知で納得しなければ、裁判によって保証債務の履行を求めてきます。

また、債権者側が態度を変えない場合には、自分から先手を打って「債務不存在確認訴訟」を起こすこともできます。
今回の場合、「債権者が保証債務の履行を求めてきているが、連帯保証債務が無権代理で無効な以上、支払義務はない」ということを裁判所に確認してもらうための訴訟です。

裁判では、債権者の側が「子供から親に対して代理権を与えていた」ということを主張・立証する義務を負っています。
そこで、無権代理をされてしまった子供としては、債権者の主張や立証を覆すため、次のような主張をしていくこととなります。

  • 連帯保証人となる意思がなかったこと
  • 自分の印鑑を親が無断で持ち出してしまったこと

こういった主張を受けて、「親に代理権があったことは疑わしい」と裁判所が判断すれば、子供の支払義務を否定する判決が出ます。

(2)無権代理が認められず、支払義務が残ってしまった場合には

もっとも、子供本人の印鑑が契約書に用いられていた場合、代理権があったという債権者側の主張が認められ、支払義務があるという判決が出てしまう懸念があります。

これは、「印鑑は通常、不正に利用されないように厳重に保管しておくものだ。その印鑑とを親が使えたのは、子供が代理権を授与して印鑑を預けたからだ」と考えられてしまう可能性があるためです。

裁判をしても支払義務が残ってしまった場合には、やむなく支払うこととなります。
支払が難しくなった場合には、債務整理によって支払負担を軽減できる可能性があります。
債務整理には、主に「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3つがあります。

それぞれについて説明します。

(2-1)任意整理

支払い過ぎた利息がないか負債を再計算します。残った負債について、数年間での分割や将来利息のカットなどによる負担減を目指し、個々の債権者と交渉する手続です。

(2-2)個人再生

負債を支払えなくなってしまうおそれがある場合に、裁判所の認可を得て、法律に基づき決まった金額を原則3年間で分割して支払っていく手続です(税金など一部の支払義務は減りません)。

ケースにもよりますが、任意整理よりも大幅に総支払額をカットできることもあります。
また、条件を充たしていれば住宅ローンの残った自宅を手放さずに済む可能性があります。

(2-3)自己破産

自分の収入や財産からは負債を返済できなくなった場合に、裁判所から免責許可決定を得ることで原則全ての負債の支払から免れることを目指す手続です(税金など一定の支払義務は残ります)。

一定の財産は原則として手放さねばならないなどの注意点はありますが、3つの手続の中で最も支払負担を減らせる可能性のある手続です。

勝手に連帯保証人にされた場合は弁護士に相談

連帯保証人にされてしまった場合、弁護士に相談すると次のようなメリットがあります。

  • 気づかぬうちに追認をしてしまって支払義務を負うこととなるリスクを下げられる
    請求を受け、焦って支払をしてしまうと無権代理を「追認」することとなってしまい、支払義務を負うことになりかねません。弁護士から、追認をしないよう助言を受けることができます。

  • 裁判で代理権の有無を争うことになる場合に備えて、証拠収集のサポートを受けられる
    裁判になってしまった場合に備え、どのような証拠を集めておくとよいか、検討してもらえます。

  • 結局支払義務が残ってしまった場合に、債務整理を検討してもらえる
    債務整理を扱っている弁護士であれば、裁判で敗訴して支払義務が残ってしまった場合にも、債務整理による負担減を検討してもらえます。

  • 弁護士が債権者への対応を行うため、債権者と直接連絡を取らなくてよくなる
    弁護士に債権者との交渉を依頼すれば、弁護士が代理人として債権者とのやり取りを行います。そのため、債権者から直接支払の請求を受けずに済みます。

勝手に連帯保証人にされてしまった場合には、弁護士に相談することがおすすめです。

【まとめ】親の借金について勝手に連帯保証人にされてしまった場合、支払わなくてよい可能性はある

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 親が勝手に子供の代理人として振る舞い、子供を連帯保証人にしてしまった場合、子供に支払義務は原則としてない。ただし、一部でも支払に応じてしまうなどの「追認」をすると、支払義務を負うこととなってしまうため要注意。
  • 連帯保証人は、たとえ主債務者(今回の場合は親)に支払能力が十分にあっても債権者からの請求を法律上拒めないなど、保証人以上に負担が大きい。
  • 勝手に連帯保証人にされてしまった場合は、次のように対処する。
    債権者から連帯保証契約書の写しを見せてもらうなどして状況把握→内容証明郵便にて無権代理の事実や支払意思のないことを債権者に通知→債権者が態度を変えない場合には裁判にて無権代理であることを主張。
    それでも支払義務が残ってしまい、支払が困難な場合には債務整理を検討する。
  • 勝手に連帯保証人にされてしまった場合には、弁護士に相談することがおすすめ。

支払義務が結局残ってしまった場合についてですが、アディーレ法律事務所では、所定の債務整理手続につき、所定の成果を得られなかった場合、原則として、当該手続に関してお支払いただいた弁護士費用を全額ご返金しております。

また、完済した過払金返還請求の手続の場合は、原則として過払金を回収できた場合のみ、成果に応じた弁護士費用をいただいておりますので、費用をあらかじめご用意いただく必要はありません。(2021年8月時点。)

債務整理についてお悩みの方は、債務整理を得意とするアディーレ法律事務所にご相談ください。