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過失割合は交渉できる?保険会社の提示に納得できない時の対処法を解説

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kiriu_sakura

※アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。

「保険会社から示談金の提示があったけれど、こちら側の過失割合に納得できない…。過失割合について保険会社と交渉できる?」

「過失割合」とは、交通事故が起こった原因や被害が拡大した原因について、加害者と被害者の過失(不注意や落ち度のことです)がそれぞれどの程度あったのかということです。
示談案が適切かどうか判断するためには、「過失割合」の検討が不可欠です。
というのは、交通事故が起こった際、加害者だけでなく被害者にも過失があった場合には、被害者の過失割合に応じて、損害賠償額が減額されるのです。

例えば、損害賠償額が合計で500万円だったとしても、被害者に2割の過失があったとしたら、被害者が最終的に受け取ることのできる賠償額は500万円から2割分(100万円)が減額された400万円になってしまうのです。
過失割合は、被害者が受け取れる賠償額に大きく影響しますので、決して不当な過失割合で示談をしてはいけません。
保険会社から一方的に過失割合を決められた場合には、本当にその割合が適正なのか、過失割合を修正すべき事情はないかよく検討した上で示談をすることが大切です。

今回の記事では、次のことについて弁護士が解説します。

  • 交通事故の「過失割合」と「過失相殺」
  • 過失割合の決まり方
  • 過失割合の修正方法
  • 保険会社の提示する過失割合に納得できない時の対処法
  • 交通事故の賠償額を決めるための3つの基準
この記事の監修弁護士
弁護士 中西 博亮

岡山大学、及び岡山大学法科大学院卒。 アディーレ法律事務所では刑事事件、労働事件など様々な分野を担当した後、2020年より交通事故に従事。2023年からは交通部門の統括者として、被害に遭われた方々の立場に寄り添ったより良い解決方法を実現できるよう、日々職務に邁進している。東京弁護士会所属。

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交通事故の「過失割合」と「過失相殺」とは?

過失割合とは、交通事故が起きた時、事故の発生や被害が拡大したことについて、被害者と加害者のそれぞれにどのくらいの原因や責任があるのかを示す割合です。
被害者に全く落ち度がなく、加害者の一方的な過失による事故の場合には、加害者と被害者の過失割合は10:0というように表現されます。

例えば、事故が起きた原因について、被害者にも前方不注意やスピード違反などがあったという場合や、被害者がシートベルトを着用していなかったために車外に投げ出されてけがが重くなった、という場合には、その分は被害者の過失になります。

過失割合はどうやって決まる?

これまで数多くの交通事故に関する裁判が積み重ねられた結果、交通事故の過失割合はある程度、事故の類型ごとにその目安が確立しており、「『民事交通訴訟における過失相殺率等の認定基準』別冊判例タイムズ38号」(判例タイムズ38号と言います)などにまとめられています。
判例タイムズ38号には、歩行者・自動車・バイク・自転車の事故をそれぞれ組み合わせた事故類型が338通りまとめられており、交通事故が起こった時の過失割合の目安とされています。

歩行者対自動車の交通事故について一例をご紹介しましょう。

例えば、被害者が横断歩道を青信号に従って歩行横断中、加害者の車両が赤信号を無視して進行したため、横断歩道上でぶつかって被害者がけがをしたというケースでは、被害者の過失はない(加害者の過失:被害者の過失が10:0のケース)とされています。

参考:東京地裁民事交通起訴研究会(編集)『別冊判例タイムズ38』判例タイムズ社【1】

被害者の過失がないとされるケースについて詳しくはこちらの記事もご参照ください。

交通事故で過失割合が10対0になる場合とは?知っておくべき注意点も解説

また、被害者が青信号になると見込んで赤信号で横断を開始して横断歩道を歩行横断中、加害者が赤信号で進行したため横断歩道上でぶつかって被害者がけがをしたというケースでは、被害者の過失は1割認定されます(加害者の過失:被害者の過失が9:1になります)。

参考:東京地裁民事交通起訴研究会(編集)『別冊判例タイムズ38』判例タイムズ社【19】

被害者に1割の過失があるとされるケースについて詳しくはこちらの記事もご参照ください。

過失割合9:1の事故とは?過失割合に納得できないときの対処法

このように、加害者と被害者の過失割合は、事故の態様によってある程度類型化されています。
ご自身の事故で、過失がどの程度になるのか目安をお知りになりたい方は、上にご紹介した本を参照されたり、弁護士に相談ください。

過失割合は個別の事情によって修正される!

今ご紹介した過失割合の目安は、あくまでも目安で絶対的なものではありません。
事故が起きた時間帯や、事故現場の交通状況、運転手の視認状況、被害者の年齢など、個別の事故によって、当然、事故状況は変わります。
ですから、個別の事情に応じて、過失割合が修正されることがあります。
例えば、先ほどご紹介した、横断歩道上の歩行者(被害者)と自動車(加害者)の事故で、事故が起こったのが夜間だった場合、被害者の過失に5%程度上乗せされる可能性があります。

夜間の交通事故は、車両からは歩行者が見えにくくなる一方で、歩行者はライトのついた車を認識することが容易となるからです。
他方、事故が起こった場所が住宅街や商店街だったという場合、被害者に過失が認められる場合であっても、5%程度マイナスされる可能性があります。
住宅街など人が頻繁に横断することが予測される場所では、車両は一層歩行者の動静に注意しなければいけないからです。

その他、例えば歩行者対車両の事故の場合、次のような事情も過失割合を修正する事情になります。

歩行者(被害者)の過失が上乗せされる可能性のある事情

  • 事故現場が幹線道路であること
  • 車両の直前や直後を横断すること
  • 横断禁止場所を横断すること
  • 急な飛び出し
  • 途中で立ち止まること    など

歩行者(被害者)の過失がマイナスされる可能性のある事情

  • 歩行者が児童(6歳以上13歳未満)、幼児(6歳未満)、高齢者(概ね65歳以上)、身体障碍者であること
  • 歩行者が集団横断をしていること
  • 加害者に著しい過失(わき見運転、時速15km以上30km未満の速度違反、酒気帯び運転など)があること
  • 加害者に重過失(酒酔い運転、居眠り運転、無免許運転、おおむね時速30km以上の速度違反(高速道路を除く)など)があること

横断歩道上の歩行者と車両の事故における過失割合について詳しくはこちらの記事もご参照ください。

横断歩道事故の歩行者と車の過失割合は?状況ごとに弁護士が解説

ですから、保険会社に過失割合を提示された時は、「こんなものなのかな」と安易に納得するのではなく、次のステップに沿ってご自身の事故では過失割合はどうなるのかしっかり検討されることが大切です。

事故の態様を特定する

その事故態様ではどの程度の過失が認められるのか確認する

個別に過失割合の修正要素がないか確認する

過失割合の修正要素について詳しくはこちらの記事もご参照ください。

過失割合修正要素とは?事故別の加算要素と減算要素を弁護士が解説

保険会社の提示する過失割合に納得いかない場合はどうしたら良い?

これまでご説明したとおり、過失割合やその修正要素などはある程度類型化されていますので、加害者と被害者との間で事故の態様に食い違いがない場合には、過失割合はそれほど問題にならないことも多いです。
他方、加害者と被害者の間で、認識している事故態様が食い違う場合には、過失割合が問題になる可能性があります。
その場合には、まずは事故の態様を明らかにするために、次のような証拠を集めて事故態様を確定した上で、過失割合を修正するように保険会社と交渉することが大切です。

過失割合を認定するために重要な証拠

  • ドライブレコーダーの記録
  • 交通事故の目撃者の話
  • 防犯カメラの映像
  • 事故直後の様子を撮影した写真
  • 警察の実況見分調書 
  • 加害者と被害者の供述調書   など

ご自身の車両や加害者の車両にドライブレコーダーが設置されている場合には、特に重要な証拠になる可能性があります!

ドライブレコーダーと過失割合の認定について詳しくはこちらの記事もご参照ください。

ドライブレコーダーは過失割合認定に役立つ?示談交渉時の注意点

実況見分調書や供述調書というのは、どうやって手に入れられるんですか?

実況見分調書や供述調書は、刑事事件の捜査のために警察や検察が作成する「刑事記録」です。
刑事記録は開示を請求したり閲覧・謄写を請求したりできる場合があります。
刑事事件がどの段階にあるかによって、記録のある場所や開示を請求する方法などが異なりますので、詳しくは次のサイトをご確認ください。

保険会社の提案する過失割合に納得できない場合、これらの証拠をふまえて事故態様を特定し、過失割合を修正するよう保険会社と交渉する必要があります。
ですが、保険会社と交渉し納得させるためには、これまでの裁判例などをふまえて説得的にご自身の過失割合を主張しなければいけませんので、専門的な知識も必要です。
もしも、刑事記録の入手方法が分からなかったり、適正な過失割合を主張・交渉に自信がないという場合には、交通事故を専門に取り扱っている弁護士に相談されることをお勧めします。

保険会社は金融庁の監督を受け、被害者を救済するという社会的使命を負っている一方、あくまでも示談にあたっては加害者側の立場に立っており、基本的に加害者の意に反することはできません。
ですから、加害者と被害者の間で、事故の態様が食い違う場合には、基本的には加害者の主張にそった過失割合をもとに示談金の提示をする可能性があります。

これまでご説明しているとおり、被害者に過失が1割認められると、受け取れる賠償額が1割減ってしまいます。
不当な過失割合に納得して、本来得られるべき示談金が減ってしまうことのないように、過失割合については十分ご検討ください。

過失割合が低ければ、加害者の提示する示談金で合意しても良い?

これまで、被害者の過失割合が高ければ、最終的に受け取れる示談金がその分減額されるというご説明をしました。
それでは、保険会社の提示する過失割合について、被害者の過失がゼロ又は予想より過失割合が低く設定されていた場合には、そのまま示談しても良いのでしょうか?

私も車を運転していたので、私にも過失があるだろうなとは思っていました。
ですが、相手の保険会社の提案する私の過失が思ったより低かったんです。
その場合は、話合いがこじれて過失割合を厳密に計算されて私の過失が増えるよりは、示談した方が良いですよね?

それはちょっと待ってください。
保険会社の提示する示談金で、大切なのは過失割合だけではありません!
トータルで示談金がいくらになっているかが大切なのです。

極端な例にはなりますが、交通事故による賠償金の総額が500万円で被害者の過失が2割とされている場合と、賠償金の総額が350万円で被害者の過失がゼロとされている場合では、前者の方が被害者より受け取れる示談金が多いことは明らかですよね。
ですから、被害者の過失割合がゼロ又は低く設定されていても、そもそもの賠償額が適正なのかどうか、よく検討する必要があるのです。

受け取れる示談金を増額させるためにはどうしたら良い?

保険会社から示談金の提示があった、という方は、金額や過失割合に特に不満はないという場合であっても、すぐに示談をすることは少し待ってください。
というのは、交通事故の賠償金を決める基準には、次の3つがあり、保険会社の提示する示談金は、決してそれ以上増額できないという金額ではないからです。

  • 自賠責の基準……自動車損害賠償保障法(自賠法)で定められた、最低限の賠償基準
  • 任意保険の基準……各保険会社が独自に定めた賠償基準
  • 弁護士の基準……弁護士が、加害者との示談交渉や裁判の際に用いる賠償基準(「裁判所基準」ともいいます)

賠償金を算定する際、上の3つのうちどの基準を用いるかによって賠償金の額が変わります。
3つの基準を金額の大きい順に並べると、一般に、次のとおりです。

弁護士の基準>任意保険の基準>自賠責の基準

(※ただし、自賠責保険金額は、交通事故の70%未満の過失については減額対象にしませんので、ご自身の過失割合が大きい場合などには、自賠責の基準がもっとも高額となることもあります)

弁護士が交渉した結果、保険会社の提示する示談金から増額されることは本当に多いです。
保険会社から示談金の提示があった時は、弁護士の基準で計算すればどの程度増額する見込みがあるのか、ということについて一度弁護士に相談されることをお勧めします。

示談交渉を弁護士に依頼するメリットについて詳しくはこちらの記事もご参照ください。

弁護士に依頼すると、弁護士費用がかかりますよね。
結局、増額された分が弁護士費用に充てられてしまいませんか?

ご自身の保険か、ご家族の保険に「弁護士費用特約」がついていないかご確認ください。
弁護士費用特約がついている保険であれば、弁護士費用は基本的に保険会社が負担します。
弁護士費用特約がついていない場合であっても、これまでご紹介したとおり、弁護士が交渉することによって弁護士費用以上に賠償金が増額することも多いです。
相談は無料とする法律事務所も多いですから、まずは、どの程度増額見込があるか、相談されてはいかがでしょうか。

弁護士費用特約について詳しくはこちらの記事もご参照ください。

弁護士費用特約は保険に入っていない人でも補償範囲になる?利用できるケースを解説

【まとめ】保険会社の提示する過失割合に納得できない場合には、証拠を集めて交渉すべき

今回の記事のまとめは、次のとおりです。

  • 過失割合とは、交通事故が起きた時、事故の発生や被害が拡大したことについて、被害者と加害者のそれぞれにどのくらいの原因や責任があるのかを示す割合のこと。
  • 被害者にも過失がある場合、最終的に被害者が受け取る賠償金から過失割合に応じて減額される(過失相殺)。
  • 過失割合は、事故の類型ごとにある程度の目安がある。
  • さらに、事故現場の状況や事故の時間帯、被害者の年齢など個別の事故状況に応じて過失割合は修正される。
  • 保険会社の提示する過失割合は、加害者の主張を元にしていることが多い。事故態様について加害者と被害者との認識が食い違う場合には、刑事記録などを取り寄せて事故態様を特定し、過失割合の修正を保険会社と交渉すべき。
  • 保険会社との示談交渉を弁護士に依頼した場合には、不当な過失割合を修正したり、最終的に受け取れる示談金が増額される可能性がある。

被害者の過失割合は、最終的に受け取ることのできる示談金額に直結する大事な問題ですから、決して保険会社の提案を鵜呑みにすることなく詳細に検討すべきです。
保険会社の提示する過失割合は、絶対的なものではありません。保険会社の提示に納得できない場合には、刑事記録を取り寄せるなどして事故態様を特定し、過失割合の修正を保険会社と交渉しましょう。
また、過失割合だけに気を取られるのではなく、示談金が総額でいくらなのかということも大切です。保険会社の提示する示談金がもともと低額であれば、過失割合が低くても意味がありません。

保険会社から示談金の提示があった時は、まずは過失割合が適正か、適正としても示談金額が適正か、二段構えで検討されることをお勧めします。

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(以上につき、2022年10月時点)

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