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パワハラの定義とは?種類や具体例、効果的な対応策を紹介

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2019年5月に、初めてパワハラ防止が企業に義務付けられました。
ところで、このパワハラとは具体的にどのような行為を指すのかご存じでしょうか。
パワハラの種類や、具体例、効果的な対応策を弁護士が解説します。

パワハラ(パワーハラスメント)の定義

職場におけるパワハラ(パワーハラスメント)とは権力や立場を利用した、部下や同僚、上司などへの嫌がらせをいいます。

パワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)について

都道府県労働局に対する、いじめ・嫌がらせの相談件数は年々増加しており、パワハラは深刻な社会問題になっています。
例えば、2018年度の労働局に対するいじめ・嫌がらせの相談件数は、過去最大の8万件以上にもなります。

参考:平成30年度個別労働紛争解決制度の施行状況を公表します|厚生労働省

そこで、2019年5月に、労働施策総合推進法が改正され、初めてパワハラ防止が企業に義務付けられました(大企業では2020年6月1日、中小企業では2022年4月1日から施行。正式名称は、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律)。

【企業が義務付けられたパワハラ防止策】

  1. 措置義務
    企業は、労働者からのパワハラ相談に応じ、適切に対応するための体制整備等を行わなければなりません(措置義務、労働施策総合推進法30条の2第1項)。
    企業は、厚生労働大臣から、助言、指導、勧告などを受けることがあります(同法33条1項)。
    措置義務に違反する企業が厚生労働大臣の勧告に従わない場合は、企業名などが公表されることがあります(同条2項)。
  2. 不利益取り扱いの禁止(同条2項)
    企業は労働者がパワハラ相談を行ったこと等を理由として、当該労働者に解雇その他の不利益な取り扱いをしてはなりません。

参考:職場におけるハラスメントの防止のために(セクシャルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント)|厚生労働省

パワハラの行為(種類)と具体例

次の3つの要素をすべて満たす場合が、職場のパワハラにあたります。
(労働施策総合推進法30条の2第1項)

(a)職場における優越的な関係を背景とした言動
(b)必要かつ相当な範囲を超えておこなわれること
(c)これにより、雇用する労働者の就業環境が害されること

では具体的にどのような行為がパワハラに該当するのでしょうか。
6つのタイプに分けて具体例をご説明します。

(1)身体的な攻撃……暴行、傷害

例えば、上司が部下に対して、殴る蹴る行為がパワハラにあたります。
また、酒を強要する行為もパワハラです(東京高判判決平成25年2月27日)。

他方で、業務上関係のない単に同じ企業の同僚間の喧嘩はパワハラにはあたりません。
(a)優越的な関係が背景になく、(b)業務も関係ないためです。

(2)精神的な攻撃……脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言

例えば、上司が部下に対し、「お前は馬鹿だ」など人格を否定するような発言をすると、パワハラになります(東京地裁判決平成26年7月31日)。

他方で、禁煙の場所における喫煙など、マナー違反に対し注意する行為はパワハラにはあたりません。
(b)業務上必要かつ相当な範囲を超えていませんし、(c)就業環境も害されていないからです。

(3)人間関係からの切り離し……隔離・仲間外れ・無視

例えば、意に沿わない社員に対し、長期間にわたり、仕事を取り上げた上で、一人部屋へ席を移動させたり、自宅研修等をさせたりする行為は、パワハラになります(東京高判判決平成5年11月12日)。

他方で、短期間、別室に席を移動させて新人研修することはパワハラにはあたりません。
(b)業務上必要かつ相当な範囲を超えていないからです。

(4)過大な要求……業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害

例えば、過剰なノルマ達成を強要し、未達成に対し強く叱責する行為はパワハラになります(高松高判判決平成21年4月23日参照)。

社員の教育のため、少し高いレベルの仕事をさせることはパワハラにあたりません。(b)業務上必要かつ相当な範囲を超えていないからです。

(5)過小な要求……業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと

例えば、管理職である部下を、退職させるために、清掃作業などに配置転換するとパワハラにあたります(山口地裁周南支部判決平成30年5月28日参照)。

他方で、労働者の能力に応じて、業務量を減らすことはパワハラにあたりません(福井地裁判決平成21年4月22日)。
(b)業務上必要かつ相当な範囲を超えていないからです。

(6)個の侵害……私的なことに過度に立ち入ること

例えば、思想や信条を理由として、集団で特定の社員を監視し、ロッカーを無断で点検する行為はパワハラになります(最高裁第三小法廷判決平成7年9月5日)。

異動先など、労働者へ配慮するために、労働者の家族関係について聴取することはパワハラになりません。
(b)業務上必要かつ相当な範囲を超えておらず、(c)就業環境も害されていないからです。

参考:パワーハラスメントの定義について|厚生労働省
参考:職場におけるパワーハラスメントに関して雇用管理上講ずべき措置等に関する指針の素案|厚生労働省
参考:パワーハラスメントに関連する主な裁判例(未定稿)|厚生労働省

パワハラを受けないために自分でできる対策

パワハラを受けないために、自分でできる対策があります。

(1)周囲とコミュニケーションを取る

孤立している人はパワハラのターゲットになりやすいです。
普段から会話を増やして周囲と信頼関係を構築することで、パワハラを防ぐことができます。

また、「~と言われるとツラいです」「~のように言っていただけると助かります」と表現を柔らかくして、相手になるべく敵対心を持たせないようにしましょう。

(2)できないことは断る

自分にとって何が不快なのかを考え、業務とパワハラ行為の線引きをしましょう。
業務としてするべきことはするが、断るべきことは、きっぱりと断ることが大切です。

対策してもパワハラがなくならないとき

自分ではどうしてもパワハラを解決できないときは、次のような行動をとってみましょう。

(1)上司(加害者)と話す

パワハラしている上司(加害者)に、「こういう行為で苦しんでいます。やめていただきたいのですが」と直接話してみると、効果がある場合があります。
加害者がパワハラをしているという自覚がない場合があるからです。
パワハラを自覚した加害者がパワハラを止めてくれることがあります。

ただし、直接パワハラの苦情を伝えると、かえって加害行為が悪化しそうな加害者の場合は、次に紹介する第三者や外部機関への相談を検討しましょう。

(2)信頼できる上司や人事・労務に相談する

信頼できる上司に、パワハラを受けていることを相談してみるのもよいでしょう。
人事部や労務部といった社内のハラスメント相談窓口に相談してみる方法もあります。

(3)外部機関にパワハラを相談する

下記のような外部機関への相談も検討してみましょう。

・各地の労働局や労働基準監督署にある「総合労働相談コーナー」

参考:総合労働相談コーナーのご案内|厚生労働省

・最寄りの法務局や地方法務局に電話がつながる「みんなの人権110番(全国共通人権相談ダイヤル)」

参考:みんなの人権110番(全国共通人権相談ダイヤル)|厚生労働省

(4)紛争調整委員会によるあっせん

都道府県労働局において設置されている、紛争調整委員会によるあっせんを利用する方法もあります。
紛争当事者(パワハラでいえば加害者と被害者)の間に、労働の専門家であるあっせん委員が介入して、話し合いをする制度です。
無料で行うことができ、裁判に比べれば簡易迅速にできます。
相手が話し合いに応じなければ合意がないまま終了してしまいます。
また、合意には判決と同じ効力はありません。
そのため合意が守られない場合は、別途、公正証書化したり、裁判するなど、強制的に合意を守らせるための手段を取る必要があります。

参考:個別労働紛争解決制度(労働相談、助言・指導、あっせん)|厚生労働省

(5)裁判官も関与する民事調停

パワハラを受けた場合、民事調停をすることもできます。
紛争当事者の間に、裁判官と調停委員が間に介入して、話し合いをする制度です。
申立て手数料は有料ですが、裁判に比べれば安くなっています。
合意に至れば、判決と同じ効力を持つ調停調書が作られます。
相手が納得しなければ調停不成立で終わってしまいます。
また、裁判に比べると簡易迅速な手続きです。

参考:「民事調停で解決」しませんか?|公益財団法人日本調停協会連合会

(6)裁判でパワハラを訴える

裁判に持ち込むこともできます。
裁判の場合、他の手続きに比べて、パワハラの証拠が重要となってきます。
パワハラの証拠としては、録音・録画データ、パワハラを受けた日時や場所、相手の言動がわかるメール履歴や日記などがあります。
相手方が納得するかどうかに拘わらず、判決が出ます。
裁判では、加害者の行為がパワハラに当たるか否か白黒をつけ、慰謝料の支払いなどを命じてもらうことができます。
裁判は手続きが複雑ですので、裁判をする場合には、弁護士への相談をお勧めします。

パワハラの裁判事例

パワハラの裁判例としては、既に挙げたものの他、以下のようなものもあります。

  • コンビニの運営会社代表者と店長が、コンビニの従業員に対し、1年3ヶ月にわたり、日常的に暴力的ないじめをした行為(※)がパワハラであるとして、慰謝料570万円を含む約930万円が被害者の損害として認められた例(東京地裁判決平成28年12月20日)。
    ※タバコの火を鼻に押し付ける、殴る蹴る、エアガンで撃つ、売れ残り品の買い取りを強要するなど
  • 社員が仕事のミスをするたびに、社長が暴言・暴行(頭を叩く、汚い言葉で大声で怒鳴るなど)を行った上、退職強要をするなどしたために、当該社員が急性ストレス反応で自殺した事件において、慰謝料として2800万円がみとめられた例(※)(名古屋地裁判決平成26年1月15日)。
    ※他の損害等を足し引きして、最終的に合計約3600万円が損害として認められています。

【まとめ】パワハラは法制度の整備でより相談しやすくなりました!お困りの方は専門家へ

いかがでしたか?パワハラにはさまざまな種類があります。
パワハラ防止法により相談しやすい環境になっていくことが期待されていますが、まだまだ社内や行政機関の対応だけでは不十分なことも起こり得ます。
パワハラでお困りの方は専門家に相談ください。

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