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離婚後に妊娠が発覚したら…戸籍・親権・養育費について解説

作成日:更新日:
リーガライフラボ

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

「離婚後に妊娠していることが分かった。この子は誰の戸籍に入るのだろう?」

もし、離婚の直後に妊娠が発覚してしまったら、戸籍についてだけでなく、親権・養育費など、心配なことがいろいろ出てくることでしょう。
実は、離婚後とはいえ、離婚後300日以内に生まれた子どもは、実際の父親が誰かにかかわらず、法律上は、原則として離婚する前の夫の子どもとして扱われます。

ですが、妊娠した時期が離婚後であると医師が証明できる場合には、前夫を父親としない出生届を出すことも可能です。
また、生まれた子どもがいったんは前夫の子として前夫の戸籍に入ったとしても、適切な手続を踏めば、戸籍上の父親を前夫から変更し、前夫の戸籍から削除できる可能性もあります。

この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

「離婚後300日以内」に生まれる子どもは、前夫の戸籍に入る

離婚後に妊娠が分かった場合、まず考えなければならないのは子どもの戸籍のことです。

生まれた子供の父親が誰であるのか、産んだ母親から見れば分かることが多いものですが、法律上どう取り扱われるかは別の話です。

明らかに離婚した夫の子どもではないことが母親に分かったとしても、それは第三者からは分からないことですので、法律上は『嫡出推定』の規定により一律に扱われることになっています。

『嫡出推定』とは何ですか?

『嫡出推定』の制度とは、義務教育を負う法的な父子関係を明確にするための制度で、妻が婚姻中に懐胎した子を、法律上、夫の子と推定するものです。

簡単に言えば、次のようなケースに当てはまる場合は、(本当の父親が誰であるかは関係なく)妻が婚姻中に妊娠した子どもであって、夫の子どもと推定するということです。

  1. 婚姻から200日経過後に子どもが生まれた場合
  2. 離婚後300日以内に子どもが生まれた場合

嫡出推定

「婚姻成立から200日経過後」と「離婚後300日以内」に生まれた子どもは、法律上(戸籍上)、一律に婚姻中の夫婦の子どもとして扱われます。

ですので、離婚後300日以内に生まれた子は、前夫を父親として、前夫の戸籍に入ることになります(※婚姻中、前夫が戸籍筆頭者であった場合)(民法第772条2項)。

(1)いわゆる「離婚後300日問題」とは?

民法第772条2項の定めによって、次の問題が生じることがあります。
これはいわゆる『離婚後300日問題』と呼ばれています。

  1. 子どもの父親が前夫でない場合(子どもと前夫に血縁関係がない場合)に、血縁上の父親が法律上の「父」と認められなくなってしまう。
  2. 前夫に子どもの出生を知られたくない場合も、非嫡出子(婚外子)にできずに前夫に知られざるを得なくなる。
  3. 子どもを前夫の戸籍に入れることを避けるために、子どもが生まれても出生届を提出しない場合、子どもが無戸籍になってしまう。

(2)離婚した女性に適用される100日間の「再婚禁止期間」とは?

嫡出推定制度で複数の人間に「父」の推定が及ばないように、女性には、離婚後100日間の「再婚禁止期間」が設けられています(民法第733条1項)。

仮に、女性が離婚直後に再婚し、再婚から250日目に出産した場合について考えてみましょう。
この場合、現夫との関係では「婚姻成立から200日経過後」として嫡出推定が及びます。他方で、前夫との関係でも「離婚後300日以内」として嫡出推定が及んでしまうことになります。そのため、前夫と現夫との複数の人間に「父」の推定が及んでしまうのです。

これを避けるため、女性には離婚後100日間の再婚禁止期間が設けられているわけです。

【再婚禁止期間が100日である場合】


【再婚禁止期間を設けない場合の嫡出推定】

ただ、女性は、離婚後100日間は絶対に再婚ができないわけではありません。
この再婚禁止期間には、例外が設けられています。

つまり、

  1. 離婚時点で妊娠していなかった事実
  2. 離婚後に妊娠した事実

このいずれかの事実が医師の証明書によって確認できる場合は、再婚禁止期間の適用外として再婚できます。

また、前夫との離婚後300日以内の出産であっても、現夫を法律上の「父」として出生届を提出できるのです。

参考:民法の一部を改正する法律(再婚禁止機関の短縮等)に伴う戸籍事務の取扱いについて|法務省

「離婚後300日以内」に生まれる子どもについて、親権や養育費はどうなる?

次は親権や養育費についての問題について見てみましょう。
離婚後300日以内に生まれる子どもの親権や養育費について説明します。

(1)子どもの親権は、母親が持つ

離婚後に出産した子どもの親権は、母親が持つことになります(民法第819条3項)。

ですが、出産後に、父母が協議して親権者を父と定めることも可能です(民法第819条3項ただし書)。

なお、離婚後300日以内に生まれた子どもは前夫の戸籍に入ります(※前夫が戸籍筆頭者であった場合)から、離婚し姓を旧姓に戻した母親と子どもの姓が異なることになります。

この場合には、「子の氏の変更についての許可の審判」(民法第791条1項)の手続きをします。この手続の後に母親の戸籍への入籍届を提出することで、子どもの戸籍を母親と一致させることが可能です。

参考:子の氏の変更許可|裁判所 – Courts in Japan

(2)戸籍上の「父」である前夫には、子どもの養育義務がある

「離婚後に妊娠に気が付いた場合、生まれてくる子供の養育費を前夫からもらうことはできないのでは?」と不安を感じる方もいらっしゃるでしょう。
では養育費の問題について見てみましょう。

法的な親子関係がある限り父には子どもの養育義務があります。
この『養育義務』とは、自分と同程度の生活水準で未成年の子どもを養育する「生活保持義務」のこと(民法第820条)です。

この養育義務を果たすため、監護権(子どもと一緒に暮らし、子どもを監護し教育する権利義務のこと)を持たない親は『養育費』として「子どもの監護や教育のために必要な費用」を、監護権を持つ親に支払う必要があります。

つまり、母が離婚後300日以内に出産した場合、戸籍上の父親は「監護権を持たない親」として、養育費を支払う義務を負うことになります。

(3)前夫に養育費を払ってもらう方法

離婚後300日以内に出産した場合、どのような方法で、前夫に養育費を払ってもらえば良いでしょうか。

養育費の請求の流れを図に表すと、次のとおりです。

養育費の請求方法

  1. まずは前夫に直接養育費の支払いを求めます。
  2. 応じてもらえない場合等は、家庭裁判所に「養育費請求調停」を申立てます。

    この養育費調停では、裁判所が「養育費算定表」をもとに、客観的な視点から、前夫が支払うべき養育費の金額を定めてくれます。
    参考:養育費・婚姻費用算定表|裁判所 – Courts in Japan

  3. 調停でも前夫が応じず合意できないときには、自動的に「審判」に移行して裁判所から前夫に支払い命令が下されることになります。

具体的にどの程度の養育費が請求できますか?

養育費の金額は、両親の収入などによって異なります。
次のサイトでは、簡単に養育費の目安を調べることができますので、ぜひご確認ください。

養育費の基準について詳しくはこちらの記事もご確認ください。

前夫を「離婚後300日以内」に生まれる子どもの「父」にしたくない場合は?

これまでご説明したとおり、離婚後300日以内に生まれた子どもは前夫の子どもとして、基本的には前夫の戸籍に入ります。

ところが、事情により子どもを前夫の戸籍に入れたくないと考える場合もあるでしょう。
現実に、前夫の子となる嫡出推定を回避するため出生届を出せず、子供が「無戸籍児」となることが社会問題化しています。

しかし、離婚後の出産では、母親には子どもの出生届の提出義務があります(戸籍法第52条1項)。

実は、離婚前に不倫をした相手の子どもで、前夫の子ではないんです。
子どもを産んだことを前夫に知られずに、本当の父親の戸籍に入れたいです。
本当の父親を父親欄に記載して出生届を出せば大丈夫ですか?

離婚後300日以内に生まれた子どもの場合、前夫以外の男性を父親とする出生届を出しても原則として受理されないのです。
出生届が受理されないと、子どもが「無戸籍」状態となってしまいます。
離婚前に妊娠した場合には、いったんは前夫の戸籍に入れてから、これからご説明する対応を取る必要があります。

(1)離婚後に妊娠した証明があれば、そもそも前夫の戸籍に入ることはない

次の事実が医師の証明書によって確認できる場合は、その証明書(「懐胎時期に関する証明書」)を添付して出生届を出すと良いでしょう。
前夫を父親と推定する根拠がなくなるため、子どもが前夫の嫡出子と扱われることはありません。

  1. 離婚時点で妊娠していなかった事実
  2. 離婚後に妊娠した事実

この場合には、子供の出生日が離婚後300日以内であっても、前夫以外を父とする出生届を受理してもらえます。
子供が前夫の戸籍に入ることもありません(※母親が再婚していれば再婚相手を父として再婚相手の戸籍に、母親が再婚しておらず実の父親から認知を受けていない場合には父親欄は空欄のまま母親の戸籍に入ります)。

参考:婚姻の解消又は取消し後300日以内に生まれた子の出生の届出の取扱いについて|法務省

(2)子どもと前夫の戸籍上の親子関係を解消する方法

子どもの「父」を現夫にしたい場合など、子どもと前夫の親子関係を解消したい場合の手続には、次の3つがあります。

1.嫡出否認調停
嫡出否認調停の申立ては母親側からすることはできず、戸籍上の父親である前夫から申立ててもらう必要があります。
嫡出否認調停で出生した子供が前夫の子供でないことに当事者双方が合意し、家庭裁判所の調査でも合意の正当性が認められた場合には、審判が下され、その子供は前夫の子供でないことが確定します。なお、前夫が嫡出否認の申立てをすることができる期限は、子供の出生を知ってから1年のため、ご注意ください。

参考:嫡出否認調停|裁判所 – Courts in Japan

2.親子関係不存在確認調停
離婚後300日以内の出生でも、前夫の長期の海外出張、受刑、別居などにより前夫の子供を妊娠する可能性がないことが客観的に明白である場合には、前夫の子であるとの推定は受けません。
このような場合には、家庭裁判所に夫又は前夫を相手として親子関係不存在確認調停の申立てをすることができます。
親子関係不存在確認は母親側からも申立てができ、期限もないため、前夫が嫡出否認に協力しない場合でも手続しやすくなっています。

参考:親子関係不存在確認調停|裁判所 – Courts in Japan

実は、子どもは離婚前に不倫をしていた相手の子です。
ただ、その時期に別居はしていませんし、夫との性交渉もありました。
DNA鑑定でも、不倫相手の子どもであることを示す結果が出たのですが、この場合は親子関係不存在確認調停で前夫の子どもではないと認められますか?

嫡出推定を受ける期間(離婚後300日以内)に子どもが生まれた場合には、DNA鑑定により科学的に本当の子どもではないと証明できたとしても、基本的には親子関係不存在確認は認められないでしょう。

それは困ります。どうしたら良いのでしょう。

その場合は、やはり前夫に事情を説明して、申立期間内に「嫡出否認の調停」を申立ててもらうのが最善と思います。

3.強制認知
これは、子どもが、子どもの本当の父親に対して、認知(※父親が自分の子どもと認めることで、法律上の親子関係を生じさせることです)を求める場合です。
ただし、この場合にも、妻が子どもを妊娠した期間中、前夫が受刑中、海外出張、別居中などで、前夫の子どもを妊娠する可能性がないことが客観的に明らかな場合でなければいけません。
ですから、親子関係不存在調停が認められないようなケースでは、認知調停も認められないことになります。

参考:認知調停|裁判所 – Courts in Japan

離婚後300日以内に子どもが生まれた場合で、前夫が父親でない場合の対処法のまとめは、次の図のとおりです。

これらの手続をスムーズに進めるために弁護士に相談・依頼するのがおすすめです。

(3)現在の居場所や子どもの出生を前夫に知られたくない場合は、どうすればいい?

DVによる離婚で現在の居場所を知られたくない場合や、前夫に婚姻期間中の不貞行為による妊娠であると知られることを避けるために出生届を提出しないことがあります。しかし、その結果、子どもが無戸籍になってしまいます。

現在、無戸籍は大きな社会問題となっており、無戸籍の方であっても行政上のサービスを受けられるように様々な変更がなされています。
ですが、戸籍があれば当然に受けられる行政サービスについても、申告や調査などが必要になり、結局受けられるサービスを受けられていない方も多いです。
前夫に子供の出生や居場所を知られたくない場合であっても、必要な手続ができるような措置が設けられています。
法務局や弁護士会でも無戸籍の相談を受け付けていますので、出生届が出せない場合には相談窓口を利用してみてください。

参考:無戸籍でお困りの方へ |法務省
参考:弁護士会の「無戸籍」に関する相談窓口 |日本弁護士連合会

【まとめ】離婚後300日以内に子どもを出産した場合、原則として前夫の子どもと推定される

今回の記事のまとめは、次のとおりです。

  • 離婚後300日以内に生まれた子どもは、「嫡出推定」により、法律上は前夫の子どもと推定され、基本的には戸籍上は前夫を父として、前夫の戸籍に入る。
  • 離婚後、女性は原則として100日は再婚ができないが、離婚時に妊娠していなかったことなどを医師が証明できる場合には、離婚から100日以内であっても再婚ができる。
  • 離婚後に妊娠した場合で、それが医師により証明できる場合には、前夫を父としない出生届の提出ができる(母親が再婚していない場合に母親の戸籍に、母親が再婚している場合には再婚相手の戸籍に入る)。
  • 離婚前に妊娠した場合(または離婚後であっても医師による妊娠時期の証明ができない場合)に前夫との親子関係を否定したい場合には、次の方法がある(調停で合意ができなければ裁判手続による)。
    1. 嫡出否認の調停
    2. 親子関係不存在の調停
    3. 認知調停
      1.嫡出否認の調停は、前夫が子どもが生まれたことを知った時から1年以内に申立てる必要がある上、妻側から申立てることはできない。
      2.親子関係不存在の調停、3.認知調停は、妊娠した時期に前夫が受刑中であったなど、前夫の子を妊娠するはずがないという客観的な状況が必要である。
  • 離婚から300日以内に生まれた子どもの親権者は母親。離婚後の出産であっても、戸籍上の父である前夫に養育費を請求できる。
  • 離婚から300日経過後に生まれた子どもは「非嫡出子」となり、親権者は母親になる。

前夫が法律上の「父」の義務を果たさない(養育費を支払わない等)場合や、前夫を法律上(戸籍上)の「父」としたくない場合は、離婚問題を取り扱っている弁護士にご相談ください。

この記事の監修弁護士
弁護士 林 頼信

慶應義塾大学卒。大手住宅設備機器メーカーの営業部門や法務部での勤務を経て司法試験合格。アディーレ法律事務所へ入所以来、不倫慰謝料事件、離婚事件を一貫して担当。ご相談者・ご依頼者に可能な限りわかりやすい説明を心掛けており、「身近な」法律事務所を実現すべく職務にまい進している。東京弁護士会所属。

※本記事の内容に関しては執筆時点の情報となります。

※¹:2024年7月時点。

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