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物損事故って何?人身事故との違いや事故後の適切な対応について徹底解説!

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「ケガ人はいないけど、カーブを曲がり切れずにガードレールにぶつけてしまった」
「ハンドル操作を誤って塀にぶつかってしまったけど、ケガはしなかった」

交通事故の中でも、上記のように、死傷者はおらず、物(自動車やガードレール、塀など)が壊れたり傷がついたりしただけの事故を、「物損事故」といいます。

人への被害はありませんが、物損事故も交通事故であることには変わりがありません。ここでは、物損事故について、人身事故との違いや事故後に必要な対応について詳しく解説します。

物損事故とは?

物損事故とは、交通事故により物(自動車など)が傷ついたり壊れたりして損害が発生したが、ケガ人はおらず人的な損害は発生していない交通事故のことをいいます。
対して、ケガ人が生じて人的な損害が発生した場合には、人身事故といいます。
人身事故のケースでは、道路交通法や自動車運転処罰法により、懲役や罰金などの刑事処分を受けることがあります。
通常の物損事故のケースでは、人身事故と異なり、刑事処分の対象とはなりません。

人身事故との違い

物損事故と人身事故との主な違いは、次のような点にあります。

物損事故人身事故
自賠責保険適用されない適用される
行政処分(免許の点数)加算されない加算される
刑事処分対象とならない対象となる
慰謝料の請求原則不可
損害賠償請求権の消滅時効(短期)被害者が損害および加害者を知った時から3年(民法724条1号)被害者が損害および加害者を知った時から5年(民法724条の2)
損害賠償請求権を受働債権とする相殺(※)悪意のある場合は可(民法509条)不可(民法509条2号)

※例えば自動車同士の事故で、双方に過失があって損害が発生した場合には、お互いに損害賠償を請求することができます。人身事故の場合には、「こちらの請求額がこれだけで、あなたの請求額がこれだけだから、あなたの請求額分を差し引いた(相殺した)額を請求する」ということはできませんが、物損事故の場合にはその相殺を行うことができる場合があります。

物損事故により請求できる賠償金の項目

物損事故の場合、加害者がいれば、加害者に対して物的損害に関わる賠償金の請求をすることができます。
加害者がいない単独事故の場合には、自分で損害を負担する必要がありますが、自身が加入している保険(対物保険や車両保険など)を利用して保険金を受領できる場合がありますので、加入している保険内容を確認しましょう。ただし、保険を利用すると等級のランクが下がり、次年度からの保険料が高くなることがありますので、保険を利用するかどうかは、保険料への影響も考慮して判断するとよいでしょう。

物損事故により請求できる基本的な賠償金の項目について解説します。

(1)車両の修理費

交通事故で車両が破損した場合、被害者は車の修理費を請求することができます。
ただし、修理費用は、原則としてその車両の時価額が限度となります。修理費用が車両の時価額を上回っている場合、車両の時価額の限度でしか支払いを受けることはできません。
また、部分塗装で足りるところを全体塗装する、板金修理で足りるところを部品総取り換えするなど、損害を回復するのに相当とされる程度を超える過剰な修理費用については支払われません。

(2)代車費用

事故により車両が走行不可能な状態となり、車両が使えないため、修理期間中や車購入までの間に、代車を使用した場合の費用を請求することができます。
代車の必要性がある場合に、相当期間に限って認められます。
相当期間は、修理の場合は1~2週間程度、買い替えの場合は概ね1ヶ月程度といわれています。
ただし、被害者側にも過失がある場合、加害者側の任意保険会社が代車費用を出し渋る傾向があるようです。

(3)車両の評価損

車両を修理して元の状態に戻したとしても、事故がなかった場合よりも、評価される価格は低くなってしまいます。
このように「事故車」は一般的に査定額が低くなり、市場価値が減少しますので、これを「評価損」として請求できる場合があります。
また、修理しても外観や機能に欠陥が残る場合がありますので、この場合も「評価損」を請求することができる場合があります。ただし、加害者側の任意保険会社は、簡単には評価損を認めず、支払いに応じないことがほとんどです。

(4)休車損

営業車(タクシーやバス)が破損した場合、相当な修理期間又は買い替え期間の間、事故がなければ生じたであろう収入についての損害を請求することができます。
損害額は、当該車両を使用した稼働状況、収入、代替車両の有無などの事情を考慮して算定されます。

(5)レッカー代

破損により自走が困難で、移送のためにレッカー車が必要となった場合には、レッカー代を請求することができる場合があります。

(6)家屋・設備の損害

物損事故で家屋や設備が破損した場合には、修理のための相当な工事費用が損害となります。
店舗に車が突っ込んで営業ができなくなった場合には、店舗の工事費用の他、相当な休業期間について営業損害が認められます。

(7)積荷その他の損害

トラックに積まれていた荷物が破損したり、車両内にあった価値のある物(パソコンやスマートフォンなど)が破損したり、身に着けていた衣服や眼鏡などの携行品が破損したりした場合には、その損害を請求することができます。
破損が修復可能であれば修復にかかった費用、修復不可能であれば事故当時の評価額が支払われることになります。ただし、交通事故により車両内にあった物が破損した、身に着けていた携行品が破損したといえるかどうかは、一見して明らかではない場合もありますので、加害者側の保険会社は、支払いに難色を示す場合が多いようです。

全損した場合は修理せずとも損害を請求可能

車両が破損した場合、基本的には実際の修理費用が損害となります。
しかし、修理することができない場合や経済的に修理する意味がない場合には、「全損」となり、修理をしなくてもその損害を請求することができます。
全損は二種類あり、種類ごとに損害額の考え方が違うので、一つ一つ説明します。

(1)物理的全損

交通事故により、車両が修理不可能な状態まで破損してしまうことを、「物理的全損」といいます。
損害は、事故時の車両の時価相当額と、車両を買い替えた場合の買替諸費用(登録費用、車庫証明費用、廃車費用など)のうち相当額となります。

(2)経済的全損

車両は修理可能な状態でも、修理費用が事故当時の車両の時価額を上回る場合は、「経済的全損」といいます。
例えば、修理費用は60万円である一方で、事故時の車両の時価額が40万円である場合を考えてみましょう。
この場合、事故車両と同種の車両を中古車市場にて40万円で購入することができますから、あえて60万円をかけて事故車両を修理することは、経済的合理性がありません。
そこで、経済的全損の場合には、修理をしたとしても、事故時の車両の時価額が損害の限度と考えられています。
修理をせずに買い替えた場合には、事故時の時価相当額と売却代金の差額、買替諸費用のうち相当額が損害となります。

分損とは

分損とは、全損以外の状態を指します。
つまり、事故車両が物理的に修理可能であり、事故時の車両の時価及び買替諸費用の合計よりも修理費の方が低い場合です。分損のケースでは、基本的に修理費の賠償が認められます。

物損事故が起きた場合の被害者側の対応

事故に遭った直後は誰しも動揺すると思いますが、落ち着いて正しい事故処理をするよう心がけましょう。
事故後の対応について、時系列に従って詳しく解説します。

(1)安全を確保して警察へ連絡

物損事故があった場合、関連する車両の運転者(同乗者も含む)は、法律上、直ちに運転を停止し、道路に生じている危険を防止するなどの必要な措置をとる必要がありあます(道路交通法72条1項前段)。これを危険防止等措置義務といいます。
また、警察官に対して、直ちに、起こしてしまった交通事故の概要について報告しなければなりません(道路交通法72条第1項後段)。これを警察官への報告義務といいます。
したがって、直ちに安全な場所に車を停止して、ケガの有無を確認します。事故によって道路に積荷が散乱するなどしていたら、片づける必要があります。片づけられない場合には、発煙筒や三角表示板などで周囲に危険を知らせます。
このような二次的な交通事故の発生を防ぐ措置を講じたら、直ちに警察に連絡し、交通事故について説明します。

もし、上記の義務を怠った場合には、以下の罰則に処される可能性があります。

1.危険防止等措置義務違反1年以下の懲役又は10万円以下の罰金
(道路交通法117条の5第1号)
2.警察官への報告義務違反3ヶ月以下の懲役又は5万円以下の罰金
(道路交通法119条1項第10号)

※1と2の行為が両方認められる場合、重い方の1の刑罰によります。

(2)相手方の連絡先を聞く

相手方の連絡先を必ず控えるようにしましょう。
運転免許証を保有・持参しているはずですから、表面と裏面を写真に撮らせてもらうとよいでしょう。
保険の手続きや相手方の保険会社との示談交渉などに必要になります。

(3)保険会社に連絡

自身が契約している保険会社にも、できるだけ早く連絡し、事故に遭ったことを報告します。
一般的には、契約上、事故発生から60日以内に連絡が必要とされていることが多いようです。
交通事故は、当事者双方に過失があるケースは数多くあります。
双方に過失がある場合、過失割合が低い方を被害者、高い方を加害者といいます。
当事者双方に過失があり、加害者にも損害が発生している場合には、被害者であっても、加害者に発生した損害の過失割合分について賠償する責任があります。そうなると、被害者であっても自分の保険を利用する必要性があるかもしれませんので、事故後できるだけ早く連絡しておくようにします。

(4)各種資料を用意

被害者の過失がない物損事故の場合は、被害者本人が加害者加入の任意保険会社と話し合って対応していきます。
通常は、任意保険会社が必要な書類を集めたり、必要な情報を修理業者から聞いたり、事故車の破損の程度の調査を行ったりしますので、被害者は事故車を修理業者に預けたら、それを保険会社に連絡するようにします。
主に必要な書類は、物件事故報告書、車両の修理見積書、買替車両の購入見積書などですが、損害の内容によって異なってきます。レッカー費用などの損害が発生していえる場合には、保険会社に忘れずに伝えて、領収書を提出するようにしましょう。

(5)示談交渉

加害者の保険会社と話し合って、損害項目・損害額・過失割合などについて交渉して和解を目指すことを、示談交渉といいます。
話し合いの結果、損害や過失割合が確定したら示談書を作成します。
その後、加害者の保険会社から示談金が支払われるか、加害者本人から示談金が支払われます。話し合っても過失割合や損害額に齟齬があり、交渉がまとまらない場合には、裁判所の手続き(調停や訴訟)を利用して解決を図ることもあります。

人身事故を物損事故(物件事故)として扱われてしまったときの被害者側の損失とは

交通事故の発生直後、現場に到着した警察官は、交通事故を確認・調査して記録に残します。
警察官が物損事故なのか人身事故なのかを判断するために、警察官から「ケガや痛みはありますか?」と聞かれることもあるかもしれません。また、加害者は人身事故となれば刑事処分や行政処分を受ける可能性がありますから、「物損事故としてくれないか、ケガをしていたらしっかり別途保障する」などと頼んでくるかもしれません。

大事にしたくない、加害者も悪い人ではなさそうだからかわいそうだ、と思われるかもしれませんが、ケガや痛みがある場合には、冷静に警察官にその旨を伝え、人身事故として処理してもらうようにしましょう。

人身事故と物損事故では、賠償される損害の内容が大きく異なりますので、内実が人身事故であるにもかかわらず、物損事故として扱われてしまうと、被害者は多大な不利益を被ることになってしまいます。

(1)正確な過失割合がわからない

停車中の車に加害車両がぶつかる追突事故など、事故状況や過失割合について互いに争いが生じないケースもありますが、過失割合について争いが生じるケースも多くあります。
通常、過失割合について争いが生じた場合には、人身事故の際に作成される実況見分調書を証拠に、相手方の過失割合を主張していきます。
実況見分調書は、事故直後に警察官が事故状況の詳細を確認・調査して作成する書類なので、過失割合を判断する重要な証拠となるのです。
しかし、物損事故ではこの実況見分調書が作成されず、簡易な物件事故報告書が作成されるだけです。
一般的にこの物件事故報告書では、相手方の過失割合を証明する力が弱いとされていますので、過失割合に争いが生じた場合、被害者の主張が認められづらくなります。

(2)賠償金が少なくなる

ケガが軽微である場合、警察には物損事故であると報告し、保険会社には人身事故であると報告するケースも中にはあるようです。
しかし、保険会社が人身事故として治療費の支払いなどに応じてくれればよいですが、本来人身事故であるのに、警察が物損事故と把握しているのは事実とは異なり不自然です。
保険会社が、物損事故だから、という理由で治療費の支払いを拒否する可能性もゼロではありません。

物損事故で賠償されるのは、基本的に物に生じた損害だけです。一方、人身事故では、人的な損害(治療費、入通院慰謝料、休業損害、後遺障害慰謝料、逸失利益など)も賠償の対象になりますので、一般的に賠償金は物損事故と比べて高額になります。

物損事故を人身事故へ切り替えるには

交通事故によるケガは、事故直後ではなく、1~3日して痛みやしびれなどの症状が現れることがあります。
ですので、「事故直後はケガや痛みに気が付かなかったので物損事故としたけど、その後痛みを感じるようになった」というようなケースも少なくありません。
このような場合にはどうすればよいのでしょうか。

しっかりと交通事故の損害を賠償してもらうために、警察に対して、物損事故から人身事故へと切り替えてもらいたいと伝えるようにしましょう。
ここでは、切り替えるための手順を説明します。

(1)病院で診断書をもらう

痛みなどの症状があるのですから、まずは治療が必要です。
また、人身事故に切り替えるためには、交通事故によりケガをしたことを、医師に判断してもらう必要があります。
自分の症状に適した病院・科を受診し(むち打ち症状であれば整形外科、頭痛であれば脳神経外科・神経内科など)、診察を受け、ケガについての診断書を発行してもらいましょう。
診察の際には、事故日、事故の内容、いつから痛むか、どこが痛むかなどを説明するようにします。

加害者側の保険会社にも、事前に病院に行く旨を伝えて、人身事故として対応してもらいたい旨を伝えておきます。
ただし、事故から1週間以上経過して病院を受診したような場合、保険会社は「交通事故によりケガを負った」とは認められないため、交通事故とケガの因果関係はない(交通事故とケガは無関係である)として、治療費などの支払いに応じない可能性があります。
痛みやしびれを感じたら、仕事などで忙しいかもしれませんが、時間を取ってすぐに病院を受診するようにしましょう。どうしてもすぐに病院に行けない場合には、自己治療(市販の湿布や薬で痛みを抑えるなど)もケガの証拠となることがありますので、購入した薬などの領収書を保管しておくようにしましょう。

(2)事故現場を管轄している警察署に伝える

診断書が発行されたら、警察署に対しても、人身事故として対応してもらいたいと伝えます。
警察官も忙しく、突然警察署を訪ねても対応してくれる人がいるとは限りません。事前に電話連絡をして、必要な書類や窓口・担当者を確認し、訪れる日時について約束をするとよいでしょう。
物損事故から人身事故への切り替えはいつまでにしなければならないのか、という期限は法律上存在しません。
しかし、何週間も何ヶ月も経ってから切り替えを希望しても、「本当にケガをしたのか」「交通事故と無関係のケガではないか」などと疑われて、警察が切り替えに応じないことがあります。
そのような事態を避けるためにも、痛みなどの症状が現れたら、すぐに病院を受診して診断書を入手し、警察署に伝えるようにしましょう。

(3)実況見分や事情聴取などがおこなわれる

その後、警察は実況見分や当事者に対する事情聴取などを行います。
実況見分は、当事者本人が警察官と事故現場を訪れて行います。
警察官に対しては、記憶の通りに、正確に事故の内容を伝えるようにしましょう。

【まとめ】物損事故の相談は、弁護士事務所へ

物損事故について、人身事故との違いや事故後に必要な対応について、人身事故への切り替え方法などを説明しました。
物損事故で加害者側の保険会社と交渉しているけど話し合いが進まないとお困りの方や、人身事故へ切り替えをお悩みの方は、弁護士事務所へご相談ください。
特に人身事故への切り替えは、事故後スピード感のある対応が必要になりますので、なるべく早い段階で相談するようにしましょう。

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