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自己破産で財産隠しは絶対NG!詐欺破産罪について弁護士が解説

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リーガライフラボ

※アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。

「自己破産で財産を処分されるのは困るな……。財産を隠したらどうなるんだろう?」

自己破産の手続をする人が絶対にやってはいけないことが、財産を隠すことです。

自己破産の手続において財産隠しをしてしまうと、手続をしても負債の支払義務が残ってしまう可能性があるばかりではありません。

「詐欺破産罪」という、犯罪が成立してしまうリスクもあるのです。

この記事では、

  • 詐欺破産罪とは何か
  • 財産隠しはなぜ発覚するのか
  • 財産隠しをすると、自己破産の手続をしても負債が残ってしまうのか

について弁護士が解説します。

この記事の監修弁護士
弁護士 谷崎 翔

早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。

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詐欺破産罪とは?

詐欺破産罪は、自己破産の手続において、債権者を害する意図で次の行為をしたときに成立します(破産法265条1項各号)。

  • 債務者の財産を隠匿し、又は損壊する行為
  • 債務者の財産の譲渡又は債務の負担を仮装する行為
  • 債務者の財産の現状を改変して、その価格を減損する行為
  • 債務者の財産を債権者の不利益に処分し、又は債権者に不利益な債務を債務者が負担する行為

詐欺破産罪の刑罰は、次のとおりです(破産法265条1項本文)。

  • 10年以下の懲役 もしくは
  • 1000万円以下の罰金

懲役と罰金が両方とも下される可能性もあります。
自己破産は、一定の財産を原則すべて手放す代わりに、負債の支払を免除してもらう(免責許可決定)手続です(※税金など一定の支払義務は、免責許可決定が出ても残ります)。

自己破産の手続において手放すこととなった財産は、債権者への配当などに充てられます。そして、免責許可決定が出れば、債権者は配当が得られなかった分の債権の回収を諦めなければならなくなります。
もしも財産隠しがあれば、債権者が配当によって受け取ることのできる金額はさらに減ってしまいます。

そのため、 財産隠しは債権者の利益や自己破産の手続の公正さを損なう行為として、詐欺破産罪によって規制されるのです。

もっとも、自己破産の手続においても、 生活に必要な財産など、一定の財産は「自由財産」として手元に残すことができます

どのようなものを自由財産として手元に残せるのかについて、詳しくはこちらをご覧ください。

自己破産すると失うものって何?5つの残せるものについても解説

財産隠しはバレる可能性が高い

財産隠しをするとき、人はバレないと思い込むものです。しかし、どんなに巧妙に隠したつもりであっても、発覚する可能性が高いです。

自己破産手続では、自己破産手続を依頼した弁護士(申立代理人)や、裁判所から選任された弁護士(破産管財人※)が預金口座の入出金記録や源泉徴収票、確定申告書、課税証明書などをくまなくチェックします。

※破産管財人とは、裁判所から選任される弁護士です。破産管財人は、債務者が負債を抱えるに至った経緯や財産についての調査や、債権者への配当などの業務を行います。

その際、もし不審な点が見つかれば、さらに徹底した調査を行います。

うっかり伝え忘れていたにとどまる場合は、直ちに詐欺破産罪で処罰されるわけではありません。
しかし、 財産隠しは発覚する可能性が高いので、 財産の在処をありのままに弁護士に伝えましょう

破産管財人がどのような財産調査を行うのかについて、詳しくはこちらをご覧ください。

自己破産するならタンス預金の額も正直に申告!財産隠しは絶対NG

財産隠しをすると、自己破産の手続をしても負債が残ってしまうリスク

詐欺破産罪で実際に逮捕・起訴されるのは、悪質なケースに限られると考えられます。

もっとも、 詐欺破産罪以外にも、財産隠しへのペナルティーはあります
それは、「免責不許可」となり、支払義務が残ってしまうリスクです。

借金が膨らんだ経緯に一定の問題点があったり、債務者が自己破産の手続において不誠実な行動をとった場合など、一定の場合が、「免責不許可事由」として定められています(破産法252条1項各号)。

免責不許可事由があると、免責許可決定が出ない可能性があります。

そして、 一定の財産隠しも、免責不許可事由とされています(破産法252条1項1号)。

そのため、財産隠しをすると、せっかく費用をかけて自己破産の手続をしても、免責不許可となって支払義務が丸々残ってしまうおそれがあるのです。

なお、免責不許可事由があっても、裁判所が「裁量免責」と言って免責許可決定を出してくれることもあります(破産法252条2項)。もっとも、 財産隠しは免責不許可事由の中でも悪質性が高いので、 裁量免責となる可能性は決して高くありません

免責不許可事由について詳しくはこちらをご覧ください。

また、その取引の効果を、破算管財人から「否認」されることもあります。
たとえば 自分の財産を誰かに無償であげた(贈与)場合、破産管財人によって、その 贈与が最初からなかったものとして扱われます。相手に迷惑をかけることにもなります(※)ので、借金の返済に困窮した後で、専門家などにも相談せず 独自の判断で財産を処分するのはおやめください

※相手が受け取ったものを破産管財人に渡さなければならない場合があるだけでなく、場合によっては、相手にも詐欺破産罪が成立する可能性があります(破産法265条2項)。

ほかに、 自己破産を申立てる前に財産隠しが発覚すると、 弁護士(申立代理人)から辞任されてしまう可能性が高いです。財産がどこにあるかを思い出したら、その都度弁護士に伝えましょう。

【まとめ】自己破産の手続で財産隠しをすると、詐欺破産罪が成立するおそれが!

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 自己破産の手続において財産隠しをすると、詐欺破産罪が成立するおそれがある。
  • 自己破産の手続においては、基本的に裁判所から選任された「破産管財人」という弁護士が財産について詳細に調査するため、財産隠しは発覚する可能性が高い。
  • 一定の財産隠しは「免責不許可事由」にあたり、自己破産の手続をしても負債の支払義務が残ってしまう(免責不許可)の可能性がある。
  • 財産隠しは絶対にしてはならない

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