「早く離婚したかったので、さっさと離婚したけれど、落ち着いて考えると慰謝料を請求すべきだった!離婚後でも不倫の慰謝料は請求できるの?」
離婚後であっても、基本的には元配偶者に対して不倫の慰謝料を請求することができる可能性があります。
この記事では、離婚後の慰謝料請求ができるケースとできないケースについて解説します。離婚後に慰謝料請求を検討されている方、ぜひ参考にしてください。
この記事を読んでわかること
- 離婚後に慰謝料が請求できる場合とできない場合
- 離婚後の慰謝料請求ができる期間(時効)
- 離婚後の養育費請求

ここを押さえればOK!
ただし、特に次の4つのケースにあたる場合には、離婚後に慰謝料請求しても慰謝料請求が認められる可能性が低いといえるでしょう。
離婚協議書に「清算条項」がある場合:
清算条項とはお互いに「離婚協議書に定めるもののほかに何ら請求されるもの・請求するものがないことを確認する」との約束のことです。そのため、原則離婚協議書に定めたもの以外の請求はできなくなります。ただし、離婚前に不倫を知らなかった場合には離婚後でも慰謝料請求ができる可能性があります。
不倫の時点で夫婦関係が破綻していた場合:
不倫が夫婦関係の破綻を直接引き起こしたとはみなされないため、不倫を理由に慰謝料を請求することができないとされています。
不倫の証拠がない場合:
不倫を否定されると慰謝料請求は難しくなります。
慰謝料請求の時効を過ぎた場合:
不倫慰謝料の時効は不倫の事実を知った日から3年、離婚慰謝料の時効は離婚した日から3年です。
離婚時には、配偶者への嫌悪感などからとにかく離婚を急いだという方は少なくありません。ですが、離婚後少し気持ちが落ち着いた頃には、慰謝料などの請求も検討してみてもよいかもしれません。
なぜなら、慰謝料はあなたが受けた精神的苦痛を慰謝するための正当なお金だからです。離婚後であっても、不倫の慰謝料の請求ができる可能性があります。一度検討してみてください。
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法政大学、及び学習院大学法科大学院卒。アディーレ法律事務所では、家事事件部にて、不貞の慰謝料請求、離婚、貞操権侵害その他の男女トラブルを一貫して担当。その後、慰謝料請求部門の統括者として広く男女問題に携わっており、日々ご依頼者様のお気持ちに寄り添えるよう心掛けている。第一東京弁護士会所属。
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離婚後に不倫の慰謝料請求はできる?
離婚後であっても元配偶者に対して慰謝料請求をすることができます。
しかし、次のような場合には、不倫の慰謝料請求ができない可能性があります。ここでは、不倫の慰謝料請求ができなくなってしまう主なケース4つについて紹介します。
(1)離婚協議書に「清算条項」がある
離婚に際して何も取り決めておかなかったと、後悔してはいませんか?
しかし、内容によっては、何も取り決めなくてよかったかもしれません。
離婚に際し、離婚協議書を作成し、その離婚協議書に「清算条項」があると、原則離婚後に元配偶者に対し不倫の慰謝料請求はできなくなります。
弁護士などの専門家に離婚協議書の作成を依頼すると、争いが蒸し返されないように「清算条項」も記載されていることが一般的です。
【清算条項の例】
甲と乙は、本書に定める以外に何らの債権債務のないことを相互に確認する。
離婚時に作成した書面に清算条項がある場合には、「書面で約束したこと以外に何ら請求されるもの・請求するものがないこと」を確認をしたことになります。つまり、書面の中で慰謝料について記載していないと、原則として元配偶者に対し慰謝料を請求できなくなるのです。
ただ、不倫を元配偶者に隠されていて、離婚前に不倫を一切知らなかった場合には、「清算条項」があっても慰謝料請求できる可能性があります。
「清算条項」についてくわしく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
(2)不倫の時点で夫婦関係が破綻していた
元配偶者の不倫が始まった時点で、夫婦関係がすでに破綻していた場合、慰謝料請求はできません。法律の世界では「婚姻関係の破綻」といいます。
なぜなら、不倫が始まった時点で、すでに夫婦仲が悪く、婚姻関係が破綻していた場合には、不倫によって夫婦仲が壊されたとはいえないからです。そのため、不倫の慰謝料もできません。
ちょうど元夫の不倫が始まったころ、夫の態度に我慢ができずよく言い争いをしてしまっていたような気がしますが、婚姻関係は破綻していたことになってしまうのでしょうか。
夫婦間の言い争いは、むしろない方が不自然です。同居して夫婦として生活していたのであれば、婚姻関係が破綻していたと評価されることはないでしょう。
しかし、元配偶者の不倫が始まった時点で、すでに離婚の話し合いをしていた場合、婚姻関係は破綻していたと評価されてしまう可能性があります。
婚姻関係の破綻について詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
(3)不倫の証拠がない
不倫の証拠がない場合、不倫の慰謝料請求をしても慰謝料の支払いを拒まれてしまう可能性があります。
特に、離婚後であれば不倫の証拠は集めにくく、元配偶者も「不倫の証拠なんてないはずだ」と高を括り、不倫を否定してくる可能性があります。不倫を否定されてしまうと、不倫の証拠がない限り、不倫の慰謝料は難しいといえるでしょう。
例えば、不倫の証拠としては、次のようなものが考えられます。
【不倫の証拠の例】
- 肉体関係があることを示す写真や動画
- 不倫をしたことを認める音声
- ラブホテルに泊まったことを示すクレカの明細やレシート
- 肉体関係を推測させる内容のメール・SNSなど
- 不倫を推測される記述のある手帳・日記・メモなど
- 不倫相手のところに頻繁に出入りをするGPSの記録
- ラブホテルのサービス券
- 不倫の調査報告書 など

不倫の証拠についてくわしく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
(4)時効期間が過ぎた
離婚後に時効期間が過ぎると、慰謝料請求をしても、慰謝料を払ってもらえない可能性があります。
時効が過ぎても慰謝料請求ができないわけではありませんが、「時効」を理由に慰謝料請求を拒まれてしまうと、調停や裁判をしても慰謝料請求することはできません。
不倫の慰謝料請求の時効は、慰謝料の種類によって、カウントが始まる時期(起算点)が違ってきます。それぞれ見ていきましょう。
(4-1)不倫を知って受けた精神的ショックによる慰謝料
不倫を知って精神的ショックを受けた場合、慰謝料を請求することができます。
この慰謝料の時効は、不倫があったことを知ったときからカウントされ、3年で時効が完成します(不倫相手に対する慰謝料請求の場合、不倫と不倫相手を知った時から3年です。)

なお、不倫相手に対する慰謝料請求で不倫相手を特定できない場合、不倫から20年が経過すると、慰謝料を請求する権利は時効が完成します(*2020年3月31日までに20年が経過している場合は,改正前の民法が適用され,除斥期間の経過により慰謝料は請求できません)。
(4-2)不倫で離婚を余儀なくされたことに対する慰謝料
不倫がなければ離婚をしなくても済んだのに、不倫をされたことで離婚を余儀なくされた場合、慰謝料を請求することができます。
この慰謝料の時効は、夫婦が離婚したときからカウントされ、3年で時効が完成します。

この慰謝料は不倫相手に請求することは原則としてできません。特別の事情がない限り、請求する相手は不倫をした元配偶者に限られます。

離婚後であっても養育費請求ができる!

離婚後子どもを育てている方は、養育費の請求も検討しておきましょう。
しかし、離婚時に養育費の取り決めをしていないと、過去にさかのぼって養育費を請求することは基本的にできません。そのため、離婚後に養育費を請求した場合、あくまでも受けとれるのは「請求した時点からの養育費」になります(※)。
離婚を急ぐあまり、離婚時に何も取り決めることができなかった方は少なくありません。
慰謝料や養育費のほかにも、重要なことを検討し忘れている可能性もあります。離婚後の慰謝料や養育費の請求は、弁護士へご相談ください。
※民法改正により、法定養育費が定められました。離婚の際に夫婦が養育費の取り決めをしていなくても、離婚後、離婚時から法務省令で定められた一定の法定養育費の支払いを請求することができます。この制度は、遅くとも2026年5月までに始まる予定です。
【まとめ】離婚後であっても、不倫の慰謝料が請求できる可能性がある!
離婚後でも不倫の慰謝料請求はできますが、ただし、次のケースでは慰謝料請求ができない可能性があります。
- 清算条項がある場合
- 離婚協議書に「清算条項」があると、原則として慰謝料請求ができない。ただし、離婚前に不倫を知らなかった場合は請求可能性あり。
- 夫婦関係が破綻していた場合
- 不倫が始まった時点で夫婦関係が破綻していると慰謝料請求はできない。ただし、同居し夫婦生活をしていた場合は破綻していないと見なされる可能性が高い。
- 不倫の証拠がない場合
- 不倫の証拠がないと慰謝料請求が困難。
- 時効期間が過ぎた場合
- 不倫(不貞)慰謝料の時効は「不倫を知った時」から3年、「不倫から20年」で完成。
- 離婚慰謝料は「離婚した時」から3年。
離婚後であっても、不倫の慰謝料を諦める必要はありません。
今からでも遅くはありませんので、元配偶者の不倫が原因で離婚された方は、慰謝料の請求も検討してみてください。
アディーレ法律事務所では、不倫の慰謝料請求につき、相談料、着手金をいただかず、原則として成果があった場合のみ報酬をいただくという成功報酬制です。
原則として、この報酬は獲得した賠償金等からのお支払いとなりますので、あらかじめ弁護士費用をご用意いただく必要がありません。
また、当該事件につき、原則として、成果を超える弁護士費用の負担はないため費用倒れの心配がありません。(以上につき、2025年2月時点)
不倫の慰謝料請求でお悩みの方は、不倫の慰謝料請求を得意とするアディーレ法律事務所へご相談ください。
