お電話では土日祝日も休まず朝9時~夜10時まで(Webでは24時間対応)法律相談のご予約を受付けています。 万全な管理体制でプライバシーを厳守していますので、安心してお問い合わせください。

「赤い本」とは?後遺障害慰謝料の相場と計算方法を弁護士が徹底解説

作成日:更新日:
リーガライフラボ

※アディーレ法律事務所では様々な法律相談を承っておりますが、具体的な事情によってはご相談を承れない場合もございます。予め、ご了承ください。

交通事故の後遺障害などの慰謝料の相場や計算方法について調べていると、「赤い本」という本の名前を聞いたことがあるかもしれません。

「赤い本」とは、弁護士が交通事故の後遺障害などの慰謝料の相場や計算方法を調べるときに使う本のことをいいます。

交通事故による後遺障害などの慰謝料は、これまでの裁判の積み重ねにより一定の計算方法や相場があり、その相場や計算方法は「赤い本」などの本にまとめられています。

「赤い本」を見ることで、交通事故の後遺障害などの慰謝料の相場や計算方法を知ることができ、さらに、保険会社から提示された慰謝料額が果たして適正な金額なのかを確かめることが可能になります。

今回の記事では、次のことについて弁護士がくわしく解説します。

  • 交通事故慰謝料の計算に使う「赤い本」や「青い本」の違い
  • 交通事故慰謝料の3つの算定基準
  • 交通事故慰謝料の相場や計算方法(赤い本)
この記事の監修弁護士
弁護士 中西 博亮

岡山大学、及び岡山大学法科大学院卒。 アディーレ法律事務所では刑事事件、労働事件など様々な分野を担当した後、2020年より交通事故に従事。2023年からは交通部門の統括者として、被害に遭われた方々の立場に寄り添ったより良い解決方法を実現できるよう、日々職務に邁進している。東京弁護士会所属。

弁護士による交通事故のご相談は何度でも無料

費用倒れの不安を解消!「損はさせない保証」あり

ご相談・ご依頼は、安心の全国対応。国内65拠点以上(※1)

交通事故慰謝料の計算に使う「赤い本」とは

「赤い本」は、東京地方裁判所における交通事故の裁判実務に基づいて作成された本で、交通事故における慰謝料を含めた賠償額の相場や計算方法について記載されています。

具体的には、次のような賠償金の項目それぞれについて、相場や計算方法、参考となる裁判例が記載されています。

  • 交通事故によるケガの治療費などの積極損害
  • 休業損害や後遺障害による逸失利益などの消極損害
  • 車の修理費用など
  • 慰謝料など

「赤い本」は、本の表紙が赤いことから、実務上そのように呼ばれていますが、正式名称は『民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準』(上巻・下巻)(公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部発行)といいます。

「赤い本」は、あくまでも法曹関係者を対象とした本ではありますが、法曹関係者でなくても購入することができます。ただし、一般の書店にはおいていないので、発行主体に直接連絡して購入する必要があります。

地域によって「赤い本」以外にも参考本がある

弁護士が交通事故慰謝料の相場や計算する際に利用する本には、実は、「赤い本」に加えて、次の3つの本があります(表紙の色をとって次のように呼ばれています)。

  • 「青い本(青本)」=『交通事故損害額算定基準』(公益財団法人日弁連交通事故相談センター本部発行)
  • 「緑の本(緑本、緑のしおり)」=『交通事故損害賠償額算定のしおり』(大阪弁護士会交通事故委員会発行)
  • 「黄色い本(黄色本)」=『交通事故損害賠償算定基準』(日弁連交通事故相談センター愛知県支部発行)

それぞれ利用されるケースと違いについて説明します。

(1)「青い本(青本)」とは

「青い本」は、「赤い本」と同様に、交通事故における賠償金の相場や計算方法が記載されていますが、利用が想定される地域に違いがあります。

「赤い本」は、東京地方裁判所の裁判例を基準として作成されており、従来は主に関東地域で利用されていましたが、現在は全国でも利用されるようになっています。

一方、「青い本」は、全国で起こる交通事故を想定しており、東京・大阪・名古屋など各裁判所の裁判例を基準として作成されており、全国で利用されています。

(2)「緑の本(緑本)」とは

「緑の本」は、大阪地方裁判所の裁判例を基準として作成されており、主に大阪地方裁判所の管轄となる交通事故の紛争解決の際に利用されています。

(3)「黄色い本(黄本)」とは

「黄色い本」は、名古屋地方裁判所の裁判例を基準として作成されており、名古屋地方裁判所の管轄となる交通事故の紛争解決の際に利用されています。

大阪で発生した交通事故であれば「緑のしおり」、名古屋で発生した交通事故であれば「黄色い本」を必ず利用しなければならないということではありません。
大阪や名古屋の交通事故であっても、「赤い本」を基準に計算することもあります。
実際に、弁護士が賠償金を請求する際には、「赤い本」や「青い本」などを参考にし、個別具体的な事情も考慮しながら、請求額を決めることになります。

交通事故慰謝料の3つの算定基準とは

交通事故慰謝料の算定基準(慰謝料の相場や計算方法)には、「赤い本」や「青い本」に記載されている基準も含め、実は、3種類あるのをご存知でしょうか。

交通事故慰謝料の3つの算定基準は、次のとおりです。

慰謝料計算基準概要
自賠責の基準自賠責の基準は、自動車保有者が加入を義務付けられている「自賠責保険」で採用されている基準です。
自賠責の基準は被害者への最低限の補償を目的として設けられているので、基本的には、慰謝料の基準額は3つの計算基準のうち最も低くなります。
任意保険の基準任意保険の基準は、各保険会社が独自に設定している非公開の計算基準です。
加害者側の任意保険会社は、通常は任意保険基準をもとにして慰謝料を提示してきます。基準額は、自賠責の基準と同程度か、やや高い程度であることが多いです。
弁護士の基準
(裁判所の基準)
「赤い本」や「青い本」に記載されている基準になります。
弁護士の基準は、過去の裁判例をもとに設定された基準で、弁護士に示談交渉を依頼した場合や裁判をした場合などに使います。
弁護士の基準による慰謝料金額(目安)は基本的には3つの計算基準のうちで最も高額となります。

これまでの説明を前提に、3つの基準の慰謝料額を比べると、一般的に、次のようになります(※)。

※ただし、自賠責保険金額は、交通事故の70%未満の過失については減額対象にしませんので、過失が70%以上になってしまったなど過失割合が大きい場合には、自賠責の基準がもっとも高額となることもあります。

保険会社が提示する金額が一番良いと思われているかもしれません。しかし、保険会社が利用する自賠責の基準や任意保険の基準より、弁護士が示談交渉で使う弁護士の基準(赤い本)の方が高額となりやすい傾向にあります。

交通事故慰謝料の相場と計算方法(赤い本)

ここでは、交通事故の3つの慰謝料と赤い本に記載されている交通事故慰謝料の相場と計算方法(弁護士の基準)について解説します。

(1)交通事故の3つの慰謝料

交通事故によってケガをして被害を受けた場合、請求できる可能性のある慰謝料は3種類あります。

(2)交通事故慰謝料の相場と計算方法(赤い本)

交通事故の3つの慰謝料それぞれについて、赤い本に載っている交通事故の慰謝料の相場と計算方法(弁護士の基準)について紹介します。

入通院慰謝料(傷害慰謝料)

赤い本(弁護士の基準)では、入院と通院の期間によって定められた2種類の算出表(レントゲン撮影やMRI画像などによって客観的な異常が見られる場合は別表Ⅰ、見られない場合は別表Ⅱ)があり、その表を目安にして慰謝料額が計算されることになります。

一方、自賠責の基準では、1日4300円と決まっており(2020年4月1日以降に発生した交通事故。それ以前は1日4200円)、基本的な計算方法は、4300円×通院日数です(※)。

※通院日数は、被害者のケガの態様、実通院日数などの事情を考慮して計算します(通常、実通院日数×2と、総治療期間の少ない方で算定されます)。

例えば、実通院日数が70日(総治療期間が6ヶ月(180日))の場合で考えてみましょう。この場合、自賠責の基準であれば、4300円×140日(70日×2)=60万2000円となるのに対し、弁護士の基準であれば、116万円(別表Ⅰ)・89万円(別表Ⅱ)となり、自賠責の基準よりも弁護士の基準の方が高額となる傾向にあります。

具体的事情によっては、慰謝料額が算定された金額とは異なるケースもありますので、自分のケースの入通院慰謝料が具体的にいくらになるのかを知りたい方は、弁護士に相談することをお勧めします。

(3)後遺症慰謝料(後遺障害慰謝料)

赤い本(弁護士の基準)では、後遺障害等級に応じて後遺症慰謝料の相場が定められています。

後遺障害等級が重いほど後遺症慰謝料の額は高額になります。

ここで、赤い本に載っている慰謝料の相場(弁護士の基準)と自賠責の基準の慰謝料の相場について見てみましょう。

<コラム>「後遺症」と「後遺障害」の違いは?

日常生活ではどちらも同じような意味ですが、交通事故の損害賠償をする場合には、区別して用いられています。
「後遺症」は、事実として、症状固定日に残ってしまい、今後の改善を見込めない症状です。
一方、「後遺障害」は、自賠責保険に「永久残存し、就労能力に支障を生じる」ものとして後遺障害等級の認定を受けた後遺症です。
医師に後遺症が残存すると診断を受けたとしても、必ずしも、後遺障害の等級認定を得られるわけではありませんので、注意が必要です。

(4)死亡慰謝料

被害者の属性によって死亡慰謝料額の相場が決まっています。
「赤い本」に載っている弁護士の基準と自賠責の基準を比べると次のようになります。

自賠責の基準弁護士の基準
自賠責の基準では、被害者本人に対する死亡慰謝料として400万円、被害者の近親者に対しては、次の金額(相場)を目安に死亡慰謝料が支払われることになります。

・近親者が1人の場合:550万円
・近親者が2人の場合:650万円
・近親者が3人の場合:750万円

また、被害者に被扶養者がいる場合には、上記金額に200万円を加算して計算します。
弁護士の基準では、被害者本人と近親者に対する慰謝料を合わせて計算します。

弁護士の基準では、自賠責の基準と違い、近親者の人数ではなく、被害者本人が家族の中でどのような立場であったかで金額が変わります。

・一家の支柱(家族を経済的に支えている):2800万円
・母親や配偶者:2500万円
・その他の家族(子供など):2000万~2500万円
※ここでいう「近親者」とは、被害者の父母(養父母を含む)、配偶者と子(養子、認知した子、胎児を含む)をいいます。
※自賠責保険の支払基準改正により、2020年4月1日以降に発生した事故については、死亡した本人への慰謝料額は400万円に変更となりました(2020年3月31日以前に発生した事故については、従前のとおり、死亡した本人への慰謝料額は350万円のままとなります)。

【具体例1】被害者本人に妻と子2人いる場合
<自賠責の基準> 1350万円(400万円+750万円+200万円)
<弁護士の基準> 2800万円

【具体例2】被害者本人に夫と子1人がいる場合(父母はすでに死亡)
<自賠責の基準> 1250万円(400万円+650万円+200万円)
<弁護士の基準> 2500万円

これまで説明した通り、一般的に自賠責の基準よりも弁護士の基準(赤い本に記載されている基準)のほうが金額は高くなりやすくなります。そのため、慰謝料の増額を目指すためには弁護士の基準(赤い本に記載されている基準)を使うことをおすすめします。

弁護士の基準(赤い本)を基礎とした慰謝料を受け取るには

弁護士の基準(赤い本)を基礎とした慰謝料を受け取るには弁護士への依頼がおすすめです。

被害者本人が加害者側の保険会社と示談交渉すると、加害者側の保険会社は自賠責の基準や任意保険の基準による低い慰謝料額を提示してくるのが通常です。

これに対し、弁護士が被害者本人に代わって示談交渉を行う場合は、訴訟も辞さない態度で交渉し、最も高額な弁護士の基準よる提示を行いますので、弁護士の基準に近い金額での示談が期待できます。

被害者本人での示談交渉では、弁護士の基準(赤い本)での示談にはなかなか応じてくれないのが実情ですが、弁護士であれば、弁護士の基準もしくはそれに近い金額での示談に応じてくれることが多いといえるでしょう。

交通事故について弁護士に交渉を任せることで、示談交渉にかかる負担やストレスを軽減し、自分の生活を取り戻すことに集中する時間を確保することができるというメリットもあります。

【まとめ】「赤い本」とは、賠償額の相場や計算方法がわかる本

今回の記事のまとめは次のとおりです。

  • 「赤い本」は、東京地方裁判所における交通事故の裁判実務に基づいて作成された本で、交通事故における慰謝料を含めた賠償額の相場や計算方法について記載されている(弁護士基準)。
  • 「赤い本」以外にも地域によって「青本」「緑本」「黄色本」がある。
  • 慰謝料算定基準には「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準」の3つあり、一般的に、被害者にとって一番有利なのが「弁護士基準」。
    (例えば、後遺症慰謝料(後遺障害等級1級の場合)では、自賠責基準と弁護士基準で1650万円の差があるケースも)
  • 弁護士の基準(赤い本)を基礎とした慰謝料を受け取るには弁護士への依頼がおすすめ。

交通事故の賠償金については、保険会社に任せておけば大丈夫と思われているかもしれません。

しかし、保険会社が利用する自賠責基準や任意保険基準では、弁護士基準よりも安い金額となってしまうケースが多くあります。

弁護士に相談し、保険会社が提示した金額よりも増額した解決事例もありますので、保険会社に示談交渉を任せてしまうのではなく、一度弁護士への相談をおすすめします。

アディーレ法律事務所にご相談・ご依頼いただいた場合、原則として手出しする弁護士費用はありません。

すなわち、弁護士費用特約が利用できない方の場合、相談料0円、着手金0円、報酬は、獲得できた賠償金からいただくという完全成功報酬制です(途中解約の場合など一部例外はあります)。

また、弁護士費用特約を利用する方の場合、基本的に保険会社から弁護士費用が支払われますので、やはりご相談者様・ご依頼者様に手出しいただく弁護士費用は原則ありません。

※なお、法律相談は1名につき10万円程度、その他の弁護士費用は300万円を上限にするケースが多いです。実際のケースでは、弁護士費用は、この上限内に収まることが多いため、ご相談者様、ご依頼者様は実質無料で弁護士に相談・依頼できることが多いです。弁護士費用が、この上限額を超えた場合の取り扱いについては、各法律事務所へご確認ください。

(以上につき、2022年12月時点)

交通事故の被害にあって賠償金請求のことでお悩みの場合は、交通事故の賠償金請求を得意とするアディーレ法律事務所にご相談ください。

交通事故に関するメリット満載

弁護士による交通事故のご相談は何度でも無料

朝9時〜夜10時
土日祝OK
まずは電話で無料相談 0120-250-742
メールでお問い合わせ
ご来所不要

お電話やオンラインでの法律相談を実施しています