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年俸制でも残業代は支払われる?計算方法や例外を弁護士が解説

作成日:
s.miyagaki

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

「年俸制だと、どんなに長時間労働しても残業代は支払われないの?」

そんな疑問を持つ方も多いはずです。

年俸制は、年間の給与額が一括で決定される給与体系ですが、これが残業代の支払いにどのように影響するのでしょうか。

実は、年俸制であっても労働基準法に基づき、残業代は適切に支払われるべきです。

しかし、固定残業制や管理監督者といった例外も存在し、これらが混乱を招く原因となっている場合があります。

この記事が、年俸制と残業代に関する疑問を解消するために役立てば幸いです。

この記事を読んでわかること

  • 年俸制とは
  • 年俸制における残業代の計算方法
  • 年俸制で残業代が発生しない場合

ここを押さえればOK!

年俸制とは、年間の給与額を一括で決定し、それを12ヵ月に分割して支払う給与体系です。年俸制のメリットは、年間の収入が確定しているため、月々の収入が安定し、生活設計が立てやすい点です。
企業側にとっても、業績や成果に応じた賃金報酬を設定しやすく、長期的な経営計画が立てやすいという利点があります。
年俸制であっても、労働基準法に基づく残業代の支払義務は免除されません。

法定労働時間を超える労働には残業代が支払われるべきであり、企業がこれを怠る場合、労働者は適切な対応残業代の支払いを求める権利があります。労働者は自分の労働時間や業務内容に見合った賃金報酬が得られているかを常に確認することが重要です。
年俸制で残業代が支払われない例外として、固定残業代制(みなし残業代制)や管理監督者があります。
固定残業制では、一定時間分の残業代があらかじめ給与に含まれていますが、それでも超過分の残業代は別途支払われる必要があります。
管理監督者については、労働基準法に基づき、深夜労働の割増分を除き、残業代の支払いを要しないとされますが、管理監督者に該当するのか否かの判断は、実際の職務内容や権限などを考慮して厳格に判断されます。
そのため、管理職だからといって必ずしも法律上の管理監督者に該当し、残業代を請求できないとは限りません。

なお、残業代に関するトラブルが生じた際には、労働時間の記録、契約書や就業規則の確認、労働基準監督署への相談、専門家に助言を求めることが有効です。

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この記事の監修弁護士
弁護士 山内 涼太

東京大学法学部・東京大学法科大学院卒。アディーレ入所後は未払残業代請求事件をメインに担当し、2022年より労働部門の統括者。「自身も同じ労働者だからこそ、労働者の方々に寄り添える」との信念のもと、より多くのご依頼者様を、より良い解決へ導くことを目標に尽力している。東京弁護士会所属。

年俸制とは?

年俸制とは、年間の給与額を一括で決定し、それを12ヵ月に分割して毎月支払う給与体系のことです。

もしあなたが年俸制で働いている場合、年間の収入があらかじめ確定しているため、月々の収入が安定し、生活設計が立てやすいというメリットがあります。

年俸制は、特に管理職や専門職、高度なスキルを持つ職種に適用されることが多いようです。

また、年俸制の導入背景には、企業が業績や成果に応じた賃金報酬を設定しやすくするためや、長期的な経営計画が立てやすくなるといった理由もあります。

しかし、年俸制には注意すべき点もあります。

たとえば、月々の給与が固定されているため、繁忙期や閑散期に関わらず同じ給与が支払われます。これにより、長時間労働を強いられる場合でも、追加の賃金報酬が得られないことがあるようです。特に残業が多い職場では、この点が大きなデメリットとなることがあります。

とはいえ、年俸制が導入されている場合でも、労働基準法に基づく残業代の支払義務は免除されません。

つまり、年俸制であっても、法定労働時間を超える労働には残業代が支払われるべきとされているのが原則です。

企業がこれを怠る場合、労働者としては残業代の支払い適切な対応を求める権利があります。

そのため、労働者としては、自分の労働時間や業務内容に見合った賃金報酬が得られているかを常に確認することが重要です。

年俸制でも残業代は支払われる?

前述のとおり、年俸制で働いている場合でも、残業代は支払われるべきです。

労働基準法では、労働時間に対して適正に賃金が支払われること報酬を保障しており、年俸制だからといって残業代の支払い義務が免除されるわけではありません。

年俸制は年間の給与額を一括で決定する給与体系ですが、これは基本給や賞与を含む総額であり、労働時間に応じた追加の給与報酬、すなわち残業代は別途支払われる必要があります。

具体的には、法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超える労働に対しては、時間外労働として割増賃金が支払われるべきです。

これらの割増賃金は、年俸に含まれているわけではなく、別途計算されるべきものです。

年俸制の場合は残業代が支払われないという誤解が生じることがありますが、これは法的に誤った認識です。

企業が年俸制を理由に残業代を支払わない場合、労働者は残業代の支払い適切な対応を求める権利があります。まずは、労働時間の記録をしっかりと行い、実際の労働時間と給与明細を照らし合わせて確認することが重要です。

また、年俸制の契約書や就業規則において、残業代の扱いがどのように記載されているかを確認することも大切です。

もし不明確な点があれば、労働組合や労働基準監督署に相談するとよいでしょう。

年俸制の残業代の計算方法

まず、基礎時給を求めます。

基礎時給は、年俸額÷年間所定労働時間で求められます。

そして、割増賃金を求めます。

労働基準法に基づき、時間外労働、深夜労働、休日労働には割増賃金の支払いが必要とされています。

最低限度の割増率は以下のとおりです。

時間外労働:基礎時給の1.25倍(時間外労働が月60時間までの部分)

深夜労働(22時~翌5時):基礎時給の0.25倍

休日労働:基礎時給の1.35倍

具体例

たとえば、各種手当などを除く年俸が600万円で、年間の所定労働時間が2040時間の場合、1時間あたりの基礎時給および時間外労働の割増賃金は以下のように計算されます。

【基礎時給の計算式】

600万円÷2040時間=約2,941円

基礎時給が2,941円の場合、時間外労働の割増賃金は以下のとおりです。

【時間外労働の割増賃金の計算式】

2,941円×1.25=約3,676円

年俸制における残業代の例外

年俸制で働いている場合でも、基本的には残業代が支払われるべきですが、例外もあります。

以下のケースに該当する場合、残業代は発生しない可能性があります。

(1)固定残業代制(みなし残業代制)

固定残業代制とは、一定時間分の残業代をあらかじめ給与に含めて支払う制度です。

たとえば、月に20時間分の残業代が固定で支払われている場合、その時間内の残業については追加の支払いが行われません。

しかし、固定残業代が相当する残業時間を超えて残業をした場合には、超過分の残業代が別途支払われる必要があります。

労働契約書や就業規則などに、固定残業代制について明確に記載されているかどうか確認してみましょう。

基本給に固定残業代を含めて支払うとされる各種手当などに含まれる場合、基本給のうち残業代に相当する部分の金額が明確でその内訳が明確に示されていなければ、この固定残業代制は無効とされます。

その結果、全額が純然たる基本給として扱われ、残業代が一切支払われていないこととされるため、基本給全額分の基礎時給を前提として、その月の残業時間に応じて計算された残業代の支払いが必要とされます。

年俸のなかに固定残業代を含めて支払うことも可能であり、毎月の残業時間が固定残業代の相当する時間内に収まる場合、追加の残業代の支払いは行われません。

しかし、年俸のうち、いかなる部分が残業代として支払われるものであるのか明確でないと、上記のとおり、この固定残業代制は無効とされます。年俸全額分の基礎時給を前提として、その月の残業時間に応じて計算された残業代の支払いが必要とされます。

(2)管理監督者

労働基準法には、管理監督者に該当する労働者については、深夜労働の割増分を除き、残業代の支払いをする必要がないという例外があります。

会社から管理監督者だと言われている労働者のなかには、年俸制にて賃金の支払いを受けている方が比較的多くおられます。

ただし、管理監督者に該当するのか否かの判断は厳格になされており、単に役職名が付与されているだけでは管理監督者とは認められないことがあります(いわゆる「名ばかり管理職」)。その判断においては、実際の職務内容や権限、労働時間の裁量の有無、地位に相応しい待遇の有無などが考慮されます。

そのため、会社から「管理職であり管理監督者だから残業代は出ない」と言われたとしても、本当に管理監督者に該当し、残業代を請求できないとは限りません。

年俸制の残業代に関するトラブルとその対策

どのくらいの時間残業したのか、そして管理監督者に該当するかどうかについては、使用者と労働者の間で認識が異なってしまいがちな点といえます。

さらに、基礎時給がいくらなのかについても、争いが生じることがあるようです。

その場合、次の対策が有効かもしれません。

労働時間の記録: 自分の労働時間を正確に記録することが重要です。タイムカードや勤怠管理システムを利用し、実際の労働時間を証拠として残しておきましょう。

契約書や就業規則の確認: 労働契約書や就業規則において、残業代の計算方法や固定残業代の内訳が明確に記載されているか確認しましょう。不明確な点があれば、上司や人事部に質問することが大切です。

労働基準監督署への相談: 残業代が適切に支払われない場合は、労働基準監督署への相談を検討しましょう。場合によっては、会社に対する調査や是正勧告をしてくれることがあります。

専門家の助言: 労働問題に詳しい弁護士や労働組合に相談することも有効です。専門家の助言を受けることで、適切な対処法が見つかる可能性があります。

【まとめ】年俸制でも残業代は請求できる可能性あり!まずは証拠を集めておこう

年俸制で働いている場合でも、残業代は労働基準法に基づき適切に支払われるべきです。

そして、年俸制の仕組みや残業代の計算方法、固定残業制や管理監督者に関する例外について理解することは、労働者としての権利を守るために非常に重要です。

残業代が未払いとなるトラブルが発生した場合、自分の労働時間を正確に記録し、契約書や就業規則を確認することが第一歩です。

しかし、未払いとなっている残業代がいくらなのかわからない場合や、会社との交渉が難航する場合もあります。

もし、残業代の未払いが続く場合や、会社との交渉が難しいと感じた場合は、弁護士に相談し、専門的なサポートを受けることを検討してみてください。

弁護士の力を借りることで、より確実に自分の権利を守ることができるでしょう。

アディーレ法律事務所は、残業代請求に関し、相談料、着手金ともにいただかず、原則として成果があった場合のみ報酬をいただくという成功報酬制です。

そして、原則として、この報酬は獲得した金銭(例:残業代、示談金)からお支払いとなり、あらかじめ弁護士費用をご用意いただく必要はありません。

また、当該事件につき、原則として、成果を超える弁護士費用の負担はないため費用倒れの心配がありません。(※以上につき、2024年11月時点)

年俸制の残業代請求でお悩みの方は、残業代請求を得意とするアディーレ法律事務所へご相談ください。

この記事の監修弁護士
弁護士 山内 涼太

東京大学法学部・東京大学法科大学院卒。アディーレ入所後は未払残業代請求事件をメインに担当し、2022年より労働部門の統括者。「自身も同じ労働者だからこそ、労働者の方々に寄り添える」との信念のもと、より多くのご依頼者様を、より良い解決へ導くことを目標に尽力している。東京弁護士会所属。

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