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最短で退職するには?法的に問題ない最短即日退職の方法と注意点

作成日:
s.miyagaki

※この記事は、一般的な法律知識の理解を深めていただくためのものです。アディーレ法律事務所では、具体的なご事情によってはご相談を承れない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

「今すぐにでも会社を辞めたい…」

そんな思いを抱えていませんか?

退職を考える理由は人それぞれですが、法的トラブルなく最短で退職するためには、正しい知識と適切な手順が不可欠です。

本記事では、弁護士の視点から、法律上のルールである最短2週間での退職方法や即日退職(退職を申し出た日に退職する)の可能性、さらには退職時に注意すべきポイントまで、詳しく解説します。

あなたの円滑な退職と新たなキャリアのスタートをサポートする助けとなれば幸いです。

この記事を読んでわかること

  • 法律上の退職の法的最短期間は2週間
  • 即日退職の可能性
  • 退職時の流れ
  • 退職時に注意すること
  • 退職時に受け取るべき書類

ここを押さえればOK!

無期雇用契約の場合、法律上は、最短で、退職の申し出から2週間後に退職可能です。ただし、就業規則でより長い予告期間が必要とされる場合もあります。
有期雇用契約では原則として契約期間終了まで退職できませんが、例外として契約期間の初日から1年以上経過している場合や、雇用期間が5年を超えている場合、やむを得ない事由がある場合、就業規則で退職が認められている場合には、契約期間内でも退職できることがあります。

即日退職(退職を申し出た日に退職する)が可能なケースとして、会社との合意がありますが、即日退職はトラブルを避けるため慎重に判断する必要があります。
即日退職とまでは言わないとしても、最短退職するためには、退職の意思表示と上司への相談、退職届の作成と提出、退職日の決定と調整、業務引き継ぎの計画と実行、退職関連書類の確認と受け取りという手続きを計画的に行いましょう。

最短かつ円満な退職を目指すためには、計画的に行動し、引き止めにあうなど不安な点があれば退職代行サービスを利用することも検討するとよいでしょう。

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この記事の監修弁護士
弁護士 山内 涼太

東京大学法学部・東京大学法科大学院卒。アディーレ入所後は未払残業代請求事件をメインに担当し、2022年より労働部門の統括者。「自身も同じ労働者だからこそ、労働者の方々に寄り添える」との信念のもと、より多くのご依頼者様を、より良い解決へ導くことを目標に尽力している。東京弁護士会所属。

退職までの最短雇用期間は雇用契約によって異なる

法律上の退職までの最短期間は、雇用契約に期間の定めがない場合(無期雇用契約)と期間の定めがある場合(有期雇用契約)で異なります。

それぞれ説明します。

無期雇用契約|2週間で退職できる

無期雇用契約において、労働者は、いつでも退職を申し出る出ることができます。

そして、その申し出から2週間後(休日含む)に、退職することができます(民法627条1項)。

民法627条1項 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。

例えば、8月15日に退職を申し出た場合には、初日を参入せず、16日から2週間を数えますので、最短で8月29日に退職することができます。

もし、有給が10日程度残っていれば、退職届提出後すぐに有給休暇に入ることで、それ以降は出社せずに退職日を迎えることができます。

しかしこの方法は、会社との関係性を考慮し、可能な限り、事前に退職及び有休をまとめて取得することについて相談することが望ましいでしょう。

なお、就業規則で2週間以上前の退職の申し出が必要と定められているケースがあります。

例えば、「6ケ月前に申し出ること」等民法が規定する「2週間」をあまりに超過している場合は、そのような就業規則は法律の趣旨に反し無効だと考えられますが、1ケ月程度であれば有効とされる可能性が高いです。

そのため会社は就業規則が有効であることを前提に1か月間の在職を求めてくるかもしれません。しかし、そのような場合でも、民法の規定を挙げつつ、最短退職できるよう交渉してゆくのが良いでしょう。

有期雇用契約|原則期間の終わりまで退職できない

有期雇用契約の場合、原則として、その期間中に退職することはできません。

しかし、例外がいくつかありますので、例外のルールにより退職できないかを確認してみてください。

(1)例外1|契約期間の初日から1年以上経過している場合

契約期間の初日から1年以上が経過している場合は、一定の場合を除いていつでも退職できます(労働基準法137条)。

労働基準法137条 期間の定めのある労働契約(一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除き、その期間が一年を超えるものに限る。)を締結した労働者(第十四条第一項各号に規定する労働者を除く。)は、労働基準法の一部を改正する法律(平成十五年法律第百四号)附則第三条に規定する措置が講じられるまでの間、民法第六百二十八条の規定にかかわらず、当該労働契約の期間の初日から一年を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる。

(2)例外2|雇用期間が5年超又は雇用期間の終期が不確定の場合

雇用期間が5年を超えているか、又は雇用期間の終期が不確定である場合、5年を経過した後であれば、労働者は、2週間前に予告したうえで、いつでも退職することができます。

民法626条1項 雇用の期間が5年を超え、又はその終期が不確定であるときは、当事者の一方は、5年を経過した後、いつでも契約の解除をすることができる。

2項 前項の規定により契約の解除をしようとする者は、それが使用者であるときは3箇月前、労働者であるときは2週間前に、その予告をしなければならない。

(3)例外3|やむを得ない事由がある場合

有期雇用契約であっても、「やむを得ない事由」があるときには、すぐに退職できるとされています(民法628条)。

民法628条 当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。

やむを得ない事由は、個別具体的な事情を踏まえて判断されますが、「仕事が大変」「転職先が決まった」などという事情では、通常やむを得ない事由とはされません。

【やむを得ない事由の例】

  • 重い病気やケガ
  • 家族の介護
  • パワハラ
  • 賃金未払い など

ただし、やむを得ない事由が労働者の過失によって生じたときは、会社に対して損害賠償の責任を負いますので注意が必要です(民法628条後段)。

(4)例外4|労働条件が事実と異なる場合

有期雇用契約であっても、契約時に示された賃金や労働時間などの労働条件が事実と異なる場合には、即時に契約を解除することができます(労働基準法15条1項2項)。

(5)例外5|就業規則で退職が認められている場合

有期雇用契約であっても、就業規則などで「2週間前に退職の意を伝えることで退職することができる」などという定めがある場合があります。

そのような場合には、その通りに手続きを踏めば退職が可能です。

一度就業規則を確認してみましょう。

合意による即日退職

無期雇用契約では、退職するには、退職を申し入れてから2週間の期間が必要です。また、有期雇用契約では、原則として雇用期間満了まで退職することができません。

しかし会社と合意できれば、退職を申し出た日に退職する=即日退職が可能となります。

実務上は、働く気の無くなった労働者をいつまでも雇っておくメリットは会社側にはさほどありません。そこで、話し合いにより、会社が即日または所定の期間よりも短い期間で退職を認めてくれる場合は、少なくありません。

つまり、話し合いによる合意さえできれば、無期雇用契約の場合でも2週間待たずに退職できますし、有期雇用契約でも期間満了まで待たずに退職できるのです。

最短退職のための5ステップ

最短で退職するためには、以下の5つのステップを確実に実行することが重要です。

  • 退職の意思表示と上司への相談
  • 退職届の作成と提出
  • 退職日の決定と調整
  • 業務引き継ぎの計画と実行
  • 退職関連書類の確認と受け取り

これらのステップを順序立てて進めることで、法的にも問題なく、円滑な退職プロセスを実現できるでしょう。

以下、各ステップの詳細を説明します。

(1)退職の意思表示と上司への相談

退職プロセスの第一歩は、退職の意思表示と上司への相談です。この段階で適切に対応することで、その後のプロセスがスムーズに進みます。

具体的な手順:

  • 直属の上司に退職の意思を口頭で伝える
  • 可能であれば、人事部門にも同時期に伝える
  • 退職理由は簡潔に説明し、詳細を伝える必要はない

注意点:

  • 退職したい日の2週間前までに伝えることが重要
  • 感情的にならず、冷静に対応する
  • 上司の反応に関わらず、退職の意思を明確に伝える

例えば、次のように上司に伝えます。

「お時間よろしいでしょうか。実は一身上の都合により、退職を考えております。法律で定められた2週間後の○月○日付での退職を希望します。」

上司との良好な関係を維持しつつ、明確に意思を伝えることが重要です。

上司がすぐに人事に退職の意思を伝えないかもしれません。そのような場合に備えて、「退職届の書き方などを聞くために、人事にも退職の意思を伝えておきます」などと伝えると、角が立たずに人事に退職の意思を伝えることができるでしょう。

(2)退職届の作成と提出

退職の意思を伝えることは、口頭でも法律上は問題ありません。

しかし、「言った言わない」のトラブルを避けるために、通常退職届を提出します。

就業規則にも、退職の際には退職届の提出が必要とされることが多いです。退職届の書式が定められていることもあります。

提出先は、一般的には上司ですが、人事部に提出が必要なこともあるようです。

提出先がどこかわからない場合には、就業規則を確認したり、上司や人事部に問い合わせたりするとよいでしょう。

退職届を提出することで、会社は退職プロセスを正式に進めることになるでしょう。

退職届に記載すべき内容(例):

  • 宛名(会社名、代表者名)
  • 退職日
  • 退職理由(簡潔に)
  • 日付
  • 署名

作成のポイント:

  • 簡潔かつ明確な文面にする
  • 退職理由は「一身上の都合」など、簡潔に留める

例文:

「○○株式会社 代表取締役社長 ○○様

私儀

一身上の都合により、○年○月○日をもって退職致したく、ここに届け出ます。 在職中は大変お世話になり、ありがとうございました。

○年○月○日 ○○部 ○○ ○○ ㊞」

(3)退職日の決定と調整

退職日の決定と調整は、円滑な退職プロセスの鍵となります。

会社には退職したい日を明確に伝えたうえで、退職日を決定します。

退職できる日は、最短で退職を申し出た日から2週間後になります。

ただし、就業規則によりそれより遅くなる場合もありますので、退職日は会社側と齟齬のないようによく協議しましょう。

もし有給休暇を使って辞めたい場合は、その旨を会社に伝え、全ての有給休暇を使い切った日を退職日としてもらいましょう。

退職日決定のポイント:

  • 退職したい日を明確に伝える
  • 業務の引き継ぎ状況を考慮する
  • 会社側の要望も聞き入れる姿勢を示す

具体的な手順:

  • 希望退職日を提案する
  • 上司や人事部門と協議する
  • 必要に応じて調整し、最終的な退職日を決定する

注意点:

  • 有給休暇の消化計画も考慮に入れる
  • 繁忙期や重要プロジェクトの節目を避ける配慮も必要
  • 退職日が決まったら、書面で確認する

(4)業務引き継ぎの計画と実行

業務引き継ぎは、円滑な退職のために重要です。

計画的かつ丁寧な引き継ぎを行うことで、退職後のトラブルを防ぐことができます。

引き継ぎの手順:

  • 現在の業務内容を整理し、リスト化する
  • 引き継ぎ計画を作成し、上司の承認を得る
  • 必要な資料やマニュアルを準備する
  • 後任者や関係者に段階的に引き継ぐ
  • 最終確認を行い、不明点がないか確認する

注意点:

  • 引き継ぎ状況を定期的に上司に報告する

業務引き継ぎを行うことは、円満退職につながります。計画的な引き継ぎを心がけましょう。

ただし、法律上は退職を申し出てから2週間で退職できます。「引継ぎしてくれないと困るからあと数ヶ月は働いてほしい」などという引き止めにあうかもしれませんが、無理な場合には毅然と断る勇気も必要です。

(5)退職関連書類の確認と受け取り

退職時には、様々な重要書類を確実に受け取る必要があります。

これらの書類は、今後の就職活動や社会保険手続きに不可欠です。

必要な退職関連書類:

  • 雇用保険関連の書類
  • 源泉徴収票
  • 健康保険・厚生年金保険資格喪失証明書
  • 年金手帳(会社が保管している場合)
  • 退職証明書(希望する場合)

以下、詳しく説明します。

(5-1)雇用保険関連の書類

以下の雇用保険関連の書類は、退職後の失業給付受給や、次の就職先での手続きに必要です。

  • 雇用保険被保険者証
  • 雇用保険被保険者離職証明書(離職票)

注意点:

  • 離職票は退職後に作成されるため、後日郵送されることが多い
  • 記載内容(特に離職理由、自己都合、会社都合など)を必ず確認する
  • 会社の言い分に異論がある場合(たとえば、退職理由が会社都合退職のはずなのに自己都合退職と記載されているような場合)には、泣き寝入りせず、ハローワークに異議を出す
  • 不明な点があれば、すぐに会社や公共職業安定所(ハローワーク)に確認する

これらの書類は、スムーズな失業給付受給や再就職の際に重要な役割を果たします。

確実に受け取り、大切に保管しましょう。

(5-2)源泉徴収票

源泉徴収票は、その年の給与所得と源泉徴収税額を証明する重要な書類です。退職時には必ず入手する必要があります。

源泉徴収票の重要性:

  • 確定申告の際に必要
  • 次の就職先への提出が求められることがある
  • 住宅ローンの審査などで収入証明として使用

注意点:

  • 年末に退職した場合、退職年の翌年1月末までに発行される
  • 年の途中で退職する場合、通常、最終給与支払いと同時期にそれまでの支給額について源泉徴収票が発行される。
  • 記載内容(特に給与額と源泉徴収税額)を必ず確認

源泉徴収票は税務上重要な書類です。確実に受け取り、内容を十分確認した上で、大切に保管しましょう。

(5-3)健康保険・厚生年金保険資格喪失証明書

健康保険資格喪失確認通知書は、退職に伴い社会保険の資格を失って脱退したことを証明する重要な書類です。

この書類は以下の場面で必要となります。

  • 国民健康保険への加入手続き
  • 新しい職場での健康保険加入手続き
  • 任意継続被保険者となる場合の手続き

注意点:

  • 退職後2年間は退職前の健康保険に任意継続可能だが、退職後20日以内に手続きする必要あり(任意継続を希望する場合は、退職前に手続きについて確認する)
  • 国民健康保険・国民年金の加入手続きの期限は、退職日の翌日から14日以内に行う必要がある

この書類を確実に受け取ることで、退職後の健康保険に関する手続きをスムーズに行うことができます。内容を十分に確認し、適切に対応しましょう。

(5-4)年金手帳

年金手帳は、通常、従業員本人が保管していますが、会社が保管している場合もあります。退職時には必ず返却を受ける必要があります。

年金手帳の重要性:

  • 年金加入記録の証明
  • 年金受給時に必要
  • 再就職時の手続きに使用

注意点:

  • 会社が保管していない場合、自身で保管していることを確認
  • 紛失した場合は、年金事務所に問い合わせる(自営業者又は無職の場合)

年金手帳は生涯にわたって使用する重要な書類です。確実に受け取り、大切に保管しましょう。退職を機に、自身の年金加入状況を確認するのも良いでしょう。

※年金手帳は2022年4月1日から廃止されており、それ以降は新規発行されません。代わりに、基礎年金番号通知書により、基礎年金番号が知らされます。

(5-5)退職証明書

退職証明書は、労働者が請求した場合に会社が発行する義務がある書類です(労働基準法22条1項)。

この証明書は、再就職活動や各種手続きで必要となる場合があります。

退職証明書に記載される内容:

  • 使用期間
  • 業務の種類
  • その事業における地位
  • 賃金
  • 退職の事由(解雇の場合はその理由を含む)

請求方法:

  • 人事部門に口頭または書面で請求する
  • 必要な記載事項を明確に伝える
  • 発行までの期間を確認する

注意点:

  • 会社は労働者の請求があった場合のみ発行義務がある
  • 退職理由について、事実と異なる記載を要求することはできない
  • 記載内容に不満がある場合は、訂正を求める

例えば、人事部門に「退職証明書の発行をお願いしたいのですが、手続きの方法など教えていただけますでしょうか。」と尋ねてみるとよいでしょう。

最短退職するために注意すべき4つのポイント

最短で退職するためには、以下の4つのポイントに特に注意が必要です。

  • 就業規則と雇用契約の確認
  • 退職理由の説明は必要最小限に
  • 有給休暇の取り扱い
  • 強引な引き留めへの対処法

これらのポイントを意識しながら退職プロセスを進めることで、トラブルを回避し、スムーズな退職と次のキャリアへの円滑な移行が可能となります。

(1)就業規則と雇用契約の確認

最短で退職するためには、まず就業規則と雇用契約書の確認が不可欠です。

これらの文書で、有期雇用なのか無期雇用なのか、退職に関する規定をチェックします。

確認すべきポイント:

  • 退職の予告期間(法定の2週間以上の期間が定められていないか)
  • 退職手続きの詳細(必要書類、提出先など)
  • 退職金や未払い給与の取り扱い
  • 競業避止義務や機密保持義務の有無

注意点:

  • 退職の予告期間が法定の2週間に比してあまりにも長い場合には無効
  • 規定が不明確な場合は、人事部門に確認する
  • 退職に関する規定が変更されている可能性もあるため、最新版を確認する

例えば、就業規則に「管理職は1ヶ月前に退職を申し出ること」と記載されている場合、基本的にはこの規定に従う必要があります。ただし、この期間が著しく長い場合(例:6ヶ月前)は、労働者の退職の自由を不当に制限するものとして無効となる可能性があります。

(2)退職理由の説明は必要最小限に

退職時の理由説明は、必要最小限に留めることが重要です。

詳細な説明は法的に義務付けられておらず、雇用先との関係にもよりますが、詳細に説明することは、引き止めに利用されるなどトラブルを招く可能性があります。

退職理由の伝え方:

  • 簡潔に:「一身上の都合」「キャリアアップのため」など
  • 具体的な説明は避ける:新しい職場の情報や個人的な不満は伝えない
  • 前向きな表現を心がける:会社への感謝の意を示す

注意点:

  • 退職理由を詳しく説明すると、引き留めの口実を与える可能性がある
  • 会社に対する否定的な理由を伝えると、今後の人間関係やキャリアに悪影響を及ぼす可能性がある

例えば、「一身上の都合により退職させていただきたいと思います。これまでの経験を活かし、新たなチャレンジをしたいと考えております。」などと抽象的に伝えます。

(3) 有給休暇の取り扱い

法律上、退職前であっても、労働者は有給休暇を利用することができます(労働基準法39条)。

会社側は「事業の正常な運営を妨げる場合」には、別の時期に有給休暇を取るように指示することができます(時季変更権)。ただし、退職まで日が迫っている場合には、この指示により別日に有休休暇を取得できない場合もあるので、事実上、会社側が時季変更権を行使するのは難しいこともあるでしょう。

有給休暇に関する重要ポイント:

  • 退職が決まっていても有給休暇を取得できる
  • 会社は基本的に有給休暇の取得を拒否できない(時季変更権の行使は可能)
  • 未消化の有給休暇に対する金銭補償は法的義務ではない

具体的な対応:

  • 退職日までの有給休暇取得計画を立てる
  • 上司や人事部門に有給取得を伝える
  • 拒否された場合は、労働基準監督署に相談する

注意点:

  • 有給休暇の取得により、退職日が後ろにずれるので、転職先の入社日などが迫っている場合は注意が必要
  • 業務引き継ぎなどとのバランスを考慮する必要がある
  • 有給休暇の買取はしてもらえないことがほとんど

(4)強引な引き留めへの対処法

退職の意思を伝えた際に強引な引き留めに遭遇することがありますが、適切な対処が重要です。

労働者には退職の自由があり、不当な引き留めは法的に問題となる可能性があります。

強引な引き留めへの対処法:

  • 毅然とした態度で退職の意思を伝える
  • 引き止めに利用されるので、退職理由の詳細説明は避ける
  • 書面で退職の意思を明確にする
  • 弁護士などに相談して退職代行サービスの利用を検討する

注意点:

  • 感情的にならず、冷静に対応する
  • 退職の意思を明確に伝え、曖昧な態度は避ける

強引な引き留めに遭遇した場合でも、労働者の退職の自由について理解があれば、適切に対応することができるでしょう。会社の姿勢が強固である、もう自分では話し合いしたくない、退職の意思もできれば他人に伝えてほしい、というような場合には、我慢せず退職代行サービスを利用して退職することも検討ください。

【まとめ】無期雇用契約では最短2週間で退職可。会社との合意により即日退職が可能なことも

無期雇用契約の場合、退職の最短期間は原則2週間ですが、会社との合意により即日退職が可能なこともあります。また一方で、就業規則などの取り決めにより2週間以上の期間が必要なこともあります。

スムーズで円満な退職のためには、本記事で紹介した手順を参考に、計画的に行動しましょう。

自分で退職の意思を伝えるのが難しい場合、引き止めにあって対応に困っている場合などは、躊躇せず退職代行などを扱っている法律事務所に相談することをお勧めします。

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あなたの新たなキャリアへの第一歩を、適切に、かつ自信を持って踏み出していただければと思います。

この記事の監修弁護士
弁護士 山内 涼太

東京大学法学部・東京大学法科大学院卒。アディーレ入所後は未払残業代請求事件をメインに担当し、2022年より労働部門の統括者。「自身も同じ労働者だからこそ、労働者の方々に寄り添える」との信念のもと、より多くのご依頼者様を、より良い解決へ導くことを目標に尽力している。東京弁護士会所属。

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