自己破産は、裁判所から免責許可を受けることができれば、基本的に借金をゼロにできるという大きなメリットがあります(税金など一部については支払い義務が残ります)。
しかし、自己破産を認めてもらうためには、多岐に渡る書類を集めて、裁判所に提出しなくてはなりません。
書類を集めるといっても、「どんな書類が必要なのか」「どの書類から集めればよいのか」「どうやって集めるのか」など、解決すべき疑問は多くあります。
大切なことは、「あなたの状況に合わせて必要な書類は何なのか」を整理して、順序良く必要書類を収集することです。
この記事では、自己破産の際に一般的に必要と考えられる必要書類を紹介します。
実際に自己破産を申し立てる裁判所によっては、書式や運用が異なるため、必要な書類の内容が違ったり、別途書類が必要になる可能性があります。
自己破産の申立てをするにあたり、裁判所の運用に合わせて、自分ですべて必要書類を把握して準備するのは簡単ではありません。
まずはお住まいの地域で自己破産を扱っている弁護士に相談するようにしましょう。
この記事を読んでわかること
- 自己破産で本人が準備する必要書類
- 自己破産で弁護士が準備する必要書類
- 自己破産で状況別に必要になる書類
- スムーズに必要書類を集めるコツ
ここを押さえればOK!
自己破産の手続きは自分でもできますが、日々忙しい生活を送りながら、並行して必要書類を調べてもれなく収集・作成し、裁判所に申し立ててやりとりするのは現実的ではありません。弁護士に相談・依頼することで、丁寧なアドバイスを受けられますし、必要書類の収集・作成もスムーズにすすめることができるでしょう。
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早稲田大学、及び首都大学東京法科大学院(現在名:東京都立大学法科大学院)卒。2012年より新宿支店長、2016年より債務整理部門の統括者も兼務。分野を問わない幅広い法的対応能力を持ち、新聞社系週刊誌での法律問題インタビューなど、メディア関係の仕事も手掛ける。第一東京弁護士会所属。
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自己破産の必要書類
- (1)【共通】本人が準備する書類
- (2)【共通】弁護士が準備する書類
- (3)給与所得者の場合
- (4)マイホームがある場合
- (5)賃貸に住んでいる場合
- (6)自動車・バイクを所有している場合
- (7)退職金支給制度がある場合
- (8)積立金がある場合
- (9)保険に加入している場合
- (10)何らかの請求できるお金がある場合
- (11)休職中の場合
- (12)専業主婦など無職の場合
- (13)児童手当を受け取っている場合
- (14)年金を受給している場合
- (15)生活保護を受けている場合
- (16)同居人がいる場合
- (17)個人事業主の場合
- (18)株を保有している場合
- (19)税金を滞納している場合
- (20)2回目の自己破産の場合
- 必要書類の収集をスムーズに進めるコツ
- 【まとめ】自己破産に必要な書類は、リスト化して順序良く収集する。自分ですべて行うのは非現実的なので、自己破産を得意とする弁護士に依頼しよう
自己破産の必要書類
自己破産を申し立てて、免責許可を受けるためには、様々な書類を集めて裁判所に提出する必要があります。
自己破産は、いわば借金をゼロにして、債権者に返済をあきらめてもらう手続きです。
そこで、債務者が本当に借金を払える資産や資力がないのかについては、しっかりと調査されます。
必要書類も、資産に関連するものが多いです。
必要書類の一覧表は次の通りです。
ただし、申し立てる裁判所の運用により必要書類が異なる場合もあります。また、自己破産に至る事情は人それぞれですので、事情を説明するのに別途必要になる書類があるケースもあります。
一つ一つ、わかりやすく説明していきます。
(1)【共通】本人が準備する書類
自己破産を申し立てる人に共通する、本人が準備する必要書類を説明します。
住民票
まず、本人確認のための書類として、住民票が必要です。
世帯全員が記載され、本籍と続柄の記載があるもので、3ケ月以内に発行されたものの原本を提出します(※)。
マイナンバーが記載されているものは、裁判所に提出できませんので注意が必要です。
住民票の取得には、地域によって異なりますが300円程度の費用がかかります。
※ただし、東京地方裁判所の運用では、個人の住民票で足り、世帯全員のものは必要ないとされています。このように、裁判所によって必要書類に違いがあるケースがありますので、事前に申し立てる地域の弁護士に相談するようにしましょう。
預金通帳の写し
自己破産を申し立てるに至るまでの、収入と支出のお金の流れについて把握するために、すべての預金口座について、申立て1週間前に記帳したうえで、過去2年分の通帳の写しを提出します。
残高がゼロであっても通帳の写しは必要です。
お金が動いた数字が印字された部分だけではなく、表紙、裏表紙、定期預金の部分を含む過去2年分のすべてのページの写しが必要です。
しばらく記帳していない期間があると、その期間の出金と入金がそれぞれ合算されて、合計額と件数だけが記帳されることがあります。
記帳してみて、通帳に「合計記帳」「合算」「未記帳分合算」などという記載がある場合には、まとめて記帳されています。
まとめ記帳がある場合には、まとめられた部分について、その金融機関が発行した取引明細表が必要になります。
取引明細表は、金融機関によってその名称が異なります。「取引推移表」「取引履歴明細証明書」などと言ったりもします。
取引明細表の発行は、金融機関によりますが、電話、Web、店頭などで依頼することができます。費用は、無料の場合もありますが、1通あたり数百円の手数料がかることもあります。
取引している金融機関に問い合わせてみましょう。
自己破産を弁護士に依頼すれば、通常、預けた通帳について該当部分を全部コピーしてくれます。
家計収支表
自己破産の申立直前2ケ月分の家計全体の状況が分かる資料として、家計表を提出します。
本当に自己破産をしなければならないような状況にあるのか、浪費などはないか、家計を確認する必要があるためです。
弁護士に依頼すれば、弁護士から家計収支表の書式をもらえるはずですので、その書式に従って必要事項を記入します。
1人で必要書類を準備していると、疑問が浮かんだり不安になったりすることもあると思います。ひとりで悩んでいて手続きに時間がかかってしまうのは避けた方がいいです。
自己破産を検討していて、まだ弁護士に相談していない方は、なるべく早く弁護士に相談するようにしましょう。
(2)【共通】弁護士が準備する書類
法律上は、自己破産の手続きを自分で行うことも可能です。
しかし、裁判所は中立な機関ですので、破産手続きが問題なく進められて、免責が認められるように、書式の書き方や必要書類についてアドバイスしてくれるわけではありません。
東京地方裁判所の自己破産を扱う倒産部(民事第20部)も、ホームページで次のように明記しています。
個人又は法人の代表者の方で、破産、個人再生、民事再生等の倒産手続をお考えの方は、まずは弁護士に相談をしてください。
引用:民事第20部(倒産部)|裁判所
裁判所は、中立的な立場で手続を進める必要がありますので、債務整理や倒産手続の申立に関する相談に応じることはできません。
自己破産に関する法的知識がない状態で、自分で、法律上必要な書面を作成し、必要な書類をすべて集めて申立て、裁判所との連絡や面接も行うというのは現実的ではありません。
通常は、弁護士に依頼して自己破産手続きを行います。
本人で作成することが難しい次のような書類については、通常弁護士が準備します。
申立書
申立書に書くべき内容は法律によって定められており、書くべきことが書いていないと、裁判所は申立書を受け付けてくれないことがあります(破産法20条1項、破産規則13条1項2項)。
申立書に記載すべき内容 |
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・申立人の氏名又は名称及び住所並びに法定代理人の氏名及び住所 ・債務者の氏名又は名称及び住所並びに法定代理人の氏名及び住所 ・申立の趣旨 ・破産手続開始の原因となる事実 ・債務者の収入及び支出の状況並びに資産及び負債(債権者の数を含む。)の状況 ・破産手続開始の原因となる事実が生ずるに至った事情 ・申立人又は代理人の郵便番号及び電話番号(ファクシミリの番号を含む。) など |
申し立てる裁判所によっては、決まった書式が準備されています。書式がある場合にはその書式を利用して申立書を作成します。書式は各裁判所や各地の弁護士会のサイトで入手することができます(弁護士会の書式は弁護士でなければ入手できないことがあります)。
参考:申立て等で使う書式例「破産手続開始 免責許可申請書(代理人申立用)」|裁判所
債権者一覧表
債権者一覧表は、自己破産を申し立てる人が借金をしている相手(債権者)をすべて書き出した書面です。
最初に受任通知を送付した日、債権者名、債権者住所、借入時期、現在の残高、借入金の使途などを記載します。
こちらも、裁判所の書式がある場合にはそちらを利用して弁護士が作成します。
あなたが自己破産を弁護士に相談した際、借金先、分割払いが残っていないか、滞納しているものがないか、保証人となっていないかなどについて詳しく聞かれたはずです。
消費者金融など業者だけではなく、個人からの借り入れも忘れずに申告しましたか。
弁護士は、あなたの申告に基づいて、債権者一覧表を作成します。
もし、債権者一覧表の記載が漏れていたまま、破産手続きが終了して免責を受けたとしても、記載の漏れていた債権者に対する借金の支払い義務はなくならない可能性があります。
「お世話になった人だから、債権者一覧表には記載せずこっそり借金を返したい」と思う方もいるかもしれません。
義理堅いですが、破産手続きにおいては許されないことです。
特定の債権者を債権者一覧表に載せないと、免責不許可事由にあたり、免責されず借金が残ってしまうリスクがあります。
ですので、債権者一覧表については漏れのないようにしっかり記載する必要があります。
免責不許可事由についてくわしくは、こちらをご覧ください。
陳述書(報告書)
陳述書(報告書)には、職歴、家族関係、借金をした理由、借金が増えた理由、支払えなくなった事情、ギャンブルなどの有無など、細かく記載します。
陳述書(報告書)も裁判所の書式があり、必要事項を埋めて作成していきます。
通常は、本人の話を聞き取った弁護士が作成したり、大まかに本人に記載してもらったものを弁護士が最終的に仕上げます。
浪費やギャンブルなど免責不許可事由がある場合には、免責されず借金が残ってしまうリスクがあります。
しかし、免責不許可事由があったとしても、裁判所が裁量で免責することもできます。
弁護士は、免責不許可事由があったとしてもあきらめません。例えば、次のように「裁判所が裁量で免責すべき」と考える理由を、具体的に陳述書(報告書)に記載して、裁量による免責許可を目指します。
- 浪費の原因となったクレジットカードは全て解約しており、月々の収入の範囲内で生活している
- ギャンブルはもうしないとの誓約書を提出し、実際に〇ケ月していない
- 弁護士に依頼後家計を見直して、家計簿をつけながら節約して生活している
- ゲーム課金の原因となったスマホは解約し、ガラケーに変更した
- 仕事のストレスで浪費して借金が増えたが、転職してその後は浪費していない
- 家計は自分が管理していて生活費のため借金を重ねたが、今は妻が節約しながら管理している など
陳述書は、このような個人の具体的状況に合わせた記載をする必要があり、書式を埋めただけでは不十分なことに注意が必要です。
資産目録
資産目録は、自己破産を申し立てる人の資産を一覧にしたものです。
現金、預金、退職金、自動車、保険、不動産などの資産の有無について記載します。
資産目録も裁判所の書式があり、通常、弁護士が本人の申告に従って、必要事項を埋めて作成します。
資産は正直に申告し、嘘をついたり隠したりしてはいけません。
債権者一覧表で一部の債権者を記載しないのと同様、意図的に資産を資産目録に記載しないことは免責不許可事由となるおそれがあります。
委任状
委任状は、弁護士が本人の代わりに破産申立をするにあたり、本人の委任を受けていることを明らかにする書面です。
弁護士が準備しますので、内容を確認したうえで署名押印します。
(3)給与所得者の場合
給与所得がある方は、次の書類が必要です。
給与明細書
申立人が給与所得者の場合、直近2ケ月分の給与明細書の写しを提出します。
勤務先から紙で受け取っている場合には写しを、ウェブで確認できる場合にはプリントアウトして提出します。
紛失などで給与明細書が手元にない場合には、勤務先作成の給与証明書を代わりに提出します。
源泉徴収票
給与所得者の場合、直近2年分の源泉徴収票の写しを提出します。
紛失してしまった場合には、職場に再発行を依頼してみましょう。
準備できない場合には、市区町村役場の税務担当窓口で、所得課税(非課税)証明書を取得して提出します。
(4)マイホームがある場合
不動産を所有している方は、次の書類が必要です。
不動産登記事項証明書
不動産の登記事項証明書は、所有者などの情報が記載された書面です。
不動産が所在する管轄の法務局で入手でき、手数料が600円程度かかります。
不動産を所有していなくても、親族や同居者所有の家に住んでいる場合には、その不動産の登記事項証明書が必要です。
所有していたが過去2年以内に処分している場合には、登記事項証明書に加えて、売買契約書など事情がわかる書類を提出します。
固定資産評価証明書
固定資産評価証明書は、不動産の所有者や所在地、評価額などが記載された書面です。
不動産が所在する市区町村役場の税務担当窓口で入手でき、手数料が400円程度かかります。
不動産の査定書
不動産業者から、不動産の査定書を取得して提出します。
裁判所が、不動産の価値を正確に把握するために必要です。
不動産のある地域で営業しているなるべく大手の不動産業者に連絡し、査定してほしい旨伝えます。
査定金額には業者により幅があることがありますので、1社だけでなく、複数取得するようにします。
住宅ローン残高証明書
マイホームを購入して住宅ローンを組んだ場合、通常そのマイホームに抵当権が設定されています。
住宅ローンや抵当権の設定も本人の資産状況にかかわるので、住宅ローンが残っている場合には、融資を受けた金融機関等から入手した残高証明書を提出します。
ローン残高の方が、マイホームの査定額よりも1.5倍以上のオーバーローンになっている場合、「オーバーローン上申書」を作成して裁判所に提出することで、破産手続きを簡易化して費用を抑えられる可能性があります。オーバーローン上申書は、通常弁護士が作成します。
自宅を所有している場合の自己破産の手続きについて詳しくは、自己破産のよくある質問のうち、「住宅を所有している場合、自己破産の手続きは少額管財となってしまうのですか?」をご覧ください。
(5)賃貸に住んでいる場合
貸家に住んでいる場合には、賃貸借契約書の写しを提出します。
また、公営住宅に住んでいる場合には、住居の住宅使用許可書の写しを提出します。
賃貸借契約書が準備できない場合には、代わりに領収書や、家賃引き落とし口座の通帳の写しなどを準備します。
(6)自動車・バイクを所有している場合
自動車・バイクを所有している場合には、自動車検査証の写しを提出します。
また、その価値を把握するために、中古車査定業者などから、自動車・バイクの査定書を入手して提出します。
ただし、国産普通車は初年度登録から6年経過しているとき、国産軽自動車・バイクは4年経過しているときは、価値がないものとして査定書は不要です(裁判所によってこの運用は異なります)。
保有していたが過去2年以内に処分している場合には、売却や廃棄などの事情がわかる書類を提出します。
(7)退職金支給制度がある場合
勤め先に退職金支給制度がある場合には、退職金の試算書か、退職金支給規程の写しが必要です。
退職する予定がなくても、破産手続開始決定の時点で自己都合退職をした場合に受け取ることが出来る退職金の8分の1の金額を、現在の資産として裁判所に報告しなければならないためです(退職金支給が近々行われるような場合には、4分の1あるいはそれに近い額の報告が必要になる場合もあります)。
退職金支給規程は通常就業規則に記載されています。規程により自分で退職金を計算できる場合には、その額を裁判所に報告します。
計算できない場合には、退職金の試算書が必要ですが、これは、勤務先にお願いして作成してもらう必要があります。
過去2年以内に退職金を受け取った場合には、金額が分かる支給明細書や通帳の写しなどを提出します。
(8)積立金がある場合
勤務先で積み立てているお金がある場合には、それも資産になりますので、申立時点の積立金の金額がわかる資料を提出します。
(9)保険に加入している場合
保険に加入している場合は、次の書類が必要です。
保険証券
加入しているすべての保険の保険証券の写しを提出します。
保険は、生命保険、損害保険、火災保険、自動車保険など多岐にわたりますので、見落としのないように準備します。
解約返戻金計算書
生命保険などに解約返戻金の定めがある場合には、解約しなくても、解約返戻金計算書を提出します。
裁判所が解約返戻金の額を把握して、保険を解約して債権者に分配するかどうかを判断するためです。
保険証券は、契約時に受け取っているはずですから自宅を探します。紛失した場合には保険会社に再発行を依頼する必要があるので、早めに連絡しましょう。
解約返戻金計算書は、保険会社に依頼すれば送ってくれます。
過去2年内に解約返戻金を受け取った場合には、その解約金返戻金計算書か、金額のわかる通帳の写しなどを提出します。
(10)何らかの請求できるお金がある場合
例えば、知人にお金を貸した場合には、貸した金額や利息について返済を請求できます。
詐欺の被害にあった場合には、被害にあった金額などについて返還を求めることができます。
このように、何らかの請求できるお金がある場合には、契約書や借用証書など金額がわかる書類を提出します。
裁判所は、請求できるお金はきちんと請求したうえで、それでも自己破産を認めるべきか、債権者への分配が必要かなどを審査するからです。
知人も自己破産していて返済を求めることができないこと、詐欺の加害者は氏名も住所もわからず返還請求自体が困難であることなどの事情があれば、書面を作成して報告します。
(11)休職中の場合
休職中でも、傷病手当金などを受け取っている場合には、支給決定通知書や金額がわかる通帳の写しなどを提出します。
また、育児休業給付金を受け取っている場合は、育児休業給付支給決定通知書か、金額の分かる通帳の写しなどを提出します。
その他労災保険給付など、公的給付を受けている場合、その金額の分かる書類を提出します。
(12)専業主婦など無職の場合
無職の場合、所得課税証明書(非課税証明書)を提出します。
所得課税証明書は、お住まいの市区町村役場の税務担当窓口で入手することができ、手数料が300円ほどかかります。
転職活動中などで失業手当を受給している場合は、雇用保険受給資格者証を提出します。
雇用保険受給資格者証は、ハローワークで求職を申し込み、受給資格の決定がなされた後に参加した説明会で交付されたはずので、自宅を探して準備します。
(13)児童手当を受け取っている場合
児童手当を受け取っている場合、児童手当受給証明書を提出します。
お住まいの市区町村役場の子育て関連の窓口で申請し、後日受け取ることができますが、事前に発行にどれくらいかかるかなど電話で問い合わせておくとよいでしょう。
(14)年金を受給している場合
年金を受給している場合、年金証書を提出します。
年金証書は、年金受給開始時に日本年金機構から発行されているはずですので、自宅を探します。
紛失して準備できない場合には、お住まいの地域を管轄する年金事務所に問い合わせて再発行を依頼してとりよせます。または、振込金額が分かる通帳の写しなどを提出することになります。
(15)生活保護を受けている場合
生活保護を受けている場合、生活保護受給証明書の写しを提出します。
生活保護受給証明書は、生活保護の受給が決まったときに福祉事務所から発行される書類です。
紛失した場合には再発行を依頼できますので、福祉事務所に連絡しましょう。費用は無料です。
(16)同居人がいる場合
同居人がいる場合には、申立人の生活状況を把握するために、同居人についても給与明細、通帳の写し、所得証明書などが必要になることがあります。
また、同居人が年金受給者であれば年金証書、無職であれば非課税証明書、生活保護を受給していれば生活保護受給証明書なども提出を求められることがあります。
(17)個人事業主の場合
個人事業主の場合には、直近2~3年分の確定申告書の控えや決算諸表(貸借対照表・損益計算書・諸勘定内訳表等)を提出します。
もし、事業所得があり確定申告の義務があるのにしていなかった、納税もしていない、というケースでは、陳述書(報告書)にその事情について詳しく説明する必要があるでしょう。
(18)株を保有している場合
株を保有している場合、株式の保有を証明できる書面を提出します。
一定の金額以上の価値があるときは、売却したうえで債権者に配当する必要があるためです。
上場している株式なら価値はわかりやすいですが、非公開会社の株式を保有している場合、その価値をどう評価するのかについては、いくつかの考え方があります。
過去2年内に株など有価証券を売却して利益を受け取っている場合には、裁判所に、取引明細書やその代金の使途について報告する必要があります。
(19)税金を滞納している場合
税金を滞納している場合は、税金滞納用の債権者一覧表を提出します。
この債権者一覧表には、担当部署名、所在地、納期限、現在の滞納額、差押えの有無などを記載します。
通常は裁判所の書式に従って弁護士が作成しますので、滞納期間、滞納額が分かる書類(督促状など)を弁護士に提出します。
公租公課については、自己破産で免責許可決定がでても、支払い義務はなくなりません。担当窓口と相談しながら、支払っていく必要があります。
(20)2回目の自己破産の場合
過去に自己破産の手続きを行ったことがある場合、1回目の自己破産手続きについての破産手続き開始決定の写しと、免責許可決定の写しなどの資料が必要です。
手元に資料がない場合には、当時破産の手続きをした裁判所に問い合わせて、決定謄本や確定証明書を取り寄せて提出します。
2回目の自己破産の場合、次の二つのことに気を付けなければなりません。
- 免責許可決定が確定した日から7年以内の自己破産申立ては免責不許可事由にあたること
- 裁判所の免責許可の審査が厳しくなりがち
自己破産すると官報に事件番号、氏名、裁判所名などが掲載されるので、過去の官報を調べれば、1回目の自己破産の時期などが明確にわかります。
2回目の自己破産について詳しくはこちらの記事をご覧ください。2回目の自己破産で特に注意すべきポイント、認められない場合の他の対処法などについて説明しています。
必要書類の収集をスムーズに進めるコツ
ご説明したように、自己破産の手続きで必要になる書類はたくさんあります。
自己破産を申し立てる本人は、仕事や家事育児など、日々忙しい生活をする中で、並行して必要な書類を集めなければなりません。
順序良く、スムーズに必要書類を集めるコツを3つ紹介します。
(1)収集書類のリストを作る
まずは、自分のケースで必要になる書類をリスト化しましょう。
リストには、必要書類、収集先、いつまでにやるのかなどを記載します。
弁護士に依頼すれば、収集すべき書類や収集先をまとめたリストをもらえる場合があります。
一度リストを作成してしまえば、必要書類を全体として把握することができます。
市区町村役場などで入手する書類は、基本的に当日や数日内に入手できます。
なので、時間のかかる会社や保険会社などから入手する書類を優先的に取得しましょう。
(2)期限が決まっているものは最後に取得する
住民票は、3ケ月以内に発行されたものである必要があります。
また、通帳の写しは申立て1週間に記帳したものである必要があります。
自己破産は、申立の準備を始めてから半年後に申し立てる、ということも少なくありません。なので、期限が決まっている書類については、書類収集の最後の段階で取得するようにします。
ただし、有効期限が切れたとしても再度取得すればいいので、そこまで気にする必要はありません。
(3)自己破産を得意とする弁護士のサポートを受ける
自己破産を自分一人で行うことは現実的ではありません。
「もう借金は返せない」「限界だ」「毎日督促が来て気が滅入る」など、借金問題に悩んでいる方は、一日でも早く弁護士に相談する事をおすすめします。
弁護士に依頼して、弁護士が債権者に受任通知を送れば、基本的に督促やそれ以降の支払いは一時的にストップします。督促や支払いのやりくりに悩んでいた方は、そのストレスから解放されます。
あとは弁護士と二人三脚で、生活・家計を見直して弁護士費用や自己破産にかかる費用を積み立てていき、必要書類を集めて、免責許可決定を得ることを目指して自己破産の申立てを行います。
アディーレ法律事務所では、自己破産のご相談は何度でも無料です。
全国に支店があるので、お電話で予約いただいたうえで、ぜひお住まいやお勤めの近くの事務所にお越しください。
【まとめ】自己破産に必要な書類は、リスト化して順序良く収集する。自分ですべて行うのは非現実的なので、自己破産を得意とする弁護士に依頼しよう
今回の記事のまとめは次の通りです。
- 自己破産で自分で準備する書類には、住民票、預金通帳の写し、家計収支表などがある
- 自己破産で弁護士が準備する書類には、申立書、陳述書(報告書)、資産目録、債権者一覧表、委任状などがある
- 自己破産には、申立人の状況によって必要書類が異なるので、前調べして漏れなく準備することが重要
- 必要書類をスムーズに準備するコツとしては、リスト化する、期限が決まっているものは最後にする、自己破産を得意とする弁護士に依頼することがあげられる
弁護士に依頼するとなると、弁護士費用が気になるかもしれません。
弁護士に依頼して弁護士が債権者に受任通知を送ると、債権者に対する支払いはいったんストップします。
そうすると、今まで借金の返済にあてていたお金や、生活を見直して余裕が出たお金を毎月積み立てて弁護士費用とすることができるでしょう。
アディーレ法律事務所では、所定の債務整理手続きにつき、所定の成果を得られなかった場合、原則として、当該手続きに関してお支払いただいた弁護士費用を全額ご返金しております。
また、完済した業者への過払い金返還請求の手続きの場合は、原則として過払い金を回収できた場合のみ、成果に応じた弁護士費用をいただいておりますので、費用をあらかじめご用意いただく必要はありません(2024年9月時点)。
借金問題でお悩みの方は、債務整理を得意とするアディーレ法律事務所にご相談ください。